水中毒

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

水中毒(みずちゅうどく、: water intoxication)とは、過剰の水分摂取によって生じる中毒症状である。

人間腎臓が持つ最大の利尿速度は毎分16mlであるため、これを超える速度で水分を摂取すると体内の水分過剰で細胞が膨化し、低ナトリウム血症を引き起こす水中毒に陥る[1]

症状[編集]

血液中のナトリウムイオン濃度の低下に伴い以下の症状が生じる。

原因[編集]

水分の過剰摂取が直接の原因である。誤った知識に基づくダイエットや水分補給に注意する必要がある[2]

水中毒は自閉症統合失調症の患者に多いことが知られており、抗精神病薬副作用バソプレッシンの持続的分泌が関係するという説がある[3]。この説では、抗精神病薬の長期投与によって視床下部の口渇中枢およびバソプレッシン分泌細胞のドーパミン受容体感受性が亢進する。このため口渇とバソプレッシン促進によって腎臓からの水分再吸収が盛んになり血漿浸透圧が減少するが、ナトリウムの再吸収は行われないため低ナトリウム血症を引き起こすとされる。しかし抗精神薬の服用にかかわらず自閉症患者には高い確率で多飲が見られる。

下痢などで激しい脱水症状を起こした際にスポーツドリンクを大量に与えると、特に乳幼児において、水中毒を惹起することがある。これは病的脱水時の水補給には一般的なスポーツドリンクではナトリウム濃度が低すぎることから[4]、低ナトリウム血症になることが原因である。病的な脱水時には経口補水液を用いるべきである。

治療法[編集]

  • 水分の摂取の厳重な制限と水排泄促進
  • 原因疾患を特定して治療
  • 心因性多飲症によるものの場合、その原因の解明、解決
  • 尿崩症に対する薬物治療(DDAVP)が原因の場合、薬剤の中止

ヒト以外[編集]

輸液において、低張性電解質の過剰投与により水中毒を引き起こすことがある。また、子牛においては水の過剰摂取を原因とした一過性に血色素尿を排泄する疾患が存在する。

参考文献[編集]

  • 現代臨床精神医学
  • 獣医学大辞典編集委員会編集『明解獣医学辞典』チクサン出版、1991年 ISBN 4885006104

脚注[編集]

関連項目[編集]

  • デトックス - 体内の毒素を出すために大量の水を飲んでナトリウム欠乏症となった事例がある。