水中毒

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水中毒
分類及び外部参照情報
ICD-10 E87.7
ICD-9 276.69
プロジェクト:病気Portal:医学と医療
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水中毒(みずちゅうどく、water intoxication)とは、過剰の水分摂取によって生じる中毒症状であり、具体的には低ナトリウム血症けいれんを生じ、重症では死に至りうる。

人間腎臓が持つ最大の利尿速度は毎分16mlであるため、これを超える速度で水分を摂取すると体内の水分過剰で細胞が膨化し、低ナトリウム血症を引き起こす水中毒に陥る。

症状[編集]

血液中のナトリウムイオン濃度の低下に伴い以下の症状が生じる。

原因[編集]

水分の過剰摂取が直接の原因である。誤った知識に基づくダイエットや水分補給に注意する必要がある。

水中毒は自閉症統合失調症の患者に多いことが知られている。2010年には、精神科病院における水中毒のための書籍も出版されている[1]。多飲症による水中毒は、抗精神病薬の副作用である[2]

水中毒には、抗精神病薬副作用バソプレッシンの持続的分泌が関係するという説がある。この説では、抗精神病薬の長期投与によって視床下部の口渇中枢およびバソプレッシン分泌細胞のドーパミン受容体感受性が亢進する。このため口渇とバソプレッシン促進によって腎臓からの水分再吸収が盛んになり血漿浸透圧が減少するが、ナトリウムの再吸収は行われないため低ナトリウム血症を引き起こすとされる。しかし抗精神薬の服用にかかわらず自閉症患者には高い確率で多飲が見られる。

下痢などで激しい脱水症状を起こした際にスポーツドリンクを大量に与えると、特に乳幼児において、水中毒を惹起することがある。これは病的脱水時の水補給には一般的なスポーツドリンクではナトリウム濃度が低すぎることから[3]、低ナトリウム血症になることが原因である。病的な脱水時には経口補水液を用いるべきである。

一般に精神科病院の入院患者の10~20%に多飲が見られ、3~4%が水中毒を呈しているという[2]

治療法[編集]

  • 水分の摂取の厳重な制限と水排泄促進
  • 原因疾患を特定して治療
  • 心因性多飲症によるものの場合、その原因の解明、解決
  • 尿崩症に対する薬物治療(DDAVP)が原因の場合、薬剤の中止

精神科病院での対処[編集]

これを専門で研究した松浦好徳の病院においても、患者が水を飲みすぎてけいれんなどが生じるのを防ぐために、多飲症の患者を保護室に隔離し隔離室の大半はそうした患者で占められるということがあった[4]。そうではなく、水を看護室にて自由に飲んでもらう代わりに、心理教育も行うことで隔離は不要となった[4]

訴訟[編集]

病院内での水中毒による死亡を理由とした裁判では、抗精神病薬などの副作用の口渇が水中毒の主な原因であるとし、水分摂取を制限しなかった病院側に過失を認めた判決が下っている[5]

ヒト以外[編集]

輸液において、低張性電解質の過剰投与により水中毒を引き起こすことがある。また、子牛においては水の過剰摂取を原因とした一過性に血色素尿を排泄する疾患が存在する。

脚注[編集]

  1. ^ (編集)川上宏人、松浦好徳 『多飲症・水中毒』 医学書院、2010年ISBN 978-4-260-01002-3
  2. ^ a b 精神医学講座担当者会議、佐藤光源、丹羽真一、井上新平 『統合失調症治療ガイドライン』 医学書院、2008年、2版、133頁。ISBN 978-4-260-00646-0
  3. ^ 一般的なスポーツドリンクで10〜20mEq/L。
  4. ^ a b 話し手・松浦好徳 (2010年2月15日). “「飲ませない」から「安全に,おいしく飲んでもらう」へ”. 週刊医学界新聞. http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02867_03 2014年7月14日閲覧。 
  5. ^ “水中毒で入院患者死亡、病院に賠償命じる判決”. 読売新聞. (2014年7月3日). http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20140703-OYS1T50014.html 2014年7月10日閲覧。 

参考文献[編集]

  • 『現代臨床精神医学』
  • 獣医学大辞典編集委員会編集『明解獣医学辞典』チクサン出版、1991年 ISBN 4885006104

関連項目[編集]