水からの伝言

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水からの伝言 世界初!!水の氷結結晶写真集 今日も水にありがとう
著者 江本勝
発行日 1999年6月1日
発行元 波動教育社
ジャンル 写真集
日本の旗 日本
形態 ペーパーバック
ページ数 145ページ
前作 『甦る潜在記憶 新しい自分を求めて』
次作 『水は語る Water,it tells us precious things』
公式サイト www.masaru-emoto.net/japanese/jpntop.html
コード ISBN 4-939098-00-1
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水からの伝言』(みずからのでんごん)は結晶である氷に人類へのメッセージが読みとれるとする江本勝の著作[1]

目次

[編集] 概要

本書には江本らによる独自の方法で撮影した「雪花状の氷[2]」の写真が多数収録されている。2009年までには45ヶ国語に翻訳、世界75カ国で出版されシリーズで250万部以上が発行されるなど続編や関連書も多くあり、同様の題材で日本国内では映画、海外でも映画やドキュメンタリーが撮られている[3][4]

「水からの伝言」では水の結晶の写真に、「水に言葉をかけると、結晶の形がその言葉に影響される」といった主旨の文章がキャプションとして付されている。かつて一部の学校によって道徳教育の題材として使われたことがある[5]

[編集] 著者の主張

「水からの伝言」やその続編では、「結晶を作る際に「ありがとう」や「平和」など「よい言葉」をかけると美しい雪花状の結晶ができて、「ばかやろう」や「戦争」など「悪い言葉」をかけると汚い結晶ができる」という内容を「物語」と説明している(いずれ証明されると発言している)。同書によれば「言葉のかけ方」とは、「に言葉を書き、水から見えるように文字の書かれた面を内側にして、水をいれたに貼ることである。あるいは「水の入った瓶に向かって声をかけ」てもよい。また「水を入れた瓶に音楽を聴かせると音楽の種類によって結晶形が変わる」といった主旨の記述がなされている。ただし、本書に用いられている写真は記述内容に沿う結晶を選んで撮影したことを江本本人が公言している。

[編集] 批判

水が聞いた音楽や水から見える言葉の内容に反応するということは、科学的には根拠がない(そもそも水は物体であり生物ではない)。本書では「波動」の効果として説明されるが、物理学で言う波動ではなくて、代表的なオカルト擬似科学である。また本書の記述に従えば、言葉を見せたり音楽を聴かせたりするのは凍らせる前の水に対してであり、結晶成長時ではない。音波が氷の結晶の成長に影響する可能性は極めて低い。

日本化学会日本物理学会の会員達は「科学的でない」という見解を表明している。また科学者達によって説明内容が擬似科学的(あるいはいわゆる"オカルト"的)だとも評価されている[6]。「と学会」からは、“「戦争」ではなく「war」ならどうなるのか、水に民族性はあるのか”と嘲笑されている[7]

[編集] 科学的な注釈

写真にあるものは雪花状の氷であり、と同様に「気相成長」によって生じた、つまり種となる氷に周辺の水蒸気がくっついてできたものである。あるいは「小さな霜」といえる。結晶の形は中谷宇吉郎が研究した雪の結晶形の成長条件に従って、雪花状に成長するかどうかは温度と水蒸気量で決まる。形こそ雪花状であるが、雪や霜がそうであるように、分子構造は普通の氷と同じである。

また、藤倉珊は『トンデモ本の世界T』において、同じく中谷宇吉郎の研究を取り上げチンダル像による負結晶(逆結晶)別名「ウォーター・フラワー (Water Flower)」とする異説を唱えている。水の結晶と称される写真に、チンダル像ができる際、水蒸気によってできる穴と同じようなものが見える。「シャーレに水を分け、氷点下で凍結し、顕微鏡で視る」という撮影過程の中で、顕微鏡の落射照明により氷が融解するなどと指摘し、結晶の写真の美しさは、氷の融解する過程においてタイミング良く負結晶ができる瞬間の写真が撮影できるかどうか、つまりシャッターチャンスの妙味だとしている。

ただし、藤倉珊と同じと学会の会員で物理学者菊池誠は、写真に写っているのは気相成長でできた普通の結晶であり、チンダル像だとする藤倉の説は誤りであると指摘している[8]

一方、江本らの作中に、「人間の意志が遠隔的に水の結晶の形状に影響することを二重盲検法により確認し、統計的に有意だった」という意味の文章がある[9][10]。その作品は超心理学者ディーン・ラディンDean Radin)らと共同で書かれ、"Explore: The Journal of Science and Healing"(「Explore:科学と癒しのジャーナル」の意)に掲載された[11]。しかし、これはそのメカニズムなどについても何の記述もなく、科学的に説明されているわけではない[12]

[編集] 社会的影響

本書を始めとする江本勝の著作の愛読者の中には、これらの記述をオカルトではなく科学的な記述であるかのように扱って、自分の都合の良いように利用する人達が現われ、その中には問題行動を起こす人もいる(例えば、学会で発表したり、その内容に対し科学的に反証するようにと要求する人がいた。しかし、科学として理科教育で取り上げられた事例は現在までのところ、ほとんど報告がないようである)[要出典]

[編集] 教育現場

この書籍が小学校などの道徳教材に使われ問題となった。道徳授業の実践例が向山洋一の唱えるTOSSで紹介され、授業案のリンク集である「TOSSインターネットランド」に収録されたのが広まる要因になったと見られている。これに対して教育関係者や科学者からは本書とTOSSへの激しい批判が起きた。道徳授業で疑似科学以前のオカルトを教えることが単に批判されているだけではなく、「<<言葉のしを水に教わる>>という内容自体がそもそも道徳教材としては不適切である[要出典]」との指摘もされ、論争は道徳授業にオカルトを取り上げることに対する批判にとどまらなかった。また「画一的美的感覚の押しつけ[要出典]」であるとの指摘もあった。

[編集] 政治

[編集] タレント

[編集] 日本の学会での発表

[編集] 日本物理学会

2006年9月23日、奈良女子大学で開催された日本物理学会秋季大会において、高尾征治(当時九州大学大学院工学研究科化学工学部門助手、現在「ししゃ科も研究所」代表、工学博士[15])が「言葉が水の氷結状態と水中元素濃度に及ぼす影響」と称して本書と同様の主張を発表した。[16]。この発表は江本も共同発表者として名を連ね、引用文献として本書が挙げられていた。科学でない主張を学会で発表したことについて、聴衆からは疑問の声が上がり「それは科学でない」というごく当たり前のコメントをする者もいた[17]。また「再現実験じみたこと」はやっていないことなども明らかにされた[18]

なお九州大学のウェブサイトで、一時期「似非科学問題について」と題するトピックスが載っていた[19]

2006年春には『「ニセ科学」とどう向き合っていくか?』というシンポジウムが行われた[20]

[編集] 日本化学会

上述の発表に先立ち、日本化学会の会誌『化学と工業』2006年9月号の論説欄で本書が取り上げられた[21]。この筆者は論説で取り上げた理由として「(「社会的影響」で述べている事象が起きていることから)学会として無視するといった対応では不十分、すなわち、ある許容できる一線をすでに超した事例ではないか」としている[22]

この論説は多くの関心を呼ぶとともに、読者からの多数の意見が寄せられ、その一部は同誌の同年12月号で紹介された[22]。読者の意見に本書が疑似科学以前のオカルト本であることを否定するものはなかったが、その内容に対して科学的に反証すべきだと要求する人もいた。

[編集] 著者の釈明

江本は『AERA』のインタビューに対して、『水からの伝言』のことを「<<ファンタジー>>あるいは<<ポエム>>である」、即ち 「(科学ではなく)物語である」 と述べた[23]

ただし物語のリアリティーへの配慮からか、いずれは証明されるものとして語られており、事実でないことには触れられない(物語であるので、証明要素はない)。また、江本は『水からの伝言』の絵本版を2006年から2015年にかけて約500億円の予算で6億5000万部を印刷し世界中の子供たちに配布する計画という[23][24]

[編集] 脚注

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  1. ^ 国立国会図書館分類ではSB391の超心理学に分類されている。
  2. ^ 6方向に枝分かれした氷で、本質的にと同じ
  3. ^ What the Bleep Do We Know!?
  4. ^ 映画“ウォーター”OFFICE MASARU EMOTO
  5. ^ 理系白書’07:第1部 科学と非科学”. 毎日新聞 (2007年2月7日). 2011年3月30日閲覧。
  6. ^ #日本の学会での発表を参照
  7. ^ 「トンデモ本の世界」
  8. ^ 『トンデモ本白書2005』40-42ページ参照
  9. ^ 水の結晶の形に遠隔地からの想いが与える影響についてのダブルブラインドテストOFFICE MASARU EMOTO
  10. ^ 江本のブログ内で自分たちのやっていることは科学的に証明することが自分には出来ないと明言している。2007年10月23日(火) 読者からの質問6
  11. ^ doi:10.1016/j.explore.2006.06.004 http://www.explorejournal.com/article/PIIS1550830706003272/abstract
  12. ^ 掲載された"Explore"は霊気や気功なども扱う雑誌である
  13. ^ 2006年6月2日放送
  14. ^まんとら〜マンガ虎の穴〜』まんとら製作委員会 2007年5月4日
  15. ^ 九州大学乙第3055号 撹拌槽反応器における均相反応におよぼす混合の影響に関する研究 なお,ディプロマミルで有名なイオンド大学より“哲学名誉博士号”も受けている。研究所長プロフィール
  16. ^ ししゃかもグループ
  17. ^ 学問の黒板 9/23 日本物理学会 言葉が水の氷結状態と水中元素濃度に及ぼす影響
  18. ^ 水からの伝言にもともと実験はなく「実験じみたこと」があるだけなので、それに対応するのは正確には、再現実験でなく「再現実験じみたこと」となる。Science Walk「ニセ科学の横行を防げ」 読売新聞2006年10月2日夕刊
  19. ^ 日本物理学会2006年秋季大会における発表”. Skeptic's Wiki. 2011年3月30日閲覧。
  20. ^ 物理と社会シンポジウム
  21. ^ 「水からの伝言」と科学立国『化学と工業』2006年9月号、日本化学会(PDF
  22. ^ a b 論説『「水からの伝言」と科学立国』に対する読者からの意見『化学と工業』2006年12月号、日本化学会(PDF)
  23. ^ a b 「江本勝氏に直撃インタビュー」『AERA』2005年12月5日号
  24. ^ 第2回 ウォーター・フォー・ライフ・フェスティバル チラシ(PDF)

[編集] 参考文献

[編集] 江本の著書

[編集] 批判・反論書籍

  • 左巻健男 『水はなんにも知らないよ』 ディスカヴァー・トゥエンティワン〈ディスカヴァー携書 1〉、2007年2月。ISBN 978-4-88759-528-6
  • と学会 『トンデモ本の世界T』 太田出版、2004年6月。ISBN 4-87233-849-9 - 藤倉珊が一連の『水からの伝言』シリーズを取り上げ、間違いや問題点を指摘している。結晶の写真はチンダル像による負結晶(逆結晶)と主張している。
  • と学会 『トンデモ本白書2005』 と学会、2005年6月。 - と学会名義で発行の同人誌。菊池誠が前掲書における藤倉の説明の誤りを訂正して、結晶の写真はチンダル像ではないとしている。
  • 松永和紀 『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』 光文社、2007年4月。ISBN 978-4-334-03398-9

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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