民事連帯契約

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民事連帯契約(みんじれんたいけいやく)とは、1999年にフランスの民法改正により認められることになった「同性または異性の成人2名による、共同生活を結ぶために締結される契約」である(フランス民法第515-1条)。

創案者は社会党所属のパトリック・ブローシュ国民議会議員

通称PACSパックス:Pacte Civil de Solidarité)。連帯市民協約市民連帯契約などと訳すこともある。

異性あるいは同性のカップルが、婚姻より規則が緩く同棲よりも法的権利などをより享受できる、新しい家族組織を国家として容認する制度。1999年にフランスで制定されて以降、欧州各国に広まりつつある。

概要[編集]

民事連帯契約(通称PACS)とは、共同生活を営むカップル内縁者)を対象とし、同性カップル、異性カップルを問わず、法的婚姻関係になるカップルと同等の権利を認め公証する制度。連帯市民協約(れんたいしみんきょうやく)、市民連帯協定(しみんれんたいきょうてい)ともいう。

当事者自身が相互の権利と義務の関係を決め契約内容にした契約書を自由に作成し、それを裁判所に提出して公証してもらう。 契約破棄(離婚に相当)は、両者の同意は不要で一方からの通告のみでよいことになっている[1]

もともとフランスでは、婚姻離婚に関する法律的な条件が日本などに比較すると厳しい(例えば、日本なら可能な協議離婚ができない。相続法の関係で、事実婚は内縁関係でなく「事業契約」と同等と見なされるため、パートナーの一方が死亡した場合、残された相手の生活に必要な財産が保護されない、など)。そこで、このような制度が要請されたと思われる。

そのため、同性愛者のカップルだけでなく、同棲はしていても何らかの理由で結婚できない・したくない異性愛のカップルが、同性カップルと同様、PACSを利用する。近年では、同性カップルよりも異性カップルのPACS締結数の方が格段に多くなっている[1]

具体的には、パートナー間の相続権や相続税の税制優遇が認められている[2]が、カップルには子の養子縁組は認められていない[1](ただし、15歳以上の年齢差を条件に、カップルの片方のみとの関係であれば養子縁組は可能[3])。相続権、養子縁組をともに認めていないとの見解も存在する[4]。ちなみに、フランスでは嫡出子非嫡出子の区別は廃止されている[1]

民法改正までの経緯[編集]

1998年リオネル・ジョスパン内閣の下で改正法をブローシュが創案し、国民議会に提出する。保守派の猛烈な抵抗に遭い、法案は一旦、国民議会で葬られるが、世論が強く反発し、それを受けてジョスパン首相が法案の成立を約束し、120時間の審議の末、1999年10月13日国民議会で採決にかけられ、可決・成立する。1999年11月15日に同法は施行された。

統計・現状[編集]

協約の締結数[編集]

初年度(1999年)は、6,151件であったが、2007年に10万件を超え、2008年には14万6千件に達した(同年の婚姻件数は27万3500件であった)[1]

初年度から2008年度までに締結された協約は約53万件であるが、そのうち8万件以上が解消された[1]

初年度は締結された協約の約4割が同性間のものであったが、最近は1割を切っている[1]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g 飯竹恒一(パリ特派員)「私たち「結婚未満」――連帯市民協約 仏で10年」『朝日新聞』2009年9月23日付朝刊、第13版、第7面。
  2. ^ 白石草「まるごと!事実婚ライフ 第30回 尊敬しあえるパートナーとして」 日経WOMAN、2009年5月24日閲覧。
  3. ^ フランスとドイツの家庭生活調査」(PDFファイル) 内閣府経済社会総合研究所編、2005年4月、8頁。
  4. ^ パクス法 【パクスほう】」 ocn辞書、2009年5月24日閲覧。

参考文献[編集]

関連項目[編集]