毒物劇物取扱責任者

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毒物劇物取扱責任者
実施国 日本の旗 日本
資格種類 国家資格
分野 化学化学工業等)
試験形式 筆記および実地
認定団体 都道府県
等級・称号 一般・農業用品目・特定品目
根拠法令 毒物及び劇物取締法
特記事項 実地試験は「実地を想定した筆記」で行われることが多い。
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毒物劇物取扱責任者(どくぶつげきぶつとりあつかいせきにんしゃ)は、日本において毒物及び劇物輸入製造販売を行い、管理・監督するのに必要な国家資格である。

法令上は「毒物劇物取扱者試験」として、「毒物劇物取扱責任者」の被選任資格審査を定めている(毒物劇物取締法第8条1項3)。

概要[編集]

毒物劇物営業者(毒物・劇物の輸入・製造・販売業者)は、これらの毒劇物を取扱う施設ごとに、毒物劇物取扱者(有資格者)の中から毒物劇物取扱責任者を1人専任・届出し、毒物又は劇物による保健衛生上の危害の防止に当たらせることが毒物及び劇物取締法で義務付けられている。このため、有資格者がいないと営業ができない。

また、これと同様に、シアン化ナトリウム・無機シアン化合物(毒物)を用いる電気めっき業・金属熱処理業、シアン化ナトリウム・砒素化合物(毒物)を用いるしろあり防除業、一定の条件の下中型車(最大積載量5トン以上)・大型車を使って(シアン化ナトリウム他、一部の指定された)毒物劇物を運搬する運送業(これらを要届出業務上取扱者と呼ぶ。下記参照)の事業所にも、有資格者から毒物劇物取扱責任者を専任・届出することが義務付けられている。

関連法は毒物及び劇物取締法昭和25年12月28日法律第303号)、主務官庁は厚生労働省である。

  • 要届出業務上取扱者が即ち業務上取扱者であると誤解されることが多いが、業務上取扱者には「要届出業務上取扱者」と「非届出業務上取扱者」があり、法22条1項に該当しない場合は「非届出」となる。業務上取扱者届出や毒物劇物取扱責任者選任の義務は「要届出」のみだが、施錠や流出防止措置義務(法11条)、「毒物」等の表示義務(法12条)、事故等の届出義務(法16条の2)などは、「要届出」「非届出」ともに適用されるため、注意を要する。

毒物劇物取扱者の中から毒物劇物取扱責任者の専任が義務付けられているのは、本稿の当初に記したとおりの者(毒物劇物営業者および要届出業務上取扱者)であり、それ以外のものが、通常、毒物・劇物を使用する分には、毒物劇物取扱者の資格を必要とはしない。例えば、食品工場で劇物に該当する過酸化水素水を使用して汚泥処理する場合は、毒物劇物取扱者がいなくても法に触れない。但し、特定毒物(毒物の中でも特に毒性が強く、使用の頻度も高いものとして指定されているもの)の使用には、都道府県知事の許可(毒物劇物取扱者の資格とは異なる)が必要である。保管に関しては、毒物及び劇物取締法に定められた方法に従った管理が必要であるが、これも毒物劇物取扱者がいなくても行うことができる。

有資格者[編集]

下記のいずれかに該当するもののうち、欠格事項に該当しない者が毒物劇物取扱責任者となる資格を有する。


 [註]いずれかの都道府県で実施される試験に合格すれば資格は日本全国で通用する。

欠格事項[編集]

  1. 18歳未満の者
  2. 心身の障害により毒物劇物取扱者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
  3. 麻薬大麻あへん又は覚せい剤中毒
  4. 毒物若しくは劇物又は薬事に関する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者

応用化学に関する学課を修了した者[編集]

  • 大学
    • 学校教育法に規定する大学又は旧大学令に基づく大学又は旧専門学校令に基づく専門学校において、応用化学に関する課程を修了した者。
      • 応用化学に関する課程とは次の学部、学科とする。
        • 薬学部
        • 理学部、理工学部又は教育学部の化学科、理学科、生物化学科等
        • 農学部、水産学部又は畜産学部の農業化学科、農芸化学科、農産化学科、園芸化学科、水産化学科、生物化学工学科、畜産科学科、食品化学科等
        • 工学部の応用化学科、工業化学科、化学工業科、合成化学科、合成化学工業科、応用電気化学科、化学有機工学科、燃料化学科、高分子化学科、染料化学工業科等
        • 化学に関する授業科目の単位数が必修科目の単位中28単位以上又は単位50%以上である学科
          • 化学に関する科目とは、次の分野に関する講義、実験及び演習とする。
            • 工業化学、無機化学、有機化学、化学工学、化学装置、化学工業、化学反応、分析化学、物理化学、電気化学、染料化学、放射化学、医科学、生化学、バイオ化学、微生物化学、農業化学、食品化学、食品応用化学、水産化学、化学工業安全、化学システム技術、環境科学、生活環境化学、生活科学、生活化学基礎、素材化学、材料化学、高分子化学、地球環境化学、工業技術基礎、課題研究等(ただし、工業技術基礎、課題研究については、応用化学に関する課程を修了したことを証する書類において、科目名に「(化学)」等の字句が明示されてあるものに限る。例:工業技術基礎(化学)、課題研究(化学))
  • 高等専門学校
    • 学校教育法に規定する高等専門学校工業化学科又はこれに代わる応用化学に関する課程を修了した者。
  • 専門課程を置く専修学校(専門学校)等
    • 学校教育法に規定する専門学校において応用化学に関する課程を修了した者のうち、30単位以上の化学に関する科目を修得した者。
  • 高等学校等
    • 学校教育法に規定する高等学校において、化学に関する科目を30単位以上修得した者。
  • 大学院等
    • 学校教育法に規定する大学の大学院において、応用化学に関する課程を修了した者。

有資格者としての証明方法[編集]

この資格にはいわゆる免許証・資格証が存在しない。有資格者であることを証明するには、薬剤師の免許証、応用化学に関する学部・学科の卒業証書又は成績証明書、化学に関する科目の単位取得証明書、毒物劇物取扱者試験に合格した場合は合格証書が有資格者としての免許証代わりとなる。
実際に毒物劇物取扱責任者になる場合は上記のいずれかの証明書を元に届け出るという形になる。

毒物劇物取扱者試験[編集]

具体的な試験日程、試験方法などは各都道府県によって異なるが、都道府県毎に年に1回実施される。詳しくは各都道府県の保健所若しくは衛生課などに問い合わせされたい。通常は各都道府県のWebページに情報が掲載されており、過去問題と正答が掲載されている場合もある。また「特定品目」の試験を実施していない県もある。
なお受験者の殆どが「一般」で受験している。

分類[編集]

  • 一般 - 全ての毒物又は劇物の取扱い、全ての業種(製造業、輸入業、販売業)の毒物劇物取扱責任者となることができる
  • 農業用品目 - 農業用の毒物又は劇物の取扱いを行う輸入業、販売業の毒物劇物取扱責任者となることができる。
多くの都道府県において講習終了後、農薬管理指導士となることができる。
  • 特定品目 - 特定品目の毒物又は劇物の取扱いを行う輸入業、販売業の毒物劇物取扱責任者となることができる。
  • 内燃機関メタノールのみの取扱に係る特定品目 - 内燃機関用メタノ-ルの取扱いを行う輸入業、販売業の毒物劇物取扱責任者となることができる。
試験の区分と毒物劇物取扱責任者の範囲(○は可能)
試験の区分 対象となる毒物劇物 業種
右記以外 農薬用品目 特定品目
一般 製造・輸入・販売
農業用品目 × ×  輸入・販売
特定品目 × × 輸入・販売

試験科目[編集]

  • 筆記
  1. 法規
  2. 基礎化学
  3. 毒物・劇物の性質
  4. 取扱い・貯蔵知識
  • 実地
  1. 取扱い方法
  2. 毒物・劇物の識別

現在、実地は実施されない都道府県が多い(実地試験は「実地を想定した筆記」で行われることが多い)。

  • 東京都の場合(平成24年度「一般」)
  1. 受験料 12,900円
  2. 試験時間2時間、問題数75問 [筆記50問、実地25問]
  3. 受験者数976人、合格者数372人(合格率38.1%)

受験資格[編集]

学歴・年齢・実務経験に関わらず、受験可能。欠格事項の該当者であっても毒物劇物取扱者試験の受験は可能だが、合格しても、欠格事項が消滅するまでは毒物劇物取扱責任者となることは出来ない。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]