歯車 (小説)
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[編集] 作品
芥川は1927年服毒自殺を図るが、生前に第一章が雑誌「大調和」に発表され、残りは遺稿として発見された。『河童』、『或阿呆の一生』、『侏儒の言葉』と並ぶ晩年の代表作で、遺稿中では唯一の純粋な小説である。執筆期間は1927年3月23日から4月7日までとされる。執筆当初は芥川は「夜」や「東京の夜」という仮題をつけていた。
[編集] あらすじ
冒頭で、「僕」と語る主人公がレエン・コオトを着た幽霊の話を耳にする。特に気にしないでいたものの、その後事あるごとにレエン・コオトが現れ、「僕」を悩ませる。後になって、このレエン・コオトは義兄・西川豊が轢死したとき身に着けていたことを知る。
「僕」は表面上はごく自然に振る舞っているが、奇妙な暗示と符合はレエン・コオトのみに留まらず、赤光、黄色いタクシー、黒と白、もぐらもち、翼、火事、復讐の神などが繰り返し現れる。やがて視界には半透明の歯車が回りだし、その数を増し、あとから激しい頭痛に襲われる。「僕」がそれらの不可解な暗示を恐れ、心理的な迷路の中でさまよい、もがき苦しむ様子が淡々とした語り口で描かれている。
この小説では心象風景を巧みに連鎖させるという手法が取られており、現実の出来事はそれを生み出すきっかけに過ぎない。映像的な心象描写や連想の鎖の中で、「僕」の疲弊した病的な神経それ自体が自律的な世界を作り上げており、それは精密機械のようなある種の美しさをたたえている。