武装中立

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

武装中立(ぶそうちゅうりつ)とは自国軍を保有しつつ、中立主義を取ること。

概要[編集]

自国を他のいかなる体制組織思想からも一線を画し距離を置くことを中立という。これは単なる日和見主義とは違うものとされる。他国、他の組織等からの圧力を排除して中立を保つために必要であるとして、相当程度の軍事力を保持する。非武装中立論よりも現実的な考え方として認識されている。

歴史的事例[編集]

代表的な例としてスイス連邦があげられる。第二次世界大戦中においても中立を維持するため、連合国枢軸国どちらにも与せず、領空侵犯してくる軍用機に対しては、陣営、目的を問わず迎撃する措置を執った[1] 。軍需産業という面では、過去にはスイス国内のシグ社が銃器の製造を手掛けていたが、永世中立を掲げる以上、他国に武器を売ればそれは武力供与という形で他国を手助けした事になる為、ドイツの子会社ザウエル&ゾーンに製造と販売を行わせる事で収益を得るという手順を取っていた。

スウェーデンも、ナポレオン戦争以後、この方針を採っていた。しかし冷戦が終了し、欧州連合に加盟した後は、事実上、中立の方針を放棄している。日本海上自衛隊そうりゅう型潜水艦に、スウェーデンのコックムス社のケロシンと酸素を燃料とするスターリング機関(4V-275R MkII)を採用した。

なおスウェーデンは、21世紀まで200年の中立を貫徹してきたと言われているが、正確ではない。ナポレオン戦争終結直前にはデンマーク=ノルウェーとの交戦があり、またクリミア戦争にも参戦の計画があったからである。スウェーデンが国策として中立を表明したのは20世紀に入ってからである。また冷戦においても、ソ連が西欧諸国に対し宣戦布告を行った場合、スウェーデンも西側に立ってソ連と開戦する密約をNATOと結んでいた事が冷戦終結後に明らかになっている。

軍事的な中立を保つために両国とも兵器の多くを自国で生産し、一時は独自の核抑止力確保を目指して核開発を行っていた(スウェーデンの原子爆弾開発を参照)ただし、両国とも核兵器の完成に至る以前に開発を放棄し、スウェーデンは核兵器廃絶の立場に転じている。

脚注[編集]

  1. ^ 同様のケースは、やはり中立の立場を取ったアイルランドでも見られ、同国の捕虜収容所には連合国側と枢軸国側の捕虜が「同居」する事となった。

関連項目[編集]