欧州保守改革グループ

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欧州保守改革グループ
欧州議会会派
名称 欧州保守改革グループ
英語略称 ECR[1]
仏語略称 CRE
連携団体 欧州保守改革同盟
結成 2009年6月22日
代表者 マーティン・キャラナン
所属議員数 52
ウェブサイト http://www.ecrgroup.eu/
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欧州保守改革グループ(おうしゅうほしゅかいかくグループ)[1]とは、反連邦主義保守系欧州議会の政治会派[2]。会派結成の時点では55名の欧州議会議員が所属しており、議院内において4番目の規模となる[3]。欧州保守改革グループは2009年6月の欧州議会議員選挙を受けて、欧州保守改革同盟が中心となって結成された会派である。

会派内において、とくに大きい政党はイギリス保守党チェコ市民民主党ポーランド法と正義である。この3党のほかに、ポーランドポーランドが最も重要、5か国の議員を1人ずつ出している政党、無所属議員2名が参加している。これらの政党の多くは旧欧州人民党・欧州民主主義グループ内のグループであった欧州民主主義グループ諸国民のヨーロッパ連合という、2つの消滅した会派から参加している。

沿革[編集]

欧州保守改革グループの起源は2005年、あるいはそれ以前にまでさかのぼる。議員の出身国の構成が1か国のみである場合、欧州議会における会派として正式に認定されない。さらに欧州議会の議院規程では、会派に所属する議員数にも下限が定められている[4]。そのため会派を結成しようとする各政党は友党を探さなければならない。

起源[編集]

2005年にイギリス保守党は党首選挙が実施された。このとき保守党の欧州議会議員は欧州人民党・欧州民主主義グループ内の小グループである欧州民主主義グループを形成していた。党首選挙の候補者のひとりであるデービッド・キャメロンは欧州人民党・欧州民主主義グループからの離脱を主張した。キャメロンと党首選を争っていたデービッド・デービスデイリー・テレグラフ紙に投書し、小グループのままでいたほうが、保守党所属の欧州議会議員が欧州人民党に対して影響力を持ちながら適度な距離を維持できると主張した。これに対して保守党所属の欧州議会議員マーティン・キャラナンはこの翌日に同紙で次のように応じている。

...David Davis (Letter, November 10) is sadly misinformed about our Conservative MEPs' relationship with the European People's Party (EPP) in the European Parliament. He claims that Conservatives are members of the European Democrat group, which forms an alliance with the EPP. In reality, though, the ED does not exist. It has no staff or money and is, in effect, a discussion group within the EPP...Far from being a symbolic step, as Mr Davis suggests, leaving the EPP is the one hard, bankable commitment to have come out of this leadership campaign...

(日本語試訳)…残念ながらデービッド・デービス議員の11月10日の投書は、われわれ保守党所属の欧州議会議員が欧州議会における欧州人民党との関係を誤解しているということを示している。デービス議員は、保守党は欧州民主主義グループに参加しており、欧州人民党と連携を構築していると主張している。ところが実際には、欧州民主主義グループという会派は存在していないのである。グループには職員や金はなく、事実上、欧州人民党の内部の議論グループに過ぎないのである。…デービス議員が示しているように、欧州人民党から離れるということは象徴的なステップでは決してなく、今回の党首選挙で出された、困難ではあるが利益のある公約である…

Martin Callanan、The Daily Telegraph of November 11, 2005

キャメロンはこの党首選挙で勝利し、2005年12月に党首に就任すると、新会派の発足に向けた行動をただちに行なうという意思を表明した。

2006年6月、キャメロンは作業の遅れに不満を感じ、影の外相ウィリアム・ヘイグに対して2006年7月13日までに新会派結成ができるように指示した[5]。ところがキャメロンが指定した期日に、新会派の結成は2009年の欧州議会議員選挙後までずれ込むということが発表された[6]

欧州改革運動[編集]

新会派の結成までの当面のあいだ、欧州規模で活動する政党連合「欧州改革運動」が結成され、欧州議会の外部で活動することとなった[7]。同日、ポーランドの法と正義市民プラットフォームの両党が新会派の将来的な参加政党と見られていた。ところが市民プラットフォームは欧州人民党から離脱しないということを表明し、また法と正義も諸国民のヨーロッパ連合にとどまるとした[8]。また翌日にはアルスター統一党党首のレグ・エンペイが、同党が2009年の選挙後に新会派に参加することを表明した[9]

チェコの市民民主党は欧州改革運動に参加していたが、同党党首のミレク・トポラーネクは欧州人民党・欧州民主主義グループにとどまることを明言しなかった[10]。2007年6月27日、トポラーネクは同党所属の各国政府首脳が集まる欧州人民党サミットに出席し、新会派の脆弱さについての見通しを示した[11]

英国放送協会は2007年に、新会派はおよそ100名の議員が参加する、欧州議会内の第3会派になるという推測を示していた。

2008年7月、欧州議会は会派を形成する要件を引き上げ、所属議員数を25名以上、所属議員の出身国の構成が7か国以上とすることに変更した。この変更により新会派が結成できるかという疑念が生じた[12]。2008年12月7日に市民民主党党首に再選されたトポラーネクは同月11日の欧州人民党サミットに出席し[13]、その場で市民民主党の新会派に対する考え方がただされた。

2009年欧州議会議員選挙[編集]

2009年の欧州議会議員選挙が近づき、キャメロン、トポラーネク、イギリス保守党所属の欧州議会議員で新会派設立の世話人となっているジオフレー・ヴァン・オーデンは、他党の新会派への参加を模索した[14]

新会派の名称が暫定的に「欧州保守グループ」とされ[15]、その後「欧州保守改革グループ」に定められた[16]。当初は84人の欧州議会議員が集まると見込まれていたが[17]、その後およそ60名となった[18]。このとき市民民主党と保守党とのあいだで対立が起きており、市民民主党は新会派にできるだけ多くの欧州議会議員を集めたいとしていた一方で、保守党はデンマーク国民党イタリア北部同盟といった外国人排斥や過激主義を掲げる政党の参加を拒もうとしていた[19]

結成[編集]

2009年6月22日、新会派参加者の正式な一覧が発表された[2]。同じ日のフィナンシャル・タイムズ紙は社説で、新会派に対する批判を掲載した。

...Mr Cameron may also claim he is acting on the principle of defending UK sovereignty. But he is, in practice, jeopardising British influence on matters of international importance; the EU is now turning its focus to climate change and financial regulation. If Britain becomes a marginal player in the EU, London will lose influence not just in Brussels, but also in Washington; the “special relationship” relies on Britain being a cog in its own continent. For the UK, irrelevance in Europe means irrelevance everywhere...
(日本語試訳)…キャメロン氏は自らがイギリスの主権を守るという原則に基づいて行動していると主張している。ところが実際には、キャメロン氏は国際的に重要な案件におけるイギリスの影響力を損なっている。つまり、欧州連合は気候変動や金融規制といった問題に商店をむけている。かりにイギリスが欧州連合においてわずかな立場しか持たなくなったら、イギリス政府は欧州連合の機関だけでなく、アメリカ政府に対しても影響力を失うことになる。「特別な関係」とは、イギリスがヨーロッパ大陸における歯車の歯であるということが前提となっている。イギリスにとって、ヨーロッパとの冷めた関係は世界中との関係を冷ますものである。…

Editorial of the Financial Times, published on June 22, 2009、FT.COM

その翌日にはデイリー・テレグラフ紙の社説で、欧州保守改革グループがヨーロッパ中の反連邦主義者たちに公民権を与えることになるという考察を示し、デービッド・キャメロンの指導力の本質を示している。

...This development is to be welcomed on several levels. First, as Mr Cameron prepares for what is likely to be a Conservative government, it is important that people can believe he means what he says. ... Second, it is a good thing that the millions who vote for non-federalist parties should have a group in the parliament to represent their interests. The existing centre-Right and centre-Left blocs both have integrationist ambitions, with all they entail - an EU army and police force, a common judicial area and a single UN seat for Europe. [The] people .. have invariably said no ... Power...needs to be repatriated, not surrendered further. The new body... will give the Tories more clout than if they had remained a small part of a much larger group.
(日本語試訳)…今回の結成はさまざまな次元で歓迎されることになるだろう。まず、キャメロン氏が保守党政権を樹立しようとしているのであるから、人びとがキャメロン氏が言おうとしていることを信じられるということが重要である。…2つめに、非連邦主義系の各政党に票を投じた数百万人が欧州議会において自らの利益を代表するために会派を持つということは望ましいことである。既存の中道右派や中道左派ブロックは統合志向を持っている。両ブロックが取り組んだ結果、欧州連合は軍隊や警察、共通の司法分野、そしてヨーロッパとして単一の国際連合における発言権を得てきた。イギリス国民はいつも 'no' と答えてきた。…イギリスが持つべき権限を欧州連合から取り戻す必要があり、これ以上明け渡すようなことがあってはならない。今回の新しい会派は…保守党がはるかに大きい会派の小さな一部としてのこっているよりもずっと大きな影響力をもたらすことだろう。

Editorial of the Telegraph, published on June 22, 2009、Telegraph.co.uk

6月24日、欧州保守改革グループは初会合を開き、イギリス保守党所属の欧州議会議員ティモシー・カークホープを暫定代表に任命した[20]。その後、正式な代表を選出する選挙を7月14日に行うこととなり、カークホープのほかにジオフレー・ヴァン・オーデンが立候補していたが[21]、欧州議会の副議長にポーランドの法と正義に所属するミハウ・カミンスキが選出されなかったことを受けて、カークホープ、ヴァン・オーデンともに立候補を取り下げ、カミンスキを代表とすることとなった[22]

結成宣言[編集]

欧州議会において混成的に結成された会派は強制解散に至った。これ以降、欧州議会の政治会派にはイデオロギー的な一体性を示すことが求められている。欧州保守改革グループでは結成宣言を発表しており、このなかで会派所属の議員に結束が期待される原則がうたわれている。この欧州保守改革グループの会派宣言は「プラハ宣言」とも呼ばれている。文書においてはいかの理念が述べられている。

  1. 自由な起業、自由で公正な貿易と競争、規制緩和、低課税、個別の自由と個人および国家の財産のための究極的な触媒としての小さな政府
  2. 個別の自由、個人のより大きな責任、より民主的な説明責任
  3. エネルギー安全保障を重視した、持続可能でクリーンなエネルギー供給
  4. 社会の基盤としての家庭の重視
  5. 国民国家の主権性の保持、欧州連合の連邦主義に対する反対、真の補完性原理の再確認
  6. 再活性化された北大西洋条約機構における大西洋横断的な安全保障関係の尊重とヨーロッパの若い民主主義国の支援
  7. 効率的な移民規制と亡命手続きの濫用の終焉
  8. 効率的かつ近代的な行政サービスと地方と都市両方の共同体のニーズに対する感度
  9. 無駄が多く過剰な官僚制度の終焉と欧州連合の機関および欧州連合の財政支出に対する透明性と適切性への関与
  10. 新旧や大小を問わず、すべての欧州連合加盟国に対する尊重と平等な対応

参加政党・議員[編集]

欧州保守改革グループの拠点は東欧各国とイギリスである。また少数ながらベネルクスバルト諸国出身の議員も参加している。南ヨーロッパからは議員が参加しておらず、影響力が弱い地域となっている。

以下の政党・議員が欧州保守改革グループに参加している[23]

国内政党 略称 所属議員数 加入日 加入前の参加会派
デデッケルのリスト LDD ベルギーの旗 ベルギー 1 2009年6月22日 -
市民民主党 ODS チェコの旗 チェコ 9 2009年6月22日 欧州人民党・欧州民主主義グループ
無所属 デンマークの旗 デンマーク 1 -
ハンガリー民主フォーラム MDF ハンガリーの旗 ハンガリー 1 2009年6月22日 欧州人民党・欧州民主主義グループ
祖国と自由のために TB/LNNK ラトビアの旗 ラトビア 1 2009年6月22日 諸国民のヨーロッパ連合
リトアニア・ポーランド人の選挙運動 LLRA リトアニアの旗 リトアニア 1 2009年6月23日 -
キリスト教同盟 CU オランダの旗 オランダ 1 2009年6月22日 独立と民主主義グループ
法と正義 PiS ポーランドの旗 ポーランド 7 2009年6月22日 諸国民のヨーロッパ連合
ポーランドが最も重要 PJN ポーランドの旗 ポーランド 3 -
無所属 ポーランドの旗 ポーランド 1 -
保守党
アルスター統一党[24]
Con
UUP
イギリスの旗 イギリス 26 2009年6月22日 欧州人民党・欧州民主主義グループ

当初はフィンランド中央党欧州自由民主改革党参加)所属の欧州議会議員ハンヌ・タックラも2009年6月22日に、中央党所属のほかの2人の欧州議会議員と行動を別にして、欧州保守改革グループに参加することを表明していたが、2日後の6月24日に参加を撤回している[25]

脚注[編集]

  1. ^ a b ECR formation: press release” (英語). Scribd (2009年6月22日). 2009年7月10日閲覧。
  2. ^ a b Conservative MEPs form new group”. BBC NEWS (2009年6月22日). 2009年7月10日閲覧。
  3. ^ Brogan, Benedict (2009年6月22日). “New Tory European group: Dave pulls it off” (英語). 2009年7月10日閲覧。
  4. ^ Rules of Procedure of the European Parliament - July 2009 - Rule 30” (英語). European Parliament. 2009年7月10日閲覧。
  5. ^ Kite, Melissa (2006年6月11日). “Cameron gives Hague month to get MEPs out of Brussels group” (英語). Telegraph. 2009年7月10日閲覧。
  6. ^ Kubosova, Lucia (2006年7月13日). “Plans to form new MEP group kicked into 2009” (英語). EUobserver. 2009年7月10日閲覧。
  7. ^ In full: Cameron Euro declaration” (英語). BBC NEWS (2006年7月13日). 2009年7月10日閲覧。
  8. ^ Mulvey, Stephen (2006年7月13日). “Q&A: The Tories and the EPP” (英語). BBC NEWS. 2009年7月10日閲覧。
  9. ^ “Could the UUP be ready to leave the European Democrats?”. The Belfast News Letter. (2006年7月14日) 
  10. ^ Prague considering referendum on revised EU constitution” (英語). EUObserver (2007年3月7日). 2009年7月10日閲覧。
  11. ^ 16 heads of State and Government, and the presidents of Council, Commission and Parliament meet at EPP Summit” (英語). European People's Party (2007年6月20日). 2009年7月10日閲覧。
  12. ^ European Parliament increases threshold to form a political group” (英語). European Parliament (2008年7月9日). 2009年7月10日閲覧。
  13. ^ EPP calls on the EU for a solution for ratification of the Lisbon Treaty” (英語). European People's Party (2008年12月11日). 2009年7月10日閲覧。
  14. ^ EU Consevatives Stand Firm behind Bulgaria's Order, Law and Justice Party” (英語). Novinite (2009年4月5日). 2009年7月10日閲覧。
  15. ^ Smyth, Jamie (2009年3月13日). “Tories to set up new parliamentary group”. The Irish Times. 2009年7月10日閲覧。
  16. ^ Charter, David. “David Cameron’s new European allies set to include odd bedfellows” (英語). Times. 2009年7月10日閲覧。
  17. ^ Taylor, Simon (2009年3月12日). “UK Consevatives to leave the EPP-ED group” (英語). EuropeanVoice.com. 2009年7月10日閲覧。
  18. ^ Banks, Martin (2009年3月25日). “UK Tories 'well on track' to forming new EU grouping” (英語). theParliament.com. 2009年7月10日閲覧。
  19. ^ Tory party upsets Czech partners with choice of anti-federalist MEPs” (英語). Times (2009年6月17日). 2009年7月10日閲覧。
  20. ^ Banks, Martin (2009年6月25日). “Tory MEP voices 'real concern' over new European grouping” (英語). Telegraph. 2009年7月10日閲覧。
  21. ^ Banks, Martin (2009年7月9日). “British Tories fight it out for leadership of new Eurosceptic group” (英語). theParliament.com. 2009年7月10日閲覧。
  22. ^ Willis, Andrew (2009年7月15日). “Pole heads new anti-federalist group” (英語). EUobserver. 2009年7月15日閲覧。
  23. ^ MEPs by Member State and political group” (英語). European Parliament. 2012年9月8日閲覧。
  24. ^ 北アイルランドで保守党とアルスター統一党は連携して選挙連合「アルスター保守と統一」を結成している。
  25. ^ Finland's Takkula to stay with ALDE” (英語). thisisFINLAND (2009年6月24日). 2009年7月10日閲覧。

外部リンク[編集]