機能的非識字
機能的非識字(きのうてきひしきじ、英語:Functional illiteracy)とは、個人が日常生活において、読み書き計算を機能的に満足に使いこなせない状態を指す。機能的文盲とも。 読み書き計算を機能的に使いこなせる状態である機能的識字、機能的リテラシー(Functional literacy)と対義語的に用いられる。 これに対して、簡単な読み書きや計算のみできる状態を識字、ごく簡単な文章の読み書きや計算もできない状態は非識字、という。
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特徴 [編集]
非識字者は、読み書きが全くできない。これとは対照的に、機能的非識字者は、母語における読み書きの基本的な識字能力は有していながら、さまざまな段階の文法的正確さや文体などが水準に及ばない。つまり、機能的非識字の成人は、印刷物に直面しても、現代社会において機能する行動ができないし、たとえば 履歴書を書く、法的な契約書を理解する、指示を書面から理解する、新聞記事を読む、交通標識を読みとる、辞書を引く、バスの運行スケジュールを理解する、などの基本的な社会行動をとることができない。
機能的非識字の場合はまた、情報技術 にかかわることが難しい。たとえばパソコンで文書作成・ウェブ閲覧したり、表計算ソフト利用ができない、携帯電話を効果的に使えない、など。
貧困・犯罪との関係 [編集]
機能的非識字者は、その能力の欠如ゆえに社会的脅威、健康リスク、ストレス、低所得、その他の危険に晒されている。
また、犯罪と機能的非識字の相関関係は犯罪学者や社会学者の間で知られている。[要出典]
該当者数/Prevalence [編集]
「ビジネス」誌によれば、アメリカでは1500万人の機能的非識字成人が21世紀の初めに職についていた。American Council of Life Insurersの報告では フォーチュン誌による全米トップ500企業の75%が自社の労働者に何らかの補習トレーニングを提供していた。 全米で、3000万人(成人の14%)が単純な日常的識字活動ができない状態である[1]。
合衆国教育省教育統計センター(National Center for Education Statistics)はより詳しいデータを提供している。ここではリテラシーは、文章リテラシー(prose literacy)、図表リテラシー(document literacy)、計算リテラシー(quantitative literacy)の、3つのパラメータに分けられ[2]、それぞれのパラメータには、基礎未満、基礎、中庸、優秀(below basic, basic, intermediate, and proficient)、の4段階がある。 たとえば、文章リテラシーの基礎未満の場合は、短い文章を見て簡単な意味を理解するレベル。 計算リテラシーの基礎未満では簡単な加算ができるレベルである。アメリカでは、成人人口の14%が文章リテラシー基礎未満、12%が図表リテラシー基礎未満、22%が計算リテラシー基礎未満だった。この3分野すべてで優秀となったのは、人口のたった13%であったーこのグループは、二つの論説の観点を比較し、血圧・年齢・身体活動に関する図表を読み取り、食品の重量あたりの単価を計算・比較することができるレベルである[3]。
2006年6月14日付のデイリー・テレグラフによれば、イギリスでは、「英国成人の6人に一人が、11歳児のリテラシー能力を欠いている」。 2006年のイギリス教育省の報告によれば、学童の47%が基礎的レベルの機能的計算力も達成することなく16歳で卒業し、42%が英語を機能的に運用する基礎力を身につけ損なっているという。つまりイギリスでは毎年、10万人の生徒が、機能的非識字の状態で学校を離れるのである。[4]
調査研究 [編集]
2001年Northeast Instituteが出版した、職場におけるリテラシーについての研究によれば、基礎的能力の不足による産業損失が1年につき数百万ドルにものぼることが分かった。これは、機能的非識字による低生産性、エラー、事故に起因する。
社会学的研究によれば、成人人口中の機能的非識字率が低い国々は教育の最終段階に近い(nearing the end of their formal academic studies)若年層における科学的リテラシーのレベルが高い傾向がある。 この呼応は、市民活動に関連する基本的な文書や図表を理解するためには機能的識字が必要であり、その機能的識字を生徒に獲得させることを保証する学校の力が、社会の市民リテラシーに寄与する要因となっていることを示唆している。[5]
脚注 [編集]
- ^ National Assessment of Adult Literacy (NAAL)
- ^ 訳語は OECD 国際成人技能調査(PIAAC)に関する報告 に依る。
- ^ National Center for Education Statistics Data Files from the 2003 National Assessment of Adult Literacy
- ^ Sounds incredible
- ^ SASE - Society for the Advancement of Socio-Economics — Civic Literacy: How Informed Citizens Make Democracy Work Henry Milner, Umeå University and Université Laval, accessed May 2006
関連項目 [編集]
- 識字 - リテラシー - 非識字 - 半識字 - 無筆
- 識字運動 - 識字教育 - 識字学級
- 異文化リテラシー
- 生涯学習 - 成人教育プログラム
- 成人基礎教育 - 成人中等教育 - 成人教育法
- 成人能力レベル(Adult Perfomance Level) - 国際成人技能調査
- 国際連合教育科学文化機関国際識字専門家委員会
関連図書 [編集]
- 赤尾勝己『生涯学習の社会学』玉川大学出版部, 1998
- ジョナサン・コゾル(著) 脇浜義明 (翻訳) 『 非識字社会アメリカ』 (世界人権問題叢書) 明石書店 1997年 ISBN 4750309184
外部リンク [編集]
- Lituraterre.org - European psychoanalytic group for research on the causes of illiteracy
- 「機能的リテラシー」の成立と展開 小 柳 正 司(1997年10月15日 受理 鹿児島大学教育学部研究紀要 教育科学編 第49巻(1998)PDF GoogleキャッシュHTML版 - ユネスコによる取組の変遷など
- 生涯学習と識字(リテラシー)大串兎紀夫(天理大学人間学部人間関係学科生涯教育専攻 研究室紀要『天理大学生涯教育研究』)
- アメリカ・数学教育における科学技術リテラシー(数学的リテラシー) (PDF) 重松敬一, 二宮裕之 GoogleキャッシュHTML版
- OECD 国際成人技能調査(PIAAC)に関する報告 GoogleキャッシュHTML版
- 「ヘルスリテラシーとヘルスプロモーション」 中山 和弘 『病院』(医学書院)67 巻 5 号 P.394-400, 2008 (PDF) - 市民リテラシーの解説あり。
- 『非識字問題への挑戦 -国際社会の取り組みとフィールドからの活性化の試み-』2002年3月発行 小林 和恵 GoogleキャッシュHTML版
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