機械仕掛けの蛇奇使い
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『機械仕掛けの蛇奇使い』(きかいじかけのじゃきつかい)は著・上遠野浩平、イラスト・緒方剛志のライトノベル。2004年4月に電撃文庫より初版発売。全1巻。上遠野浩平が作家としてデビューする前に書いた作品で、最終選考まで残ったものの結局出版されず、デビュー後に電撃文庫より出版されるにいたった。
目次 |
[編集] あらすじ
時は第七文明時代。詠韻技術の濫用により滅びた第六文明の反省から、“小規模詠韻”による文明が世界を支配していた。その世界の中心にある大帝国(ゴウク)を治めるのは、若き王・ローティフェルド。彼が、第六文明の“闘争と破壊の化身”ルルド・バイパーに深い興味を持った時、世界を揺るがす何かが動き始めた…
[編集] 登場人物
- ローティフェルド・ラウリー・ゴウク十七世
- 第七文明世界を支配する大帝国の第三十三代皇帝。しかしその実は17歳の青年であり、堅苦しい皇帝の職務に疲れきっている。別荘の地下倉庫にある第六文明時代の骨董品を愛でるのが、唯一安らぎを感じる時である。そしてその一つ、ルルド・バイパーを封じた鉄球に彼が深い興味を持った時、全てが動き始めた。優しい青年であるが、意外と頑固者である。なお、ユイ・フォリアは婚約者であるが、勝手に帝室が決めた仲である為、あまり親しくはないようだ。バイパーからは「ロウ君」と呼ばれている。
- ルルド・バイパー
- 第六文明が滅亡した原因の一つとされる、“闘争と破壊の化身”。強大な力を持っており、第六文明終末期に世界中で暴れ周り、最終的に鉄球に封印された。第七文明では、恐るべき力を持った“伝説の魔獣”として恐れられていたが、ローティフェルドが命じた実験によって復活し、以後彼を守る事となる。見た目は10代後半~20代前半。美しい銀髪を腰まで伸ばしている。快活ながらも思慮深い性格。自分の事を「俺」と呼ぶが、性別は不明。
- ユイ・フォリア
- ローティフェルドの婚約者。彼からは「ユイ姫」と呼ばれている。貧乏貴族の一人娘で、身持ちの良さから帝室に勝手に婚約者に指名された。その為、将来の夫であるローティフェルドとはぎくしゃくした関係が続いている。美しい金髪をした美人だが、感情に流されがちな所がある。
- ヴィマト・カミング博士
- 帝国詠韻研究所の筆頭博士。幽質工学の最高権威。男性。詠韻の研究に生涯を捧げており、その実力は帝国一と言われている。実験の失敗により、何回も幽質量被爆をしており、頭髪をはじめとする全ての体毛を失った他、全身の皮膚に細かいヒビ状の傷跡がついている。実験以外に興味はなく、筆頭博士になれたのも、他の候補が互いの足を引っ張り合い自滅した為。彼がバイパーの復活実験をローティフェルドに進言した。
- ペル・グラソス・アギル
- 七鬼山脈に本拠を備える、反帝国組織「獅子の血」のリーダー。男性。帝国軍が恐れる程の詠韻技術を使えるらしいが、その正体は不明。
- リムリア
- 「獅子の血」に所属する、12歳前後の少女。両親を帝国の反乱鎮圧によって殺されて後、獅子の血に属する。低レベルながら詠韻技術は使えるが、いつもは普通の少女と大して変わらない。ペルを深く信頼していて、彼を侮辱する者には怒りを露わにする。
- ジャッグヘッド
- 第四文明時代につくられた宇宙空間に於ける戦闘演習用のロボット。当時の人類が戦っていた“何者か”を似せて造られた仮想敵機。周囲6億キロメートルの空間を把握するセンサーを有する他、あらゆる物質を他次元へ飛ばす“ブラックホール”を使用できる。命令を下す主人がいないと活動出来ず、当時の主人が死んだ後は自らを封印していたが、その人物とユイ姫の精神波動が奇跡的に同じだった為、再起動する。
- シンザス将軍
- 鼻の下にヒゲをはやした壮年の帝国軍将軍。男性。バイパー復活実験に、ローティフェルドを護衛する為、参加するが…
- ウルア将軍
- 帝国辺境派遣師団を率いる女性将軍。27歳。前々皇帝の連れ子で、養女として帝室に入ったが、息苦しい帝室に馴染めず軍人としての道を選ぶ。ローティフェルドの叔母にあたるが、皇位継承権はない。
- グートヴァルザ公
- ローティフェルドの父の従兄に当たる人物。83歳と高齢だが外見は40代。顔にも皺一つ無い。ローティフェルドの事を快く思っていない。
- オーディル・ゴドル・ラウリー・ゴウク
- グートヴァルザ公の孫娘。9歳ながらも、その家柄、後見人の確かさから、事実上次の皇帝候補である。ローティフェルドとは何回か遊んだ事があり、「おにいちゃん」と慕っている。
- ゾゥズ・ディズ
- グートヴァルザ公の下で働く、一流の殺し屋。
- 少女
- ある場所で、バイパーが出会う少女。彼女の言った言葉が、バイパーにある感情を持たせた。彼女の正体は、ブギーポップシリーズに登場した水乃星透子の残滓である。死神に“殺された”後も彼女の精神は残り、世界を渡り歩いていた。
[編集] 用語
- 第七文明
- 劇中の世界に広まる文明。古の世界では、“重力制御”の第四文明が宇宙進出に挑んで失敗し、次の第五文明が“無資源社会”に長期間苦しんだ。その後、“詠韻技術”の発見により爆発的な復興が生じ第六文明が興ったものの、やがて技術を制御できなくなり自滅。その反省から、緻密なエネルギー制御技術を重要視する第七文明が約800年前に生まれたとされる。
- 詠韻文明
- あらゆる物質から「幽質量」と言われるエネルギーを引き出せる。第五文明末期に発見され、世界の爆発的な復興(第六文明)の基礎となったが、やがて制御出来なくなり、バイパー等の“魔獣”を生み出して内戦を行い、自滅した。文明崩壊期には、詠韻技術の暴走への恐怖から、民衆が詠韻技術者の迫害、鏖殺に走った。
- 大帝国(ゴウク)
- 第七文明世界を支配して来た大帝国。帝都を中心とし、四方に広大な領土を有している。第六文明末期の大混乱の中、詠韻技術者の迫害、鏖殺に走った民衆を抑え、秩序ある社会の基礎を作ったゴウクが始祖(初代皇帝)。国家の最高権力者は皇帝だが、実権を握っているのは帝王庁で、皇帝の持つ影響力は大きくないのが現状である。その為、官僚機構による汚職が激しく、帝国全体が“事なかれ主義”に陥っている。
[編集] 備考
本作の出版以前に、電撃hpにて掲載された作品。本作は上遠野の別作品である『虚無を心に蛇と唱えよ』と非常に深い関わりを持っている。両物語は非常に似た背景と設定ではあるが、幾つかの相違点が見られており、例えば本作におけるルルド・バイパーは、『虚無を~』においては立場や能力はルルドと同設定の、エウレーダという名持つ「女性」となっている。
基本的な設定や人間関係等は近しい作品だが、細かい相違点により個々の心情の流れや結末が異なっている。なお、加筆修正を加えた同一作品としてではなく、作中世界観において一つの可能性世界の分岐を示す物語として確立された。ただしこの場合は、本作側(機械仕掛け~の世界)がシミュレーターによって再現された可能性世界となっている。
[編集] 関連作品
- ブギーポップは笑わない
- ナイトウォッチ三部作
- 虚無を心に蛇と唱えよ


