機動戦闘車
| 基礎データ | |
|---|---|
| 重量 | 26 t以下 |
| 乗員数 | 4名 |
| 装甲・武装 | |
| 主武装 | 105mm砲 |
| 機動力 | |
| 速度 |
|
| データの出典 | 平成23年度日本の防衛 コラム「<解説>機動戦闘車の開発について」 |
機動戦闘車(きどうせんとうしゃ MCV = Maneuver Combat Vehicle)は、防衛省が開発中の装輪装甲車。大口径の主砲を搭載する、いわゆる装輪戦車として、2008年(平成20年)度に開発が開始され、2015年(平成27年)度での開発完了を予定している。
目次 |
開発経緯[編集]
島嶼部に対する侵略事態やゲリラ・特殊部隊による攻撃などの多様な事態に対処するため、優れた空輸性および路上機動性等の機動展開力、軽戦車を含む敵装甲戦闘車両等を撃破可能な火力を有する、機動戦闘車を開発する計画である。陸上自衛隊の戦闘部隊が装備し、普通科部隊に対する前進掩護および建物への突入支援などを担う。
現有装備である74式戦車および89式装甲戦闘車では被空輸性や路上機動性が不足するため、戦闘地域へ迅速に展開することができない。一方、87式偵察警戒車や軽装甲機動車などの装輪装甲車では軽戦車等(周辺国では中国人民解放軍の05式水陸両用突撃車や03式空挺歩兵戦闘車、ロシア連邦軍のスプルートSD 空挺戦車等)を撃破する火力や目標発見後速やかに射撃する能力が不足するため、普通科部隊への火力支援が困難である。ほかの代替手段については、アメリカ等において同様の戦闘車両を装備しているが、いずれも要求性能(小型、現有弾薬の適合性、拡張性等)を満たすものはない。また、将来装輪戦闘車両の研究成果を反映する可能性を考慮すると諸外国からの導入は非効率であることから、本装備の開発が決定された。
開発では将来装輪戦闘車両の研究試作や、10式戦車の開発技術・成果を活用するとされており、経費総額は約173億円と発表されている。
| 機動戦闘車 |
02式突撃砲 |
AMX-10RC |
機動砲システム |
チェンタウロ |
ルーイカット |
|
|---|---|---|---|---|---|---|
| 画像 | ||||||
| 全長 | 不明 | 6.63 m | 6.24 m | 6.95 m | 7.40 m | 7.1 m |
| 全幅 | 不明 | 2.86 m | 2.95 m | 2.72 m | 3.05 m | 2.9 m |
| 全高 | 不明 | 3.0 m | 2.60 m | 2.64 m | 2.73 m | 2.8 m |
| 重量 | 26 t以下 | 18 t | 17 t | 18.77 t | 26 t | 28 t |
| 最高速度 | 100 km/h以上 | 75 km/h | 85 km/h | 100 km/h | 108 km/h | 120 km/h |
| 乗員数 | 4 名 | 4 名 | 4 名 | 3 名 | 4 名 | 4 名 |
| 武装 | 105mm 砲 ×1 12.7mm重機関銃 M2 ×1 |
100mm 滑腔砲 ×1 12.7mm重機関銃 ×1 86式7.62 mm 機関銃 ×1 |
48口径 105mmライフル砲 ×1 12.7mm重機関銃 M2 ×1 7.62mm機関銃 NF1 ×1 |
M68A1E4 51口径 105 mmライフル砲 ×1 12.7mm重機関銃 M2 ×1 M240 7.62mm機関銃 ×1 |
52口径 105mmライフル砲 ×1 MG42/59 7.62mm機関銃 ×2 |
GT4 62口径 76mm 砲 ×1 もしくは GT7 105mm 砲 ×1 MG4 7.62mm機関銃(M1919A4)×2 |
概要[編集]
配備[編集]
日本においては60式自走無反動砲や第二次世界大戦前の豆戦車がそうであるように、歩兵支援にあたる直協車両は普通科(歩兵科)に属するのだが、本車は平成18年度の政策評価書では機甲科に配備されることになっていた。
しかし、平成18年度の政策評価書で「機甲科部隊に装備し」となっていた箇所は、平成19年度の政策評価書では「戦闘部隊に装備し」へと変更された。これは機甲科部隊以外の部隊が装備する可能性を示唆していると考えられる。
ただ、防衛省が公開した「我が国の防衛と予算(案)-平成20年度予算の概要」[1]という資料の中で、機動戦闘車を装備化する場合、戦車と併せて戦車数量(約600両)を超えない事を想定した開発を行うと書かれている。これは戦車の更なる削減を求めている財務省との折衝によっては、装甲車である機動戦闘車が戦車定数の内に含まれ、戦車の実数が更に減る可能性があり、その場合も考慮した開発が行なわれることであると考えられる。
国によって装輪戦車が所属する兵科はさまざまで、アメリカが歩兵、イタリアとフランスが騎兵(機甲科に相当)、中国が砲兵に配備している。祖先に当たる突撃砲と駆逐戦車も似た用途の車両でありながら配備される兵科が統一されず、兵科や任務によって名称が異なっていた。
火力[編集]
中距離域において軽戦車を含む装甲戦闘車両の撃破に使用する火器として、朝雲新聞によると105mm砲を搭載するとされている[2]。
装輪車両は戦車より大幅に軽い上、タイヤと言う軟体で接地しているため、射撃時の安定性で大きく劣る。それでも本車両の武装に105mm砲を採用したのは、74式戦車の弾薬を転用するためである[3]。平成21年度予算では機動戦闘車用に「91式105mm多目的対戦車りゅう弾(特てん弾)」が購入されており[4]、対戦車攻撃能力を持つことになる。
現代では技術の進歩によって105mm砲用APFSDSの性能は飛躍的に向上しており、ベルギーで2002年に開発されたM1060A3は侵徹力が460mmに達している。これは90式戦車で使用されているJM33の原型であるDM33に匹敵する。
射撃統制装置など砲塔システムに関わる部分については同じ三菱重工業が開発する10式戦車の開発技術・成果が応用される可能性が高いと見られる。これは、10式戦車もまた従来に比べて非常に軽い車体で射撃を安定させるという課題に挑戦していることによる。
諸外国における105mm砲を装備した8輪の装輪装甲車として、イタリア陸軍のチェンタウロ戦闘偵察車(重量26t)やアメリカ陸軍のM1128ストライカーMGS(重量18.77t)など複数存在するが、公開された二つのイラスト画像を見る限り、砲塔の外観はチェンタウロと同様の通常型の砲塔であり、M1128ストライカーMGSのように砲塔バスケット内の乗員を砲塔リングより下に配置する低姿勢砲塔(Low Profile Turret)ではない。なお、前者は対戦車自走砲(戦車駆逐車)、後者は自走歩兵砲としての運用を想定した車両であるが、将来装輪戦闘車両の構想図において記載されていた機動戦闘車と同じ位置付けの車両には「自走対戦車砲」と記述されていた。
防護力[編集]
敵徒歩兵の主な携行火器に抗堪できる防護力を保持するとされている。ちなみにコンセプト的に機動戦闘車と近似であるイタリア陸軍のB1チェンタウロの防護力は、正面が20mm機関砲程度、側面が12.7mm重機関銃の直撃に抗堪しうる程度とされている。
平成21年度予算では「84mmRR、対戦車りゅう弾(静爆試験用弾頭)」が機動戦闘車の防護試験用に調達されている。
機動力[編集]
機動戦闘車は8つのタイヤで走行し、舗装路面上を長距離にわたって高速で移動できる。その一方で、装輪車両全般に共通する問題として、路外における走行性能の低さが懸念されている。特に車輪は物理的特性として車輪半径を超える段差を乗り越えられず[5]、水田を含む泥濘や砂地などの軟弱な地盤でスタックしやすい。
路外機動性の改善については、一連の装輪戦闘車両の開発において路外を走行する際の車体動揺を抑制する技術が研究されており[6]、この振動抑制技術の導入によってある程度の見通しが立てられている。しかし、車輪の物理的特性に起因する問題は解決が難しい。
駆動方式に装輪式を採用した理由として、装軌式に比べて優れた路上機動性を有すること、前述のように一定の路外機動性を実現する見通しが立ったこと、比較的構造が簡単なことに加えて将来装輪戦闘車両の研究成果を反映できることから、開発・取得・維持費などを含むライフサイクルコストが低く抑えられることなどが挙げられる。
NHKの報道によると、機動戦闘車の重量は26t以下で最高速度は100km/h以上である。戦略機動性については、航空自衛隊のXC-2次期輸送機による空輸を考慮しているという。
脚注[編集]
- ^ 我が国の防衛と予算(案) ‐平成20年度予算の概要 (PDF)
- ^ 朝雲新聞社 ‐2008年3月の朝雲ニュース
- ^ 財務省 - 予算執行調査資料(反映状況票) - 陸上自衛隊における弾薬の処分事業
- ^ 中央調達に係わる契約情報 - 公共調達の適正化について(平成18年8月25日付財計第2017号)に基づく随意契約等に係る情報の公開(物品役務など)
- ^ 補助輪(乗り越え機構)を装備した無限軌道車の場合この問題は緩和されている
- ^ 平成14年度 政策評価書 ‐将来装輪戦闘車両 (PDF)
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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