検体検査

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検体検査(けんたいけんさ)とは人体から得られた被検査物(臨床検体)について、成分分析や微生物の有無等の検査を行うこと。

微生物学的検査、血清学的検査、血液学的検査、生化学的検査、病理学的検査等が含まれている。

  • 臨床検査の一部であるが検査を行うものの資格要件は定義されていない。検査結果に基づき医師が臨床診断等を判断する。
  • 家畜等から採取された検体(非臨床検体)についての検査を指すこともある。

解説[編集]

検体[編集]

人体から排泄され・採取されたものを検査の対象とするときこれを検体という。糞便・尿・喀痰などの排泄物、咽頭ぬぐい液、血液、組織・細胞などが被検査物となる。臨床検体ともいう。すでに患者さんから離れたこれらの検体について行われる臨床検査が検体検査と呼ばれる。微生物・寄生虫の有無判定、血液中の物質測定、血液細胞の分類等を行う。最近では遺伝子解析、質量分析などの特殊な技術も検体検査に応用されることがあるが、機器・試薬が高価なものは汎用的になっていない。

(それぞれの検査の説明については臨床検査等を参照してください)

医療機関が検体検査を外注できる理由[編集]

医療法第15条の2において業務委託(医療機関内業務の委託)について、診療等に著しい影響を与えるものについては厚生労働省で定める基準に適合するものに委託しなければならないとしている。医療法施行令第4条の7で診療等に著しい影響を与える業務として、一に「人体から排出され、又は採取された検体の微生物学的検査、血清学的検査、血液学的検査、病理学的検査、寄生虫学的検査又は生化学的検査の業務」が定められている。また医療法施行規則第9条の8に検体検査の業務を医療機関内で適正に行う者の基準がある。

検体検査の業務を医療機関以外の場所で行う場合は臨床検査技師等に関する法律で定められた登録衛生検査所に委託することができる。

  • 医療機関における検体の検査は、医療法制定前より、医療機関の外でも行われており、検査を行うための資格は必須ではなかった。昭和33年に衛生検査技師法が制定され衛生検査技師が国家資格となったが、業務独占資格とはならなかったので、昭和45年に生理学的検査を許可された臨床検査技師の制度が追加されて以来現在でも検体検査については臨床検査技師等の資格は必須ではない。また、昭和45年、臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律制定と同時に衛生検査所の任意登録制が導入された。昭和55年からは義務登録制となっており、現在は業として臨床検査を受託するすべての国内施設が登録衛生検査所である。

検体検査外注の市場原理[編集]

登録衛生検査所が受託できる臨床検査は検体検査に限られている。検査を行うものは臨床検査技師の資格は必要ではない。法律制定前から営利企業が検査所を経営していたこともあり、工業生産品と同じように市場原理が働く外注検査の仕組みが導入された。保険医療のもとで検体検査の外注では市場原理が導入されているので、いわば準市場(quasi-market)の仕組みである。2年毎に行われる診療報酬の見直しでは過去の市場実勢価格が検体検査価格に反映されることになっているものの、そのときの厚生行政や政策要素のほうが見直しに大きく反映する傾向がある。

衛生検査所の要件[編集]

衛生検査所に医療機関から外注検体検査を任せるにあたり検査精度管理の詳細が整備されている。信頼にたる精度の検査結果を医療機関に保証するため衛生検査所が行うべきことが衛生検査所指導要領に詳しく定められている。

要領には指導監督する都道府県側の事項、登録審査時の事項、立入り検査、検査所の管理者・指導監督医・精度管理責任者、検査室構造や検査設備、検査案内書・検査基準値、検体受領・搬送・受付・検体処理、機器試薬等検査・測定事項、検査・搬送・機器保守管理作業等日誌、それぞれの検査について記載した台帳類、検査精度、検査結果報告、外部精度管理など詳細が記載されている。

この規定を遵守すれば衛生検査所が営利企業の場合市場原理のもとで営業することができる。ただし、患者側からみれば、医療施設が安いところに検査を出しているからといって支払う検査料金が安くなるわけではない。

臨床検体検査受託は市場メカニズムが働く医療関連サービスに分類される。医療機関が営利を目的に臨床検体を集荷し検体検査を業とすることはできない。医師会医療機関に付属する検査所は営利性のない共同利用施設(医療施設)の場合と、営利が可能な登録衛生検査所の場合がある。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]