桃花台新交通

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桃花台新交通株式会社
Tokadai New Transit Co., Ltd.
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
485-0811
愛知県小牧市光ヶ丘六丁目43番地[1]
設立 1979年(昭和54年)12月3日
業種 陸運業
事業内容 旅客鉄道事業、工事業、賃貸事業
代表者 代表清算人 成瀬 錠一[1]
資本金 30億円[1]
売上高 2億5750万円(2006年3月期)
決算期 毎年3月
主要株主 愛知県 46%
小牧市 10%
名古屋鉄道 10%
他は#持ち株比率参照
外部リンク http://peachliner.jp:80/
特記事項:鉄道事業は2006年10月1日に廃止。現在は会社消滅。
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桃花台新交通株式会社(とうかだいしんこうつう)は、愛知県小牧市新交通システム桃花台線を運営していた、第三セクター鉄道会社である。

愛知県と小牧市、中部地方の企業である名古屋鉄道や旧東海銀行(現・三菱UFJ銀行)、中部電力東邦ガストヨタ自動車などの出資によって1979年に設立された。本社所在地は、愛知県小牧市光ヶ丘六丁目43番地。

2006年10月1日に桃花台線を廃止。同年11月17日に会社解散を決定。2007年度末に解散し、清算会社に移行し、2009年3月に特別清算が終結した[1]

概要

桃花台新交通本社と、停車中の100系電車。車両の後ろ側に見える建物(左から2番目)は、本社屋。一番右の建物は、車両の点検・修理などが行なわれていた所。

会社設立は1979年1991年3月の桃花台線開業と同時に営業開始。資本金は30億円。出資の内訳は、愛知県が13.8億円、小牧市が3億円である。加えて、愛知県より運営資金として30億円が貸し付けられた[2]

会社は2003年3月31日の決算において、61億円の繰越損失、31億円の債務超過状態となり、2006年9月には運営資金が底を付く見通しとなった[3]。更に、開業以来一度も黒字になったこともなかった。そのため、愛知県は桃花台線の存廃を含めて検討を始め、2004年に、愛知県は有識者による「桃花台線のあり方検討会」を設立する。検討会の提言により、愛知万博(愛・地球博)愛・地球博線で採用された磁気誘導式無軌条交通システム(IMTS)に切り替えることを検討したが[4]、同会の試算よりコストが高くつくことなどから、この案は頓挫してしまった[5]

また、その後の調査で、赤字解消が困難なことや桃花台ニュータウンの人口が減少する可能性などもあることから、同路線は2006年3月28日に廃止が決定する[6]

2006年9月30日限りで桃花台線の運行を取りやめ、翌10月1日に廃止。日本における新交通システムの初の廃止例となった。同年11月17日に臨時の株主総会を開き、業務などを清算会社へ移行する決議を経て会社解散を決定した[1]。最終的な累積赤字は約65億円、債務超過額は35億8452万円。また東京商工リサーチによれば資産は10億7595万円、負債総額は45億9710万円である[1]

なお2007年7月に同社は、名古屋地方裁判所特別清算を申請[1]2009年4月に清算業務が終結し、桃花台新交通は名実ともに30年の歴史に幕を閉じた。

持ち株比率

株主 株式数 比率
愛知県 2760株 46%
小牧市 600株 10%
名古屋鉄道 600株 10%
中部電力 300株 5%
三菱東京UFJ銀行 300株 5%
新生銀行 300株 5%
日本車輌製造 156株 2.6%
東邦ガス 150株 2.5%
みずほ銀行 150株 2.5%
トヨタ自動車 120株 2%
三菱重工業 84株 1.4%
新日本製鐵 60株 1%
松坂屋 60株 1%
ノリタケカンパニーリミテド 60株 1%
日本碍子 60株 1%
大同特殊鋼 60株 1%
名古屋銀行 60株 1%
愛知銀行 60株 1%
中京銀行 60株 1%

沿革

  • 1978年(昭和53年)12月6日 - 桃花台新交通の第1回発起人会開催。
  • 1979年(昭和54年)12月3日 - 会社設立。資本金7.6億円[1]
  • 1988年(昭和63年)7月 - 株主割当による資本金増額。資本金22.5億円に。
  • 1989年(平成元年)2月 - 第三者割当による資本金増額。資本金30億円に。
  • 1991年(平成3年)3月25日 - 桃花台線開業。営業開始。
  • 1997年(平成9年)4月1日 - 運賃値上げ実施。
  • 2000年(平成12年)4月 - 経営改善計画を策定(2004年(平成16年)までに、経費削減やリストラなどで総額約8億円の経費削減を実現)。愛知県と小牧市が、約10億5000万円の追加融資を決定[1]
  • 2003年(平成15年)3月27日 - 上飯田連絡線開業。運賃値下げ実施[7]。共通乗車カードトランパス」を導入。
  • 2006年(平成18年)
  • 2007年(平成19年)
    • 7月25日 - 名古屋地方裁判所へ特別清算を申請[1]
    • 9月7日 - 名古屋地方裁判所の命令により特別清算開始。
  • 2009年(平成21年)4月9日 - 特別清算終結の決定が確定。翌10日付で登記簿が閉鎖(会社消滅)される。

路線

廃止後の問題

その他

  • 桃花台線営業時には、名古屋鉄道を中心に策定された乗車カードトランパス」に加盟していた。ただし、同社独自のデザインのものはなく、名鉄が発行したSFパノラマカードをそのまま販売していた。また、経費削減から各駅1箇所しかカードが使える改札口を設けておらず、有人駅でしか積み増し等が対応できなかった。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 桃花台新交通(株)”. 東京商工リサーチ (2007年7月30日). 2007年10月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月13日閲覧。
  2. ^ 「桃花台線に30億円 愛知県 健全経営へ貸し付け」『中日新聞』、1991年1月9日、朝刊、3面。
  3. ^ 「桃花台線『06年度破綻』 愛知県報告 公的援助なければ」『中日新聞』、2004年7月27日、朝刊、1面。
  4. ^ 「桃花台線 無人バスで存続へ 愛知県検討 新技術で経費削減」『中日新聞』、2005年3月6日、朝刊、1面。
  5. ^ 「桃花台線新システム コスト増15億円 存続厳しく」『中日新聞』、2005年11月15日、朝刊、1面。
  6. ^ a b 愛知県と小牧市、桃花台線9月廃止発表」『中日新聞』、2006年3月29日。2024年2月13日閲覧。オリジナルの2006年3月30日時点におけるアーカイブ。
  7. ^ 「鉄道記録帳2003年3月」『RAIL FAN』第50巻第6号、鉄道友の会、2003年6月1日、19頁。 
  8. ^ 「桃花台線廃止が決定」『中日新聞』、2006年9月6日、朝刊、28面。

関連項目