栄光なき天才たち

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栄光なき天才たち』(えいこうなきてんさいたち)は、作:伊藤智義(一部)、画:森田信吾による日本漫画である。『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて、1986年23号から1992年24号まで連載された、単行本は、集英社の「ヤングジャンプ・コミックス」にて、第1巻から第17巻まで発行されている。

続編として『新・栄光なき天才たち』があり、さらに『週刊ヤングジャンプ』2009年48号から『栄光なき天才たち2009』(原案・新山藍朗)、同誌2010年8号から『栄光なき天才たち2010』、2011年47号から『栄光なき天才たち2011』(監修・鈴木一義/原案・矢吹明紀)が連載開始された。

概要[編集]

いわゆる偉人伝であるが、本来ならその業績を正当に評価されるべき人物・組織が、様々な理由から、

  • 現在では正当な評価をされず歴史の影に埋もれてしまった
  • 現在では評価はされているものの、当時は全く評価されなかった
  • 現在のみならず、その人物の存命中にすでに高い評価をされていたが、その当事者達を取り巻いていた厳しい状況

などを、それまでの偉人伝とは異なった手法で取り上げた。

なお、単行本のうち第1 - 4・6・8・14巻にのみ伊藤が原作を担当した作品が掲載されているため、他の第5巻・9 - 13巻・16 - 17巻は森田単独のクレジットとなっている。ただし第6巻収録のうち、平賀譲の回は伊藤が原作を担当していない。

なお、各巻の裏表紙にはタイトルの独訳「Die Genies ohne Glanz(光なき天才たち)」が書かれている。

取り上げられた人物・組織[編集]

単行本第1巻[編集]

単行本第2巻[編集]

単行本第3巻[編集]

単行本第4巻[編集]

単行本第5巻[編集]

単行本第6巻[編集]

単行本第7巻[編集]

単行本第8巻[編集]

単行本第9巻[編集]

単行本第10巻[編集]

  • 川島雄三(日本映画界の幻の巨匠。代表作『幕末太陽傳』は日本映画史上最高傑作のひとつに挙げられる)
  • 島田清次郎(戦前、『地上』を執筆し空前のベストセラー作家となるものの、文壇から存在を抹殺された小説家)

単行本第11巻、12巻[編集]

単行本第13巻[編集]

単行本第14巻[編集]

単行本第15巻[編集]

単行本第16巻[編集]

  • 名取洋之助(日本人初の世界的フォトジャーナリスト)

単行本第17巻[編集]

  • 佐藤次郎(日本テニス史上、最高と呼ばれたテニスプレイヤー。「国家代表」という重圧に苦しみ、遠征帰途中に船上から飛び込み自殺してしまう)

栄光なき天才たち2010[編集]

栄光なき天才たち2011[編集]

単行本未収録[編集]

  • 花形敬(33歳で刺殺されたヤクザ)
    • 「週刊ヤングジャンプ」1987年11号掲載。本田靖春の著書『疵 花形敬とその時代』を原案としたもの。原作者の伊藤は当初その漫画化の依頼を断ったが、編集部からの強い要望があり受けることとなった[1]。単行本未収録の理由は伊藤によれば「私の中の選択基準と隔たりがあった」[1]としているが、掲載号の発売日に組の関係者からクレームが入り、編集部が謝罪して単行本への収録を行わないことにしたとする説[2]もある。

単行本[編集]

  • 集英社ヤングジャンプコミックス 全17巻
    • 掲載内容は前掲のとおり。ほぼヤングジャンプ掲載順。
  • 集英社コミックス文庫 1 - 4巻
    • 1997年に4冊が順次刊行された。ヤングジャンプコミックス収録作の一部を抜粋して刊行したもので、掲載順も以下のとおり再構成されている。著作者のクレジットは、1・4巻が作:伊藤智義・画:森田信吾、2・3巻が森田信吾。
      • 第1巻 - 古橋廣之進、サチェル・ペイジ、人見絹枝、ドルトン・トランボ、サルバドル・サンチェス、樋口一葉、吉岡隆徳、鈴木商店、東大野球部
      • 第2巻 - 澤村栄治、川島雄三、島田清次郎
      • 第3巻 - アベベ・ビキラ、円谷幸吉、マンチェスター・ユナイテッド
      • 第4巻 - 鈴木梅太郎、北里柴三郎、山極勝三郎、野口英世、理化学研究所
  • 集英社 栄光なき天才たち2010
    • 『2009』と『2010』連載分の収録。

テレビアニメ[編集]

1990年[編集]

単行本8巻に掲載されている宇宙開発のシリーズは当時のNASDAの協力のもと、TBSで『宇宙を夢みた男たち』のタイトルでアニメ化され、1990年3月29日に放映された。

2017年[編集]

2017年3月25日からNHK BS1で『“栄光なき天才たち”からの物語』のタイトルでテレビアニメが放送された[3]

番組は約25分のアニメパートとドキュメンタリーパートからなる。

2017年3月25日に「第1回 競泳 世界に挑むトビウオたち」が放送された。同年5月28日に「第2回 陸上100m 世界の壁を打ち破れ」を放送。

キャスト[編集]

共通
第1回
第2回

出演[編集]

第1回
第2回

スタッフ[編集]

ドキュメンタリー・アニメ共通
ドキュメンタリーパート
  • 資料提供 - 共同通信社(第1回)、日本大学(第1回)
  • 撮影協力 - KITAJIMAQUATICS(第1回)
  • 撮影 - 岡本亮(第1回)、吉田耕司(第2回)
  • 音声 - 倉橋克明(第1回)、清水克彦(第2回)、水野貴浩(第2回)
  • 映像技術 - 松岡綾子(第1回)、西村隆介(第2回)
  • 音響効果 - 四元裕二(第1回)、金田智子(第2回)
  • 取材 - 宇野真由美(第1回)、黒澤分(第2回)
  • 演出 - 坂田能成(第1回)、毛利匡(第2回)
  • プロデューサー - 長澤智美(第1回)、久保田直(第2回)
  • 制作統括 - 茂木明彦(第1回)、日置一太(第2回)、内田俊一
アニメーション パート

各話リスト[編集]

話数 サブタイトル 脚本 作画監督 初回放送日
第1回 競泳 世界に挑むトビウオたち 関島眞頼 金正男、高澤美佳、林央剛
林あすか、寺井佳史
2017年
3月25日
第2回 陸上100m 世界の壁を打ち破れ 寺井佳史、和田伸一、林あすか
小川浩二、谷口 繁則、松本 美季
佐藤嵩光、中村有希子、水澤智可
5月28日

放送局[編集]

日本国内 テレビ / 放送期間および放送時間
放送期間 放送時間 放送局 対象地域 [4] 備考
2017年3月25日 土曜 20:00 - 20:50 NHK BS1 日本全国 製作局

脚注[編集]

  1. ^ a b 『栄光なき天才たち』第1巻
  2. ^ 坂茂樹『封印漫画大全』 三才ブックス、2009年、121頁。
  3. ^ 「“栄光なき天才たち”からの物語」放送決定!”. NHKアニメワールド (2017年3月3日). 2017年3月20日閲覧。
  4. ^ テレビ放送対象地域の出典:

関連項目[編集]

外部リンク[編集]