東急3000系電車 (2代)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
| 東急3000系電車 | |
|---|---|
東急3000系(多摩川、2006年9月3日)
|
|
| 編成 | 6両編成13本(78両) |
| 起動加速度 | 3.3km/h/s |
| 営業最高速度 | 東急目黒線110km/h 南北線・埼玉高速線80km/h 都営三田線75km/h |
| 設計最高速度 | 120km/h |
| 減速度 | 3.5km/h/s(常用最大) 4.5km/h/s(非常) |
| 編成定員 | 886(座席306)人 |
| 車両定員 | 先頭車141(座席48)人 中間車151(座席54または51) |
| 全長 | 先頭車20,300mm 中間車20,000mm |
| 全幅 | 2,770mm |
| 全高 | 4,065mm |
| 編成質量 | 180.5t |
| 車両質量 | 26.0~33.5t |
| 軌間 | 1,067mm |
| 電気方式 | 直流1,500V (架空電車線方式) |
| 主電動機 | かご形三相誘導電動機 TKM98・99形 190kW |
| 歯車比 | 87:14 (6.21) |
| 制御装置 | IGBT-VVVFインバータ制御 |
| 駆動装置 | TD継手式中実軸平行カルダン駆動方式 |
| 台車 | ボルスタレス台車 TS-1019・TS-1020 |
| ブレーキ方式 | 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ (HRDA-2) |
| 保安装置 | ATC・ATOおよびTASC |
| 製造メーカー | 東急車輛製造 |
|
この表について
|
|
東急3000系電車(とうきゅう3000けいでんしゃ)は1999年(平成11年)4月16日に営業運転を開始した東京急行電鉄の通勤形電車。
目次 |
[編集] 概要
「すべてにやさしく美しい車両」をコンセプトに、また2000年(平成12年)9月26日からの目黒線の帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)南北線、東京都交通局(都営地下鉄)三田線との直通運転に対応する車両として設計・製造された。
当初計画では9000系を改造して対応させる予定(ホームセンサー方式でのワンマン運転計画であったため)だったが、改造するより新造したほうがコストが安かったこと、またホームドア方式への計画変更により9000系ではワンマン運転に対応しにくくなったこと、急勾配が連続し出力不足の問題があったため新造されたのがこの系列である。
前述のコンセプトに基づき「環境にやさしい」「お客様にやさしい」「乗務員にやさしい」「検修員にやさしい」を目指し、車体・搭載機器・内装・運転台などすべてを見直し、東急の新造車両で初めて採用となる装置等が多くある。
量産先行車の第1編成 (3001F) は当初8両編成で落成し、1999年4月16日から2000年1月15日までの間に一時的に東横線をおもに急行運用(ただし早朝・深夜およびダイヤが乱れた際には各停運用も行った)で走行していた。その後も2003年7月20日の臨時列車「横浜みなと祭花火号」で同線に乗り入れた。
その後2次車として1999年の10月から2000年1月の間に3003F - 3012F(すべて6両編成)が落成したが入籍はすべて営業運転を開始する8月6日である。この間は乗務員訓練に使用したり、鷺沼留置線などに疎開留置されていた。なお、2次車増備の際に3001Fも6両に組み替え、余剰となった中間車2両は第2編成(3002F 3002,3102,3402は新製)に連結し、代わりに不足した2次車中間車1両(3401)を連結した。目黒線運行開始当初は3012Fまでの12本であったが、検査時の予備を考慮して2001年3月に3013F(3次車)が増備されている。この編成は一部機器に試験的に採用したものがある。本系列はコストが高いことから以降の増備はよりコストダウンを図った5080系の増備に移った。
第1編成は試作的な要素が多く、第2編成以降と第1編成とでは変更点がある。
- スカートの欠きを小さくした。前面ガラスのワイパーを銀色無塗装から黒メッキ品に変更
- 運行番号表示器を拡大し、急行標識灯を撤去。
- 乗務員室仕切扉の開く向きを変更(左に開く→右に開く)。
- 運転台のスイッチ類の配置を見直し
- 前面ガラスの遮光パネルをカーテン式に変更。車上ITV(車内ホーム監視モニタ)の視認性向上のため遮光フィルムを貼り付け。
- 客室はカーテンを引っ掛け式からフリーストップ式に変更。
- 車内の車いすスペースの手すりを延長、ヒーターの形状を変更(埋め込み式化)。
- 客用ドア脇の縦面(手すりの設置してある面)をFRP製から化粧板仕上げに変更。
なお、第1編成も8月6日までにスカートの形状と縦面形状以外を上記の内容に改造した。
目蒲線の目黒線と東急多摩川線の分割に伴い、2000年8月6日より目黒線で本格的に運用を開始した。
2006年現在、6両編成13本(78両)が元住吉検車区に在籍し、5080系と共通に運用されている。
2006年9月の目黒線内での急行運転開始に伴い、前面・側面の行先表示器に列車種別を表示するようになった(後述)。なお第1編成は先述の東横線急行運用時にも種別表示をしていた。
また、東急で3000系を名乗る形式はこれで2代目になるため、「新3000系」と呼ばれることもある。旧3000系と同じくデハ3200形、デハ3250形、デハ3400形が存在する。
[編集] 運行路線・区間
[編集] 仕様・特徴
[編集] 外観
20m級、片側4扉車体でビードのない軽量ステンレス鋼製車体であり、全面ダルフィニッシュ(つや消し)仕上げである。側面は窓下と幕板部に東急のコーポレートカラーの赤を基本としながら、アクセントとして濃紺と白のラインが貼られている。前頭部はFRP成形品を使用し、曲線を多用しソフトなイメージとしている。フロントガラスは側面までまわり込んだ曲面ガラスである。非常用貫通扉は運転室から見て右側にオフセット配置されており、プラグドアが採用されている。また下部にはスカートが取り付けられた。非常脱出用の梯子は大形化された。
3次車にあたる3013Fではワイパーを直線状化、床下には非常脱出用の折りたたみ式梯子を先頭車に2台設置した。これはそれまでの編成にも設置され、後の5000系以降の形式でも設置されている。
行先表示器はゴシック体のLED式で、日本語と英語を交互に表示する方式であり、英字表記は2段表示となることもある。
目黒線上り(目黒方面)運転時は終着駅名と乗り入れ先の路線名を同時に表示していた(「三田線」もしくは「南北線埼玉線」)。この表示は目黒到着時に終着駅名表示のみとしている。急行運転開始後は、路線名表示に代わって種別を表示(急行または各停)するようにした。ただし、白金高輪始発の三田線内発着・南北線内発着の場合及び他社局線内は行先のみ表示を行う。これは5080系も同様である。
冷房装置は東急の車両として初めて集中式を採用した。冷房能力は48.9kW(42,000kcal/h)であり、冬季の室内温度の立ち上がりのために温風暖房機能が付いている。装置は3001F - 3009Fが東芝製、3010F - 3012Fが日立製作所製をそれぞれ搭載している。3013Fは冷房能力向上目的として試験的に三菱電機・日立・東芝の58.0kW(50,000kcal/h)の装置を搭載した。なおその後三菱・東芝製のみの搭載に変更された。この編成での試験結果を元により能力向上させた冷房装置が5000系において採用されることとなった。
床下についても見直しがあり、大形機器のつり枠を廃止して軽量化を図っている。さらに従来は個別に設置していた機器は「共通機器箱」と呼ばれる1つの箱に集約して機器艤装の簡略化を図っている。列車無線は集約化のため、クハ3100形に列車無線装置を搭載し、送受信用アンテナも同車に2基設置する。(クハ3000形にはない)本系列は落成時より車両間に転落防止幌を設置していたが、目黒線各駅にはホームドアがあり、不要なことから2003年より順次撤去した。しかし、その後2006年に登場した5080系5183F以降は再度転落防止幌の装備がされている。
[編集] 内装
客室内はローズレッド系の暖色系色調である。化粧板は線路方向が光沢仕様の白色系、妻面は乗務員室仕切りを含め艶消しの淡いピンク色である。床材はうすい茶色であるが、編成で柄が異なり3種類ある。天井中央には冷房吹出口と一体成形されたFRP製空調ダクトがあり、補助送風機として各車6台ラインデリアが設けられている。側窓は車端部は一部を除いてすべて開閉可能、ドア間の2連窓は固定窓・下降窓のユニット式であり、車内窓枠はFRP製として遮光用に巻上げカーテンが設置されている。
客用ドアの室内側には化粧板が貼り付けられており、側扉窓室内側は段差のある金属支持である。車端部貫通路にも同様の化粧板が貼り付けられている。なお、貫通路窓は下方向に長い片開き式のもので、その支持方式は側扉とは異なる。車端部貫通路は各車上り側のみで、妻面窓は設置している。戸閉装置はベルト駆動式の空気式だが、戸閉め弱め機能を搭載している。
座席は片持ち式であり、1人分の掛け幅が450mmのロングシートである。座面はバケットシートで、色調は赤系(背)と茶系(座面)である。7人掛の座席には3+4人にスタンションポールで仕切られている。座席端の仕切りは大形の仕切り板にした。各車には優先席が設けられており、座席は青色、この付近のつり革はオレンジ色である。
車椅子スペースは2号車と5号車の編成中の2か所に設置されている。車内の非常通報器は乗務員と相互通話可能なタイプに変更しており、各車4台設置してある。乗り入れ他社も含めて乗客が押釦後、運転士が10秒間応答しない場合には列車無線に接続され、運転指令所の指令員が代わりに応答できるシステムになっている。
荷棚は金網式だが従来車より高さを20mm低い1,750mmとした。つり革は三角形のものとなり、高さは従来と同じ1,630mmを基本としているが、ユニバーサルデザインの一環として一部に100mm低い1,530mmのつり革を設けている。低いつり革は新5000系や9000系車内更新車の一部でも採用された。
客用ドア上部には東急の車両で初めて千鳥配置の2段LED式の旅客案内表示器、ドアチャイムを採用した。表示器の設置していないドア上部には広告枠と戸閉開閉予告灯が設置してある。その後、同型の表示器は8500系・9000系・1000系の一部と2000系にも取り付けられた。
車内の車号銘板・製造銘板・禁煙札・消火器札などの表記類は従来のアクリル板にリベット止めからシール式に変更している。
[編集] 乗務員室
乗務員室内は灰色の色調である。ワンマン運転設備の設置のために従来より線路方向に300mm広く、1,675mm確保されている。運転台も灰色の配色であり、従来車同様T字形ワンハンドルマスコン(デッドマン装置付)が中央にある。速度計は120km/h表示であり、ワンマン運転用にドア開閉ボタン・ATO出発ボタン・非常停止ボタンなどがある。上部には車上ITV(ホーム監視モニター)が設置されている。車掌台上にはホーム監視カメラからの映像を受信するミリ波受信機が設置されている。
計器盤右側には車両情報装置 (TIS) 表示器が収納されている。TISでは制御伝送機能・搭載機器の動作確認・行先表示の設定や空調装置・自動放送・車内表示器などのサービス機器の操作機能があり、ワンマン運転時の乗務員支援装置としての機能がある。車掌スイッチはワンマン運転用に押しボタン式としており、閉扉は1ボタン式だが、開扉は誤操作防止のため2ボタン式としている。さらに再開閉スイッチ、乗降促進ボタン、合図ブザー、非常ブレーキスイッチとユニット化を実施した。
乗務員室仕切りは前面窓と同じような窓割で仕切り窓が3枚ある。客室から見て左側の大窓と乗務員室扉窓には遮光ガラスが使用され、遮光幕も設置されている。遮光幕は大窓は下降式の遮光板、仕切窓扉は開閉可能な窓のためにカーテン式とした。ワンマン運転用に乗務員室仕切扉には電磁鎖錠が取り付けられている。
車内放送装置には従来通り自動放送装置が搭載されたが、本系列より英語放送が追加されている。
[編集] 走行機器など
電動車(M)3両、付随車(T)3両のMT比3M3Tの6両編成であるが、将来の8両編成時は4M4Tにする予定である。
制御装置にはIGBT素子使用のVVVFインバータ制御(3レベル)を採用した。車両番号末尾が奇数の編成は日立製作所製、偶数の編成は東芝製を搭載する。装置は1C2M制御でありデハ3200形に4群、デハ3400形は2群を搭載するが、後者は将来4群化用に準備工事がされている。トルク制御にはベクトル制御を採用することで精度の高い粘着性能が確保されている。
補助電源装置には同じくIGBT素子を使用した東芝製の静止形インバータ (SIV) (出力は210kVA)を採用した。空気圧縮機 (CP) は従来車と同じレシプロ式のものを編成で2台搭載している。集電装置には剛体架線対応のシングルアーム型パンタグラフを搭載している。これらは東急の新造車両では初めて採用する機器である。
主電動機はTKM-98・99形で、定格出力は190kW、回転数は1,825rpmである。駆動装置はTD継手を使用した中実軸平行カルダン方式であり、歯車比は主電動機の回転数を抑え騒音を低減するために極力小さくした87:14(6.21)としている。
ブレーキ装置はHRDA(ハイ-レスポンス-デジタル-アナログ)方式で、回生ブレーキ併用デジタル指令-アナログ変換式の全電気指令式であり、遅れ込め制御を併用している。常用ブレーキは手動操作時は7段だが、ATO運転時には15段の多段制御となる。
台車は東急車輛製造製の軸梁式軸箱支持方式のボルスタレス台車 (TS-1019・TS-1020) である。固定軸距は2,100mmとしている。基礎ブレーキは片押し式ユニットブレーキを採用している。この台車はその後の東急標準品となり、5000系以降の形式も同じタイプが使われている。 本系式では各台車単位で滑走防止装置を設置している。
保安装置はATC・ATO及びTASCを搭載する。東急目黒線内ではATCとTASCを使用しており、力行時は運転士の手動操作、駅停止時のブレーキ操作はTASCで自動停止する。また、定期検査として長津田工場入場の際に大井町線内を走行するため東急形ATSも搭載しているが、その後大井町線はATC化された。
ATC/ATO装置本体はクハ3000形に搭載し、クハ3100形にはATC増幅器を搭載、両先頭車間をTISによって伝送している。これは機器の集約化と軽量化のためである。クハ3000形には情報伝送装置を搭載[1]し、ATCの付加機能やATO・TASC装置における定位置停止のための地上子とのインタフェースに使用される。
さらに両先頭車にはホームドアと車両ドアの連動などを行うための戸閉制御切換装置を搭載している。
[編集] 編成図
- (東横線運用時)
- (←渋谷方) (桜木町方→)
- クハ3000形(1号車、Tc2)- デハ3250形(M2)- デハ3200形(M1)- サハ3500形(T) - サハ3500形(T)- デハ3250形(M2)- デハ3200形(M1)- クハ3100形(8号車、Tc1)
- (目黒線運用時)
- (←目黒方) (日吉方→)
- クハ3000形(1号車、Tc2)- デハ3250形(M2)- デハ3200形(M1)- サハ3500形(T) - デハ3400形(M) - クハ3100形(6号車、Tc2)
- M車・M1車に制御装置を搭載、M2車・T車に静止形インバータ・空気圧縮機・蓄電池を搭載する。(東横線運用時のT車は補機なし)
[編集] 脚注
- ^ 乗り入れ他社車両では「ATO送受信器」という名称を使用。
[編集] 参考文献
- 門田吉人 「東京急行電鉄3000系」『鉄道ピクトリアル』1999年6月号(通巻670号)、鉄道図書刊行会。
- 門田吉人 「東京急行電鉄3000系」『鉄道ピクトリアル』1999年10月臨時増刊号(通巻676号)特集・新車年鑑1999年版、鉄道図書刊行会。
- 東京急行電鉄株式会社車両部 「新車ガイド 東急3000系」『鉄道ファン』1999年6月号(通巻458号)、交友社。
- 門田吉人 「東京急行電鉄3000系2次車」『鉄道ピクトリアル』2000年10月臨時増刊号(通巻692号)特集・新車年鑑2000年版、鉄道図書刊行会。
- 交友社編集部 「CAR INFO 東急電鉄3000系2次車」『鉄道ファン』1999年12月号(通巻464号)、交友社。
[編集] 関連項目
|
||||||||||||||||||||||||

