東北縦貫線計画

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東北縦貫線
上野~秋葉原間にあった留置線(写真奥。2007年3月8日撮影)。工事開始後に上野寄りの線路が撤去され使用停止状態になっている。

東北縦貫線計画(とうほくじゅうかんせんけいかく)とは上野駅が事実上の起点となっている東北本線列車線東京駅まで乗り入れさせ、東海道本線との直通運転を想定した計画。2008年5月30日から工事が始まり、2013年度の完成を予定している。

目次

[編集] 概要

上野~東京間に再度線路を敷設することで上野駅を起点とする中距離電車(宇都宮線(東北本線)・高崎線常磐線常磐快速線)(以下3線))を東京駅まで乗り入れさせ、さらに東海道本線へ直通運転を行うための路線である。3線方面から東海道線東京駅・新橋駅品川駅川崎駅横浜駅大船駅方面への直通が可能となり、また山手線京浜東北線の混雑率が大幅に緩和され直通輸送体系の整備により所要時間が短縮されるなどの利点があり、利便性が大きく向上することが期待される。

  • 予定駅:東京駅 - 上野駅
    • 全線が東北本線であるので、東京駅が起点駅である。
    • 平行する電車線となる京浜東北線山手線にある神田・秋葉原・御徒町の各駅は通過する。このうち秋葉原駅への停車も検討されていたが、費用の面から通過となる予定である。

[編集] 整備による主な効果

  • 首都圏で最も混雑率の高い京浜東北線・山手線 上野~御徒町間の混雑率が230%→180%以下に緩和される[1]。なお、これは計画当初の数値で現在は他の整備効果で20052006年はすでに216%程度になっており、実際に開業した場合の数値はさらに緩和すると推測される。ただし、それでも首都圏ワースト1の混雑[2]である。
  • 直通運転により上野駅や東京駅での乗り換えが不要となり、大宮~品川間で約11分程度所要時間が短縮される。
  • 首都圏を南北に結ぶ輸送ネットワークがさらに強化され3線の各方面と東海道線湘南方面との相互交流を促進し、地域の活性化に寄与する。
  • これまで上野止まりだった3線が東京駅を経て東海道線に直通し、また東京止まりだった東海道線が上野駅を経て3線に直通することとなるため乗り換えの手間がなくなり利便性が大きく向上する。また、東京駅や上野駅での折り返し運転による時間や労力も省くことができる。

[編集] 計画に至るまでの過程

戦前から東京駅 - 上野駅間には回送列車貨物列車を走らせるための線路が存在し、戦後には1946年7月の連合軍専用列車「Yankee Limited」がはじめて東京駅-上野駅間を直通する列車として設定され、一時期は上野駅折返しだった国電常磐線が朝夕のみ有楽町駅まで乗り入れていたほか、国電常磐線の乗り入れが終わった後も東北本線常磐線高崎線の通勤列車(朝晩の各1往復程度)が上野から新橋駅まで乗り入れていた。その後、「Yankee Limited」の後を引き継いだ急行「十和田」が東京駅に乗り入れ、その後も特急「ひたち」「つばさ」「ひばり」「はつかり」「とき」「あさま準急「日光」・「中禅寺」といった列車に東京駅を発着する便が設定された。また、準急「湘南日光」や通勤時間帯に設定されていた快速「わたらせ」等は東京駅を越えて東海道本線にまで乗り入れていた。

しかし、東北新幹線工事の進捗に伴い、1973年4月限りで定期列車の東京駅乗り入れが中止され、僅かに残った荷物・回送・団体列車についても、1983年1月31日限りで直通運転が廃止され、線路用地を新幹線に転用するために秋葉原駅 - 神田駅付近で線路が分断された結果、東北本線系統の列車は東京駅に乗り入れなくなった。残った線路は、上野側は御徒町駅付近から、貨物駅の使命を終えた秋葉原駅の貨物ホーム付近までを留置線に転用したが、秋葉原駅周辺の再開発に伴い貨物ホームは撤去され、新たな留置線が建設された。一方東京側では、東海道本線の列車の折り返し線に転用される。

新幹線は1991年6月20日に東京・上野間が開業し、東北・山形1992年7月1日 - )・秋田1997年3月22日 - )・上越長野(同10月1日 - )の各新幹線が乗り入れている。

その後、山手線と京浜東北線の同区間には並行して中距離電車が運行されず、両線はラッシュ時の混雑が非常に激しくなる。埼玉県などが宇都宮・高崎線の中距離電車の東京駅乗り入れについて要望し[3]2000年運輸政策審議会答申第18号において「2015年までに開業することが適当である路線」に指定された[4]。これを受け東日本旅客鉄道(JR東日本)では2009年度末の完成を目標として東京~秋葉原駅間の東北列車線建設工事を計画、2002年3月27日に発表した。これは旧・東北列車線を撤去して建設した東北新幹線の高架のさらに上層部に新・東北列車線を直上高架で建設するものである。それによる33パーミルの急勾配に対応できない車両の置き換え問題も生じるものとされる。また、コスト面や旅客流動予測から途中駅は設置しない予定である。総事業費はJR東日本の自己負担で400億円になる[5]

[編集] 完成後の予定と見込み

[編集] 運行系統

完成後は東海道線と3線の中距離電車が東京駅を介して直通し、上野駅発着の優等列車も東京駅まで乗り入れる。なお、相模鉄道では本線いずみ野線より神奈川東部方面線を経由し新宿方面と共に当路線への乗り入れを検討している。

[編集] ラッシュ時の混雑緩和

完成後の山手線と京浜東北線の混雑率は最大時で約230%から180%以下に緩和される見込みである。

[編集] 京浜東北線・根岸線の代替路線としての役割

宇都宮線と高崎線の直通後の停車駅は大宮駅さいたま新都心駅浦和駅赤羽駅尾久駅-上野駅-東京駅-新橋駅-品川駅-川崎駅横浜駅戸塚駅大船駅、常磐線(常磐快速線)の直通後の停車駅は日暮里駅-上野駅(以下同じ)となる見込みであることから、特にこの区間の比較的長い区間を利用する場合や東京以南と上野以北とに跨って利用する乗客の乗り換えが不要になる事から、山手線や京浜東北線の代替路線としての役割が期待されている。また、相互区間を利用する際の所要時間の大幅な短縮が見込まれる。

[編集] 常磐線に関する計画

現状、常磐線方面からの直通運転に関しては、2001年の計画発表のプレスリリースによると「朝通勤時間帯については直通列車の混雑等を勘案し、宇都宮・高崎線からの乗り入れを基本」としているものの[1]、全時間帯については言及されていない。2007年8月24日付の読売新聞の千葉版によると、常磐線の当路線への乗り入れは特急のみの方針という記事が掲載されている。

線路容量の問題もさる事ながら、常磐線に使用する車両が特殊な「交直両用車両」である点も乗り入れに際する大きなネックとなっている。

常磐線(常磐快速線)沿線住民や自治体からの、常磐線(常磐快速線)の直通乗り入れを期待する声もあるが、まだ具体的な発表は何も無いのが現状である。

[編集] 各種意見

[編集] 賛成意見

東北縦貫線の早期実現を要望する看板(2007年8月29日、佐貫駅にて撮影)

宇都宮線や高崎線で上野に出て山手線や京浜東北線、さらには東京地下鉄銀座線日比谷線に乗り換えて東京方面に通勤・通学する住民が多い埼玉県ではこの計画を評価しており、計画が遅れていることから2006年11月には早期開業を求める要望書を提出している。

常磐線(常磐快速線)は自社線のみでは東京駅に直通する列車がなく(少々難はあるが、常磐線各駅停車は直通運転先の東京地下鉄千代田線であれば大手町駅二重橋前駅などが東京駅に程近い)宇都宮線や高崎線と同じルートで通勤・通学する住民が多いため、同線沿線の千葉県茨城県などの自治体(常磐線輸送力整備・新線建設促進期成同盟を参照)でも早期の開業を求めている。

[編集] 賛成自治体・団体

土浦市牛久市龍ケ崎市取手市(旧藤代町)、つくば市(旧茎崎町)、阿見町
  • 茨城県常磐線複々線化促進期成会
茨城県水戸市日立市土浦市石岡市龍ケ崎市常総市高萩市北茨城市笠間市、取手市、牛久市、つくば市、ひたちなか市守谷市かすみがうら市つくばみらい市小美玉市東海村、阿見町、利根町

[編集] 反対意見

計画発表当初から沿線住民の一部から建設反対の声が上がっている。主に台東区上野御徒町地区では「(特に工事中の)騒音がひどくなる」「家具が揺れる」などの意見がある。 さらに千代田区神田地区では住民から「国鉄時代に二層高架は行わないとの取り決めがあった」「日照権を侵害する」「大地震時に倒壊し、周辺に多大な被害が出る危険性がある」「風通しが悪くなり、周辺の気温が上昇する」などの反対があった。JR東日本との対話も行われたが、納得できなかった住民が2007年8月1日に建設の差し止めを求めて東京地方裁判所に提訴している[6]。また、神田駅周辺では、住民から二層高架では無く縦貫線を地下化する提案がある。

[編集] 計画の遅れ

前述の通り、沿線住民より反対意見があり訴訟も起こされているため、本格着工が大幅に遅れた。当初の計画の2004年度中に環境アセスメント終了という予定ですら大幅に遅れ、2009年度末の完成は絶望的となった[7]。アセスメントについては2007年9月に「満足する」、一部に「概ね満足する」とする評価書が出ている[8]

[編集] 計画の変更

2008年3月26日、JR東日本は同年5月より工事に着手し、2013年度の完成を予定していることを発表した[9]3月31日、JR東日本は「グループ経営ビジョン2020 -挑む-」と称した方針の中で計画を実行に移すことを改めて表明した。

5月30日、起工式が執り行われた。なお事業費は当初より100億円増え400億円となる見込み[10]

[編集] 脚注

  1. ^ JR東日本:プレスリリース:宇都宮・高崎・常磐線の東京駅乗り入れについて(東海道線との相互直通運転)
    建設業界ニュース東京版「JRが「東北縦貫線」で近く都アセス手続き」
  2. ^ 首都圏の鉄道混雑率、ワースト1は山手線・上野~御徒町:社会:YOMIURI ONLINE(読売新聞)
  3. ^ pref.saitama.lg.jp
  4. ^ 運輸政策審議会答申第18号
  5. ^ JR東日本プレスリリース - 宇都宮・高崎・常磐線の東京駅乗り入れについて。
  6. ^ 毎日新聞「JR東北縦貫線計画:神田駅の周辺住民、建設中止求め提訴」
  7. ^ 読売新聞「JR宇都宮・高崎線、東京駅乗り入れ計画」
  8. ^ アセスメントのページの評価書の項目の「概略のPDF」ボタンを押すことでダウンロードできる。
  9. ^ JR東日本プレスリリース 宇都宮・高崎・常磐線の東京駅乗り入れ工事の着手についてPDF
  10. ^ JR東日本:東京-上野駅結ぶ「東北縦貫線」が起工 - 毎日jp(毎日新聞)

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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