李鳳宇

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リ・ボンウ
李 鳳宇
生年月日 1960年
出生地 日本の旗 日本 京都府京都市東山区
職業 映画プロデューサー
ジャンル 映画
 
受賞
日本アカデミー賞
最優秀作品賞
2006年フラガール
ブルーリボン賞
作品賞
1993年月はどっちに出ている
2005年パッチギ!
2006年フラガール
その他の賞
日本映画プロフェッショナル大賞
作品賞

1993年月はどっちに出ている
藤本賞 奨励賞
1993年『月はどっちに出ている』
新藤兼人賞
プロデューサー賞

2005年パッチギ!
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李 鳳宇(リ・ボンウ、1960年 - )は、日本映画プロデューサー

株式会社スモモ 最高執行責任者(CEO)。株式会社シネカノンの元代表。

来歴[編集]

1960年、京都府東山区生まれ。朝鮮大学[要曖昧さ回避]卒業後、フランスソルボンヌ大学に留学。帰国後、徳間ジャパンを経て89年に配給会社シネカノン設立。

アジア・ヨーロッパの秀作を中心に配給活動を行い、93年、初製作の『月はどっちに出ている』(崔洋一監督)で第67回キネマ旬報ベストテン第1位、第3回日本映画プロフェッショナル大賞毎日映画コンクール映画大賞、ブルーリボン賞作品賞など国内外で50を越える映画賞を受賞。興行的にも大成功し、新宿ピカデリーで26週間ロングランという記録を作った。94年に韓国映画風の丘を越えてー西便制』を配給し、続く2000年には『シュリ』『JSA』『殺人の追憶』『スキャンダル』等を配給し韓国映画ブームの火付け役となる。

特に『シュリ』は韓国映画として初めて130万人を超える動員を記録して業界に衝撃を与えた。

05年には『パッチギ!』(井筒和幸監督)を製作し毎日映画コンクール日本映画大賞、キネマ旬報ベストテン第1位、ブルーリボン賞作品賞など多数受賞。続く06年には、『フラガール』(李相日監督)を製作、日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞。インディペンデントで製作・配給した映画としては史上初の受賞となる。翌年には映画文化への貢献を評価され、第16回淀川長治賞を受賞、日本アカデミー協会特別賞、第1回SARVH賞最優秀プロデューサー賞、韓国釜山映画祭アジア映画貢献賞などを受賞。

その後、震災後の東北沿岸を拠点に移動映画館MOMO(Moving out Movie oasis)を展開し、福島、宮城、岩手の各県で移動映画館を開館した。

2011年には株式会社スモモの最高執行責任者(CEO)および株式会社マンシーズエンターテイメントの代表取締役に就任。

高倉健の人生を描いたドキュメンタリー映画『健さん』をプロデュースし、第40回モントリオール世界映画祭の最優秀作品賞を受賞。14年には自らの企画、脚本で『イン・ザ・ヒーロー』(武正晴監督・東映配給)を製作。17年に『リングサイド・ストーリー』(武正晴監督)の企画・脚本・製作総指揮、19年に『あの日のオルガン』(平松恵美子監督、戸田恵梨香大原櫻子ダブル主演)の企画・製作総指揮を担当した。

映画の製作、配給の他にも、劇場の経営(シネアミューズシネカノン有楽町、ヒューマントラスト銀座、渋谷、他)や世田谷もの作り学校でスクーリングパットを開設し次世代の映画人、俳優の育成など、多方面にわたり日本の映画界を牽引してきた、日本映画界のキーパーソン。

最近では長年親交のあるポン・ジュノ監督の米アカデミー賞受賞作『パラサイトー半地下の家族』の演劇化を世界初で手掛けると発表して話題を呼んだ。映画、演劇、配信ドラマのプロデュースにも活動の領域を広げている。

主な製作・企画・脚本・配給作品[編集]

映画[編集]

タイトル 監督 役職
1993年 月はどっちに出ている 崔洋一 製作・配給
1994年 月より帰る じんのひろあき 企画・配給
風の丘を超えて〜西便制〜 林権澤 配給
苺とチョコレート トマス・グティエレス・アレア 配給
1995年 平成無責任一家 東京デラックス 崔洋一 製作・企画
1996年 ビリケン 阪本順治 製作・配給
ウオレスとグルミット ニック・パーク 配給
カップルズ エドワード・ヤン 配給
恋愛時代 エドワード・ヤン 配給
1997年 デカローグ ククシュトフ・キシェロフスキー 配給
ブラス! マーク・ハーマン 配給
フープドリームス スティーブ・ジェームス 配給
1998年 マルセイユの恋 ロベール・ゲディギャン 配給
1999年 のど自慢 井筒和幸 企画・製作・配給
ハピネス トッド・ソロンズ 配給
ビッグ・ショー! ハワイに唄えば 井筒和幸 企画・製作
セカンドチャンス 水谷俊之、富岡忠文 製作・配給
地雷を踏んだらサヨウナラ 五十嵐匠 配給
2000年 太白山脈 林権澤 配給
MONDAY SABU 製作・配給
サンピエールの生命 パトリス・ルコント 配給
グリーン・フィッシュ イ・チャンドン 配給
スプリング・イン・ホームタウン イ・グァンモ 配給
シュリ カン・ジェギュ 配給
2001年 JSA パク・チャヌク 配給
風花 相米慎二 配給
チキンラン ニック・パーク 配給
シーズンチケット マーク・ハーマン 配給
ファニーゲーム ミヒャエル・ハネケ 配給
ダンボールハウス・ガール 松浦雅子 製作・配給
光の雨 高橋伴明 配給
2002年 KT 阪本順治 企画・製作・配給
バスを待ちながら J・C・タビオ 配給
友へ〜チング クァク・キョンテク 配給協力
ブレッド・アンド・ローズ ケン・ローチ 配給
2003年 さよなら、クロ 松岡錠司 製作・配給
ゲロッパ! 井筒和幸 企画・製作・配給
殺人の追憶 ポン・ジュノ 配給
北京バイオリン チェン・カイコー 配給
パイラン ソン・ヘソン 配給
ホテル・ハイビスカス 中江裕司 配給
永遠のモータウン ポール・ジャストマン 配給
2004年 誰も知らない 是枝裕和 企画協力・製作・配給
お父さんのバックドロップ 李闘士男 製作総指揮
オアシス イ・チャンドン 配給
スキャンダル イ・ジェヨン 配給
2005年 パッチギ! 井筒和幸 企画・製作・配給
恋は五・七・五! 荻上直子 製作・配給
オオカミの誘惑 キム・テギュン 配給
復讐者に憐れみを パク・チャヌク 配給
スカーレットレター ピョン・ヒョク 配給
Dear フランキー ショーナ・オーバック 配給
マカロニウェスタン〜800発の銃弾 アレックスD・イグレシア 配給
南極日誌 イム・ピルソン 配給
マラソン チョン・ユンチョル 配給
2006年 ゆれる 西川美和 配給
転がれ!たま子 新藤風 製作・配給
青いうた〜のど自慢 青春編〜 金田敬 企画・製作・配給
フラガール 李相日 製作・配給
明日へのチケット エルマンノ・オルミ
アッバス・キアロスタミ
ケン・ローチ
配給
麦の穂をゆらす風 ケン・ローチ 配給
ジダン〜神が愛した男 ダグラス・ゴードン 配給
みえない雲 グレゴール・シュニッツラ 配給
2007年 魂萌え! 阪本順治 企画・製作・配給
キトキト! 吉田康弘 製作・配給
ミルコのひかり クリスティアーノ・ボルトーネ 配給
サディスティック・ミカ・バンド 滝本憲吾 企画・製作・配給
パッチギ! LOVE&PEACE 井筒和幸 企画・製作・配給
アフターウエディング スザンヌ・ビエール 配給
ある愛の風景 スザンヌ・ビエール 配給
2008年 歓喜の歌 松岡錠司 企画・製作・配給
歩いても 歩いても 是枝裕和 製作・配給
ラストゲーム 最後の早慶戦 神山征二郎 製作・配給
2009年 ハルフウェイ 北川悦吏子 製作・配給
真夏の夜の夢 中江裕司 製作・配給
2010年 ハナー奇跡の46日間 ムン・ヒョンソン 配給
2011年 預言者 ジャック・オディアール 配給
2012年 EDEN 武正晴 企画・脚本・製作・配給
2013年 チスル オ・ミヨル 配給
ローマに消えた男 ロベルト・アンドー 配給
2014年 イン・ザ・ヒーロー 武正晴 企画・脚本・製作総指揮
グレート・ビューティ〜追憶のローマ パオロ・ソレンティーノ 配給
2015年 セバスチャン・サルガド ヴィム・ヴェンダース 配給
グロリアの青春 セバスチャン・レリオ 配給
2016年 健さん 日比遊一 製作総指揮・配給
パコ・デ・ルシア〜灼熱のギタリスト クーロ・サンチェス 配給
2017年 リングサイド・ストーリー 武正晴 企画・脚本・製作総指揮
僕と世界の方程式 ダニー・コーエン 配給
2018年 ロープ フェルナンド・レオン・デ・アラノア 配給
2019年 あの日のオルガン 平松恵美子 企画・製作総指揮・配給

著書[編集]

  • 1994年 「月はどっちに出ている」をめぐる2、3の話(社会評論社)
  • 1998年 先に抜け、撃つのは俺だ(アスペクト社、四方田犬彦との共著)
  • 2003年 日本映画は再興できる(ウェイツ)
  • 2005年 パッチギ!対談編(朝日新聞社、四方田犬彦との共著)
  • 2007年 愛、平和、パッチギ!(講談社、井筒和幸との共著)
  • 2007年 パッチギ!的-世界は映画で変えられる(岩波書店)
  • 2015年 民族でも国家でもなく: 北朝鮮・ヘイトスピーチ・映画(平凡社、四方田犬彦との共著)

受賞歴[編集]

  • 2006年 日本アカデミー賞協会特別賞
  • 2007年 第16回淀川長治賞
  • 2007年 第1回SARVH賞最優秀プロデューサー賞
  • 2008年 釜山映画祭アジア映画貢献賞

主な教育現場と出講大学[編集]

  • 世田谷もの作り学校スクーリングパッドにて
  • 映画プロデューサーコースと俳優コースを創設、運営
  • 早稲田大学大学院国際情報通信研究科
  • 東京大学大学院情報学環
  • 京都精華大学人文学部
  • 立命館大学映像学部
  • 日本大学芸術学部映画学部、他

外部リンク[編集]