杉原爽香
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杉原 爽香(すぎはら さやか、1973年5月9日 - )は、赤川次郎の小説に登場する架空の人物、および彼女を主人公とするミステリーシリーズである。
[編集] 『杉原爽香シリーズ』概要
「登場人物が読者とともに年齢を重ねる」という世界的にも例の少ない「長期的な sequel」をコンセプトとして書かれており、1988年に15歳でデビューした杉原爽香は 2008年現在で35歳。約20年に及ぶ長期シリーズとなり、一作一作が独立した作品ではあるが、もはや sequel というよりは超長期連載の様相となってきた。物語の性質上、毎年何らかの形で爽香が事件(多くの場合は殺人事件)に巻き込まれる形となっている。文庫本の出版元は光文社。すべてのタイトルに色の名前が含まれているのも、特徴的(参考:日本の色の一覧)。
- ■ 若草色のポシェット 〈杉原爽香 15 歳の秋〉 (文庫書き下ろし)
- ■ 群青色のカンバス 〈杉原爽香 16 歳の夏〉 (初出 『小説春秋』 1989年1月号~9月号)
- ■ 亜麻色のジャケット 〈杉原爽香 17 歳の冬〉 (初出 『小説コットン』 1989年10~12月及び「コットン」1989年12月~1990年8月)
- 薄紫のウィークエンド 〈杉原爽香 18 歳の秋〉
- ■ 琥珀色のダイアリー 〈杉原爽香 19 歳の春〉
- ■ 緋色のペンダント 〈杉原爽香 20 歳の秋〉 (初出 『FYTTE』 学習研究社 1992年10月号~1993年9月号)
- ■ 象牙色のクローゼット 〈杉原爽香 21 歳の冬〉 (初出 『SCHOOL LIBRARY』 日本教育通信社 1993年9月7日号~1994年8月27日号)
- ■ 瑠璃色のステンドグラス 〈杉原爽香 22 歳の夏〉 (初出 『月刊北國アクタス』 北國新聞社 1994年8月号~1995年7月号)
- ■ 暗黒のスタートライン 〈杉原爽香 23 歳の秋〉 (初出 『小説宝石』 光文社 1996年2月号~8月号)
- ■ 小豆色のテーブル 〈杉原爽香 24 歳の春〉 (初出 『小説CLUB』 桃園書房 1997年4月号~9月号)
- ■ 銀色のキーホルダー 〈杉原爽香 25 歳の秋〉
- ■ 藤色のカクテルドレス 〈杉原爽香 26 歳の春〉
- ■ うぐいす色の旅行鞄 〈杉原爽香 27 歳の秋〉
- ■ 利休鼠のララバイ 〈杉原爽香 28 歳の冬〉
- ■ 濡羽色のマスク 〈杉原爽香 29 歳の秋〉
- ■ 茜色のプロムナード 〈杉原爽香 30 歳の春〉 (初出 『エキスパートナース』 照林社 2002年9月号~2003年8月号)
- 虹色のヴァイオリン 〈杉原爽香 31 歳の冬〉
- ■ 枯葉色のノートブック 〈杉原爽香 32 歳の秋〉 (初出 『公募ガイド』 公募ガイド社 2004年10月号~2005年9月号)
- ■ 真珠色のコーヒーカップ 〈杉原爽香 33 歳の春〉 (初出 『訪問看護と介護』 医学書院 2005年9月号~2006年8月号)
- ■ 桜色のハーフコート 〈杉原爽香 34 歳の秋〉 (初出 『訪問看護と介護』 医学書院 2006年9月号~2007年8月号)
- ■ 萌黄色のハンカチーフ 〈杉原爽香 35 歳の春〉 (初出 『訪問看護と介護』 医学書院 2007年9月号~2008年8月号)
- ■ 柿色のベビーベッド 〈杉原爽香 36 歳の秋〉 (初出 『ゆほびか』 マキノ出版 2008年11月号~)
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。
[編集] 主要登場人物
- 杉原 爽香
- 本編の主人公。中学3年の時、親しかった級友が殺される事件に遭い、第一発見者であった事から容疑もかけられる中、持ち前の行動力と観察力で事件の哀しい内実に辿り着き、解決に導く。以来、事件を通じて知り合った河村刑事や、新米教師で担任であった安西先生、親友の浜田今日子、そして事件時、転校生としてやってきたばかりだった丹羽明男と共に、様々な苦難を乗り越え成長してゆく姿が描かれている。しっかりした性格なので、本人の意志に関わらず常に他人の世話を焼いている状態。また、誤解から人に恨まれることも多く、何回か殺されかけてもいる。27歳で明男と結婚。その辺りを描いた13作目では、余分なおまけつきながらも、ちゃんと新婚旅行にも行かせてもらっている。大学卒業後、古物商手伝いから高齢者用ケア付きマンション「Pハウス」職員を経て、現在はG興産社員として「レインボー・プロジェクト」のリーダーを務める多忙の日々である。学生時代は吹奏楽部に在籍し、フルートを担当、大学でもオケで舞台を踏んでいる。21作目の「萌黄色のハンカチーフ」では、彼女についての1大イベントが起きた。
- 杉原 明男
- 旧姓:丹羽。中学3年の秋、爽香たちの中学へ転校してきた。転入直前の殺人事件の夜、現場となった中学の敷地内にいたため、爽香に警察へ突き出される。校庭の隅の暗闇の中が2人の最初の出会いである。翌週、初登校以降は、偶然も重なって爽香を助け、事件の解明を手伝う。足の速いスポーツマンで陸上の記録も持っていたが、高校では爽香と共に吹奏楽部に入り、打楽器を担当。以降、母の溺愛との狭間で揺れつつも、爽香を影に日向に助ける。共に進学した大学で、母・周子の画策によって登場した刈谷祐子の強引なアタックに押され、抱いてしまった事などもあり、爽香とは一旦別れる。しかし、中丸教授に夫人の世話を言付かるようになり、結局、祐子とも破局。交通事故等もあって情緒不安定となった中丸夫人に脅され、発作的に殺してまう。爽香の支援を得て立ち直り、河村と共に自首、刑にも服する。この一件を通じ、彼は優柔不断な甘えん坊のキャラから大きく成長する。出所後は爽香と所帯を持ち、運送会社のドライバーとして額に汗する日々である。
- 河村 布子
- 旧姓:安西。爽香たちが中学3年生の時の担任教師。爽香曰く、「私に似ている」らしい。2学期途中で辞職した前任の後を受ける形で新米教師として着任した数日後、いきなりクラスの女生徒が殺害される事件に遭遇。爽香共々事件の解決に協力し、この時の縁から4年後には河村刑事と結婚。翌年生まれた子供には、爽香の1字をとって爽子と命名するなど、爽香達とはずっと家族ぐるみの付き合いを続ける爽香のよき相談相手である。14作目では担任した不登校の生徒が自殺し、事なかれ主義の校長から詰め腹を切らされ、辞職する。15作目でどうにか私学の教師として教職に復帰するも、この間に夫の不倫を招く結果となった。
- 河村 太郎
- 警視庁の刑事。第1作目、夜の学校で爽香の級友が殺された事件の担当刑事として登場、その時から安西先生に一目惚れ。事件に振り回されながらも交際にこぎ着け、5作目でようやく婚約し結婚。爽香達の良き「お兄さん」的役割として、また、毎回爽香の巻き込まれる事件にプロとしての活躍をするが、14作目では悲惨な事件を防げなかったストレスから胃を壊し大手術を受け、結果、事務系の職場に配転される。この配転はより一層河村を苦しめ、さらに時を同じくして妻・布子が教え子の自殺で引責辞任に追い込まれた事なども重なり、ついには幼女殺害事件で知り合った元養護教諭・早川志乃との間に子をもうけ、認知するまでになる。17作目では2人の間に生まれた「あかね」が誘拐される事件が起こるが、この事件の解決を機に、志乃は河村の側を離れ郷里へと発った。なお、河村刑事の「太郎」という名前は、5作目のラストになるまで判明しなかった。
- 浜田 今日子
- 爽香の同級生にして親友。才媛の女医。第1作目の初登場時はクラス委員であり、高校では爽香とともに吹奏楽部でホルンを担当し活躍する。3作目においては誘拐されながらも九死に一生を得、4作目では、曰く付きの大学生に惚れ、結果として爽香共々薬物パーティーに参加してしまうといったスリルに満ちた高校生活を過ごしつつも、志望通りに医大へ進む。恋愛にはトコトンのめり込むタイプで、不倫も何度か経験する自由奔放な美人という設定である。物語当初ほど頻繁に登場しなくなった現在でも、毎回欠かさず爽香の力となる竹馬の友である。
- 杉原 成也
- 爽香の父。4作目で脳溢血で倒れ半身不随となるも、リハビリによって徐々に回復し、関連会社の事務職契約社員ながら、どうにか社会復帰は果たす。明男をかくまった爽香の行動に「あいつのしたことだ」と文句も言わないなど、父親らしい肝の据わった面も見せる。
- 杉原 真江
- 爽香の母。爽香の良き理解者であり、爽香の豪胆な面や細やかな気配りを形成した源といえる。夫ともども「感謝されて当然」と他人から思われてしまう、損な性格でもある。
- 杉原 充夫
- 爽香の10歳年上の兄。弱腰で妻・則子には頭が上がらない。3児の父でありながら、会社での浮気も多く、何かと爽香に面倒をかける。連帯保証人となって莫大な負債を抱え、リストラに合い、今では逆に妻が浮気する状態であるが、それでも懲りない。18作目では娘・綾香の十代での妊娠発覚と家出した所が描かれた。
- 丹羽 周子
- 明男の母。母1人子1人で生活してきた為、明男を溺愛する。ハプニングが重なったこともあり、当初は爽香の事を「息子に付いた悪い虫」として警戒、一方で友人の娘・刈谷祐子を気に入り、明男に紹介する。だが殺人事件の容疑者として追われた明男を爽香が支援する内に態度が軟化し、2人の仲を認める様になる。2人の結婚後は、あまり登場する機会がない。21作目では再婚、真っ赤なドレスを着て明男を辟易させた。
- 田端 祐子
- 旧姓:刈谷。G興産社長夫人。大学生の時、母親同士の繋がりから明男に急接近し、結果、明男は爽香と別れ、祐子と交際する。しかし、中丸教授夫人の登場で明男から離れ、中丸教授の紹介で入社したG興産で田端と出会う。田端が爽香を気に入っていることを知っており、爽香としては何かと心配のタネとなる。現在1児の母。
- 田端 将夫
- G興産社長。9作目で登場した当時は課長で、叔父が社長だった。当初から刈谷祐子と交際を始める一方、爽香にも関心を持ち、不意をついてキスした事も。11作目では社長一族の権力闘争があり、若くして社長に就任することとなる。この際の爽香の活躍が母・真保の目に止まり、「将夫を内側から支える存在となって欲しい」と言わしめる事に。以降は真保共々、爽香の社会的後見のような役割も果たしている。
- 栗崎 英子
- 大ベテランの女優。10作目で爽香が勤めた「Pハウス」に入居してきた。往年の大スターであり、物語登場時は引退していたが、息子夫婦、娘夫婦の引き起こした狂言誘拐事件とその後の日々の中で、爽香の後押しもあって再び舞台に立つ。年齢を感じさせない行動力と旺盛な好奇心の持ち主で、爽香の人生の先輩として、要所要所でよき助言をする。
- 田端 真保
- G興産社長・田端将夫の母。爽香のことが大層のお気に入りである。17作目では、爽香の紹介した今日子の勤務する病院で大腸ガンが発覚し、大手術を受けた。
- 荻原 里美
- G興産社員。15作目で薄幸な女子高生として登場。母を殺され、乳飲み子を抱え途方に暮れる状況から、爽香の紹介でG興産の自転車便として契約社員となり、のち、正採用される。ロリコン大臣に目をつけられた挙げ句、その秘書に殺されかけるが、すんでの所で爽香に救われる。18作目では、初めての大人の恋に盲目となる姿が描かれる。
- 麻生 賢一
- G興産社員。レインボープロジェクトが本格的に始動した16作目より、爽香の秘書を務める。17作目で出会ったバツイチ女性南寿美代と結婚。寿美代の連れ子・果林は才能を見いだされ、栗崎の後見もあって、子役タレントとして活躍中。
- 中川 満
- 爽香に「興味を持つ」プロの殺し屋。17作目、河村と早川志乃の間に生まれたあかねが誘拐された事件で登場。別ルートからの依頼でこの誘拐犯を射殺した。18作目にも登場。
[編集] エピソードなど
- 前述したコンセプトに基づいて長期に渡って連載が続いているため、出版社は「長編青春ミステリー」としているが、爽香が成長するにつれて「ヒューマンドラマ」としての要素が増大し続けている。
- 第1作のみ書き下ろし単行本として刊行されたが、2作目以降は月刊誌への約1年間の連載の後、新書ではなく、すぐ文庫化するという形が続いている。すべてのタイトルに色の名前が含まれているのが特徴。また、タイトルに含まれるアイテムは、作品中の事件において重要な役割を果たす。
- 作者である赤川次郎は当初、「だいたい25歳くらいまで」を目処に書き上げる構想であったようで、実際11作目の終局ではある種「大団円」が描かれていると言える。しかしながら「爽香の子供が15歳になるまで続けるべき」という声も聞かれる[誰?]ほどの人気作品となった今では、終章の行方もファンの注目事項となっている。
- 物語の中の時間の流れが現実社会と平行して進んでいるため、様々な時事的背景が盛り込まれている。例を挙げると第一作当時は黒電話からプッシュホンの時代であり、深夜の電話に対して二階の自室から居間へ降り、応接セットの間をすり抜けて電話に出る爽香の姿が描かれているが、9作目ではコードレスホンを枕元に置いて横になるシーンがあり、10作目では田端より携帯電話をプレゼントされている。当時はまだまだ高価だった携帯電話も、16作目では三宅舞の危機を救う重要なアイテムとして様々な活用法と若者の必須アイテムとして一般化したことを伺わせている。その他、教育者の買春をはじめいわゆる援助交際の、様々な形態の変化や若者の薬物パーティ、不動産投資としてのマンションの購入、長引く景気の低迷を受けての就職難や子会社整理、リストラ、高額の借金を背負う連帯保証人、民間から登用されて活躍する大臣、高級介護付き高齢者マンションや介護事業の発展、手話ブームなどその時その時の世相を反映している。
- 連載初期の数作にのみ英語の副題が付けられていた。以下の通りである。
- 若草色のポシェット → The Grass-Colored Pochette
- 群青色のカンバス → The Marine Blue Canvas
- 亜麻色のジャケット → The Flaxen-Color Jacket
- シリーズを通じての日本語の副題「杉原爽香○○歳の○」は永らくの間、表紙や内表紙、文庫のカバー等には一切記載されておらず、目次と本文の間及びカバー裏表紙の短いあらすじの冒頭にのみ書かれる文言であった。現在のように表紙やカバーの各所に目立つ様に記載されるようになったのは13作目の「うぐいす色の旅行鞄」からである。それ以降は1~12作目についても増刷の折に追加記載されるようになった。


