有用微生物群

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EMEffective Microorganisms、有用微生物群)とは、1994年琉球大学農学部教授比嘉照夫が命名した微生物資材およびその関連商品の商標である[1][2]Effective Microorganismsとは比嘉による造語である。通称 EM菌。 効果のないニセ科学であるとの批判に対し比嘉は、EMは(批判的な)科学的検証の対象ではないのでEM研究機構の同意なしに検証してはならないと言明している[3]。「EMは効くまで使え空気や水の如く使え必ず効果は表れる」が比嘉の言であり[4]EMは神様」「いいことはすべてEMのおかげ、悪いことが起きたのはEMの極め方が足りないから」と考えることを使用者に要求している[5]。比嘉はEMの効果は「マジカルとかオカルトと言われる未知の分野を支配する法則に類似した現象[6]だと主張している。物理学者の大槻義彦はこれらを『新興宗教をベースとしたEM菌詐欺まがいの集団』と呼び『インチキ』『アホ』と評した[7]

開発者による説明[編集]

1986年頃、サン興産業が同社の農業用微生物資材である『サイオン』の効果確認・使用方法の確立を琉球大学の比嘉照夫に依頼。1994年、比嘉はEM(有用微生物群)なる概念を発表した[1]

現在、EMの商標で販売を行っているのは、サン興産業、比嘉のEM研究機構、世界救世教のEM研究所、である[8]

EM研究所は、EMは乳酸菌酵母光合成細菌といった複数の微生物を、抽出、培養させた微生物資材である[9]と説明している。EM研究所のマニュアルによれば微生物土壌改良資材としての「EM・1」は有機JAS適合資材である[10]

EM研究機構の主張するところによれば、EMは朝鮮民主主義人民共和国を国家的普及モデルとして世界55カ国[11]もしくは57カ国[12]で製造が行われている。

原理[編集]

「常識的な概念では説明が困難であり、理解することは不可能な、エントロピー法則に従わない波動」である「重力波と想定される縦波」が「低レベルのエネルギーを集約」し「エネルギーの物質化を促進」する、この「魔法オカルトの法則に類似する、物質に対する反物質的な存在」である「蘇生の法則」ことシントロピー[13]現象がEMの本質的な効果であると比嘉は推定している[6]

また、EMに結界(聖なるものを守るためのバリア)を作る性質があることはEM関係者の間では広く知られていると比嘉は語る[14]

宣伝されている用途[編集]

  • 農業…土壌改良、有機農業、減・無農薬栽培[15][16]
  • 家庭…清掃、家庭排水の浄化、生ゴミの堆肥化、ペット等の臭い除去[17]
  • 畜産…糞尿の堆肥化、悪臭除去、動物の食料(エサに混ぜる)[18]
  • 水産…水質の改善やヘドロの減少、臭気の抑制、養殖水槽内の衛生環境の保全。[19]
  • 環境衛生…水質浄化、ゴミ処理、排水処理(これらの宣伝にもかかわらず、EMは水質汚染源である[20]
  • セラミックス…EMを混入させ800℃以上で焼成する[21]。製造過程の高温で滅菌され微生物は死滅するが、「EMの情報は残留している[22]EMは蘇生する[23]
  • 結界…聖なるものを守るためのバリアをつくり、カラス、ヒヨドリ、口蹄疫、鳥インフルエンザを退ける[14]
  • 放射能対策…滅亡の法則エントロピーの極限である放射性物質を、その対極にある蘇生の法則シントロピーの力を備えたEMによって消滅させる[24]
  • 交通安全[5]
  • 地震被害をなくす[5]
  • 電磁波障害の低減[5]
  • 電気代削減[5]
  • 電気製品の機能向上、寿命延長[5]
  • 雷除け[5]
  • 天災がおこらなくなる[5]
  • 健康になる[5]
  • 人間関係が改善する[5]
  • イジメがなくなる[5]
  • 動物が仲良くなる[5]
  • 生命の息吹が感じられるようになる[5]
  • 病人がいなくなる[5]
  • 体調が良くなり、頭も良くなる[5]
  • 人類の抱えるほとんどの難問をすべて解決する[5]

効果の無さ・ニセ科学性[編集]

関係団体によるもの[編集]

農業用資材としてのEMの開発に関わった、EM製造メーカーの一つであるサン興産業は、EMに効果が無いと周知されるに至った原因は、同社以外(比嘉のEM研究機構、世界救世教のEM研究所)が販売する劣悪な製品[25]の流通にあるとしている[8]。 同社はまた、証明のない効能を吹聴する比嘉の姿勢を、無責任で品位を疑うと、遠回しに批難している[26]

EM研究機構では、1996年頃からの北朝鮮を、EM技術の国家的普及モデルとしている[12]。。しかし、金正日総書記の命令で食料用トウモロコシまで投入した大々的な複合微生物の工場生産を行った北朝鮮は、実際の効果がないとして1999年までに生産を中止している。[27]

外部の評価[編集]

NPO法人EMあいち(事務所は比嘉が代表取締役を務める株式会社EM生活と同じ)[28][29]が主体となり河川にEM菌(米のとぎ汁等を含む)を投入している。[30]。 しかし福島県では2008年3月、EM菌(有用微生物群)などの微生物資材について「高濃度の有機物が含まれる微生物資材を河川や湖沼に投入すれば汚濁源となる」との見解をまとめ発表している[31]

日本土壌肥料学会の1996年の「微生物を利用した農業資材の現状と将来」と題した公開シンポジウムにおいてEMが他の資材に比べて効果が低いと報告されるなど効果を疑問視する人も多く[32]タイの試験研究機関の分析結果として、EM資材中に光合成細菌及び放線菌(Actinomycetes)の存在が確認されなかったとされている。

「科学とニセ科学」レジュメ[33]において、万能を謳うことや他の研究者の批判に対する対応に、疑似科学性が見られると批判されている。

「市民のための環境学ガイド」では「似非科学」の一つとして、EM菌が挙げられている[34]

実験的研究によれば、EM菌にはシアノバクテリアの発生を抑制する効果はない[35]

EMセラミックスについては、800℃以上で高温焼成するためEM菌が殺菌されるはずだが、EM研究機構は「焼成後にEM菌が蘇生する」と主張している[23]。800℃の環境中では耐熱性の高い細菌芽胞すら完全に死滅してしまう。

脚注[編集]

  1. ^ a b EMって何?”. 2014年4月15日閲覧。
  2. ^ EM研究機構. “EMとは?|”. 2014年1月20日閲覧。
  3. ^ 比嘉照夫 (2012年8月3日). “EM情報室 WEBマガジン エコピュア 連載 新・夢に生きる [62]”. 2014年1月21日閲覧。
  4. ^ 第78回 EMの波動作用”. 甦れ!食と健康と地球環境. 2014年1月21日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 比嘉照夫 (2013年8月9日). “EM情報室 WEBマガジン エコ・ピュア 連載 新・夢に生きる [74]”. 2014年1月25日閲覧。
  6. ^ a b 比嘉照夫 (2007年10月1日). “EM情報室 WEBマガジン エコ・ピュア 連載 新・夢に生きる(5)”. 2014年1月20日閲覧。
  7. ^ 大槻義彦 (2012年10月21日). “EM菌アホ、インチキは失礼”. webアーカイブ. 2014年1月25日閲覧。
  8. ^ a b なぜEMが効かないのか?”. 2014年4月15日閲覧。
  9. ^ EMとは EMで自然農法・土壌改良 株式会社EM研究所”. 2014年3月16日閲覧。
  10. ^ EM1使用説明書”. 2014年4月16日閲覧。
  11. ^ EMとは? EM研究機構”. 2014年3月16日閲覧。
  12. ^ a b 海外展開 EM研究機構”. 2014年4月18日閲覧。
  13. ^ 比嘉の造語である。
  14. ^ a b 比嘉照夫 (2010年10月4日). “EM情報室 WEBマガジン エコピュア 連載 新・夢に生きる [40]”. 2014年1月21日閲覧。
  15. ^ EM研究機構 農業利用”. 2014年4月16日閲覧。
  16. ^ Effect of Organic Fertilizer and Effective Microorganisms on Growth, Yield and Quality of Paddy-Rice Varieties”. 2014年4月18日閲覧。
  17. ^ EM研究所 EMWの使い方”. 2014年4月16日閲覧。
  18. ^ EM研究機構 畜産利用”. 2014年4月16日閲覧。
  19. ^ EM研究機構 水産利用”. 2014年4月16日閲覧。
  20. ^ EM研究所 EMWの使い方”. 2014年4月16日閲覧。
  21. ^ Q&A|EM研究機構|EM Research Organization”. 2014年3月16日閲覧。
  22. ^ イーエムジャパン EMセラミックスとは?”. 2014年3月16日閲覧。
  23. ^ a b EM研究機構 (2012年8月27日). “Q&A|EM研究機構|EM Research Organization:”. 2013年6月10日閲覧。
  24. ^ 比嘉照夫 (2010年10月4日). “EM情報室 WEBマガジン エコピュア 連載 新・夢に生きる [55]”. 2014年1月25日閲覧。
  25. ^ サン興産業製の『サイオンEM1号』と比較して、EM研究所製の『EM1』は200分の1、EM研究機構製の『EM1』にいたっては150万分の1の乳酸菌数である[1][2]
  26. ^ EMと放射能(除染)”. 2014年4月15日閲覧。
  27. ^ “北 複合微生物工場の大部分が稼動を中断””. 2014年4月18日閲覧。
  28. ^ NPO法人データベースNPOヒロバ. “EMあいちの組織概要”. 2013年1月18日閲覧。
  29. ^ 株式会社EM生活. “会社概要|EMのことならEM・X GOLDの総販売元(株)EM生活”. 2013年1月18日閲覧。
  30. ^ 株式会社EM生活. “「全国一斉EM団子・EM活性液投入」河川浄化イベントin名古屋”. 2013年1月18日閲覧。
  31. ^ 福島民友ニュース (2008年3月8日). “県が初の見解「EM菌投入は河川の汚濁源」”. 2008年3月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年6月8日閲覧。
  32. ^ 日本土壌肥料学会 (1996年8月23日). “1996年 微生物を利用した農業資材の現状と将来 (PDF)”. 2011年6月8日閲覧。
  33. ^ 菊池誠 (2004年7月28日). “「科学とニセ科学」レジュメ(ver.2)”. 2011年6月8日閲覧。
  34. ^ 安井至 (2004年9月19日). “マイナスイオン定点観測”. 市民のための環境学ガイド. 2011年6月8日閲覧。
  35. ^ Lurling, Miquel; Tolman, Yora and van Oosterhout, Frank (2010). “Cyanobacteria blooms cannot be controlled by Effective Microorganisms (EM®) from mud- or Bokashi-balls”. Hydrobiologia 6 (1): 133-143. doi:10.1007/s10750-010-0173-3. http://www.springerlink.com/content/ku342v2820237404/. 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

EM支持団体[編集]

外部の評価[編集]