星明子

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星 明子(ほし あきこ)は、梶原一騎原作・川崎のぼる作画の野球漫画『巨人の星』に登場する架空の人物で、主人公である星飛雄馬の姉である。

アニメ版での声優は白石冬美(TV・劇場版)、佐久間レイ(まんがビデオ版)

目次

[編集] 人物

容姿は亡き母・春江に瓜二つで、その健気な性格も母に近いと称される。常に一徹と飛雄馬を見守り、星一家を支えていた。一徹と飛雄馬の激しい特訓の為に有形無形の迷惑を被る長屋の近隣住民からは総すかんをくうが、その都度一家を代表して謝罪役を務める(飛雄馬の甲子園出場を機に近隣住民の態度は掌を返したようになり、明子の苦労は報われる)。飛雄馬の巨人入団後も一徹と共に長屋で暮らしていたが、星一徹が巨人二軍コーチ就任を断ったのを機に父・一徹との関係が悪化。彼女は長屋を出て飛雄馬のマンションで同居する様になる。引越し後、近くのガソリンスタンドでアルバイトを始める(「花形との馴れ初め」にあるように、アニメでの明子はもっと早く、飛雄馬の高校入学前からガソリンスタンドでの仕事を始めていた)。

その後、アルバイト先のガソリンスタンドで花形満のスポーツカーに給油を続ける間に花形から求愛を受け、自身も花形を愛する様になる。だが弟のライバルと付き合う事で飛雄馬に良くない影響を与えるとの思いから一時期自ら行方をくらます(しかし、このことは飛雄馬の心理的な負担となっただけではなく、花形の大リーグボール2号=消える魔球打倒のヒントになった為、明子の失踪は飛雄馬にとってはかえって迷惑ではなかったかという指摘もある)。飛雄馬が球界を去り失踪後、球界を引退し花形モーターズ重役となった花形からの求婚を遂に受け入れ花形家の嫁となる。以降は飛雄馬や花形が球界に戻るのを嫌がり、悲しみつつ、夫や弟の戦いを見守っている。

星飛雄馬の「左腕を破壊した完全試合」の際、アニメの『巨人の星』では試合途中の6~7回表から花形の傍で観戦し、7回表が終わってベンチに戻る飛雄馬を見て「少しも嬉しそうじゃない」と不思議がり、伴が一塁アウトになって飛雄馬が完全試合を達成した直後に花形や他の客とともにグラウンドに下り、一徹が飛雄馬を背負って球場を去るのを見届けた。ところが、アニメの『新・巨人の星』で飛雄馬と明子が再会した回の明子の回想では大幅に設定が変更され、明子は伴が9回表2死の代打で出たときは東京に向かう新幹線の中で、飛雄馬が完全試合を達成した瞬間は後楽園(原作では中日球場)に向かうタクシーの中であり、明子は金網ごしに「担架で運ばれる飛雄馬」を目撃、救急車には花形と一徹が乗り込む。さらに担ぎこまれた病院でのエピソードも加えられ、点滴を受けながら横たわる飛雄馬を見て明子は一徹を責め、花形がそれを宥めるシーンも描かれている。

[編集] 強さと自立精神

「耐える女」「いつも泣きながら木の陰で弟を見守る」といったイメージの強い彼女ではあるが、様々な要所では毅然とした態度や叱咤激励する場面も見せており、彼女にも星一徹の遺伝子が脈々と息づいていることを如実に示している。主な点は下記の通り。

  • 飛雄馬の住むマンションへ引っ越した後、大リーグボールをオズマに打たれて抜け殻同然になっていた飛雄馬を平手で殴り、再起を促し、上記のように飛雄馬のもとから去るなど、父、一徹と同様、飛雄馬や伴たちを戦わせる方向に動いていると思わしき行動を見せる。
  • 失踪時、当時中日移籍をすべきかどうかで苦悩する伴へ将来を慮っての中日移籍を叱咤しつつアドバイス。

飛雄馬のマンションから去った後は、飛雄馬がテレビから戻るよう呼びかけても明子はもどらず、後に逆に飛雄馬が行方不明になると、明子はなかなか自分のところに戻ってこない弟を嘆き悲しむようになっており、結構、身勝手であるといえなくも無い。

[編集] 明子の「二重人格」

明子の行動は、父と弟とライバルたちの戦いを終わらせたいようでもあり、一方で飛雄馬や伴が勝負に徹するようにわざと突き放したりして、矛盾した二重人格的なものになっている。これは原作者が「男たちの戦いに翻弄され、安らぎを求める女性」と「男たちの戦いを応援し、叱咤激励する女性」という対照的な役回りを星明子一人に負わせたことが原因であろう。

後に「あしたのジョー」に登場した白木葉子は最後の試合の前に矢吹丈を引きとめようとするが、無駄だと知るとむしろリングサイドから矢吹に立って戦うよう声援を送っている。このあたりは梶原一騎の描く人間の二面性かもしれない。

一徹は「春江は自分の飛雄馬への仕打ちを許さないだろう」と考えていたが、戦争から帰ってやる気を失っていた一徹に野球を再びさせたのも春江である。

明子は伴に中日に移籍して飛雄馬と戦うよう促し(つまり、飛雄馬の姉としてでなく、星一徹のむすめ、星中日コーチの代理として行動し)、そうなると飛雄馬にてがみを送って「精神を鍛えるのは心の悲しみである」という言葉を送る。しかし消える魔球が打たれても明子は飛雄馬の前に現れなかった。お互い孤独に耐えるべきだというメッセージのようだった。

伴の移籍の前後、明子は伴を「大きな坊や」と呼び、一徹は伴を「とっちゃん小僧」と呼び、アニメでは悩む伴の周りでこの親子の台詞が繰り返された。明子も結局、「一徹のむすめ」であることがはっきりしている。

アニメで明子は飛雄馬の最後の登板を客席で見守り、「飛雄馬が完全試合を達成すれば、父・一徹も負けを認め、野球をやめて3人で暮らせるだろう」という夢を花形に語っている。しかし、結婚後、飛雄馬は失踪し、一徹はアパート暮らしで、花形満の誕生日のパーティーで久々に3人集まった以外、親子3人の生活は復活しなかった。飛雄馬失踪前の明子の独立主義を飛雄馬と一徹が尊重しただけである。

『巨人の星【特別編】猛虎 花形満』最終回で描かれた花形との結婚式では、飛雄馬が花形と明子の前に現れているが、結婚後、原作とアニメの『新・巨人の星』の初めの場面で飛雄馬と再会した明子は、弟に向かって「結婚式でも祝電よこしたきりで、どこに行ってたの?」と愚痴を言っている。

[編集] 花形との馴れ初め

明子と花形が初めて出逢った場所は明子のアルバイト先のガソリンスタンドであった。(ここで明子がガソリン代を受け取る場面は描かれていない。) 時期は大リーグボール1号がオズマに打たれた後。花形は飛雄馬と出逢ったブラック・シャドーズ時代から高校を経てプロ入り後約1年までは明子と面識がなかった。ところが、明子は後に花形に対し、「飛雄馬の前に現れたブラック・シャドーズ時代の花形さんを覚えている」と語っている。星一家が全員、長屋に住んでいた頃から、飛雄馬と一徹は特訓をしながらライバル・花形の名を度々口にしており、明子自身もテレビで飛雄馬と対戦する花形を何度も見ているので、昔から知っているような気になったのだろう。

また、アニメ版になると、飛雄馬が青雲高校に入る直前の中学3年生だった当時、早くも明子はガソリンスタンドでアルバイトをしていて花形とも顔見知りになっており、花形家に飛雄馬の高校進学の為の学費を借りる約束までしている。更に『巨人の星【特別編】猛虎 花形満』では、花形がプロ入り後、鉄球・鉄バット特訓で大リーグボール1号を打倒し、自ら傷ついて入院した時は、明子が一人で東京(墨田区?)の長屋から夜行列車で神戸港北大学附属病院に見舞いに駆けつけ、手術室の前で待ち、花形の乗る車椅子を押してあげるようなロマンスまで描かれている。花形への他の見舞い客は描かれていない。当時、明子は一徹の保護下に置かれていたのに、これほど自由な交際ができたらしい。しかし、後に飛雄馬が明子をクリスマスパーティーに誘った時は、一徹は出席を許さず、明子も行けなかった。

ただし、すでに記したとおり、『新・巨人の星』で花形満の誕生日パーティーが開かれた時は、満・明子夫妻の家に飛雄馬、一徹、左門たちも訪れ、珍しく全員集合で和気藹々となり、飛雄馬がかつて目指した「人間らしい文化生活」がやっと実現した形となった。しかし、野球以外での出逢いが飛雄馬のスランプを呼ぶ結果になるのは、以前と同じ。

[編集] 明子の「一張羅」傾向

原作『巨人の星』では、明子は家が貧乏のせいか初登場から最終回まで着ている洋服のデザインがほとんど変わっていない。これは『サルでも描けるまんが教室』で指摘されている。1968年新春、飛雄馬が巨人軍宿舎から一日だけ長屋に帰った時、初詣から帰ってきた一徹・明子と再会するが、その時の明子の衣装もいつもと少しデザインが違うだけでやはり似たような洋服姿である。なお、新巨人の星で出てくる一作目の回想シーンでは、明子のワンピースは赤から紫色に変わっている。同じく前述の、伴を中日に行くよう促すシーンでも一作目は赤のコートを着ていたが、新巨人の星での回想シーンでは紫のワンピースに。明子の育った時代と家計から見て七五三でも和服を着られなかった可能性がある。ただし、アニメ版で花形の家に招かれた時、真新しい服を注文しているシーンがある。明子失踪後に飛雄馬の元にその真新しい黄色のワンピースが届けられ、「姉ちゃんはこれほどまでに花形の家に行くのを楽しみにしていたのに俺のせいで」と飛雄馬のショックに追い討ちをかけることになる、

『巨人の星【特別編】猛虎 花形満』で描かれた教会での結婚式では、明子は洋風のウェディングドレス姿。『新・巨人の星』冒頭に出てきた披露宴らしい回想場面では、新婦・明子は和風の花嫁衣装。花形モータース(『新・~』では「花形コンツェルン」)の財力なら両方あって当然であろう(無論、父「一徹」が一人娘の嫁入りに中日時代の稼ぎを全てつぎ込んだ事も想像に難くないだろう)。

なお、伴が飛雄馬に借りを返せと言った話がある。もう一度立ち上がる事により花形が飛雄馬に没頭し、明子から花形を忘れさせるとの事。伴は花形が明子と結婚したら、自分はおかしくなってしまうと言いながら、勝手に花形と明子のウェディングシーンを想像している。この時の明子のウェディングドレスは洋風だが、やはりワンピースである。ちなみに花形は黒のモーニング姿。

結婚後の明子は独身時代の反動のためか和風の着物が普段着になるが、服のデザインが偏るのは相変わらずで、夫と弟の激闘を夢に見てうなされた時の寝間着姿以外は、家の中でも外でも余り変わらない和服を着ていた。 しかし、その寝間着姿はフリフリのレースのネグリジェでかなり色っぽく、意外に豊満な明子のボディを際立たせていた。