日本自動車技術会規格

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日本自動車技術会規格とは、社団法人自動車技術会(JSAE)が制定する四輪自動車二輪自動車部品の工業規格である。英語ではJapanese Automotive Standards Organizationと表記し、頭文字を取ってJASO(ジャソ)と呼ばれる。

一般的にはJASO規格というと、アメリカSAE規格と同様にエンジンオイルの規格を示すことが多い。日本は世界的に見ても自動二輪車の生産のシェアが大きいため、二輪向けエンジンオイル規格が世界的に先行して制定された。

JASOエンジンオイル評議会は(社)日本自動車工業会、(社)日本自動車技術会、(社)日本陸用内燃機関協会、(社)潤滑油協会と添加剤会社により設立され、(社)日本自動車技術会が制定した規格の普及を目的として活動している。

目次

2ストロークオイル M 345 [編集]

JASOの2ストロークオイル規格は1994年に制定された。現在までにFAからFDまで4段階存在し、JASO M345試験認証を経て所定の性能を満たしたオイルのみが規格を明記することが許されている。2004年の改訂ではFA規格が廃止され、新たにFD規格が制定された。

FA
2サイクルエンジンにとって最低限の性能を有する(備考:現在では規格廃止され、この規格のオイルは市場に存在しない。)
FB
FAに比べて特に潤滑性、清浄性に優れる(備考:比較的廉価なオイルに多い)
FC
FBに比べてさらに排気煙、排気系閉塞性に優れるスモークレスタイプ(備考:純正オイルはこの規格を満たした物が多い)
FD
FC規格の清浄性をさらにアップして、より環境に配慮したオイル(備考:ヤマハ発動機製オイルはこの規格を満たしている他、二硫化モリブデンを添加し摩擦係数を下げる工夫も成されている)

オートバイ用4ストロークオイル T903 [編集]

JASOのオートバイ用オイル規格はエンジンオイルにおけるAPI規格が省燃費方向・低環境負荷に重点がおかれたことにより低粘度化が進み、×W-20のような軟らかいオイルの比率が増え、トランスミッションも共通して潤滑する2輪車のギヤオイルとしては粘度が不足し、ギヤ部の過度の磨耗が懸念される様になったことに加え、燃費向上のために添加される有機モリブデン(MODTC モリブデンジチオカーバメイト/非リン系油溶性モリブデン)などの摩擦調整剤(FM・フリクションモディファイヤー)が2輪車の湿式多板クラッチや遠心クラッチセルスターターを滑らし、加速や始動不良などのトラブルが生じる事態も発生してきた。それによりJASOによって二輪車向けの規格として1998年にT903が制定された。当初はMAとMBの二つの評価分類で始まったが、2006年にMAが新たにMA1とMA2とに細分されて現在に至っている。2006年改訂版ではAPIグレードの最低基準が従来のAPI/SE認証・相当からAPI/SG認証・相当に変更され、三元触媒の標準化を見据えてリン含有量の基準(0.08%以上0.12%未満)も定められた。JASO T903:2006試験認証を経て所定の性能を満たしたオイルのみが規格を明記することが許されている。

4ストロークオイルのJASO規格において2ストロークオイル規格との最大の相違点は、規格の分類が主に3種類の摩擦特性指数の違いにより行われ、性能の優劣で決定されている訳ではない点にある。そのため、取扱説明書に指定された摩擦特性のものを用いることが望ましいとされている。


MA
二輪車に適した4サイクルオイル(備考:内蔵式ギアボックスマニュアルトランスミッション車に推奨される)
MB
MAに加えて低摩擦特性をもつ(備考:バイク版省燃費オイルとも言えるもので、オートマチックトランスミッションスクーターや、自動遠心クラッチの小排気量車への利用が推奨される)
MA1
MAの摩擦特性の範囲内で粘度を低めにしたもの(備考:MA指定車両の中でも小-中排気量に適するとされる)
MA2
MAの摩擦特性の範囲内で粘度を高めにしたもの(備考:MA指定車両の中でも大排気量に適するとされる)

<摩擦特性分類規格> 動摩擦特性試験(DFI)、静摩擦特性試験(SFI)、制動時間指数(STI)により評価試験される。

  •  MA  DFI 1.45以上2.50未満 SFI 1.15以上2.50未満  STI 1.55以上2.50未満
  •  MB  DFI 0.50以上1.45未満 SFI 0.50以上1.15未満  STI 0.50以上1.55未満
  •  MA1  DFI 1.45以上1.80未満 SFI 1.15以上1.70未満  STI 1.55以上1.90未満
  •  MA2  DFI 1.80以上2.50未満 SFI 1.70以上2.50未満  STI 1.90以上2.50未満

※一項目でもMAの範疇に該当しない場合はMBになる。


 二輪用エンジンは四輪用エンジンに比較して小排気量で高回転を多用することが多いため、「バイク用オイルで、特にMAはせん断安定性が高く規定されている。」という認識が広まっているが、JASO T903規格が特別に高負荷条件の下でのせん断安定性を示すHTHS粘度が厳しく規定されてはいない。MA,MBといった表示はあくまで摩擦特性で分類しているだけでそれらに優劣はなく、また合否を決める基準でもない。API等の条件を満たしていれば、MA(MA1,MA2),MBのいずれかに属ことになる。(×W-20を除く。MAはMA1とMA2に分別して表示もできる。)


 2010年にJASO T903が改定され、ギヤのピッチング磨耗の評価試験の追加と、クラッチのフェーシング材の変更の予定であったが、実際の改定は2011年になり、摩擦特性の指数基準(DFI、SFI、STI)が細分化され、T904試験がT903に追加統合された。


<参考>

①JASO規格とAPI,ACEA規格との関係

HTHS粘度規定(150℃ 高温高せん断粘度)

  •  API (×-20) 2.6mPa・s以上、(×W-30) 2.9mPa・s以上、(0W,5W,10W-40) 3.5mPa・s以上、(15W,20W,25W-40) 3.7mPa・s以上、(×W-50) 3.7mPa・s以上、(×W-60) 3.7mPa・s以上。

※ 0W,5W,10W-40のHTHSSVは2.9mPa・s以上であったが、2007年に3.5mPa・s以上に引き上げられた。

  •  JASO T903 MA、MA1、MA2、MB全ての摩擦特性、粘度において2.9mPa・s以上。
  •  ACEA 2008 (A1・A5) 2.9~3.5mPa・s (A1 xW-20のみ2.6mPa・s以上)、(A3) 3.5mPa・s以上

 ×W-20ではAPI規格の規定が2.6mPa・s以上とJASOの最低要求値2.9mPa・sより低いHTHS粘度のオイルもあり得、その場合はJASOの規格を満たさない。また省燃費オイルであるSM/EC,SN/RC ILSAC GF-4,GF-5はJASOの対象外にあたる。

JASO T903 せん断安定性試験後の100℃動粘度 (CEC法 ディーゼルインジェクターを用いての30サイクルテスト後の粘度劣化)

  •  ×W-20 規定外 (SAE新油規格)5.6 <9.3cSt
  •  ×W-30  9.0cSt (mm2/s)   9.3 <12.5cSt
  •  ×W-40 12.0cSt (mm2/s)  12.5 <16.3cSt
  •  ×W-50 15.0cSt (mm2/s)  16.3 <21.9cSt
  •  ×W-60 規定外         21.9 <26.1cSt


 JASOとAPI規格は別個に規定されているのではなく、JASO 旧T903 1998はAPI SE~SL(ILSAC GF-1、GF-2 ACEA A1、A2、A3 CCMC G-4、G-5)の認定、または相当するオイル、T903 2006ではSG~SM(ILSAC GF-1、GF-2、GF-3 ACEA A1/B1、A3/B3、A3/B4、A5/B5、C2、C3)の何れかの認定または相当、T903 2011ではSG~SN(ILSAC GF-1、GF-2、GF-3 ACEA A1/B1、A3/B3、A3/B4、A5/B5、C2、C3、C4)の何れかの認定または相当するオイルであることが前提条件にある。しかし、4輪用とは違う「バイク専用」というアピールをする目的や、APIのサービス分類が最新より古い規格である事も多いため、マイナスイメージを嫌ってあえて日本では表示しない場合も多い。二輪専用油が最新API規格(2012年現在SN)に准じない例が多い理由は、API・ILSAC規格が改定される度にリン硫黄亜鉛を含む多機能添加剤であるZnDTP(ジアルキルジチオリン酸亜鉛 ZDTP、ZDDPとも表記)が削減されていることにある。ZnDTPのリンは触媒の貴金属を損ねて浄化寿命を縮め、硫黄はスラッジ生成の要因となり、オイルを汚して更油間隔の延長の面でマイナスになることから、環境保全の面からその含有量を規制されてきた。ZnDTPはギヤ油も兼ねる二輪用エンジンオイルとしてはEP剤(極圧剤)としても有効に作用し、耐磨耗性の面で多いほうが望ましい。しかし2006年のT903の改正では、触媒付二輪車が増えてきたことに対応して規制された。一方、海外ではリンの削減を代替添加剤の利用や、高品質のベース油で補ったAPI SN正式認証,API MA申請の二輪用オイルも発売されている。(SM,SNの全てが低摩擦特性、低粘度に処方されているわけではない。2011年の改正では、省燃費規格であるAPI SM/EC・ILSAC GF-4、SN/RC・GF-5はJASO規格への追認は見送られた。)

  •  API・ILSAC  SH GF-1 リン量 0.12mass%以下、 SJ GF-2、SL GF-3 リン量 0.1mass%以下、SM GF-4 リン量 0.06~0.08mass%、硫黄分  0.5mass%以下。(10W-30以上の高粘度、シングルグレード油を除く)
  •  JASO T903 (2006) リン量 0.08~0.12mass%、硫酸灰分量 1.2mass%以下
  •  ACEA A1、A3、A5 リン量、硫黄分 報告のみで規制なし。(但しILSAC規格の非認証オイルではリン、イオウ分の制限は受けない。)


2ストロークバイクのギヤボックスにエンジンオイルが代用・指定されることもあるが、おおよそ10W-30 SGのエンジンオイルは、ギヤオイルの75w-90程度の粘度、GL-3程度の極圧特性を有する。境界潤滑状態になるギヤの歯面の潤滑においてEP剤は大きく影響を与える。EP剤が少なければ焼き付き・齧りが生じやすくなり、逆に多過ぎても活性化学反応による腐食磨耗を促進させてしまう。2輪車のトランスミッションに使われるギヤ平歯車(スパーギヤ)が殆どであるため、四輪車のデフに用いられるハイポイドギヤが要求するような高い極圧特性のGL-4や5は必用ない。FM剤の添加は湿式クラッチには滑りの悪影響を及ぼす場合があるが、ギヤの潤滑に関してはシフトフィールが改善される事はあっても、悪い影響を与えることはない。


※2010年現在、ホンダヤマハ純正油のラインナップにMA・MB双方を揃え、使用する車種を特定している。ホンダ(ウルトラ)の2輪用オイルは全てSL相当であるが、ヤマハのオイル(ヤマルーブ)には全てAPIの相当表示はない。

ホンダウルトラ <MA> G1(10W-30・鉱物油)、G2(10W-30,10W-40・部分合成油)、G3(10W-30・化学合成油)、G4(0W-30・化学合成油) <MB> S9(10W-30,10W-40・部分合成油)、E1(10W-30 鉱物油 ※スクーター用)

ヤマルーブ <MA> RS(10W-50・化学合成油)、プレミアム(部分合成油・10W-40)、スポーツ(10W-40・部分合成油)、ベーシック(10W-30,20W-40・鉱物油) <MB> FX(10W-40・部分合成油)、4Tミニスクーター(10W-40・部分合成油)

カワサキは全てのオイルがMAで、MBの純正油はない。最上級の化学合成油elf Vent Vertの10W-50・冴強はSL相当からSM相当にグレードアップしたが(カワサキのサイトではSLのまま)、同10W-40・冴速はSL相当である。他にSJ相当のR4、SG相当S4、SF相当T4の純正油(全て10W-40 セミ合成油)が揃っている。

スズキは競技用の10W-50の化学合成油 RACING SPEC PRO-4T(旧新日本石油製)にはAPIやJASO規格の表示はないが、「摩擦低減剤配合・抜群のローフリクションオイル」の特記が見られ、メインとなる純正油のエクスター(10W-40 SG相当 鉱物油)、エクスター TYPE 04(10W-40 SF相当 鉱物油)はMBであったが、2012年エクスターと旧エクスターTYPE 04は販売終了し、エクスターTYPE 04はSJ相当の部分合成油(10W-40)となり、摩擦低減剤配合ではあるがMAに変更になった。商品名もエクスターTYPE 04 MAとなる。低グレードの10W-40の鉱物油であるエクスタースーパーデラックス(SE相当のMA)は継続販売されているが、T903 1998年規格のオンファイル期限を過ぎたためにMAの表示は抹消されている。(スズキはホンダとは異なり、高温側が30番のオイルは二輪には推奨せず、エクスター5W-30,10W-30は四輪用として摩擦特性の表示はしていない。しかし、スズキの看板を掲げる小規模な整備工場兼販売店・モータースでは、10W-30の純正エクスターで一種で二輪、四輪車に使用することも少なくない。)

(SEやSF相当のオイルは、2006年改定JASO T903の基準を満たしていない。ホンダ・ヤマハの全ての純正油は2006年規格で再申請済み。カワサキはVent Vert以外は旧1998 T903、スズキはエクスター全て旧 T903規格の適合申請であったが、NEW TYPE 04 MAでT903 2011年規格のオイルが販売された 。カワサキ以外は同じ純正銘柄でも地方により製造元が違い、部品番号も異なる場合があるが特性に大きな違いはない。JASOの表示が旧規格か、2006年改正、2011年改正の規格申請・保障であるかは、(社)潤滑油協会がまとめたJASOエンジン油規格普及促進協議会のオンファイルPDFを見るか、容器のJASOのグレードマーク【MX】の下で確認できる。(1998 T903オンファイル終了時期 2011年4月30日、2006年 同終了時期2016年4月30日 2011規格のオンファイルは平成23年5月より開始)

API・ILSACの認証は正式にテストを受け、合格したオイルのみがドーナツマーク、及びスターバーストマークの表示が許され、eolcs(Engine Oil Licensing and Certification System)のリストに載る。対してJASOの場合は自主試験の届出制であり、所定の手続きを踏めばロゴマークの表示が許され、リストにオンファイルされる。 (API未認証オイルはSM相当といった意味をもつ。)


②油種選択での注意点  

基本的には取り扱い説明書に準じてJASOの指定の摩擦特製のオイルを選択すれば問題はないが、オイルにMA、MBといった表示がない場合、あるいはJASO T903が制定される以前に発売された二輪車にはJASO規格での指定がない場合がある。湿式多板クラッチや自動遠心クラッチでない車種、乾式クラッチ・エンジン・ギヤ潤滑が別構造の二輪車、スクーターなどでは、粘度さえ適切であれば高摩擦特性のMA(MA1、MA2)オイルでも、低摩擦特性のMB、4輪用省燃費オイルを選んでも大きなトラブルにはならないが、極稀に特定の車種でセルスターターが滑るトラブルが報告されている。ただし、MBを使うことで設計されたエンジンにMAを充填した場合、本来のパワー・省燃費性が発揮できないことがある。MA指定の車種にMBを入れた場合はクラッチに滑りが生じ、アクセルの開きに対しての挙動のレスポンスが悪くなる可能性がある。しかし、これも低摩擦特性の処方として添加される有機モリブデンなどのFM剤(フリクションモディファイヤー)の影響だけでなく、クラッチ板・フリクションプレートなどの劣化が根本的な原因にあり、低摩擦特性油を用いたことにより、いわばトドメをさした形で滑りに通じるケースも少なくない。この場合はクラッチ機構をオーバーホールすれば改善できる。MA指定車にMBや4輪用省燃費オイルを使用しても実際にはクラッチが滑る確率はさほど高くないが、しかし、MA、MBどちらを用いたら良いか判らない場合はMAを選択した方が無難といえる。

大手のオイルメーカーは特定のオイルとバイクの適合性や、使用条件を全て掌握するのは不可能なため、実際の使用の可能・不可能かにかかわらず、トラブル回避のため4輪向けに販売しているオイルで、JASOの摩擦特性試験を実施していない場合は「二輪車には使用できません」と表示する例が増えている。反面小さなブレンダーでは2輪/4輪用共用であったり、内容(フォーミュレーション)が4輪と同じであっても「二輪専用」・「MOTO」と表記する例も多く見られる。特に高級二輪用として販売されているオイルでも、小さなブレンダーのオイルにはAPIの相当表示のみで、JASO規格の表示がないオイルの方が多い。二輪向けに販売されているオイルでもFMを配合して低摩擦特性に処方したオイルでは、クラッチの滑りを懸念して敬遠するユーザーに対する営業的な対策として、MBに分類されるオイルは意図的にMBと表示をしない場合もある。MAの方がクラッチトラブルになる可能性が低いので、市場ではMAはMBより好まれると言える。先に挙げたエクスター 04以外にも、バイク販売の全国チェーンのレッドバロンで扱う、エルフのリザーブサービスオイル(トタルジャパン・日本製)のオイルもMBからMAに変更になった。逆にホンダCBRでは湿式クラッチではあるもののMBを指定して、一層のパワーアップを狙う例もある。他にも特別な例としては、湿式クラッチでもワンウエイ方式の400cc以下のヤマハXJRFZRなどは、あえてFMを配合した低摩擦特性のMB(純正ヤマルーブ・旧エフェロ FX)を指定し、クラッチミート時に適度に滑りを持たせることでショックを和らげ、エンストを防ごうとする車種もあるし、ホンダの大排気量単気筒車では、低摩擦特性の純正オイル・ウルトラS9(MB)を使用して、カムチェーンテンショナーに使われているワンウェイクラッチが滑るトラブル事例もある。ホンダVFR800は本田技研が発行するマニュアルにはMA、同カタログではMBとなっており、MA,MBの指定があまり厳しく指定しない例もある。なお二輪車でも競技専用油では機械寿命を重視しないため0W-20のような低粘度オイルも使用され、クラッチ力に余裕ある車種には、省燃費効果より出力向上を目的として低摩擦特性のオイルも多く用いられる。また二輪用にも市販のフッ素樹脂(PTFE)系や、エステル系、フラーレンC60セラミックボロン)などの微粒子性固体潤滑剤を調合した別売りFM添加剤も販売されている。(クラッチへの影響は自己責任となる。)

※便宜的な2輪車のクラッチを滑らせやすいオイル,ギヤオイルとしては粘度が低すぎるオイル(=低摩擦特性・低粘度の低フリィクションオイル・)の見分け方として、APIドーナツマークの下部のEC(エナジーコンセーブ)表記や、ILSACのスターバーストマークが記されている事で判断する方法が紹介されることが多いが、双方のマークはeolcsの認証を得たオイルのみしか表示されない。莫大な認証費用を抑えるためや手続きの簡略のため、API・ILSACとの処方の方向性の違い(競技用、旧車向けやACEA規格に照準)、また旧規格で表示期間が過ぎたオイルにはそれらのシンボル・サフィスケートマークは記されないので、マークの有無のみで判断するとミスリードする可能性があるが、一つの目安基準にはなる。なお本田技研は純正油の低粘度化をはかった上、二輪車用の独自の省燃費規格HMEOCも別に制定し、推奨・普及をはかっている。(省燃費オイルのSG/GF-1、SH/GF-2、SJ/GF-3はドーナツ、スターバーストマーク表示オイルであったが、現在は表示期限を過ぎている。なおGF-1~GF-3はJASO規格対象省燃費油である。SGやSHなどの古いAPI規格相当の高粘度オイルであっても、アフターパーツブランドのオイルではMoDTCなどのFMを配合するオイルも多く売られていた。)

ディーゼルエンジンオイル M 355:2008 [編集]

JASOのディーゼルエンジン用オイル規格は、ディーゼルエンジンへの排ガス規制軽油の低硫黄化が強化される傾向が強まった2001年に初めて制定された。それまで国内ではディーゼルエンジンにはAPI規格で対応していたが国内と海外での排ガス規制の違いが大きくなり、またエンジン設計の違いなどもありAPI規格では国内のディーゼルエンジンに対応するのが難しくなっていた。この為、国内ではCG-4以降のAPI規格は国内では使用されず、JASO規格が用いられる。 最初に旧来の排ガス規制前の車種にも対応可能なDH-1規格が制定され、2005年に高度な排ガス対策を行ったディーゼルエンジン向けのDH-2とDL-1が追加制定された。JASO M355:2008試験認証を経て所定の性能を満たしたオイルのみが規格(種類)を明記する事が許されている。

DH-1
高速4サイクルデイーゼルエンジンで、摩擦摩耗および腐食摩耗防止、高温酸化安定性、すす対策、などの性能向上を必要とする厳しい排ガス規制対応エンジンに用いる。さらに、ピストンデポジット、高温金属表面デポジット、泡の発生、蒸発オイル損失によるオイル消費、せん断粘度低下、オイルシール劣化、等を防止する性能が含まれている。DH-1は、以前の排ガス規制対応のエンジンに使用することも可能であり、またエンジンメーカーのオイル交換距離推奨に従うことを前提に、硫黄分が0.05%を越える軽油を使用する場合にも適用できる。
DH-2
ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)を装着し、新短期以降の規制に適合した新型ヘビーデューティー用ディーゼル車に用いるエンジン油のガイドライン。JASO DH-1の要求性能に加え、エンジン油中の灰分の規定により、DPFの詰まり寿命を大幅に向上。また、低灰分でありながら酸中和に必要な全塩基価を確保した。さらに、油中のリン、硫黄含有量の目標値を設定し、環境負荷を低減。(備考:大型トラック向け)
DL-1
ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)を装着し、新短期以降の規制に適合した新型ライトデューティー用ディーゼル車に用いるエンジン油のガイドライン。JASO DH-1の要求性能に加え、エンジン油中の灰分の規定により、DPFの詰まり寿命を大幅に向上。また、省燃費性を規定し、油中のリン、硫黄含有量の目標値を設定するなど、環境負荷を低減。高温酸化防止性も強化した。(備考:小中型トラック・自動車向け)


<参考>

認知度が低い現状 ヨーロッパと異なり、日本ではディーゼル乗用車の比率が絶対的に低いためJASO M355の規格に適応したオイルの生産販売量も少なく、認知度も高いとはいえない。カーディーラーではJASO適合オイルの使用が使い分けられ、カー用品量販店 でもJASO指定のディーゼル車にはJASO規格のオイルの使用を推奨しているが、しかし、小規模な整備工場ではJASO仕様のオイルを使い分けていない工場も少なくない。カー用品店ではディーゼル専用オイルではDL-1などのJASO規格オイルが純正油を中心に置かれているが、汎用ブランドのオイルやガソリンエンジン共用のユニバーサルオイルでは未だAPIのCF相当やCF-4に準じたオイルが多く、JASO規格のオイルは少ない。アメリカからの輸入オイルでは CI-4 などの規格オイルも販売されているが、これはアメリカでのEGR付のディーゼルエンジン向けの規格である。いずれにせよJASOの規格に合わせたオイルを使用しないとDPFの機能を損ねてしまう。なお欧州のACEA規格ではCカテゴリーがDPF付車両用のエンジンオイルとなっている。

オートマチックトランスミッションフルード(ATF) JASO M315 [編集]

世界的なATF(自動変速機油)の規格であるゼネラルモーターズen:DEXRON規格や、フォード車向け規格であるMERCON規格と同様に、日本車のオートマチックトランスミッションの制御に最適化された規格としてJASO 1A規格が定められている。JASO M315試験認証を経て所定の性能を満たしたオイルのみが規格を明記することが許されており、近年ではJASO M315の改訂に伴い、更に高度なATに対応したJASO 1A02JASO 1A03などの規格も登場してきている。

しかし、近年の6速以上の多段ATやセミAT、CVTなどでは専用のフルードがトランスミッションと共に同時開発される事例が増えており、このような一般市販される標準規格型フルードは余り用いられないようになっている点は、先行の海外規格と同様である。  

<参考>

JASOと自動車メーカーとの乖離

多種、多様化するATFの統一規格を目論んでJASOにより規格が制定されたが、民間企業の公開ライセンス規格であるGMのデキシロンやフォードのマーコンの方がJASOの1A規格より普及、認知されているのが現状である。自動車メーカーや変速機メーカーはATFやCVTFを部品として捉え、個別で粘度や摩擦特性、トラクション特性を選定している。トヨタだけでもATFは7種以上に及び、デキシロンやマーコンもまた仕様が細分化されてきている。指定と異なるATFを用いた場合に必ずしもトラブルに繋がるとはいえないが、燃費の悪化やシフトショックの増大、発信時にジャダーが発生、滑りによる変則レスポンスが遅れるなどのトラブルが生じるケースも少なくいない。特に注意が必要なのはトヨタ車に搭載されるアイシンAW製の6・7速ATや、日産エクストロイドCVT車に使われてた日本精工製のハーフトロイダルCVTでは、指定外のフルードを用いた場合に走行不能や、変速機に大きな損傷を与える事がある。マルチと呼ばれる汎用性の高いATFも販売されているが、全てのATには対応できない。あえてATFの交換を容易にでき難くされている車種もあるが、これは特性の違うATFを充填されることによるトラブルを防ぐためである。JASO規格を普及させる事によりATFの種類を整理し、誤選択によるトラブルを回避や、在庫管理の負担の低減するのも規格制定の目的であったが、その実効性は低い。なおJASO 1AはデキシロンⅢに相当する。  

その他のJASO規格・評価試験 [編集]

一般的に広く知られるJASOの規格、評価項目は上のオイル規格であるが、JASO規格は材料やOリングボルトといった部品、車両走行試験に至るまで幅広く規定している。四輪車用のガソリンエンジンオイルも日産KA24Eエンジンを用いた動弁系摩耗試験のM328-95や、同VG20Eエンジンでの清浄性試験M331-91 、トヨタ1G-FEエンジンで評価する高温酸化安定性試験M333-93 がある。これらの試験を通した結果はかつてアメリカ製のモービル1などでその表示が見られたが、現在ではこれらの評価結果が記載されているオイルは殆どない。

エンドユーザーに比較的関係するその他の項目としては、締結に使われる六角ボルトが産業・工作機械などに用いられるJIS規格のものより、JASO規格のボルトは頭の2面幅が軽量化のために狭くなっている。

<参考>

規格、TP

JASO[B] 

車体規格

JASO[C] 

シャシ・ブレーキ規格

JASO[D] 

電装規格

JASO[E] 

原動機規格

JASO[F] 

要素規格

JASO[M] 

材料・表面処理規格

JASO[T] 

二輪自動車規格

JASO[Z] 

自動車一般・その他規格

関連項目 [編集]

外部リンク [編集]