日本一の男の中の男

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日本一の男の中の男
監督 古澤憲吾
脚本 笠原良三
製作 渡辺晋
出演者 植木等
浅丘ルリ子
東野英治郎
谷啓
音楽 広瀬健次郎
萩原哲晶
主題歌 植木等「なせばなる」
撮影 永井仙吉
編集 黒岩義民
製作会社 東宝、渡辺プロ
配給 東宝
公開 日本の旗 1967年12月31日
上映時間 94分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
配給収入 2億1821万円[1]
前作 日本一のゴリガン男
次作 日本一の裏切り男須川栄三監督)
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日本一の男の中の男』(にっぽんいちのおとこのなかのおとこ)は、1967年12月31日東宝系で公開された日本映画。カラー・東宝スコープ。東宝・渡辺プロ作品。

概要[編集]

植木等主演の「日本一(の男)シリーズ」第5作目にして、シリーズ初の正月映画。本作では植木扮する小野子等(おのこ ひとし)が、ふとしたことをきっかけに造船会社から系列のストッキング会社に回されるが、そこでも様々なアイデアを駆使して大活躍するといった内容となっている。

クレージーからの助演は谷啓のみだが、ヒロインはそれまでの浜美枝に代わり、日活から浅丘ルリ子を迎えた。その他の共演者は常連・人見明を始め、水谷良重、後にクレージー映画のほか『社長シリーズ』や『若大将シリーズ(社会人編)』にも出演する藤岡琢也、浅丘と同じく日活育ちの岡田眞澄など。加えて、スパーク3人娘に続けて渡辺プロが売り出しを図っていた木の実ナナ奥村チヨ伊東きよ子の3人娘[注 1]や、山室英美子トワ・エ・モワ)、平山美紀久美かおりらが所属するメイツガールズなどが彩りを添えた。

なお、脚本:笠原良三、監督:古澤憲吾による「日本一シリーズ」は本作までで[注 2]、次作『日本一の裏切り男』からはキャラクター設定やストーリー展開などが刷新されて行くことになる。

スタッフ[編集]

出演者[編集]

挿入歌[編集]

「なせばなる」
作詞:青島幸男/作曲:萩原哲晶
「そうだそうですその通り」
作詞:青島幸男/作曲:萩原哲晶
「パララン・ショー」
作詞:?/作曲:萩原哲晶
歌:植木等ほか[注 4]
若いってすばらしい
作詞:安井かずみ/作曲:宮川泰
歌:平尾昌晃、メイツガールズ ※オリジナルは槇みちる
「みんな世のため」
作詞:阪田寛夫/作曲:萩原哲晶
「遺憾に存じます」
作詞:青島幸男/作曲:萩原哲晶 ※アカペラ
大利根無情
作詞:猪又良/作曲:長津義司
歌:三波春夫・谷啓[注 5]
「小唄」
作詞・作曲/不詳
歌:谷啓

※特記なきものは、歌:植木等

同時上映[編集]

ゴー!ゴー!若大将
脚本:田波靖男/監督:岩内克己/主演:加山雄三
若大将シリーズ』第11作。
クレージー映画と『若大将』のカップリングは、前年の『クレージーだよ奇想天外』と『アルプスの若大将』に続いて2回目だが、『奇想天外』は谷啓の主演作であり、植木主演作とのカップリングは初。

補足[編集]

  • 植木らが喫茶店「メイツ」で歌うシーン[注 6]では、前のプログラム『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』のワンシーンのほか、『アルプスの若大将』『今日もわれ大空にあり』のワンシーンが背後のスクリーンに映し出されている。
  • 古澤作品では定番の「軍艦マーチ」も使用されているが、これは植木演じる小野子が「パララン・ショー」に出演する女性を選抜するための「世界ストッキング」社内オーディションの実施にあたり、集団で歩いてもらう際のBGMを「何か、適当に」と女子社員に任せたことから流されたもので、その場で「軍艦マーチ」を耳にした小野子が「もっといい音楽、なかったのかねぇ?」とガックリ来るという、一種の楽屋落ちとなっている。
  • 楽屋落ちとしては、最初に登場する「丸菱造船」の本社ビルは毎日新聞東京本社だが、小野子が出向になる「世界ストッキング」の本社の外観・入口などには『ニッポン無責任時代』以来、クレージー映画ではおなじみとなっている大和証券本社ビル(当時)が今回も使用され、笑いを誘う。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 役柄としては「パララン・ショー」に出演する「世界ストッキング」の女子社員だが、芸名イコール役名、という形(「パララン・ショー」のシーンで、3人の芸名がテロップ表示されている)。この3人でのブレイクは成らなかったが、後に奥村は「恋の奴隷」が大ヒット、伊東も「花と小父さん」(浜口庫之助が植木のために書き下ろした楽曲。植木によるオリジナルはシングル化されず、ソロ・アルバム『ハイおよびです!!』に収められた。なお、「花と小父さん」は植木お気に入りの1曲で、平成に入ってから再レコーディングしている)をヒットさせるなど、3人それぞれにブレイクを果たした。奥村は、ベンチャーズ歌謡の嚆矢のひとつとなった「北国の青い空 (Hokkaido Skies)」を本作公開前の1967年8月に発売し、ヒットさせている。
  2. ^ 本作の公開後、古澤は一部の「作戦シリーズ」や、『日本一のヤクザ男』でシリーズに関わるが、笠原は以後のクレージー映画には参加しない。
  3. ^ 久美かおり山室英美子(本作の公開後、デュオ・グループ「トワ・エ・モワ」としてデビュー)、平山三紀ほかの4名。
  4. ^ 共演の3人娘のうち、木の実ナナの歌声は聴き取れないものの、奥村チヨと伊東きよ子には、それぞれソロで歌う部分がある。
  5. ^ まず三波のレコード音源が流れ、画面には三波のレコードのジャケットが大写しになった後、それに続けて谷がアカペラで歌い出す(谷が三波のレコードを聴いている、という設定)。その後のセリフの部分では三波のレコード音源が再び流れ、谷がそれに合わせて「行かねばならぬ、行かねばならんのだ!」とポーズをつけつつ熱演している。
  6. ^ 渡辺プロが経営していた、実在した同名の店をイメージしたセットを組んで撮影した。実際の「メイツ」では、ザ・タイガースなど、渡辺プロ所属の歌手・バンドなどのライブを楽しむことができた。

出典[編集]

  1. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)240頁

参考文献[編集]

  • 『クレージー映画大全 無責任グラフィティ』(フィルムアート社・1997年)116頁~118頁・179頁
  • 『東宝 昭和の爆笑喜劇DVDマガジン 第8号』(講談社・2013年) - 本作のDVDを付属した分冊百科

関連項目[編集]