日本の道州制論議
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日本の道州制論議(にっぽんのどうしゅうせいろんぎ)とは、日本における道州制の導入を取り巻く論議である。道州制の名称は、府県制・郡区制・町村制に倣ったものである。ここで言う道もしくは州は、唐や前漢の制度に由来するものであるが、都道府県に対し加上によって新たに行政区分を設けるものである(行政区画の単位の問題は後述の#単位の統一を参照)[1]。外国の事例を論拠のひとつとしている者は、概して翻訳が州に偏っているので、州を仮称として用いている。
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[編集] 背景
[編集] 定義
道州制(どうしゅうせい)とは文字どおりには行政区画として道と州を置く地方行政制度。北海道以外の地域に複数の州を設置し、それらの道州に現在の都道府県より高い行政権を与える構想を指す。
道州制については様々な場所で様々な議論が行われているが、論者によって制度としての組立て方やそこに至る道筋などの主張は異なる。現在、道と州を共に置く国家はないが、他国の地方自治制度について言及する場合、道州制という言葉が使われることがある。
- 北海道を除く、都府県を廃止して行政を広域化するという案(北海道と同等にするか、北海道と共に権限を強化する)。
- 都府県の内幾つかを分割しその上で、都府県の広域連合の地方公共団体として道州を設置するという案。
- 外交と軍事以外の権限を全て国家から地方に委譲し、対等な道州同士の緩やかな連合によって国に対し低い地方の地位を押し上げるという案。
これらのように様々な主張が出ており、明確な定義がなされているのではない。地方分権を共通の目的としているので、様々な団体から実現を訴える声が上がっている一方で、道州制についての認知度は高いとはいえず、国主導の道州制推進には反対意見も多い。
[編集] 財政問題
現在、国も地方も莫大な債務を負っているため、県の財政規模では信用力が低下し、利率が上昇して更なる負担を国民は負わなくてはならなくなる。また、場合によっては「県の倒産」という事態になり、公共サービスの低下や税率の上昇が起きる。そうなると、キャピタルフライトが発生し、一方で低所得者層の底割れが起きて生活保護世帯が増え、しかも税率上昇という悪循環に陷り、住民の流出と国土の荒廃が起きる。長期的には日本経済に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。この事態を防ぐ為に、都道府県の合併によって財政規模を拡大して信用力を上げるという方法が考えられる。つまり、都道府県合併の方法の一つとして、道州制が持ち上がっている。
単なる都道府県合併と道州制の大きな違いは、財源と税である。北海道が外の県との合併が行われないにも拘らず「道州制特区」に上がった理由は、(1) 中央省庁(出先機関)・北海道庁・市町村役場で別々に行っている類似事業を統一してムダを省くという目的も持っているが、(2) 道庁が事業主体となる事で、財源を道庁に集めるという目的を持っており、(2) の目的の方が大きい。[要出典]現在の事業予算規模で集めれば、余った資金を道庁が主体的に多くの事項に振り分けられる。
この為、中央政府も北海道庁も道州制を推進すべしという点では意見が一致するものの、その詳細については、北海道への財政の支出を減らしたい中央政府と、財源の委譲を要求する北海道庁とでは、意見が食い違っている。
北海道以外でも、明治維新で中央集権化されて以後は、中央省庁の出先機関が集まっている都市(仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡)に、企業・知事会・経済団体の拠点が集中し、「ヒト・モノ・カネ・情報」が中央省庁の出先機関所在地を中心に循環し、中央省庁の出先機関所在地が「ミニ東京」となっているのが実状である[要出典]。
北海道以外での道州制論議も、同様の財政問題と大きく関わっており、自らの都府県庁所在地が州都に選ばれるような都府県の組み合わせの論議や、財源が集まる州庁を誘致する為の論議が多い。又、道州制推進団体も、中央省庁の出先機関所在地が州都という前提の論議が多い。
従って、本来の「国の形」に関する論議や、財政以外の地方分権、地域問題の解決、過疎と過密の抑制、歴史と風土に根差した地域の形成…などに関する論議が軽視される例も多く、住民不在の論議により、道州制が国民的議論とならない要因の一つとなっている[要出典]。
[編集] 日本の広域行政の変遷
道州制を考える際には、「現行の都府県より広域の地方公共団体をどう設置するか」が論議される事になる。明治維新までにおける、現行の都府県より広い地域を統治した広域行政体やその範囲の変遷は、大雑把に以下のようになっている。
- ヤマト王権による統一以前
- ヤマト王権によって統一国家が形成された時代(律令制の時代)における、按察使、大宰府、多賀城(鎮守府)。
- 平安時代末期の平清盛・奥州藤原氏・木曽義仲・源頼朝の各勢力範囲。
- 前2者は租税システムに立脚しているが、後2者は軍事的勢力範囲。
- 鎌倉幕府の六波羅探題、鎮西探題。陸奥国・出羽国。
- 室町幕府の鎌倉府、九州探題、奥州管領(後に奥州探題と羽州探題に分割)。
- 戦国大名による一円知行。
- 江戸時代の幕藩体制。
[編集] 論議の推移
[編集] 明治から第二次大戦終結まで
明治政府は、地方の反乱が相次いだために、県より広い行政体の設置には消極的であった。しかし、人口希薄などを理由として、北海道にあった3県を廃止して、北海道庁 (1886-1947)を設置した。
以降は台湾総督府、樺太庁、朝鮮総督府、南洋庁と順に設置された事で、府県の狭小さが経済統制の障碍と考えられ、内地を統轄する内務省下に、郡制廃止とともに複数の府県を包括する広域行政体の設置が議論され、田中義一内閣の行政制度審議会が、1927年に、全国を6箇の州に分けて、官選の長を置く「州庁設置案」を内閣に提案した[2]。ここでの州名は、州庁所在都市名を取った物になっている。
- 仙台州:青森県、岩手県、宮城県、福島県、秋田県、山形県
- 東京州:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京府、神奈川県、山梨県、長野県、新潟県
- 名古屋州:静岡県、愛知県、岐阜県、三重県、富山県、石川県、福井県
- 大阪州:滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、徳島県、香川県、高知県
- 広島州:鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県
- 福岡州:福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、宮崎県、熊本県、鹿児島県、沖縄県
この提案の実際の措置は、1940年に地方連絡協議会、1942年に地方各庁連絡協議会、1943年には、全国に地方行政協議会(会長には当該地域の府県知事が兼任)となり、1945年に地方総監府に改名された。いずれも府県行政を調整し、広域行政体を統合しようとしたもので「国の出先機関」の様相を強く持っていた。また、戦時下(特に地方総監府時代)には、本土決戦に備えた行政の効率化という側面も有していた。
- 北海地方行政協議会→北海地方総監府
- 東北地方行政協議会→東北地方総監府
- 関東地方行政協議会→関東信越地方行政協議会→関東信越地方総監府
- 東海地方行政協議会→東海北陸地方行政協議会→東海北陸地方総監府
- 北陸地方行政協議会→(関東信越地方行政協議会、東海北陸地方行政協議会)
- 近畿地方行政協議会→近畿地方総監府
- 中国地方行政協議会→中国地方総監府
- 四国地方行政協議会→四国地方総監府
- 九州地方行政協議会→九州地方総監府
戦時統制経済のもとでは、各地の鉄道・電力・ガスといったインフラを中心に企業が、政府主導で統廃合された。
[編集] 戦後の議論
太平洋戦争後の改革において、物資不足から引き続き経済統制の必要性と地方自治法により国の知事への統制が制限された。都道府県のブロック化が強まる懸念と区域の狭小さの点から、1948年の行政調査部により、地方行政庁案・道制案・州制案の3案が提案された。1955年には、関西経済連合会が、府県の廃止と、国の総合出先機関としての道州制を提案した。また、1957年の第4次地方制度調査会は「地方制」案を答申した。この地方制は7地方・8地方・9地方案であった(少数意見として15県・16県・17県案も併記)。
[編集] 高度成長期
高度経済成長期(1960-70年代)には、地方から都会への出稼ぎや集団就職で人口が工業地帯へ移ったことによって、過疎・過密の問題が生まれた。この時期から貨物量の急激な増加や通勤・通学の長距離化や季節要因での大規模移動が発生し、地方毎の広域の社会資本整備の必要性から道州制論議は存在していた。大都市圏とそこに含まれない地方の道県との間では、所得や生活基盤に格差が生まれており、地方交付税などで是正できる程の税収を持ち合わせていなかったため、予算規模の拡大を目指し、いくつかの県が合併する道州制が考えられた。
自民党政府は「国土の均衡ある発展」「福祉国家」を標榜し、税収が少ない道県には地方交付税や補助金を増やし、池田勇人内閣の所得倍増計画や、田中角栄内閣の日本列島改造論などに代表される地方への財政資金フローの確保により、地方の生活基盤の整備が進んだ。その結果、予算規模の拡大を目的にした道州制を導入する動機は意義を失い、道州制は議論の深まりを見せなかった。よって、1965年の第10次地方制度調査会の答申を受けた都道府県合併特例法案の廃案が決まると道州制導入の機運は後退した。1981年の第18次地方制度調査会では「現行の府県制度は国民の生活・意識に強く定着」と分析し、広域的地方制度は検討をつづけると報告された。
[編集] プラザ合意から道州制特区推進法まで
地方に対しては、与党は民活法や1987年の総合保養地域整備法(いわゆるリゾート法)の制定により、自立的な経済活動が行いやすい第三次産業の振興を図った。また、国有企業や公社の民営化に際しては、分割が検討された。
政治に対しては、地方ごとの議会開設が要点と考えられるため、細川政権は衆議院選挙への小選挙区比例代表制の導入に当たって、比例選挙が既に施行されていた参議院選挙の比例制度とは異なり、地方ブロックごとの比例制度導入を図った。これは、小選挙区の区画が既存の市町村・既存の都道府県の境界を重視したので、比例選挙区の区画が将来の道州制の区割りになると見做されたからである。
地方行政に対しては、1989年から1992年にかけて臨時行政改革審議会が置かれ、都道府県の広域連合とともに道州制の検討を答申した。1994年には地方自治法改正により県の広域連合が制度化された。国会においても地方分権の決議が採択され、道州制の論議が高まることとなった。さらに2004年の地方自治法の改正により、都道府県の合併が申請によって可能となった。
又、2004年に招集された第28次地方制度調査会は、2006年に「道州制のあり方に関する答申」をおこない、都道府県の廃止と新設となる道州による道州制導入を打ち出した。道州には9道州・11道州・13道州の3例である。特に北海道は2004年に道州制を先行実施する提言をし、それに特区制度をもって政府は応え、2006年に道州制特区推進法を公布した。
[編集] 道州制特区推進法から現在まで
近年になって道州制の論議が活発になった背景には、国民の間では、交通網の発達によって交流圏が拡大した点を挙げる者が多いが、自治体関係者の間では、国家の債務が膨大になって、地方交付税や補助金や公共事業の削減で、地方が国の失政の尻拭いをさせられている点を挙げる者が多い[3]。
道州制が施行される場合には州庁が設置されるため、各都道府県では、自らの都道府県庁所在地が州庁所在地に選ばれるのに有利な枠組みが、論議の中心となっている。これは、廃藩置県後の県の合併で、県庁を失った地域でも同様である。また、州庁が置かれる都市は、経済の中心地となって莫大な恩恵を受けて、税収増や人口増が期待されている。
実際に、道州制へ賛成派と反対派の特徴を見ると、府県庁所在地が中央省庁の出先機関所在地である宮城県・愛知県・大阪府・石川県、および、東瀬戸経済圏の中心地である岡山県が賛成派なのに対して、県庁所在地が中央省庁の出先機関所在地ではない福島県・富山県・福井県・兵庫県・鳥取県が反対派となっている[4]。
一方で、国は「小さな政府」と称しつつ、地方への統制の強化と合理化を進めている。これは、市町村を大量に削減し、次いで広域自治体である県を大量に削減しようという発想としての道州制で、中央集権の強化という色が濃い。政府の道州制論議や、その前段階の三位一体の改革では、国の行政機関・機能・財源を都道府県に委譲するのを拒み、都道府県や市町村の「住民自治」の部分のみを「小さな政府」として、国は依然として統制権の強い「大きな政府」に留まろうとする意見が散見されるために、全国知事会では反発がある[5][6]。
2006年2月28日に地方制度調査会が区域例を発表した際には、石原慎太郎・東京都知事や、橋本大二郎・高知県知事(当時)が、「国と地方の役割分担をどうするのかが曖昧だ」と批判した[7]。同じく片山善博・鳥取県知事(当時)も、「国の在り方についての抜本的な議論が無い」と批判した。
同じく、佐藤栄佐久・福島県知事(当時)は、「必要性や課題を十分検討しないまま、『枠組み』を前提に制度設計が示された。道州制に移行できなければ権限や税財源を移譲できないという口実を与え、強く憂慮する。」と非難した[8]。これに先立つ2006年2月22日の福島県議会でも、「歴史的・文化的に多様である地方自治体を中央集権的にコントロールする物であり、住民主役の真の地方分権改革とは対極にある。」と発言し、道州制を非難した[9][10]。又、井戸敏三・兵庫県知事は、「ムードに流されて進めれば、単なる都道府県合併に終わる」と発言している[11]。
道州制特区推進法の制定によって、現在の「道」と国の出先機関の地方区分が同一である北海道において、権限を新たな「道」に委譲し、やがて全国へと道州制を拡大していこうとしている。道州制に向けてのビジョン策定は、安倍晋三元首相が、自らの選挙区である中国地方の山陽地方と山陰地方の格差を例に挙げて、総裁選で公約し、担当大臣も置いた。
反対派からは、「単なる都道府県の合併ではないか?」という見方や、合併ならば都府県庁を失う地域が軽視されるという危惧から、国民の関心は低い。
全国世論調査では、道州制に「賛成」・「どちらかといえば賛成」を含めて29%、「反対」・「どちらかといえば反対」を含めて62%であった。但し地方分権に「賛成」は62%になった。また地域ごとでは賛成は北海道、東北、四国で多く、反対は甲信越、九州で多い。「平成の大合併」で住んでいる市町村が合併した人の感想は、「合併して良かった」が19%、「合併しない方がよかった」が17%とほぼ変わらないのに対して、「どちらとも言えない」が63%に上った[12]。--日本世論調査会調べ(期間2006/12/2-3、面接調査)
このため、国土交通省の国土形成計画では、地方ブロック単位での独自の国際交流や、特色ある地域形成を目指す内容を盛り込む事により、地方ブロックを道州に見立てた計画として、道州制のイメージの理解に努めたりしている。また、議論の叩き台として、11道州案や国土形成計画を用いた具体的な調査検討に入るなど、道州制を定着させるための様々な策を講じている。さらに、道州制と新型交付税を組み合わせて導入すると、政府は地方への歳出の削減度合が高まり、増税も抑制できる、というような意見も多い。このような点を実感を伴って理解されるには、国民に道州制という地方自治の方向性を浸透させる相当の時間を要すると見られる。
[編集] 各地の論議
下方の枠組みに関する論議も参照
現在、道州制の論議が進んでいる地方としては、北海道、北東北、南関東、近畿地方、中国地方、四国、九州、沖縄県などがある。
西日本では市町村合併が比較的速く進んだ事から、積極的な議論や調査が多く行われているのが特徴である。
[編集] 北海道
北海道は道内総生産に対する公共投資の比率が12.5%にも及び、沖縄県に次いで高い水準である[13]。そのため、公共事業が経済に与える影響は大きく、その権限を集約したい道が主導して道州制特区の計画が進んでいる[14]。
北海道と国の二重行政の解消と、権限の委譲に主眼が置かれているが、二重行政の解消で、行政コストの抑制を優先したい国と、財源と権限の委譲を優先させたい道との間での駆け引きが続いている。
[編集] 東北地方
北東北の3県(青森県・岩手県・秋田県)では、2010年を目途にした北東北3県の合併(現行法規内)や将来の道州制(将来構想)も視野に入れた議論が行われていた。1997年からは「北東北みらい債」といった、北東北3県の合同事業が行われている。しかし、北海道新幹線の建設の前倒しが決定されると、多額の建設費用から青森県の財政状況が将来に渡って悪化し続ける予測が判明し、3県合併で財政悪化に巻き込まれたくない岩手県と秋田県の両県知事が「道州制の際は東北6県で1つの州」[15]と明言し、3県合併構想は棚上げ状態にされた(→東北地方の経済史)。
なお、東北三法や国土形成計画、北海道東北自治協議会や、東北電力が主導権を握る東北経済連合会の枠組みが新潟県を含めた7県であるため、「道州制東北ブロック懇談会」にはこの7県の自治体や経済団体が参加しており、7県をもって東北州(仮)とする案[16]も見られる(→東北地方#新潟県を東北地方に編入する場合)。特に東北電力が7県の枠組みを推しており、テレビのローカル番組を7県で放送したり(→ブロックネット#東北地方(+新潟県))、新潟スタジアムの命名権を取得して「東北電力ビッグスワンスタジアム」としたりして、新潟県が東北地方の一部であると地道に主張している。しかし、新潟県を東北地区として管轄する国の出先機関が存在しない事と、県民の東北への帰属意識が希薄であるため新潟県民には東北と言う概念は殆ど無い。また、仙台市と新潟市が同じ東北州(仮)に入ることで、発展の重心が南部へ偏る事を懸念する北部[17]では、東北6県の枠組みを推す意見が多い。仙台市民を対象とした調査でも、枠組みは「東北6県で1州」が最も多く、「北東北3県と南東北3県の2州」「東北6県と新潟県で1州」と続いており、7県で1つの州という案は浸透していない[18]。
また福島が北関東に入って、東北が福島を抜いた5県での州になる可能性もある。
[編集] 関東
[編集] 北関東・信越(福島含む)
北関東の埼玉県・茨城県・群馬県・栃木県に中部地方の長野県を加えて「北関東州」にし(後述する地方制度調査会の案のひとつ)、さいたま市を州都にしようとの論議がある。 ただし、
- 長野県の代わりに新潟県を入れる議論(後述する自民党道州制推進本部の案)
- 埼玉県の代わりに新潟県を入れて計5県で「北関東信越州」とする議論(後述する地方制度調査会の案のひとつ。これに福島県も含める場合あり)
- 福島県・茨城県・栃木県・群馬県・新潟県の5県で構成する議論(北関東磐越五県知事会議の枠)
- 埼玉県・新潟県・長野県をともに含めて北関東州とする議論
- 埼玉県は南関東に分類したり、南関東州に含める議論
- 関東南北を統合し、関東地方1都6県+α(甲信越3県や静岡県や福島県南部)で「関東州」とする議論
- 茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県に千葉県を加えて「関東州」とする議論
- 州都を宇都宮市にする議論
- 州都を高崎市、前橋市にする議論
- 州都を湯沢町にする議論[要出典]
- 州都を日光市霧降高原にする議論
- 福島県を南北に分断し、南側だけ編入する議論
- 福島県が東北、茨城県が北関東の場合、いわき市+北茨城市の合併後の新市をどちらに入れるかの議論
- 茨城県南部の一部または茨城県南部全域が北関東州から南関東州へ離脱する議論
(一部とは埼玉県側にある五霞町、茨城県の南東端であり千葉県との関わりの深い鹿行南部)
などもあり、予断を許さない。
- 国が各省庁の主要出先機関をさいたま新都心に移転させたことにより、北関東州の州都をさいたま市におくことによって、背後から国が北関東州を治めることを狙っているのではないか、との思惑がある。
- 栃木県の新県庁舎建設の際、栃木県側は「将来の道州制移行に際して栃木県庁舎が不要になった場合、栃木県庁舎を図書館などに利用目的を転換して活用できるような設計にしてある」としている。
[編集] 南関東
南関東を地理で分けると1都3県(千葉県・東京都・神奈川県・埼玉県)になるが、関東外ではあるが東京都に隣接する山梨県も加える場合がある。さらに、静岡県の一定区域を加える主張や埼玉県を外す主張も存在する。また、関東は一体であるとして南関東だけ分けることに反対する主張も存在する。
[編集] 中部地方
[編集] 北陸地区
北日本新聞の世論調査によると、富山県では道州制反対派が、賛成派を倍以上上回っている[19]。
福井県では、仮に道州制が施行された場合、所属について地方制度調査会(所在地:東京都区部)による区割り案は、9道州の場合は関西州に、11道州及び13道州の場合は北陸州、また、「熱論・合州国家日本」に掲載されている区割り案では、大前研一案が北陸道、平松守彦案が関東信越州、江口克彦案が信越北陸州とされている。
明治初期には約4年半の間、嶺北は石川県、嶺南は滋賀県だった。
2006年3月1日、河瀬一治・敦賀市長は、新年度当初予算案発表会見の中で道州制について触れ、以下のように発言した。
- 「嶺南の総意は近畿(関西)に入る事。嶺北が北陸に入るならば縁を切る事もある。」
- 「文化圏や今秋(2006年秋)のJR直流化など、嶺南は近畿に近い。嶺南だけを見れば当然、近畿。県も経済的な繋がりが深い近畿に向いているだろう。嶺北が北陸に入るとなれば、縁を切って、お別れという事になる。」[20]
次いで、同年3月6日には、村上利夫・小浜市長も、市議会の所信表明で道州制について触れ、以下のように発言した。
- 「福井県が関西と圏域を一にする事を強く主張する。少なくとも小浜市や嶺南が北陸に属する事はあってはならない。」
- 「道州制は、東京一極集中を是正する動機になるやもしれぬと期待している。国と県で論議されるべき問題だが、地域割りについては市町村として決して看過できる問題ではない。自治体としての意思表示を明確にすべき時だ。」[21]
[編集] 東海地区
社団法人中部経済連合会は、愛知県、岐阜県、三重県、静岡県、長野県の5県による「中部州(仮称)」を提言。その上で東海北陸自動車道の全線開通で、交流が活性化するとの予測を踏まえて、富山県、石川県、福井県の北陸地方3県を含む8県で構成する案も検討。[22]。
道州制への移行時期を2015年~2018年と想定。区割りにあたって「経済的に一つの圏域として自立可能となること」を重視し、人口や域内総生産がオランダ、オーストラリアなどに匹敵する5県の枠組みが適当とした。
道州の首長は直接選挙で選ぶとし、恣意的な行政運営を避けるため多選制限(2期8年)が必要との考えを示した。州議会議員の定数は、現在の国会議員定数が国民約17万人に1人の割合であることを踏まえ、5県の人口約1732万人を考慮して100人程度が適当とした。
州の施策を域内にきめ細かく展開するため、州本庁のほか10~15程度のブロック機関を設けるとした。
[編集] 近畿地方
橋下徹大阪府知事が就任して間もない頃から関西州構想を率先していることに対し、大阪府以外の各知事は当初は反対を表明したが、後に仁坂吉伸和歌山県知事がその利点などから一転して賛成表明に切り替えている。一方、近畿ブロック知事会では、道州制を拒否している井戸敏三・兵庫県知事以外にも、西川一誠・福井県知事が道州制に反対する意見を出しており、山田啓二・京都府知事も道州制に対して慎重な意見を出している[23]。
2004年6月30日には、京阪神の経済団体から、近畿2府6県(福井県・滋賀県・京都府・三重県・奈良県・和歌山県・大阪府・兵庫県)に、四国の徳島県を加えた広域行政体の設置を求める提言が出されており、州庁の組織や行政運営に留まらず、州の様々な設置方法も提案されている[24]。
2007年9月21日、政府の道州制ビジョン懇談会において江口克彦座長(PHP総合研究所社長)は、東京23区と大阪府を特別州とし、東北・北信越など全国を12道州に分ける私案を公表した[25]。
[編集] 中国地方
財界では、中国地方5県で一組の州とする「中国州」を提唱している。従来より中国地方においては、瀬戸内海側(山陽地方)と日本海側(山陰地方)との間や沿岸部と中国山地山間地域との間に、経済面やインフラ面での格差が生じており、これが年々拡大している。そのため、中国経済連合会と中国地方総合研究センターによる中間研究報告「広域的な地方自治のあり方に関する基礎的研究」では、産業の誘致や、高速道路網の建設などでの格差是正に重点を置いて、州議会は行政との癒着を避ける事を目的として、州都(広島市を想定)のみならず州内の各市も持ち回りで実施する事として、各地域の産業や文化的特性を尊重した、多極型の土地の形成を目指すとしている。
地元政界では、広島市や岡山市などが、州都の誘致に積極的である。広島市は中国地方、中国・四国地方のいずれの場合でも中枢拠点機能が地方内で最も高いことから、「中国州」「中四国州」に関わらず、州都に相応しい都市は広島市であると主張している。
岡山市は、山陽地方と四国に渡る交通の結節点として東瀬戸経済圏の中心都市となっている点から、「中四国州」の枠を支持して州庁の誘致を目指している。また、広島県と岡山県は別々の枠組みを推しており、広島県は民意(アンケート結果)から「中国州」を、岡山県はスケールメリットから「中四国州」を支持しているが、実態は州庁の誘致を目的とした我田引水である。
福山市では、一部の市議から、福山市を州都にせよとする主張が出ているが、現時点では大きな支持を受けていない。
「中四国州」は、産業や交通インフラ整備の進んでいる山陽地方が、地理的にも中心となるため、現在以上に社会資本の集中が強まって格差が拡大すると危惧されており、山陰地方や四国では反対が根強い。
鳥取県においては鳥取市の経済界を中心に「関西州」への編入を求める声も上がってきている。一方で県西部の米子市などでは道州制導入に際し、島根県松江市などと合併して「中海市」を設ける考えが以前から存在しており、東・中部と西部の間で意見のずれが生じている。また、平井伸治鳥取県知事は近畿ブロック知事会への参加を表明、2008年6月6日、正式に加入が認められたことから県内の道州制論議に何らかの進展をもたらす可能性がある。
なお、下関市では「関門特別市」の準備を進めているが、これについては後述の「関門」を参照すること。
[編集] 四国
詳細は「四国の道州制論議」を参照
経済界では、四国4県から構成する「四国州」構想を打ち出している。また、住民の一体意識が高いのも特徴で、国土形成計画策定時の住民アンケートでは、四国4県を一つの圏域とする回答が70%を占め、全国で最も高かった[26]。
[編集] 関門
詳細は「関門都市圏#関門特別市構想」を参照
関門海峡を挟んで隣接する下関市と北九州市、九州と中国の経済連合会、下関市と北九州市の両商工会議所などは2007年12月に「関門特別市」の発足に向けた事務レベルの設立準備会を設けた。「特別市」を称するように、1市で単独の道州であり、中国や九州などの道州には所属しない。
従来より、関門海峡を海上物流の要として活用して来た山口県、福岡県、広島県などの経済界から、関門海峡両岸の一体的な発展を要するという意見が出されていたことから、国土形成計画の広域地方計画では九州圏と中国圏の双方の計画策定に参画することが決定している。
特別市構想の背景には関門海峡で線引きした地方制度調査会の区域例に対する反対がある[27]
[編集] 九州
九州地方知事会と、地元経済団体で構成される九州地域戦略会議が、九州7県を一体とする「九州府」構想を打ち出している。
従来の東京偏重の施策から脱して、東アジアの拠点として成長するという、九州の持つ地理的特性を生かした長期ビジョンを掲げているのが特徴である[28]。
なお、北九州市は、前述の通り「関門特別市」の準備を進めている。
大分県では、平松守彦知事(当時。2003年4月退任)の在任中に、九州を東アジア諸国との人・物・金の交流拠点として経済力を高めようという「アジア九州経済圏構想」が、平松前知事を初めとする自治体関係者の間で出されていた。しかし、現職の広瀬勝貞知事が就任した2003年4月以降は使用されていない。
[編集] 沖縄県
九州と琉球は歴史と風土が全く異なる点から、沖縄県で単独の州として、「沖縄州」あるいは「琉球州」への移行を目指している[1]。
九州と一緒の枠組みに入れられると、現在のような税制を初めとする特例が廃止されたり、沖縄県のみの特別法などの法律が廃止されたりする可能性が高い。[要出典]又、鹿児島県の南西諸島部分(特に奄美諸島)が、九州と沖縄のどちらに入るかも注目されている[29]。いずれにせよ、人口・経済・財政の規模が、最も小さい州になる可能性が高い。
地元経済界では、州都として普天間飛行場跡地への中枢拠点機能の設置と、高度医療施設、情報産業の誘致を行う予定である。
[編集] 枠組みに関する論議
[編集] 地方制度調査会の区域例
2006年2月28日、内閣総理大臣の諮問機関である地方制度調査会(会長:諸井虔・太平洋セメント相談役)が、「道州制のあり方に関する答申」を発表した。この答申の中では、「区域例」として、「9道州」「11道州」「13道州」の3例を示している。なお、この「区域例」には、次の2つの註が付いている。
- 道州の区域については様々な考え方があり得る。ここで示した区域例は、各府省の地方支分部局に着目し、基本的にその管轄区域に準拠したものである。
- 東京圏に係る道州の区域については、東京都の区域のみをもって一の道州とすることも考えられる。
以下の道州の枠組みに、その構成都道府県の2003年度県民総生産の合計を付記する。東京都の都民総生産は83兆6303億円。
[編集] 9道州
- 北海道(19兆5044億円):北海道
- 東北(32兆4200億円):青森県、岩手県、秋田県、山形県、宮城県、福島県
- 北関東信越(43兆5586億円):茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、長野県
- 南関東(156兆7627億円):埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県(東京だけ分離して州とする場合、「東京州(仮)」「南関東州(仮)」の2州に分ける)
- 中部(72兆7339億円):富山県、石川県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
- 近畿(82兆2004億円):福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
- 中国・四国(41兆5305億円):鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県
- 九州(43兆4862億円):福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
- 沖縄(3兆5755億円):沖縄県
[編集] 11道州
- 北海道(19兆5044億円):北海道
- 東北(32兆4200億円):青森県、岩手県、秋田県、山形県、宮城県、福島県
- 北関東(54兆6282億円):茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、長野県
- 南関東(136兆6839億円):千葉県、東京都、神奈川県、山梨県(東京だけ分離して州とする場合、首都圏を「北関東州(仮)」「東京州(仮)」「南関東州(仮)」の3州とする)
- 北陸(21兆3242億円):新潟県、富山県、石川県、福井県
- 東海(63兆7072億円):岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
- 近畿(78兆9121億円):滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
- 中国(28兆1378億円):鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
- 四国(13兆3927億円):徳島県、香川県、愛媛県、高知県
- 九州(43兆4862億円):福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
- 沖縄(3兆5755億円):沖縄県
[編集] 13道州
- 北海道(19兆5044億円):北海道
- 北東北(12兆4998億円):青森県、岩手県、秋田県
- 南東北(19兆9202億円):宮城県、山形県、福島県
- 北関東(54兆6282億円):茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、長野県
- 南関東(136兆6839億円):千葉県、東京都、神奈川県、山梨県(東京を分離し東京州とする論議もある)。
- 北陸(21兆3242億円):新潟県、富山県、石川県、福井県
- 東海(63兆7072億円):岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
- 近畿(78兆9121億円):滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
- 中国(28兆1378億円):鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
- 四国(13兆3927億円):徳島県、香川県、愛媛県、高知県
- 北九州(28兆9496億円):福岡県、佐賀県、長崎県、大分県
- 南九州(14兆5366億円):熊本県、宮崎県、鹿児島県
- 沖縄(3兆5755億円):沖縄県
[編集] 自民党道州制推進本部の区割案
自由民主党の道州制推進本部(本部長:谷垣禎一)が2008年5月29日に提示した区割り案。東京都を南関東から独立させるべきとの意見があったり、また各都道府県の知事や議会議長との意見交換など、今後も議論は続けられる予定である。
[編集] 9道州
- 北海道:北海道
- 東北:青森県、岩手県、秋田県、山形県、宮城県、福島県
- 北関東:茨城県、栃木県、群馬県、新潟県
- 南関東:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県
- 中部:富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
- 関西:滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
- 中国・四国:鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県
- 九州:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
- 沖縄:沖縄県
[編集] 11道州
- 北海道:9道州案に同じ。
- 東北:※1
- 北関東:※1、※2
- 南関東:※2
- 北陸:富山県、石川県、福井県
- 東海:長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
- 関西:9道州案に同じ。
- 中国:鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
- 四国:徳島県、香川県、愛媛県、高知県
- 九州:9道州案に同じ。
- 沖縄:9道州案に同じ。
- ※1新潟県を東北に入れる案もある。
- ※2埼玉県を北関東に入れる案もある。
[編集] 民間などからの区域例
大前研一らが中心になって結成された道州制推進連盟[1]は、12道州制を提唱している。GDPは2001年の統計データ。
- 北海道(20兆8190億円): 北海道
- 東北州(33兆3240億円): 青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島
- 北陸信越州(29兆7560億円): 新潟、富山、石川、福井、長野
- 北関東州(46兆1830億円): 茨城、栃木、群馬、埼玉
- 南関東州(53兆9420億円、注1): 千葉、神奈川、山梨、東京都下
- 東京特別州(84兆7630億円、注2): 東京23区
- 東海州(63兆2480億円): 岐阜、静岡、愛知、三重
- 近畿州(79兆8260億円): 滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山
- 中国州(28兆6760億円): 鳥取、島根、岡山、広島、山口
- 四国州(13兆6620億円): 徳島、香川、愛媛、高知
- 九州州(42兆9930億円): 福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島
- 沖縄特別州(3兆5320億円): 沖縄
注1東京都下含まず、注2東京都下含む
- 地図[2]
[編集] 現在の衆議院比例代表ブロック
- 北海道:北海道
- 東北:青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
- 北関東:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県
- 南関東:千葉県、神奈川県、山梨県
- 東京:東京都
- 北陸信越:新潟県、長野県、富山県、石川県、福井県
- 東海:岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
- 近畿:滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
- 中国:鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
- 四国:徳島県、香川県、愛媛県、高知県
- 九州・沖縄:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
- 地図[3]
[編集] 枠組み論議の性質
道州制の導入は、州都への一極集中という危険を妊んでいるため、州都や枠組み(都府県の組み合わせ)に関心が集まりやすく、州政府の機構や事業といった中身の論議が軽視される傾向が大きい。州都の位置は各地域の盛衰に直結する為、州都や枠組みで我田引水の如き主張が展開される例は珍しくない。
又、枠組みの作り方も、地理や歴史を無視して、特定の大都市への一極集中を促す発想が多い。このような傾向に対しては、「どこかの市にバキュームのように吸い寄せられる国土づくりではなく、地域の伝統や文化を守る手伝いをするのが国の大事な仕事だ。」(佐藤栄佐久・前福島県知事)[30]という声や、「枠組みから議論に入るのは危険だ。」(西川一誠・福井県知事)[31]という声も出ている。
[編集] 肯定論と否定論
道州制を導入することには肯定論と否定論が存在する。主な主張には以下の点が挙げられている。
[編集] 肯定論
- 都府県合併による地方公務員の削減および国から都道府県への権限委譲による国家公務員の削減。
- 都府県合併による地方議会議員の削減。
- 都府県単位より大きな資本の選択と集中が可能。地域の実情に応じた政策・事業が実行できる。
- 広範囲な交通網の整備が、広い視野の観点で実施できる。このため、不要な空港の濫立といった浪費を節約できる(大前研一などが主張している[32])。
- 自然環境や治山治水に関する事業は、県よりも広い広域自治体を設置した方が処理しやすい(奥野誠亮などが主張している[33])。
- 東京一極集中の抑制、過密化の抑制、過疎化の抑制、二重行政の解消や国や県の出先機関の廃止・縮小が可能になる。(九州地方知事会などが主張している[34])
[編集] 否定論
- 都府県の廃止(合併)によって州を設置すると、州都とその周辺の声ばかりが重視され、合併で行政権を失った地域の声が軽視される。(小池清彦・加茂市長などが主張している。)
- 東京大学教授の森田朗は強大な権限を持った道州知事が中央政府の意向に従わない可能性があることを危惧している[35]。(中央政府の「おんぶに抱っこ」状態からの脱却なのだから、自主自律の自治は当然だとする反論もある)
- 財政の弱い自治体同士が合併しても、財政が強くなるわけではない。(富山県の石井隆一知事は、道州制施行後の税収問題を挙げ、2006年の全国知事会について北日本新聞のインタビューに「道州制は財政的にみると、自立性が高まるのは南関東など一部だけ。強いところはもっと強くなり、弱いところはさらに弱くなる。私は道州制が格差拡大につながることをはっきり言いたかった」と、道州制に否定的な姿勢を示した。[36])
- 道州議会所在地、道州庁所在地に人と金が集まる。(京都府知事は「その中(道内)で一極集中が進む」と発言している。)
- 「道州制」が導入されることになれば、日本全国に展開している大企業などは地域からの撤退をちらつかせつつ政治的発言力を強め、それによりかえって「官民癒着」の構造が強まるのではないかと一部労働組合は懸念を表明している。
- 都府県合併による地方公務員、国家公務員の削減や地方議会議員の削減による歳出削減効果はたかがしれている。
- 国籍条項との整合性。現在では、「公権力の行使または国家意思の形成への参画にたずさわる公務員となるためには、日本国籍が必要」(内閣法制局の見解)との理由から国家公務員の任用資格の一つとして日本国籍を必要とする(教育職など、一部例外を除く)。一方、「地方自治体は主に地域に関連した職務を執行する」との理由から、地方公務員に日本国籍を持たない外国人が任用されることも自治体の判断で可能である(ただし警察官など公権力を行使する地方公務員は除く)。地方に大幅に権限を委譲した場合、地方公務員が公権力を行使するケースが出てくる可能性がある。
- 「地方分権」のかけ声とは裏腹に、上からの道州制推進は中央集権的な体制の再編強化につながる恐れがある(下記「導入前提の議論や国主導の道州制論議への拒否感」を参照)。
[編集] 導入前提の議論や国主導の道州制論議への拒否感
- 滋賀県の嘉田由紀子知事は、「行政区域が広過ぎるなど国民の反対が強い中で、拙速に推進の立場を取るのは時期尚早だ」と主張している[37]。
- 福島県の佐藤雄平知事は、2006年11月16日に当選後初めての知事記者会見で、単なる行政の簡素化や、福島の都市が州都にならないであろうことを含め、州都への一極集中による過疎過密への懸念を元に、道州制に否定的な姿勢を示しているが、それらの修正が担保されるのであれば、再考をありうると述べた。[38]。
- 鳥取県の片山善博知事(当時)は、2006年の全国知事会で「規模の拡大は住民自治の否定に繋がる」と発言し、北海道特区も国からの権限委譲が十分でない点を挙げ「われわれが目指す道州制とは違う」と批判している[39]。
- 兵庫県の井戸敏三知事は、2006年の全国知事会で「国が権限を持ったまま道州制に移行すれば、国の出先機関になってしまう」と主張している。
- 福井県の西川一誠知事は、「(道州制の)導入を前提にした議論を行うべきではない」と発言している。
[編集] 導入の際の問題点
複数の都道府県を合わせた区域に道州制を導入する際には、都道府県を廃止して道州を設置する方法をとるか、既存の都道府県の上に道州を設置する方法をとるかで、移行方法に注意せねばならない問題点が挙げられている。全国で同時に移行するのが望ましいが、北海道と沖縄県は一の道県で、道州とすることも考えられるので、先行して移行することもありうる。外の地域でも国との合意が得られれば先行できるよう答申されている。移行には以下の問題点が挙げられている。
[編集] 都道府県の廃止
もしも都道府県を廃止して道州を設置する場合には、社会経済上(都道府県の区域単位での新聞や放送局、プロ野球などの区域や名称なども含む)の問題や一世紀を越える都道府県への愛着や誇りなどといった土地観や感情の問題などから、都道府県の廃止に国民の理解が得られるかを疑問視する声もある。
しかし、日本の道州制論議は、市町村合併の延長線上の発想で、道州の設置方法も、都道府県の廃止を前提にして論議される事が多い。具体的な動きとしても、第28次地方制度調査会の答申は道州と市町村の2層と答申され、市町村合併が進んだ地方でも積極的な調査や研究が行われている。このため、移行後の旧都道府県の区域を現在の郡と同じような形で、一定の位置づけを与えることも考えられる[40]。
[編集] 名称
道州を設置する際に、方角(東西南北中)を付けた名称を極力避けて、雅称を用いるべきだという意見がある。これは、「東北州」の名称が方角だけであり、さらに「北東北州」や「南東北州」という名称提案がでるに及んで、安易なネーミングを避けるよう婉曲に促したものである。
雅称の例では、「中国」という名称を付けると、中華人民共和国と混同される可能性が高いのでそれを避けるために、「山陰山陽」などの名称を付けるべきだという意見もある。
この外にも、「近畿」と「関西」、「九州」と「鎮西」、「東北」「奥羽」「みちのく」など、各地方が様々な別名を持っている。
[編集] 単位の統一
地方自治法には、「都」「道」「府」「県」といった行政区画の単位の定義が明記されていない[41]。このため、道州制を導入する際には、「道」か「州」のどちらか一方に統一するか、「道」・「州」のそれぞれの定義を明確にすべきだという意見もある。例えば、片や北海道で片や東北州となると、「道」と「州」の違いが、具体的な行政区画の単位として異なるのか、それとも現在の都道府県のように名称が異なるだけなのか、が判らなくなる。
一方で、行政区画の単位の統一や道州の定義を必要としないと主張する者もいる。こちらは、地方ごとに歴史的由来、財政、経済状態、人口規模、人口密度等が異なることから、全国一律の行政区画の単位の導入は現実的ではないという考え方である(現行法の考え方のまま)。
九州では、「道」や「州」に代わる単位の名称として、「府」が提案されている。これは、九州に対東アジアへの外交拠点として大宰府が置かれた歴史を反映した物である。[要出典]
現在、具体的な検討を行っている政府の地方制度調査会では、道または州を仮称とし、自民党の道州制調査会では、北海道を道州制移行後もそのまま「北海道」として、九州を「九州府」として、これら以外を全て「州」とする方針で、現時点では単位の統一には拘らないとしている。
[編集] 求心力や一体性
地方制度調査会が提示した区域例では、関東地方は、特に南部が過密状態になっているため、南北分割が前提とされている。
地方制度調査会は、東京都を1つの道州として位置付ける場合、隣接する道州(9道州案の場合は「東京州(仮)」「南関東州(仮)」の2州、11道州案と13道州案の場合は「北関東州(仮)」「東京州(仮)」「南関東州(仮)」の3州となる)との広域連携を実施することで、一体性を維持しつつも一極集中を緩和すると述べている。しかし、東京都のみで1つの州にすると、神奈川県・埼玉県・千葉県が飛び地になってしまう。このために、東京都を分割して、区部(旧東京市)を以って「東京市」を復活させて、東京市で単独の州とする「東京特別市」の案も出されている[42]。また、東京都を単体で扱う場合、近隣県の一部を東京州に編入させる考えもある。石原慎太郎東京都知事は、仮に東京都だけ分離するのなら、現在の東京都の面積では狭い旨の発言をしている。
京阪神の経済団体が提案する「関西州」の区割り案は、三重県と福井県、徳島県も含めている[43]。
また、京都がかつての首都(古都)だったという歴史、文化的伝統の重み、国際的行事のための設備の充実度の観点から、京都市を州都即ち「政治的中心」とし、大阪市を「経済的中心」とする意見も少なからずある。
九州では、地方制度調査会が全島単独案と南北分割案の両方を例示したものの、「九州は7県で1つの道州(名称は「九州府」を予定)を構成する」というのが各県の統一認識となっている。
これは、 (1)経済の重心が北部に偏っている事、(2)全島単独の方が一体性を醸成しやすい事、(3)福岡県大牟田市と熊本県荒尾市・南関町など、県内他地域よりも県を跨いだ地域同士の方がより親密な地域があり[44]、現行の県の区割りで無理やり二分しようとすると、こうした地域の一体性を却って失わせてしまう、などが理由となっている。
一方で、東北地方などの拠点都市の多い地方では、面積が小さい方が小回りが利くという観点から、道州の二分割を求める動きもある。
具体的な動きとして、東北地方では、青森県が「北東北州(仮)」の13道州案を支持している[45]。
これは、首都圏や九州とは逆の方向である。この背景として:
- 州都は盛えても、経済基盤の弱い州が濫立して、南関東州(仮)のような富裕な州とは切り離されて、北海州(仮)や琉球州(仮)のような「発展途上地域」「中央政府の直轄地」の様相を呈する。
- ムード先行で道州制に移行すると、大都市が州都になって過密化が益々加速し、中小都市や村落は益々衰える。
- 国が道州制を主導すると、中央省庁の出先機関が置かれている太平洋側の過密都市(仙台、東京、名古屋、大阪)への一極集中を強いられ、日本海側は経済的にも、行政的にも軽視される。
- 国が道州制を主導すると、州政府は「国の出先機関」となって、中央集権が一層強化され、住民自治や木目細かな行政が不可能になる。
これらの危惧が挙げられる。[要出典]
広義の北陸地方では、地方制度調査会と国土形成計画では意見が異なっており、2006年の地方公共団体、経済団体からの意見聴取結果では、富山県・石川県・福井県の自治体、経済団体、各県の商工会議所連合会のうち、富山県が3県と4県の両方を挙げた[46]ほかは、すべてが3県での枠組みを希望した[47][48]。
弱小な州の濫立を防ぐ為に、2006年12月に成立した「道州制特区推進法」では、北海道と沖縄県を除いて「3県以上からなる地方ブロックの全県で構成」という規模基準が、具体的に記載されている。又ほかにも、道州同士の水平税率調整を行ったり、道州・市町村にも課税自主権を与えたりと、様々な対策法がある。
[編集] 県の分割
県境を跨いだ市町村同士が、一方の自治体をA県から分離してB県に編入する場合がある。これにはA県の抵抗も当然予想される。長野県の旧山口村が岐阜県の中津川市に編入される際に、当時の長野県知事に反して県議会が独自に承認した例がある。
県の分割も考えられる地域としては、たとえば以下の地域がある。これは、地域の過去及び現状における、文化的、経済的交流の状況等を踏まえて道州制区割り案を微調整する観点で検討される可能性もある。
- 福井県:若狭地方が近畿州(仮)に入って、越前地方が北陸州(仮)に入るパターン。
- 長野県:中央自動車道沿線(中信地方、南信地方)と木曽郡が東海州(仮)に入って、上信越自動車道沿線(北信地方と東信地方)が北陸州(仮)に入るパターン。或いは、北信地方が北陸州(仮)に入って、東信地方が北関東州(仮)に入るパターン。[要出典]
- 鹿児島県:奄美諸島が琉球州(仮)に入って、トカラ列島以北の離島を含む部分が九州府(仮)に入るパターン。[要出典]
- 静岡県:伊豆半島及び富士川以東の地域が南関東州(仮)に入って、以西の地域が東海州(仮)に入るパターンや、大井川以西の地域が東海州(仮)に入って、以東の地域が南関東州(仮)に入るパターン、熱海市などの丹那山地の東側の地域のみ南関東州(仮)に入るパターン、浜名湖西岸地域のみ東海州(仮)に入るパターン。[要出典]
- 三重県:伊賀地方が近畿州(仮)に入って、のこりが東海州(仮)に入るパターン。[要出典]
現在の都道府県を廃止する方法、現在の都道府県を廃止しない方法のいずれにおいても、所属州の入れ替えについては、都道府県の合併・編入・分割・分離や、市町村の合併・編入・分割・分離と同様の方法が採られる事になる。[要出典]
[編集] 飛地に関する問題
対岸の飛地のような状況を呈している地域を抱えている場合、「全島単独」で一体性を醸成するか、対岸に割譲するかが問題になっている。具体的には、以下の2地域が考えられる。
- 徳島県沿岸部(徳島市とその周辺):四国州(仮)か近畿州(仮)か。四国に位置するが、四国島内の他の地域と比較して、近畿への傾斜が大きい。
- 山口県の防府市以西:中国州(仮)か九州府(仮)か。本州(中国地方)に位置するが、本州内の他の地域と比較して、九州への傾斜が大きい。この場合、防府市以西が九州の飛地になって、周南市以東が中国州(仮)に入るという案もある。
[編集] 州(道)と県の関係
一般的に、統治階層の単位は、「町(区)・村<市・県(郡)<州(道)<国家」の順に広くなる。従って、都府県を存続させた上で道州制を施行すれば、日本における統治階層の単位は、「市町村<都府県<道州(府)<国家」の順に広くなる。
「地方主権」の手段としての道州制の発想では、市町村の連合自治体として県を設置して、県の連合自治体として道州を設置する、という「小から大へ」の考え方が目立つ。
広域行政体の規模を見ると、地方裁判所が都府県規模、高等裁判所が道州規模、最高裁判所が国家規模と見る事もできる。
したがって、自治の単位を見る際には、「どの規模の自治体に、どんな権限を持たせるか」という点が要点となる。道州が担う権限としては、交通網(港、空港、高速道路など)や治山治水というように、自然環境や産業基盤に関する権限が主に挙げられている。
一方で、都府県が担う権限としては、「市町村を補完する」ために小回りを利かせるという観点から、生活基盤に関する権限(例:保健所や高等学校の運営など)が主に挙げられている。
[編集] 委譲される権限
州政府に委譲される権限については、現在の所、以下のような、現行の都道府県の廃止を前提として、国及び国の地方支分部局が担う事務の一部と、現行の都道府県庁が担う事務のうち市町村へ移行しないものとする、との論議がある。 尚、基本的に国の地方支分部局は州政府に統合され、地方支分部局職員は州政府職員に、また都道府県庁職員のうち、一部は市町村職員となる。実際に州へ移行する場合においては、国の出先機関を統合し、国の出先機関として仮の「州」を置いたうえで、都道府県と統合及び州知事の公選制が実施されるものとみられる。 州の事務のうち、国から委譲される以下のような権限について、地方側からの「委譲する項目が少な過ぎる」という意見と、中央省庁側からの「憲法や条約上の観点から委譲できない事務がある。」「委譲する項目が多過ぎる」といった意見が対立しており、意見が一致していないのが実状である。実際に、国の地方支分部局の廃止や削減に対して、中央省庁は零回答を出している[49]。それ故に、道州制先行特区法案では、権限については、4〜8項目のかなり限定的な委譲に留まる見通しになっている。
- 社会資本整備:国道の管理、地方道の管理(広域)、一級河川の管理、二級河川の管理(広域)、特定重要港湾の管理、第二種空港の管理、第三種空港の管理、砂防設備の管理、保安林の指定
- 環境:有害化学物質対策、大気汚染防止対策、水質汚濁防止対策、産業廃棄物処理対策、国定公園の管理、野生動物の保護と狩猟監視(希少・広域)
- 産業・経済:中小企業対策、地域産業対策、観光振興政策、農業振興政策、農地転用の許可、指定漁業の許可と漁業権免許
- 交通・通信:自動車運送や内航海運業等の許可、自動車登録検査、旅行業やホテル・旅館の登録
- 雇用・労働:職業紹介、職業訓練、労働相談、労働基準監督、安全衛生業務、雇用機会均等業務
- 安全・防災:危険物規制、大規模災害対策、広域防災計画の作成、武力攻撃事態等における避難指示等
- 福祉・健康:介護事業者の指定、重度障害者福祉施設の設置、高度医療、医療法人の設立認可、感染症対策
- 教育・文化:学校法人の認可、高校の設置認可、文化財の保護
- 市町村間の調整:市町村間の調整
(※上記のうち、太字の21項目が国から州政府へ委譲する権限)
[編集] 財源
三位一体の改革で国との折衝の際に、全国知事会は、道州制を施行する際に、8兆円を自主財源として移譲し、9兆円の補助金を削減する案を出している。
しかし、「移譲財源による税収増額-補助金削減額」の差額について、石井隆一・富山県知事は、南関東(1都2県+山梨県)が5200億円増なのに対して、北陸4県は1500億円減、九州7県は4600億円減になるという試算を出している[50][51]。
このため、財源に関しては、税収格差を是正するために、税収の多い道州から多めに国税を取って、それを税収の少ない道州に回すと同時に、使途を特定したいわゆる「紐付き」の補助金を、「紐抜き」の一般財源に転化する事が必要となる。これらを総称して「財政調整制度」と言い、財源の確保において重要な検討課題の一つとなっている。
この財政調整制度については、1県で単独の道州に移行すると思われる沖縄を中心に要望が上がっている。
主な制度には、 徴収と配分を、各道州の状況を見て国が主体となって行う「垂直型財政調整制度」と、全道州の協議を基にして道州が主体となって行う「水平型財政調整制度」の2種類がある。
また、「ふるさと納税制度」という案も、最近の議論の中では登場している。これは、他の道州の出身者が、現在居住する道州へ全額納税するのではなく、個人自らの出身道州や過去に居住していた道州に対して一部(3〜4割程度と、あくまでも現居住地への納税分を超えない範囲)を選択して納税できるという制度であり、2007年現在論議が行われている。
[編集] 州都(道都)
外国の州都(道都)を見ると、州都選定時に州内最大都市だったか、あるいは、権力者(王侯・豪商)が長年居住した都市が、そのまま州都になっている州が多い。ただし、その後の経済変化により、州都が経済的中心地ではなくなって最大都市から転落している州も存在する。また、州都選定時期が第二次大戦前である都市も多く、必ずしも民主主義的な過程を踏んで選定されたとは言えない。尚、政治的経済的理由から、州都を最大都市から小都市に「遷都」する例も見られる。
内国の州都選定の手続きの議論を見ると、民主主義的な手法である住民投票による必要性を抱えている道州では人口が多い最大都市が多数決で有利である。従って、多数決では州都を誘致できない地域が、東京遷都論や外国の遷都の実例を論拠として代表者の「話し合い」による合意形成に成功し州都を誘致しようと試みている。
議論の入り口では、カリフォルニア州における州都・サクラメント(現人口46万人)と最大都市・ロサンゼルス(現人口385万人)との関係を例に、「最大都市が州都として当然」という意見の否定論がなされることがある。しかし、カリフォルニア州の現・州都が選定された当時はサクラメントが約1万人、ロサンゼルスが約2千人と圧倒的にサクラメントの人口の方が多く、「州都が必ずしも発展するわけではない」との例になっても、「最大都市が州都として当然」という意見の否定論としては全く以って適切ではない。また、最も多い意見として、「その道州のほぼ中央で、陸上幹線交通網が通っている所(海運も考慮して、更に沿岸部)とすべし」という意見がある。これは、人口の重心や経済の重心よりも、地域バランスや現在の交通環境を重視した考えである。実際に、東海地方・中央高地・近畿地方では、これが大きな問題となっている(東海地方#地域間関係参照)が、新たに州内の高規格道路網や高速鉄道網を整備することで解決する可能性があり、理論武装として決定的とは言えない。
[編集] 首都機能移転問題との関係
東京都区部を、ソウル特別市やベルリン特別市と同様に一市単独の州とするか否かという議論の中で、関連して浮上する問題が、首都機能移転問題である。
東京都区部を外の地域と組み合わせて関東州(仮)や南関東州(仮)に入れたり、関東州(仮)や南関東州(仮)の州都を東京都区部に置くと、地方出身の議員を中心に、「東京一極集中の緩和」「地方への機能分散」などの観点から、国会や省庁などの中枢機能を外の地域へ遷すべきだという議論が再燃する可能性もある。
[編集] その他の都道府県再編構想
- 300基礎自治体構想
- 小沢一郎は、『日本改造計画』の中で、都道府県を300の基礎自治体に再編し、国-基礎自治体の二層構造にする構想を語っている。基礎自治体には大幅に権限を委譲し、新幹線や高速道路、大規模空港といった全国的な視野で配置を考えなければならないもの、警察、年金、基礎医療、基礎教育といった国民生活の根幹に関わる分野は国が直接行うとしている[52]。
- 榊原英資は同様の構想を「廃県置藩」として提唱している[53]。
[編集] 脚注
- ^ a b 2006年12月に成立した道州制特区推進法では、北海道と沖縄県を除いて「3県以上からなる地方ブロックの全県で構成」という道州の規模基準が、具体的に記載されている
- ^ 松本英昭監修、地方自治制度研究会編『道州制ハンドブック』ぎょうせい、2006年、110項
- ^ 長周新聞 (2002-07-06). "戦時国家作りの市町村合併 地方自治の形もなくす". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 日本海新聞 (2006-07-14). "「道州制」結論先送り 片山知事、北海道特区を批判". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 山陽新聞 2006年10月18日付記事
- ^ 山陽新聞 (2007-01-18). "全国知事会の主な発言 道州制". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 茨城新聞 2006年3月5日付2頁
- ^ 福島民友 2006年3月1日付1頁
- ^ 福島民報 2006年3月5日付5頁記事
- ^ 福島県議会議事録 2006年2月23日
- ^ 茨城新聞 2006年3月5日付2頁
- ^ 中日新聞、第23103号、中日新聞社、2007年1月1日、12版、3項。
- ^ 北海道開発局. "産業連関表による公共投資のフロー効果分析". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 北海道は道州制が施行されても「北海道」がなくなるわけではなく、単に権限が大きくなるだけなので、本州よりも道州制反対運動が少ない。
- ^ 日本地方自治研究学会 2006年8月27日
- ^ 東北経済連合会 (2007-09-10). "「2030年に向けた東北ビジョン」の策定について". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 河北新報. "河北新報 2007年9月11日付記事". 2007 閲覧。 要ユーザー登録
- ^ 「道州制」仙台市民の意識調査(東日本リサーチセンター)。ただし、調査対象の75%の市民が道州制に関心を持っておらず、道州制の認知度も「知らなかった」が55.9%で最も多く、「道州制の言葉だけは見聞きしたことがある」が29.9%と、枠組みの良し悪しの判断材料となる情報も浸透してない。
- ^ 北日本新聞社 県政世論調査賛成8.0%、どちらかといえば賛成12.9%、どちらかといえば反対23.4、反対18.8%、分からない31.9%、無回答5.0% 2007年8月に1200人を対象に調査
- ^ 福井新聞 2006年3月2日付記事
- ^ 福井新聞 2006年3月6日付記事
- ^ 「中部州」めざせ 中経連、道州制の具体像提言
- ^ 福井新聞 2007年1月19日付記事
- ^ 関西経済連合会「関西州(産業再生)特区構想」2004年6月30日。参加団体:関西経済連合会、関西経済同友会、関西経営者協会、京都商工会議所、大阪商工会議所、神戸商工会議所。
- ^ 日本経済新聞など 2007年9月22日付記事
- ^ 国土交通省 (2006-01-18). "国土交通省国土審議会 第4回圏域部会資料 2006年1月18日2頁PDF". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 読売新聞 2007年1月5日付記事より。
「関門特別市」を創設する意義について、「道州制の話もあり、新たな枠組みを議論する時期に来ている」と、末吉興一・北九州市長(当時)が発言し、「道州制で両市が分断されることに危機感を持っている」と、江島潔・下関市長も発言している。しかし、「下関が小倉に呑み込まれてしまう」と危惧する声も、とりわけ下関に根強く存在する。これらの詳細は関門通信 2007年2月28日付記事も参照すること。
なお、「熱論・合州国家日本」に掲載されている平松守彦・前大分県知事の「九州府」の区割り案は、関門海峡で線引きされている。 - ^ 長崎県庁 (2006-10-24). "九州地域戦略会議『道州制に関する答申』PDF". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 歴史的経緯は「琉球王国#歴史」を参照。
- ^ 日本海新聞 (2006-2-28). "やがて来る大波 -姿見せ始めた道州制-". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 福井新聞 2007年1月19日付記事
- ^ 平松守彦・大前研一、江口克彦 『「熱論」合州国家・日本』 PHP研究所、1998年。ISBN 4569602339。
- ^ 奥野誠亮著「都道府県合併促進論」より。
- ^ 道州制の必要性(地方分権の推進) 九州知事会 作成日不明 2008年3月7日閲覧
- ^ 森田朗 「【オピニオン】★道州制論議-見落とされた論点」『iJAMP』2006年5月31日、時事通信。
- ^ 北日本新聞 (2006-07-16). "道州制、石井知事に聞く". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 山陰中央新報 (2007-01-22). "論説 : 道州制の統一見解/知事会は住民の声を聴け". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 福島県庁 (2006-11-15). "福島県知事会見録". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 日本海新聞 (2006-07-14). "「道州制」結論先送り 片山知事、北海道特区を批判". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 松本英昭監修、地方自治制度研究会編『道州制ハンドブック』ぎょうせい、2006年、56項
- ^ 歴史的由来による差異が地方自治法施行以前にはあった。詳細は都道府県#戦前の都道府県を参照
- ^ 読売新聞 2007年4月17日付より。作家の猪瀬直樹は、特別区を「東京DC特区」とする構想を出している。
- ^ 関西経済連合会 (2004-06-30). "関西州(産業再生)特区構想". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 熊本県内から大牟田市への通勤・通学人口は、福岡県内他市町村からの通勤・通学人口を上回る(2000年国勢調査結果より)。
- ^ 茨城新聞 2006年3月5日付2頁
- ^ 国土交通省. "国土審議会第7回圏域部会配付資料-地方公共団体、経済団体からの意見聴取結果まとめ 2006年4月19日 1頁、10頁、20頁、27頁PDF". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 国土交通省. "国土交通省国土審議会 第4回圏域部会資料 2006年1月18日2頁PDF". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 国土交通省. "国土審議会第7回圏域部会配付資料-地方公共団体、経済団体からの意見聴取結果まとめ 2006年4月19日 1頁、10頁、20頁、27頁PDF". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 山陰中央新報 2007年9月27日付 「出先機関廃止にゼロ回答 省庁側『国の責任』主張」
- ^ 北日本新聞 (2006-07-16). "道州制、石井知事に聞く". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 北日本新聞 (2007-01-21). "財政力格差、拡大の恐れ 道州制導入で県試算". 2007年9月13日 閲覧。
- ^ 小沢一郎 『日本改造計画』 講談社(原著1993-05-20)、第5版、pp. 84-85。ISBN 4062064820。2008-12-22閲覧。
- ^ 榊原英資 (2008-10-15). "【正論】「この国のかたち」変えるには 早稲田大学教授・榊原英資" pp. 2-3. 産経新聞. 2008-12-22 閲覧。
[編集] 関連項目
- 行政区分
- 行政区画
- 中央集権 - 地方分権 - 連邦制 - 道州制
- 道 - 五畿七道
- 首都地域 - 省 - 州 - 準州
- 都道府県庁所在地 - 都
- 地方公共団体 - 地方自治法
- 東京一極集中 - 財政再建団体 - 県民経済計算
[編集] 参考文献
- 大野松茂『道州制 新生日本の国のかたち』マネジメント社、2005年、ISBN 4-8378-0436-5。
- ^ 奥野誠亮『都道府県合併促進論』(非売品)、1964年。
- 田村秀『道州制・連邦制 ―これまでの議論・これからの展望―』ぎょうせい、2004年、ISBN 4-324-07494-1。
- 松本英昭監修地方自治制度研究会編『道州制ハンドブック』ぎょうせい、2006年、ISBN 4-324-07998-6。
- 日本道州制研究会会報5、2007年、あかつき出版
- 牧島功+かながわ政治大学校『バイブル道州制 〜廃県置州への挑戦〜』2007年、サン・プリンティング・システム
[編集] 外部リンク
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