斉藤ウィリアム

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齋藤 ウィリアム 浩幸
William Hiroyuki Saito
William Hiroyuki Saito, 2008
生誕 1971年3月23日(43歳)
アメリカ カリフォルニア州ロサンゼルス
住居 東京日本
国籍 アメリカ日本
出身校 カリフォルニア大学リバーサイド校
著名な実績 情報セキュリティ生体認証起業活動、技術革新
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齋藤 ウィリアム 浩幸(サイトウ ウィリアム ヒロユキ、William Hiroyuki Saito、1971年3月23日 - )はアメリカの起業家

人物概要[編集]

アメリカ生まれ、アメリカ育ちの日系2世。小学生の頃から当時出始めたばかりのPCに興味を持ち、解体するも一日で元通りにするなどの逸話を持つ。コンピュータープログラミングのスキルを身につけ16歳でコンピューターに関する業務をスタート、飛び級で入学した大学で医学を学ぶ傍ら、自らIT技術者として暗号や生体認証の分野における研究開発を行い、アメリカおよび日本で特許を取得している。自らの事業をマイクロソフトに売却した後、2005年には日本に活動の本拠地を移し、日本だけでなく世界中のベンチャー企業のアドバイザリーをしながらベンチャー支援コンサルタントとして活動。企業がグローバルに認められ、革新的な技術がビジネスで成功するための助言を行いながら、資金援助を自らのコンサルティング会社インテカー(InTecur)で行っている。数多くの大学からイノベーションや新しいビジネスの立ち上げ方などについての講義依頼も多く、日本語と英語で発信できる斎藤は、国内外の様々なメディアで頻繁に自らの体験と考えを発信している。2012年には、日経ビジネス「次代を創る100人」に選ばれる。 2013年12月、内閣府本府参与(科学技術・IT戦略担当)に任命されている。

著書も出版している。自伝「An Unprogrammed Life: Adventures of an Incurable Entrepreneur」は2011年John Wiley & Sons Inc. により出版された。[1]日本語初の著書『ザ・チームーー日本の一番大きな問題を解く』が2012年10月、日経BP社から発売され、『その考え方は「世界標準」ですか?』が2013年12月に大和書房より出版された。

アメリカにおける若年期[編集]

1969年、齋藤の両親は日本からアメリカに移住し、ウィリアムはその2年後にカリフォルニア州ロサンゼルスで誕生した。父親は化学者、母親は獣医であり、齋藤に対して数学の教育を熱心に行った。小学生の時にはすでに、大学レベルの数学の問題を解き、学校に唯一あったコンピュータを使って作業をしていた。中学生の時点で、メリルリンチ、その他の会社のプログラムのコーディングの仕事を始めている。

パーソナル・コンピューターの将来性に着目し、高校の同級生であるタス・ディエネス(Tas Dienes)と共にアイオー・ソフトウェア(I/O Software)の名の下、ソフトウェアの開発と販売を始めた。通常よりも1年早く、1987年にダミアン高校 (Damien High School) を卒業し、カリフォルニア大学リバーサイド校(UCR)に入学、生体医科学の学位を取得した。


アメリカでの事業活動[編集]

1991年終わりにディエネスと共に大学在籍中にアイオー・ソフトウェア社(I/O Software, Inc.) を正式に設立した。最初の事務所はランチョ・クカモンガ (Rancho Cucamonga) に構えたが、後にカリフォルニア州リバーサイドに移転し、デジタル認証やPKI(公開鍵暗号)、電子商取引システムに使用される、先進的なユーザー認証および暗号化 (生体認証ICカード、セキュリティ・トークン等)に基づく情報セキュリティ・ソリューションの開発を手がける大企業に急成長した。

1992年にデータストーム・テクノロジー社 (Datastorm Technologies, Inc.) が日本市場への参入を計画した際、バイリンガルであることが強みとなった。彼らはアイオー・ソフトウェアに、自社の製品の1つを当時日本で最も普及していた NECのコンピューター上でも使用できるよう再プログラミングを依頼。シマンテック(Symantec)がデータストームを買収したときにも、ノートン・ユーティリティーズ (Norton Utilities) について同様の依頼を受けた。さらに、IBMの互換機に日本語を表示し、ポスト・スクリプト(PostScript)の印刷機で印刷する方法を編み出した。

その後登場するウィンドウズ用ソフトを含む様々なソフトウェア製品や書類の日本市場へ向けてのローカライズおよび翻訳の仕事を行った。アイオー・ソフトウェアは、同社の持つウィンドウズに関する知識を用いて、数々の日本のコンピュータ周辺機器製造会社に代わり、プリンター、スキャナー、カメラ、またその他の部品用のデバイス・ドライバーを開発した。

1995年にアイオー・ソフトウェアの最大の顧客である東芝がZVポートを使用した高速高画質のビデオカメラの新規格を開発した。アイオー・ソフトウェアは新規格の仕様に最適なデバイス・ドライバーを開発し、東芝のハードウェア開発に協力した。また、この過程で最初のウィンドウズ・ベースのビデオ会議アプリケーションを作った。このアプリケーションにソニーが強い関心を示したことで、アイオー・ソフトウェアの製品がソニーのビデオ会議システムのラインナップに加えられることになった。

その後、アイオー・ソフトウェアはソニーのために PC ベースの指紋認証システムを開発し、この製品は業界で多くの賞を受賞した。 齋藤はすべての製造会社が適応できる生体認証デバイスの共通プラットフォーム作成の重要性に気付き、1990年代後半にBAPIと呼ばれるシステムを開発した。

2000年5月、BAPIとその他アイオー・ソフトウェアの技術をウィンドウズ (Windows®) OSに組み込む契約交渉をマイクロソフトと行った。この技術のライセンス契約は最終的に世界で160以上の企業と結ばれ、米国規格協会 (ANSI) 及び国際標準化機構 (ISO) の規格となり、スミソニアン博物館の常設展示物に加えられた。 2004年12月、アイオー・ソフトウェアはマイクロソフトに買収された。

政府関連の役割[編集]

アメリカ同時多発テロ事件後、アメリカ国防省アメリカ連邦捜査局を初めその他の政府機関で、セキュリティ部門のアドバイザーを務め、安全保障の分野により深く関わるようになる。 特に、生体認証や暗号認証を含む情報セキュリティおよび、連邦内の境界および国境の警備を強化に携わり、アメリカ国防省の対テロ特別委員会、技術支援作業部会、アメリカ連邦捜査局の情報技術研究グループ、インフラ・ガード等に関わった。

齋藤はまた、米国規格協会国際標準化機構、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)などの役員を務めた。 学術分野においては2001年にカリフォルニア大学リバーサイド校の非常勤教授に就任した。

日本における活動[編集]

2004年にアイオー・ソフトウェアを売却後、2005年に日本に移住した。現在は東京から世界中のクライアントに対し、ビジネスとテクノロジーの分野でのアドバイスを行い、セキュリティや、起業家精神、ベンチャー企業に関して指導している。

専門家としての履歴[編集]

2006年初め、ジュリアーニ・パートナーズ(Giuliani Partners)グループの最高技術責任者、また、子会社であるジュリアーニ・セキュリティ・アンド・セーフティ・アジア(Giuliani Security and Safety Asia (GSSA))の共同会長および最高経営責任者に就任した。

2007年10月、活動の拠点となるコンサルティング会社インテカー (InTecur) を設立した。 インテカーは、情報・通信技術および IT セキュリティ等の分野における革新的な技術の適切な用途と市場を見つけ、開拓するための支援を企業に提供している。また、既存の技術を世界中の新たなる市場に適応するよう調整し、経済変動に企業が対応できるよう支援も行っている。

学会や他の企業での役割[編集]

斎藤は現在多くの時間を執筆と教育活動に充てており、現在は、東京農工大学情報工学科の客員教授を務めている。他に、東京大学で客員講師、政策研究大学院大学で客員研究員を兼任していた他、慶應義塾大学でも革新に関する講義を行っていた。また、産業技術総合研究所では情報セキュリティ研究センター客員研究員、ベンチャー開発部顧問を務めていた。

さらに、企業の持続的な成長を目指す上での長期的なリスクに関して、顧客企業およびその主要ステークホルダーを支援するコンサルティング会社、株式会社経営共創基盤のアドバイザーを務めていた。

日本における起業家精神の構築を目指し、イノベーション・プラットフォーム・テクノロジー基金 (IPTF、Innovation Platform Technology Fund) の最高経営責任者としても活動していた。これは、ソニーの元最高経営責任者である出井伸之と株式会社産業再生機構 (IRCJ) の前最高業務責任者である冨山和彦が設立したベンチャー・キャピタル・ファンドである。IPTF はベンチャーに適した環境を作り、世界的規模で成功できる日本のベンチャー企業を生み出すことを目指している。

日本政府における活動[編集]

2011年12月、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(NAIIC)では、ITなどのインフラ設備構築を引き受け、手腕を発揮した。この委員会は日本の現代史上初となる、国会により法的に災害の調査を任命された独立委員会であり、福島第一原子力発電所事故を中立的な立場から調査し、科学的に事実を証明することを目的としている。

2012年1月、内閣総理大臣直属の機関であり、各省庁間の計画や調整を推進するための司令塔となる国家戦略室の委員に任命された。

2013年12月より、内閣府本府参与(科学技術・IT戦略担当)に任命されている。

公的役割[編集]

世界経済フォーラム[編集]

斎藤は世界経済フォーラム (WEF) でいくつかの役割を担っている。2011年、ヤング・グローバル・リーダー[2]に選出され、グローバル・アジェンダ・カウンシル として特に女性のエンパワーメントに焦点を当てる委員会の委員、そしてグローバル・シェイパーズ・コミュニティ (GSC) 日本ハブの創設責任者に指名された[3]。このコミュニティは、個人、コミュニティ、世界を結びつけ、若者に未来を形作るためのグローバルなプラットフォームを提供することを目的としている。2012年1月、世界経済フォーラムのボード・メンバーに任命された。

その他の公的役割[編集]

アメリカでアーンスト・アンド・ヤングのアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー賞の審査員及び審査委員長を (1999−2004)、モンテカルロで行われた 2007 年の世界プログラムでは審査員を務めた。日本では同プログラム開始以来、2010年まで審査員を務めた。さらに、世界中で行われるいくつかの同様のコンペティションにおいても審査員としての役割を担っている。

また、数々世界中の基調講演者、パネリストおよびモデレーターを務めている。斎藤の発言は頻繁にニューズウィークウォール・ストリート・ジャーナルジャパン・タイムズや他の多くの日本の新聞で引用されている。また、CNN、BBC、ナショナル・パブリック・ラジオ (NPR)、テレビ東京NHKなど数々の局の政治・経済番組に出演、またインタビューを受けている。

社会貢献[編集]

「ボランティア精神」の熱烈な支持者であり、学生の留学支援、またすべての恵まれない人々の支援を使命としている。アメリカと日本の慈善団体やコミュニティベースの団体を支援し、いくつかの団体の役員も務めている。

引用[編集]

参考文献[編集]

  1. William Saito biography. http://www.hspig.org/hspig-board-bios-wsaito.htm 2009年5月22日閲覧。. 
  2. Riverside Technology CEO Forum, CEO Profile. http://www.smartriverside.com/pdfs/CEOforum.pdf 2009年5月22日閲覧。. 
  3. Future in Review, William Saito. http://www.futureinreview.com/participants.php?galleryid=3735 2009年5月22日閲覧。. 
  4. William Saito Homepage. http://www.saitohome.com/ 2009年5月22日閲覧。. 
  5. Requirements and Analysis The Biometric API Standard The Path to Biometric Standardization. (2002-06). http://www.iosoftware.com/Documents/The%20Biometric%20Standard.pdf 2009年5月22日閲覧。. 
  6. I/O Software SecureSuite Software and Sony FIU-710 Fingerprint Reader Combo Receives PC Magazine Editors' Choice Award. http://www.iosoftware.com/pages/news/news%20releases/viewrelease.asp?ID=28 2009年5月22日閲覧。. 
  7. Windows Biometric Framework Windows Biometric Framework. http://www.microsoft.com/whdc/device/input/smartcard/WBFIntro.mspx Windows Biometric Framework 2009年5月22日閲覧。. 
  8. Microsoft and I/O Software Strengthen Industry Adoption of Biometrics. http://www.iosoftware.com/pages/news/news%20releases/viewrelease.asp?ID=18 2009年5月22日閲覧。. 
  9. Stephanie Miles (2000-05-02). “Microsoft eyes new security for Windows”. CNET News. http://news.cnet.com/Microsoft-eyes-new-security-for-Windows/2100-1040_3-239960.html%20 2009年5月22日閲覧。. 
  10. International Biometric Group. http://www.biometricgroup.com/ 2009年5月22日閲覧。. 
  11. Business Editors (2000-10-09). “Ethentica Fingerprint Authentication Solutions Primed for Microsoft Biometrics Endorsement”. BUSINESS WIRE. http://www.thefreelibrary.com/Ethentica+Fingerprint+Authentication+Solutions+Primed+for+Microsoft...-a065834902 2009年5月22日閲覧。. 
  12. Jathon Sapsford (2000-05-02). “Microsoft to Use 'Biometric' Tools To Bolster Security for Windows”. The Wall Street Journal. http://online.wsj.com/article/SB957215790509736611.html 2009年6月15日閲覧。. 

外部リンク[編集]