教養学部

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教養学部(きょうようがくぶ)とは、人文科学自然科学社会科学の諸科学にまたがる分野の教育研究を行う、大学における学部の一形態である。(1〜2年次の一般教養課程である「教養部」とは異なる組織であり、そちらは教養課程と専門課程を参照のこと。)

概要[編集]

教養学部は特定の学問の枠にとどまらず、人文科学・自然科学・社会科学の領域を広く横断的に取り扱う学部である。特徴として一般にリベラル・アーツ文理融合を標榜している場合が多い。学際的な研究もなされるが、課程において必ずしも学際的な分野を専攻するというわけではない。

教養学部は、第二次世界大戦後の学制改革を機に設置された学部である。その流れは2つあり、旧制第一高等学校の戦前教養主義的伝統を継ぐ東京大学駒場キャンパスと、米国型リベラルアーツ・カレッジとして創設された国際基督教大学が代表的である。いずれも人文科学・自然科学・社会科学の各分野を、基礎分野と学際分野の両面から、教養主義的な伝統を保ちつつ総合的・横断的にカバーしている。

一方で、特定の学際及び専門分野を中心にするケースもある。埼玉大学は、主に人文科学・社会科学の学際分野をベースにしている。また東海大学は人間環境学科・芸術学科・国際学科の3学科、東北学院大学では人間科学科・言語文化学科・情報科学科・地域構想学科の4学科から構成されているように、特定の学際分野と並び、一般的に他学部に属する専攻課程を教養学部内に置くケースもある。

歴史[編集]

日本では学制改革ののち、学部(学部以外の教育研究上の基本となる組織を含む)の課程のうち、最初の2年間について一般教育を行う教員組織(学生は所属しない)を教養部としてきた。この歴史的な起源は第二次世界大戦前までさかのぼって旧制高等学校に見いだすことができるだろう。しかし学校教育法昭和22年法律第26号)では第53条などで学部に関する規定があるのに対して教養部に関する規定はなかったため、多くの大学では教養部は便宜的な組織と捉えられて大学の管理・運営上では比較的重視されなかった[1]。これに対して、以下の二大学では教養学部を軸とする運営がなされている。

教養学部を設置する大学[編集]

東京大学では、旧制第一高校旧制東京高校を母体に1949年教養学部を設けている。入学したすべての学生は、前期課程として2年以上教養学部に所属して一般教育を受ける。その後、教養学部を含む各学部の後期課程に進学して専門教育を受ける。募集人員は学部学科別に分類されておらず、主な進学先学部別に科類が文科・理科の一、二、三類の6つに分類されている。

教養学部の後期課程には6学科が存在し、またこれに接続する大学院総合文化研究科にも5専攻が設置されている。これらの組織では現代思想文化人類学地域研究国際関係論数理科学物質科学生命科学科学史科学哲学など、多岐にわたる基礎分野及び学際的分野からなる教育研究が行われている。一方で学生はいずれかの学科・専攻に所属しており、こうした明確な区分を有する形式は旧制大学の特徴を踏襲している。他大学における学際系学部なども、学科の組織構造がこの特徴に準ずることが多い。

教養学部のみの大学[編集]

1953年には国際基督教大学 (ICU) が教養学部のみを置いて創設された。こちらは東京大学教養学部とは異なり、アメリカの伝統的な高等教育機関であるリベラルアーツ・カレッジの形式を取っている。リベラルアーツ・カレッジは日本の学士課程のように学科を持たず、専攻を履修計画に応じて決定する。

国際基督教大学の構想段階では学部学科を作る予定はなかったが、設置当時の学校教育法及び大学設置基準では学部の設置及び学科区分を明確にする必要があったため、便宜的に設けたという背景がある。開学当初は人文科学・自然科学・社会科学の文理3学科を設置し、後に6学科に分化されたが、いずれの学科に関係なく履修計画を策定することも可能であり、専攻の学問的自由度の高さを特徴づけていた。この体制は2008年4月よりアーツ・サイエンス学科1学科による32専攻体制へと統合され、複数のモデルケースからより自由に専攻を選択できる制度が整った。

近年の動向[編集]

各大学では、教養学部に類する構造を持つ学部を設置する動きが目立っている。学際分野や基礎分野を広くカバーする学部として、総合科学部総合人間学部国際教養学部が挙げられる。

1991年より、大学設置基準昭和31年文部省令第28号)の大綱化政策が実施され、一般教育科目・専門教育科目などの科目区分規定の削除や、分野ごとの科目必修制の廃止など、学士の課程(学部など)の教育が各大学の裁量にゆだねられることになった。

この大綱化に先んじて1974年教養部から改組された広島大学総合科学部を範として、教養部を新しい学部・研究科として設置し[2]、あるいは教養部に所属する教員を既存の学部・研究科に配置換えし、基礎・学際系学部の設置が教養部の発展的な廃止を通じて行われている。

この他、2004年に公立大学法人の国際教養大学が発足したことを皮切りに、同年早稲田大学が従来の国際部(留学生別科)を改組、2006年に上智大学が比較文化学部を改組する等、国際教養学部を設置する動きが目立っている。

教養学部を置く大学[編集]

人文科学・自然科学・社会科学を総合的にカバーする大学[編集]

国立大学
私立大学

特定の学際及び専門分野を中心とする大学[編集]

国立大学
私立大学


放送大学学園法に基づく「特別な学校法人」[編集]

教養学部を置いていた大学[編集]

国立大学
私立大学

教養学部に類する学部を置く大学[編集]

リベラル・アーツ教育を行う大学を参照

国際教養学部については国際教養学部#国際教養学部を置く大学の項を参照

国立大学
公立大学
私立大学

脚注[編集]

  1. ^ ただし、国立学校設置法昭和24年法律第150号、2004年4月1日廃止〕の第3条第3項などには規定されていた。
  2. ^ 宇都宮大学国際学部岐阜大学地域科学部静岡大学情報学部名古屋大学情報文化学部京都大学総合人間学部神戸大学国際文化学部岡山大学環境理工学部長崎大学環境科学部など。

関連項目[編集]