教会史

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教会史(きょうかいし、英語: Church Historyドイツ語: Kirchengeschichte)は、キリスト教歴史を今後の教会形成と教会観の確立のための視点で研究する神学の一部門。それに対してキリスト教史キリスト教思想史はキリスト教の歴史を宗教史文化史精神史の視点から考察して研究する学問。

定義[編集]

  • ローマ・カトリックにおいては、J・ロルツら古典的な学者によっては、教会はキリストの贖罪の業を終末まで保つために組織された救世主の神秘体であるとして、教会史は歴史学と似ているが、自然科学とは本質を異にしている、啓示の原理で学ばれるものであると定義されており、キリスト教史とは異なると定義されている。しかし、近年の学者H・イェーデンらは、教会史を固定した教会観から考察する事と批判して、一般史学の実証科学的方法を用いて教会を研究する神学部門であると定義している。
  • プロテスタントにおいては、F・C・バウアは教会史を一概念の弁証的展開の歴史と見て、ヘーゲルの歴史的観念を反省させた。H・ボルンカムは世界における福音の感化の歴史を捉えた。G・エーベリングは教会史を聖書解釈の歴史であると捉えた。K・D・シュミットは教会史とは活動を続けているキリストの歴史であると捉えた。

歴史[編集]

古代[編集]

中世[編集]

宗教改革[編集]

  • フラキウス・イリリクスは宗教改革期における論争のために『教会史』を著した。
  • カトリックでは、バロニウスが12世紀までの教会史を論述して『教会年代記』を著した。
  • 「近代教会史の父」と呼ばれるJ・L・フォン・モースハイムは、教会史を教派間の葛藤から解放して、教義や制度などを歴史学的に確立した。

近代[編集]

現代[編集]

  • アメリカではP・シャッフやW・ウォーカーの『教会史』がよく読まれる。

参考文献[編集]

  • 『キリスト教辞典』いのちのことば社、1991年