擦過傷

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

擦過傷(さっかしょう)とは創傷の一種で、擦りむいてできた傷、いわゆる擦り傷の事。

摩擦による損傷で、表皮のレベルまでしか達していないものをいう。

手当て[編集]

擦過傷の場合には、などの異物が傷口に付着し、感染源となる場合が多いため、まず水道水でよく洗うことが必要である。

特に破傷風感染の観点からは、大量の水で土などを完全に洗い流す事が必要であり、擦過傷であっても受傷面積が広い場合は外科医の受診が必須である。受傷面上で消毒液により破傷風の芽胞を滅菌することはできない。(後述)

また化膿の防止の観点からも、創傷治療において、かつては消毒液を塗布するべきとする考えが主流であった。しかしこの方法で消毒をすると、消毒液は体液のタンパク質との反応や希釈によって速やかに細菌を殺すのに必要な濃度を維持できなくなる一方、その濃度でも白血球リンパ球など免疫に預かる細胞群や、組織再生の基盤となる真皮の結合組織、傷口を被覆しようとする上皮細胞など皮膚の再生に必要な細胞群は容易に殺すため、傷口内に消毒液を入れない方法が国際的にも推奨されつつある。[要出典]傷の状況によっては医師の判断で化膿を防止するための抗生物質を投与する必要もある。

また、かつては傷は乾燥させてかさぶたができた方が早く治ると言われたが、組織再建に与る細胞群を乾燥死させるダメージのほうが大きく、実際には傷口を湿潤状態に保つ創傷被覆材を1日2~3回貼り替えて傷が乾かないようにした方が創傷面が速やかに上皮細胞のシートで覆われ、早く治るうえに傷跡があまり残らないとする考え方が臨床現場で普及しつつある。そのため、日本では2000年代に入ってガーゼのような創傷面を乾燥させる被覆材を用いるのではなく、アルギン酸被覆材のような乾燥させない被覆材による湿潤療法を実践する医師が増加しつつある。