撞着語法

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撞着語法(どうちゃくごほう、英語: oxymoron)とは、修辞技法のひとつ。「賢明な愚者」「明るい闇」など、通常は互いに矛盾していると考えられる複数の表現を含む表現のことを指す。形容詞や連体修飾語、句、節などが、修飾される名詞と矛盾することとしては、形容矛盾(けいようむじゅん)とも言う。集合論論理学的には、「Aであって、かつ、not A」であるということはありえない(矛盾律)のにもかかわらず、そうであるかのように語ることである。狭い見方をすればつじつまがあわず、単なる誤謬にすぎないように見えるが、複雑な内容を簡潔に表現する修辞法として用いられている場合もある。

撞着語法の例[編集]

一目瞭然の撞着語法[編集]

ひねった撞着語法[編集]

基本的な撞着語法においては、前述のとおり集合論的に矛盾した表現を指していう。 一方、文化や偏見といった前提となる価値観の下でのみ成立する撞着語法に類した表現も可能となる。

  • 明るい数学青年
「数学青年は暗い」という前提の下においてのみ、明るい“暗い人”という形容矛盾が成立する。
  • 映画女優
「映画の出演者は演技力よりも外見が重視される」「女優とは演技の巧い人であり外見に依らない」という前提においてのみ成立する。
  • 優しい悪魔
「悪魔とは優しくないものである」との前提。悪魔という語自体が表現的であるため、前提がないと成立しない。
  • 誠実な政治家
しばしばジョークに使われるが、「政治家は不誠実なものである」という前提がないと成立しない。

撞着語法の効果[編集]

撞着語法を用いて、受け手に強い違和感を与えることで、言及している内容への興味を誘引したりすることができる。 また、敢えて矛盾した語を以って対象を説明することにより、対象への皮肉としての効果をもつ場合がある。 一方で、一見「深い意味や含蓄のある」ように見えて、内容の伴わない単なる言葉遊びに終始してしまう恐れがあるため、注意が必要である。

関連項目[編集]