手押し車

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手押し車
手押し車

手押し車(ておしぐるま)は手押し式の運搬台車。山道や畑や工事現場などで農作物や資材を運ぶのに利用される。道路交通法上は軽車両に分類されている。リヤカーとは使用する向きが逆であり、構造も異なる。発祥は古代中国の木製のものだといわれている。

手車(てぐるま)ともいう。ドイツでは手押し車を俗にKipp-Japaner (日本人) と呼ぶ。 

1輪[編集]

車輪が1つのものは孤輪車(こりんしゃ)[1]または一輪運搬車[2]という。また、単に一輪車ともいうが、乗車遊具の一輪車と区別するため工事用(こうじよう)あるいは農作業用(のうさぎょう)一輪車と呼ぶこともある。さらに、猫車(ねこぐるま)、(ねこ)とも呼ばれる。理由としては、のように狭いところに入ることが出来ることから来ているという説もあれば、また猫のようにゴロゴロと音を立てることを起因するとする説、裏返した姿が猫の丸まっている姿に似ているからとする説もある。

構造[編集]

車体の前部には車輪が、後部には取っ手があり、これを押すことで前方に進む。近年主流の後部開放式ラダーフレームはおもに薄肉鋼管で出来ているが、アルミニウム管を使ったものもある。U字に車輪を取り巻くように曲げた鋼管で、荷台枠兼フレームの前方寄り下部に車輪を設置している。取っ手と車輪の間の下部には、薄肉鋼管やL字鋼製の固定式スタンドがある。

山間地や下りの急勾配での運搬作業用として、自転車の後輪についているようなバンドブレーキを装備し、そのレバーが右左どちらかの取っ手に付いているものもある。

タイヤゴムのチューブ式のものが多いが、過酷な使用や屋外への放置でのパンクが多いため、近年ではノーパンクタイヤを装備したものもある。

荷台は、一般型は1m程度四方深さ30cm程度の鋼板プレス製のものが取り付けられ、蝶ねじ1本で留められているため工具がなくとも取り外しができる。荷台の大きさは、一才や二才といった表示(一才は1立方尺、約0.027826㎥)で区別される。工事現場でよく見かけるものは、砂やセメントを運ぶのに適した深底になっている。こちらはやや肉厚の鋼板で、取り外しは考えられていない。

二輪以上を装備する荷車に比べると直立安定性は悪いため、不慣れな場合にはひっくり返すこともよくあるが、車幅よりも狭い足場を通すことができたり、車輪を中心にしてその場で方向転換できる、進行方向に対して左右に傾斜している場所でも車体の水平を保つことができるなど取り回しの自由度が高いため、熟練すれば二車以上の荷車よりはるかに便利に使える。

2輪以上[編集]

工事用1輪車の2輪版は、1輪車よりも広く平らな荷台を備えるが、特に積載安定性は高くなく、悪路走破性はむしろ悪いため、1輪車ほどには普及していない。

「手押し車」と言えば、幼児用の4輪うば車をさすことがある。美しい模様に編み上げられた長方形の籐かごの下に、多くのコイルスプリングが備えられ、台車の四隅に幼児用3輪車のような車輪がつき、押し手がつく。車輪にはめっきスチールフェンダーと赤色反射器がつくものもある。子守を終了した老人が、その延長で軽量荷車や杖がわりに使用し続ける場合もあるが、近年うば車自体がベビーカーに取って代わり、老人専用の椅子付手押し車(シルバーカー)が一時主流となった。それも電動老人車(シニアカー)の普及で徐々に見かけなくなってきた。また、漫画子連れ狼の仕込み手押し車は映画やテレビドラマ化もされ、最もメディアに登場した手押し車といえる。NHKドラマおしんにも類似品が登場していた。

脚注[編集]

  1. ^ この名称は国税庁の「収支内訳書(農業所得用)の書き方」にある「主な減価償却資産の耐用年数表」の「運搬用機具」の欄の例示に用いられている名称である。参考として収支内訳書(農業所得用)の書き方7ページ参照
  2. ^ 意匠分類定義カード(G2) 特許庁

関連項目[編集]