手塚治虫の旧約聖書物語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
手塚治虫の旧約聖書物語
ジャンル 旧約聖書
漫画
作者 手塚治虫
手塚プロダクション(企画・原案)
出版社 集英社
発売日 1994年4月20日 - 1994年9月19日
巻数 全3巻
アニメ
原作 手塚治虫
監督 出崎統
シリーズ構成 手塚治虫
キャラクターデザイン 手塚治虫、瀬谷新二
アニメーション制作 手塚プロダクション
製作 日本テレビRAI
放送局 WOWOW
放送期間 1997年4月1日 - 5月9日
話数 全26話
テンプレート - ノート
ウィキプロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメ

手塚治虫の旧約聖書物語』(てづかおさむのきゅうやくせいしょものがたり)は、日本イタリアの合作によるテレビアニメ作品。

旧約聖書のアニメ化であり、『青いブリンク』『ジャングル大帝』『森の伝説』と並ぶアニメにおける手塚治虫の遺作の一つである[1][2]。アニメ制作は手塚プロダクションが手掛けた。

概要[編集]

企画の発端は、日本テレビの岡田晋吉プロデューサーが大林宣彦の監督で天正遣欧少年使節を映画化しようと、ヨーロッパでの共同製作の相手を探しており、来日していたイタリアの国営放送協会RAIの幹部に打診したところ、逆にRAIは、旧約聖書の世界を手塚治虫によるアニメで表現するという企画を持ちかけられたことに始まる[3]。RAIは日本テレビの24時間テレビアニメの輸入放映の実績があり、手塚アニメの認知度はイタリアでも高かった。最初手塚は日本のクリスチャンでもない自分が聖書をアニメ化して問題ないのかと躊躇したが、RAI側が手塚のアニメ技術を信頼しているので個人の思想による自由な解釈で構わないとしたことで、手塚も快諾した[4]。RAIと日本テレビ放送網との共同製作となり、手塚は全体の構成と製作総指揮のスタッフに就任し、1984年11月16日に製作発表がなされ、実際のアニメ制作は手塚プロダクションが担当する形でスタートした[5]

キリスト教の入門の役割を担い、全世界での放映を前提に製作が進められた[2]。1985年には手塚治虫のマンガ家生活40周年記念事業の一環として、『火の鳥』ミュージカル化や『ファウスト』の劇場版アニメ映画化とともに打ち出された[6]。1987年時点の手塚治虫は、翌年秋から欧米で放送されるだろうと見通しを語っていた[7]。日本とイタリアとの共同製作ということもあり、世界放映を目指して入念なチェックがなされ、国の違いによる時代考証の問題や解釈の違いもあって製作は難航。聖書という素材のため資金が集まらない日本側の事情からも製作は遅延して、パイロットフィルムの完成までに2年。全26話の完成までに9年の時間を要した。その間の1989年に手塚は死去。生前に完成したフィルムは第4話までで、そのうち第3話はパイロットフィルムの流用である、手塚の死去後は出崎統が引き継いで完成させた。初号は英語版のため日本語版を製作するのにさらに数年を要している[2][3][4][5]

日本の通常のテレビアニメの倍以上のセル画枚数となる1万枚が使われ、RAIとともに作品の全権利を取得した日本テレビは通常のアニメの4倍から5倍の出資をした。RAI側がヨーロッパでの権利を、日本テレビ側がそれ以外の地域での権利を握って番組販売していくこととなり、1996年時点でアメリカへビデオ化権が売れたという[8]。しかしキリスト教になじみの薄い日本では、ビデオ販売こそそこそこと健闘したものの、製作した当の日本テレビでは放送を見送って、1997年にWOWOWで放送される形で苦戦した。自身がキリスト教徒というプロデューサーの岡田晋吉は、内容的にはかなり面白いものになったのにと残念がり、新約聖書にも挑みたいと抱負を語っていた手塚の遺志を継ぎたいと2003年に出版した自著で語っている[3]

(米国ニューヨークでは1990年頃には放送されていたようである。視聴者からの意見として多くのキャラクターの鼻の描かれ方がユダヤ人を揶揄するものではないかなどの質問批判が出ていたりもした。)[要出典]

登場人物[編集]

アダム
- 有本欽隆
エバ
声 - 寺内よりえ
カイン
声 - 北川勝博
アべル
声 - 宮本充
ノア
声 - 藤本譲
ノア夫人
声 - 斉藤昌
セム
声 - 仁内達之
ハム
声 - 稲葉実
ヤペテ
声 - 柏倉ツトム
レベッカ
声 - 佐々木優子
セムの妻。
長老
声 - 笹岡繁蔵
大洪水で沈んだ悪行者たちのリーダー。
アサフ
声 - 阪口大助(クレジットでは"阪口大介"と表記)
第4話での主人公的少年。
アブラハム
声 - 加藤精三
サラ
声 - 翠準子
イサク
声 - 岩永哲哉
ハガル
声 - 土井美加
イシュマル
声 - まるたまり(幼年期)、鳥海勝美(少年期)
ロト
声 - 仲木隆司
ロトの妻
声 - 久保田民絵
アビメレク
声 - 石塚運昇
モーセ
声 - 玄田哲章(成人期)、猪野学(幼年期)
ファラオ(モーセの義理の親)
声 - 岡部政明
新しいファラオ
声 - 渡部猛
ヨシュア
声 - 中田譲治
ベルシャツァル
声 - 青野武
ネブカドレツァル
声 - 大友龍三郎
エプス王
声 - 仲野裕
サムエル
声 - 山内雅人
サウル
声 - 土師孝也
ダビデ(幼年期)
声 - 結城比呂
ダビデ、キュロス王
声 - 石塚運昇
ヒラム
声 - 田原アルノ
ヨセフ
声 - 平田広明
マリア
声 - 天野由梨
神の使い
声 - 速水奨梁瀬哲
声 - 柴田秀勝
ロコ、ミミ
声 - 田中真弓くまいもとこ
オリジナルキャラクター。シリーズ全体に渡って現れる子狐。
ナレーション:久米明

スタッフ[編集]

日本国内放映[編集]

1997年4月1日から1997年5月9日までにWOWOWにて放送された。全26話。また、1997年に東芝デジタルフロンティアよりDVD全9巻が発売されている。各巻3話収録。

各話リスト[編集]

話数 放送日 サブタイトル 脚本 作画監督
第1話 1997年
4月1日
天地創造 手塚プロダクション 吉村昌輝
杉野昭夫
小林準治
しまだひであき
第2話 4月2日 カインとアベル
第3話 4月3日 ノアの箱舟
第4話 4月4日 バベルの塔
第5話 4月7日 父アブラハム
第6話 4月8日 ソドムとゴモラ
第7話 4月9日 イサクとイシュマエル
第8話 4月10日 アブラハム、イサクを捧げる
第9話 4月11日 ヨセフの夢占い
第10話 4月14日 ヤコブ一族の再会
第11話 4月15日 モーセの誕生
第12話 4月16日 砂漠の火
第13話 4月17日 モーセとファラオ
第14話 4月18日 エジプト脱出
第15話 4月21日 十戒
第16話 4月22日 イスラエルの裏切り
第17話 4月23日 約束の地
第18話 4月24日 エリコ
第19話 4月25日 初めての王サウル
第20話 4月28日 サウルの敗北
第21話 4月30日 ダビデ王
第22話 5月1日 ソロモンの王国
第23話 5月2日 バビロン捕囚
第24話 5月6日 奴隷からの解放
第25話 5月7日 砂漠の預言者たち
第26話 5月9日 イエスの誕生

単行本[編集]

テレビアニメのフィルムを漫画のようにコマ割りして台詞のふきだしオノマトペをつけたもので、いわゆるフィルムコミックである。1994年に全3巻で集英社より発売されている。

愛蔵版
  • 『手塚治虫の旧約聖書物語 1 - 天地創造』(集英社、1994年4月20日発売) ISBN 4-08781-101-8
  • 『手塚治虫の旧約聖書物語 2 - 十戒』(集英社、1994年6月17日発売) ISBN 4-08781-102-6
  • 『手塚治虫の旧約聖書物語 3 - イエスの誕生』(集英社、1994年9月19日発売) ISBN 4-08781-103-4
普及版
  • 『手塚治虫の旧約聖書物語 1 - 天地創造』(集英社、1996年11月26日発売) ISBN 4-08781-122-0
  • 『手塚治虫の旧約聖書物語 2 - 十戒』(集英社、1996年11月26日発売) ISBN 4-08781-123-9
  • 『手塚治虫の旧約聖書物語 3 - イエスの誕生』(集英社、1996年11月26日発売) ISBN 4-08781-124-7
文庫版
  • 『手塚治虫の旧約聖書物語 1 - 天地創造』(集英社、1999年9月17日発売) ISBN 4-08747-106-3
  • 『手塚治虫の旧約聖書物語 2 - 十戒』(集英社、1999年10月20日発売) ISBN 4-08747-117-9
  • 『手塚治虫の旧約聖書物語 3 - イエスの誕生』(集英社、1999年11月19日発売) ISBN 4-08747-129-2

出典[編集]

  1. ^ 『テレビ夢50年 番組編6 1996-2003』日本テレビ放送網、2004年、p.43
  2. ^ a b c 「哀悼特集 手塚治虫が遺した最後のアニメ」『アニメディア』1989年5月号、pp.109-111
  3. ^ a b c 岡田晋吉『青春ドラマ夢伝説 あるプロデューサーのテレビ青春日誌』日本テレビ放送網、2003年、pp.208-211
  4. ^ a b 手塚治虫「おんぼろバイブル」『観たり撮ったり映したり 増補・改定愛蔵版』キネマ旬報社、1995年、pp.218-222
  5. ^ a b 『手塚治虫劇場 手塚アニメーションフィルモグラフィー』手塚プロダクション、1991年第2版、p.92
  6. ^ 月刊OUT』1985年3月号、p.87
  7. ^ 手塚治虫「アニメーションの魅力」『手塚治虫漫画全集 387 別巻5 手塚治虫エッセイ集2』講談社、1996年、p.191
  8. ^ 津田浩司「国境を越える日本映像ビジネスの現状」『創』1996年2月号、p.54