成層圏飛行船

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

成層圏飛行船(せいそうけんひこうせん、Stratospheric airship)とは地上20km前後の高空を飛行する無人飛行船のこと。21世紀初頭の現在、世界中のさまざまな機関が開発中であるがまだ研究段階であり実用の機体は存在しない。

2万mの高空に半径1km程度の誤差のほぼ定点で、長期に渡って留まる飛行船の利用価値は高いと考えられるため以前から実現の可能性が検討されてきたが、技術的課題克服の見通しが見えてきた2008年現在、実用に向けた研究の進展が期待される新たな技術分野である。

想定用途[編集]

  • 無線中継(TV、携帯電話、データ通信)
  • 地球観測(地質調査、地震対策、気象観測、陸上と海上の自然環境調査)
  • 管制(航空管制、船舶管制、高制度GPS)
  • 軍事(偵察、ミサイル等の対空防衛、指揮命令の中継)

利点[編集]

  • 定点
  • 常時性
    • 24時間365日いつでも利用できる 低軌道人工衛星では周回を待つ必要がありソーラープレーンでは頭上からいなくなる
  • 高度
    • 衛星軌道よりかなり低いため、通信の遅延短縮や光学撮影画像の解像度向上
    • 地上付近での雨風といった気象の影響を受けない
  • 費用
    • 製造コストと打ち上げ費用の両面で人工衛星より低価格が期待できる。
  • 管制
    • 水平飛行するソーラープレーンでは航空管制に注意が求められる

課題[編集]

浮力と重量
成層圏では空気が薄く0.3~0.01気圧程度でしかないため、高度20km付近では浮力が地上の1/14程になる。非常に大きな気嚢とごく軽い船体が求められる。
気流
上空の一点に留まるには最大風速40~60m/sの気流に逆らう必要がある。10km(又は11km)~50kmが成層圏であるが、20km付近が気流が安定しているため選ばれている。
電力
推進力以外にも、多くの搭載機器への電力供給が求められる。今の技術では柔軟な気嚢による軟式構造船体と太陽電池パネルは相性が悪い。
気圧差
気嚢は成層圏では大きく膨らむため、上空での浮力確保の為の大きな気嚢と地上でのしぼんだ気嚢という全く異なる形状を1つの船体で実現することが求められる。
温度
0℃~-70℃の低温と、太陽光の直射による温度上昇にも耐えなければならない。
赤外線と紫外線
雲を含む大気層の遮蔽が弱いため、赤外線と強い紫外線に常時さらされる。
無人制御
自律飛行が求められ、軽度な障害においても独立して解決できなければならない。

技術[編集]

2008年現在の実現されつつあり利用される予定の技術を示す。

  • 太陽電池と再生型燃料電池・二次電池による発電
  • ポリアクリレート系の軽く強靭な繊維を気球膜材に採用して軟式構造の船体とする
  • コンピュータ・プログラムによる自律飛行制御

研究[編集]

日本での研究[編集]

日本では成層圏プラットフォームのひとつとして、同計画の一部として研究開発が進められている。

海外での研究[編集]

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]