懸賞 (相撲)

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懸賞(けんしょう)は大相撲の取組で勝利した側の力士に授与される金銭の意。

概説[編集]

2012年(平成24年)現在、幕内力士の場合1回の取組で1本につき6万円が協賛する企業団体から提供される。1本が6万円になったのは1991年(平成3年)5月場所からである。申し込みは原則として取組4日前まで、取組指定は取り組み前日(千秋楽除く)の14時までを期限とする。

懸賞金6万円のうち、5千円は日本相撲協会の事務経費(取り組み表への掲載費、会場内の懸賞提供アナウンス費及びその際の企業・団体名含め15字以内のキャッチコピー費)として、2万5千円は納税充当金[1]として日本相撲協会が獲得者本人名義の預り金として天引きするので、勝利力士は勝ち名乗りに際し懸賞1本当たり手取りで現金3万円を受け取る。 なお、現金が包まれている熨斗袋(封筒)は東京の麻布十番にある長門屋商店で制作されている。

場内アナウンス例

  • 単数「この取組には、フリー百科事典のウィキペディアから、懸賞があります。」
  • 複数(2つの場合)「この取組には、フリー百科事典のウィキペディア、並びに、誰でも記者になれるウィキニュースから、懸賞があります。」
  • 複数(3つないしそれ以上の場合)「この取組には、フリー百科事典のウィキペディア、誰でも記者になれるウィキニュース、並びに、投稿・編集自由な辞書のウィクショナリーから、懸賞があります。」

仕切中に土俵の回りを呼出が旗のような懸賞幕(縦120cm、横70cm)を持って回る場合があるが、これは取組に懸賞金がかけられた時に見られるもので、スポンサーの企業名や商品名が書いてある。公共放送であるNHKテレビ中継では、広告になるという判断から、この場面になると遠景からの土俵の撮影に切り替えて、過去1年間の取組対戦成績を記したスーパーを被せ、懸賞を掛けたスポンサー名が読み上げられるため場内音声を絞った上から解説のコメントを被せる(ただし懸賞の本数を放送で言う時はある)。同じくNHKのラジオ中継でも懸賞読み上げの場内音声は絞られ、アナウンサーは勝負の展望やこれまで行なわれた取組の結果を伝える。一方、日本相撲協会ホームページの公式取組映像配信では場内音声もそのまま配信されているため聴くことができる。

横綱大関クラスの取組ともなると、かなりの数(多い場合には40本以上)の懸賞がかけられる。2005年(平成17年)9月場所千秋楽結びの一番、朝青龍vs栃東では史上最多の49本の懸賞がついた。さすがにこれだけの数になると、制限時間の間懸賞の垂れ幕が土俵を回り続けることになり、仕切りの緊張感を殺ぐとして批判意見も出た。そのため、2006年(平成18年)1月場所からは1つの取組につき50本(地方場所のみ。東京場所は51本)までという制限が設けられることになった。2006年(平成18年)9月場所千秋楽結びの一番、朝青龍vs白鵬において初の制限いっぱいの51本の懸賞がかけられた(後述する森永賞を含む、ただし東京場所においては記録に並ばれるチャンスはある)。但し横綱クラスでも場合によってはその限りではなく、2008年1月場所において、朝青龍の取組にかけられた懸賞は、謹慎処分明けということもあって横綱としては異例の2本であった[1]

懸賞金は原則中入後の取組に懸けられ、十両力士同士の取組には懸けられない[要出典](唯一の例外として昭和45年の輪島vs長浜(豊山))。原則として一場所15日間、毎日懸賞を出すことが求められていたが、2000年からは5本以上であれば1日だけでも懸賞を出す事ができ、また同じ取組に複数本懸賞を出せるようになった。その形式は、後援する力士の取組すべてにかけたり、出場力士にかかわらず結びの一番には必ずかけるなど、さまざまである。

作法[編集]

懸賞のかかった一番では、行司は勝ち名乗りの後で、軍配の上に懸賞袋を乗せ、勝ち力士に差し出す。

勝ち力士はこれを右手で、みっつ手刀を切ってから受け取るのが現在では普通になっている。これは昭和大関名寄岩からはじまったもので、彼以前にはもっと無造作に受け取るのが普通だったが、名寄岩がこれを無作法で見た目にも良くないとして始めたものを他の力士も次第に真似るようになった。

名寄岩によれば、みっつ手刀を切るその意味は、〝心〟という字を描くということで、手刀の切りかたも(右利きの場合で)左→中央→右の順だった。「勝負をつかさどる三柱の神への感謝の意で、左→右 →中央の順で手刀を切る」という、現在の解釈とはやや異なっている。もっとも懸賞を受け取ったあと右に払い心の字を切る力士も多い。

懸賞金の制度自体古来の伝統に基づいているものではないので、手刀を切る手の左右に関しては取り決めも存在しない[2]。そのため、右利きの力士は右で、左利きの力士は左で切る場合が多かった。しかし、左利きである横綱朝青龍が左手で手刀を切って懸賞金を受け取ったときに、横綱審議委員会内舘牧子がそれを問題視し、以後、右手で手刀を切ることが暗黙の取り決めとなった。だがこれ以前にも逆鉾(現・井筒)が同じように左手で手刀を切って問題視されなかったことから、朝青龍に対する個人攻撃ではないかという批判もある。

懸賞金は手刀を切った後、手刀を切った方の手(つまり片手)で受け取るのが普通だったが、近年は1つの取組に掛けられる懸賞金の本数が増えて束が厚くなったこともあり、初日・14日目・千秋楽の横綱戦などでは右手で手刀を切った後に両手で懸賞金を受け取る光景が見られるようになっている。

また、勝負のため血が頭に上り、間違って勝ち力士が懸賞を受け取らずにそのまま土俵から下がる例もしばしば見られる。なお、極めて稀であるが、勝ち力士が手刀を切る際に軍配等に手が当たり、懸賞袋を土俵上に落とす例があるが、その際は足で懸賞袋を拾う習わしである。[3]

懸賞本数の記録[編集]

1つの取組にかけられた懸賞の本数は、長らく 1964年(昭和39年)1月場所の栃ノ海 -大鵬(14日目)、栃ノ海 - 豊山(千秋楽)の26本が最多であったが、2004年(平成16年)1月場所の朝青龍 - 千代大海(14日目)に27本の懸賞がかけられて以降、その本数が急増した。

ランキング[編集]

  • 1位:51本 朝青龍明徳 - 白鵬翔(平成18年9月場所千秋楽)
  • 2位:50本 白鵬翔 - 朝青龍明徳(平成21年9月場所千秋楽)
  • 2位:50本 白鵬翔 - 朝青龍明徳(平成22年1月場所千秋楽)
  • 2位:50本 白鵬翔 - 日馬富士公平(平成22年3月場所千秋楽)(参考)

※片方(両方)に横綱がいる時に限る

場所記録[編集]

  • 1位:1197本 平成26年1月場所
  • 2位:1146本 平成19年1月場所
  • 3位:1127本 平成23年1月場所
  • 4位:1109本 平成19年5月場所
  • 5位:1088本 平成22年11月場所

場所記録(個人)[編集]

  • 1位:515本 白鵬翔(平成22年11月場所)
  • 2位:473本 白鵬翔(平成23年1月場所)
  • 3位:429本 白鵬翔(平成22年9月場所)
  • 4位:416本 白鵬翔(平成24年7月場所)
  • 5位:405本 白鵬翔(平成22年3月場所)

(記録は1991年5月場所以降、2014年1月場所現在)

企業による懸賞[編集]

同一企業が一つの取組に対し、複数の懸賞をかけることができる。そのためか、全く同じ懸賞幕・場内放送が複数回連続で流れることもある。

特に永谷園はその傾向が顕著で、高見盛精彦がCMキャラクターに採用される際には彼の取組全てに5本の懸賞をかけ、場内放送も、「味ひとすじお茶づけ海苔の永谷園、鮭茶づけの永谷園、梅干し茶づけの永谷園、たらこ茶づけの永谷園、わさび茶づけの永谷園」とお茶漬けを5回連呼するため、場内ではしばしば笑いが巻き起こる。

同様に5回宣伝文句を連呼する懸賞として、日本ツアー中のイギリス歌手のポール・マッカートニー2013年11月場所でアルバム『NEW』の宣伝のために臨時で提供したものがあり、その際も「ポール・マッカートニー『NEW』発売中!」という文言が5回続けて放送された。[4]

この他にも森永製菓「森永賞」(後述)をはじめとして、清酒大関毒掃丸三光丸イチジク浣腸豊商事クリナップ高須クリニックタマホーム伯方の塩フローラ(HB-101及びニオイノンノ)等が懸賞を出している。

中日新聞社は名古屋場所を日本相撲協会と共催していることもあり、名古屋場所の期間中は毎日最低1本は懸賞を出している。同社が懸賞を出した取組は当日の中日新聞のスポーツ欄で「本日の好取組」として取り上げられる。

日本マクドナルドは、2009年春場所から懸賞金の提供を始め、2010年からは1場所当たり100本を懸ける「大口スポンサー」だった。野球賭博問題で撤退企業が続出した2010年名古屋場所でも提供し続けてきたが、東日本大震災の影響で全体的なコスト見直しを迫られる中で、大相撲の懸賞が対象になり、以後、懸賞を取りやめている。

森永賞[編集]

森永賞(もりながしょう)とは森永製菓協賛の懸賞金。国技館での1・5・9月場所に限り、観客が森永ミルクキャラメルの空き箱にその日の注目取り組みを1番選んで投票する。投票は十両の取り組みが行われる15時半ごろまで。中入り時に森永賞の対象取り組みが発表され、その取り組みで勝った力士に森永製菓からの懸賞金が、またそれを投票した観客にも抽選で記念品(主に森永製品の詰め合わせ)が贈賞される。必ず懸賞の宣伝は最後となる。

なお、森永賞が中止されたのは、1985年昭和60年)1月場所(グリコ・森永事件の影響によるもの)と、2011年平成23年)5月(技量審査場所のため)の2度しかない。

過去の時代の懸賞[編集]

江戸時代には、感動した取組に対しては、見物客は自分の着物を土俵に投げてその意をあらわした。その着物はあとあと、力士自身やその付け人の手で持ち主に返され、持ち主はそれと引き換えに何らかの報償を手渡した。このような「投げ祝儀」は1909年に旧両国国技館が建造されて以降正式に禁止行為となった[5]。現在でも、大金星や番狂わせがあった時など記憶に残る一番で、会場に座布団が舞う光景が見られるのはこの習わしに由来するのだが、本来の意味はほぼ失われている。

天覧相撲上覧相撲での勝者には特に、羽織、刀、弓などが下賜された。弓取り式は、寛政3年(1791年)の上覧相撲で将軍徳川家斉から弓を賜った谷風梶之助が、これを手に舞ってみせたのがはじまりとされている。また現在でも本場所の千秋楽結び3番「これより三役」では、勝者に弓矢が贈られる。

戦後期の昭和20年代には、米・味噌などの食料品が懸賞に出されることも多かった。現在の様に一律の懸賞金になったのは昭和35年(1960年)9月場所から。

懸賞を巡る問題・トラブルなど[編集]

  • 2009年3月場所4日目、朝青龍にかけられる予定だった懸賞が白鵬にかけられるという間違いがあった。このときの企業はコノミヤで、提供者であるコノミヤ会長の芋縄純市は高砂部屋と繋がりが深い。協会は芋縄に謝罪したが、白鵬への返却の要求や、朝青龍への弁済措置は一切行わないと決めている。[6]

角界不祥事による影響[編集]

  • 2010年6月に明るみとなった野球賭博問題により、同年7月名古屋場所では、企業協賛の懸賞金を取り止める企業が続出するなどの大きな影響が出た。
    • 件の名古屋場所においては、まず、食品メーカーの永谷園が、社会的影響の大きさを受け止めたうえで、懸賞金の掲出を中止した[7]。同社は力士大麻事件の際にも、2008年9月秋場所の懸賞を200本から100本に減らしていた。さらに、建築用壁紙・カーペット販売会社のルノン[8][9]、複合機メーカーの富士ゼロックス[10][11]IHI子会社のIHI汎用ボイラ[12]などといった企業も懸賞金を中止した。結果、同場所における懸賞金は15日間で242本(2009年:1033本、前年比:-791本)と激減した。
    • また、森永製菓も9月の秋場所以降の『森永賞』の取り扱いについて、諸問題の対応を見て方針を決める意向[12][13]であったが、「相撲協会の改革の方向性がある程度出ている」(同社担当者)ことから、秋場所以降も継続となった[14]
  • 2011年3月春場所大阪)は八百長問題で開催中止となったため、懸賞金自体もすべて中止となっている(対応については大相撲八百長問題#懸賞金を参照)。
  • 2011年5月夏場所が開催中止となり、それに代わる形で開催された『技量審査場所』(両国国技館)は入場無料である上、賜杯等もなく、もちろん『森永賞』を含めた懸賞自体も行われなかった。

その他[編集]

  • かつて日本テレビ系の番組「久米宏のTVスクランブル」内にて「他人の褌で相撲をとる」と題し「番組が懸賞をかけたらNHKは映してくれるのか」という特集で実際に逆鉾に懸賞をかけたことがある。また、2010年1月場所では、フジテレビ系の番組「ジャンクSPORTS」で、力士とのボウリング対決に敗れた罰ゲームとして、ボウリング対決に参加した力士(白鵬等)に対し、番組が懸賞をかけたことがある。

脚注[編集]

  1. ^ 年末調整時に納税額の不足が生じて追加徴収が行なわれる場合はここから充てられる。この余剰金は引退時に本人に還付される。
  2. ^ ただし、あまり各力士の手刀の切り方がまちまちなのを見かねた元双葉山の時津風理事長から、「右手で、左、右、中央と手刀を切るのを原則とする」との通達が出されたことがあり、見方によってはこの理事長通達が現在も有効とすることもできる
  3. ^ 2004/11/21大相撲九州場所8日目(福岡国際センター)に、高見盛精彦が懸賞金6本の載った軍配を手刀を切る際に下から突き上げ、懸賞袋を落とす。高見盛は近視でもあったが、その際の行司の木村孔一によるとこのようなことは彼の行司歴50年目で初めてであったとのこと。:日刊スポーツ2008/11/22付
  4. ^ ポール・マッカートニー、大相撲に懸賞金 日馬富士「CD買わないと」”. ハフィントンポスト (2013年11月21日). 2013年11月23日閲覧。
  5. ^ 風見明『相撲、国技となる』 大修館書店
  6. ^ 「日本相撲協会が懸賞手違いを依頼主に謝罪」 日刊スポーツ3月21日紙面から
  7. ^ 永谷園、名古屋場所の懸賞金中止 賭博問題受け - 47NEWS、2010年6月21日
  8. ^ 懸賞金中止また…永谷園に続きルノンも発表 - スポーツニッポン、2010年6月24日
  9. ^ 大相撲名古屋場所における懸賞旗掲出中止について - ルノン株式会社
  10. ^ 大相撲七月(名古屋)場所における懸賞旗掲出中止について - 富士ゼロックス株式会社、2010年7月1日
  11. ^ 救心製薬など名古屋場所の広告中止 - 日刊スポーツ、2010年7月1日
  12. ^ a b 大相撲名古屋場所:初日まで10日 けいこ場ピリピリ 報道陣シャットアウト - 毎日新聞、2010年7月1日
  13. ^ 今後の対応次第で…伝統の懸賞金「森永賞」撤退も - スポーツニッポン、2010年6月25日
  14. ^ 盛り上げたい!懸賞金「森永賞」継続へ - スポーツ報知、2010年8月13日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

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