憲法改正

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憲法改正(けんぽうかいせい)とは成文憲法の条文を修正、追加、もしくは削除すること。改憲(かいけん)ともいう。

憲法改正の目的[編集]

適当な改正手続きを定めることによって革命クーデターといった非合法な憲法の変更を防ぐ。適当な改正手続きがあれば重要な政治体制の変革はすべて憲法改正の形で合法的におこなえるからである[1]。 もっとも、改正ではなく新憲法の制定という手段が最終的に否定されうるかどうかは、革命クーデターの成功の度合い、新政府に対する国民の支持、旧政府に対する国民の不支持の度合いによっても変わってくる。世界の国では、憲法の変更が改正手続でなく新憲法の制定という形で行われることも多い。

憲法改正の限界[編集]

限界説と無限界説がある。

限界説
いかなる憲法にもその基本原理があり、当該憲法の改正手続にもとづく改正としては基本原理を超える改正はできない。
無限界説
憲法の定める手続によれば、どのような改正でも可能である。

限界説が通説とされているが、双方の説にもさらにいくつかの学説がある。詳細については、憲法改正論議の項を参照のこと。

なお、ドイツフランスなど、憲法で人権や統治機構などの一定の事項について改正を条文で禁止している例もある。

各国憲法の改正手続[編集]

日本[編集]

日本では日本国憲法第96条においてその改正手続を定めている。

  1. 国会の発議
  2. 国民の承認
  3. 天皇公布

国会の発議[編集]

国会の発議は両院の総議員の3分の2以上の賛成によってされる。ここでいう「総議員の3分の2」はそれぞれの議院の3分の2であり、両院の議院全員で3分の2ではない。 その他、細かな争点には以下のものがある。

  • 憲法改正案を国会に提案する権利が国会議員にあることには学説上異論はない。立法上、憲法改正案を国会に提案する権利を内閣国民に付与することも可能とする見解もある。
  • 審議の定足数は総議員の3分の2が望ましいとされるが、特別の規定がなければ3分の1で足りる。
  • 総議員の意味は、法律上の定数とする説と、現在議員の総数とする説がある。
  • 両議院の議決は対等である。

国民の承認[編集]

国会が議決すると、法案は国民投票にかけられ、承認は多数決によっておこなう。投票の規定については日本国憲法の改正手続に関する法律による。

「過半数」の内容にも諸説ある。

  • 有権者の過半数
  • 投票総数の過半数
  • 有効投票の過半数

これについて、法律では有効投票の過半数とされる。

天皇の公布[編集]

国民投票で可決されると、改正憲法は天皇がこれを国民の名において公布する。

アメリカ合衆国[編集]

アメリカ合衆国憲法はいわゆる硬性憲法である。憲法の修正がなされた場合にはそれまでの条文はそのまま残され、憲法修正条項として追加される形により修正される。合衆国憲法第5条によって修正される。

連邦議会は、両議院の三分の二が必要と認める時は、この憲法に対する修正を発議し、または全州の三分の二の議会の請求がある時は、修正発議のための憲法会議を招集しなくてはならない。

いずれの場合でも、修正は、全州の四分の三の議会によって承認されるか、または四分の三の州における憲法会議によって承認される時は、あらゆる意味において、この憲法の一部として効力を有する。いずれの承認方法を採るかは、連邦議会が提案することができる。

ただし、一八○八年以前に行われる修正によって、第一条第九節第一項および第四項の規定に変更を及ぼすことはできない。また、いずれの州もその同意なくして、上院における平等の投票権を奪われることはない。

これまでの憲法修正では、唯一の例外である修正第21条を除いて、全て前者の方法(議会による承認)によっている。(修正第21条のみが憲法会議を経て成立した。)

なお、アメリカ合衆国は各州にも独自の憲法が存在する。

イギリス[編集]

イギリスは、判例慣習法法律などのうち、国家の性格を規定するものの集合体が憲法とされる不文憲法国家である。よって、憲法改正は法律の制定・改正と同様の手続きでおこなわれる。

フランス[編集]

フランス共和国憲法の改正手続はフランス共和国憲法第89条に規定されており、概要は以下の通りである。

  1. 政府又は議会が憲法改正案を提案する。
  2. 憲法改正案を上下両院で過半数の賛成で可決する。
  3. 両院合同会議で5分の3以上の賛成(政府提案の場合のみ)または国民投票で有効投票の過半数の賛成を得て改正案が成立する。

フランス共和国憲法第11条を根拠に、以下の手続きで改正されたこともある。

  1. 大統領が憲法改正案を提案する。
  2. 国民投票で過半数の賛成を得て改正案が成立する。

フランス共和国憲法第11条では公権力の組織に関する法律案は議会を通すことなく上記の手続きでも成立するとされており、憲法も公権力の組織に関する法律に含まれるとして上記の方法で改正された。元老院は憲法第89条にもとづかない憲法改正を違憲として憲法裁判所に訴えたが、憲法裁判所は国民投票で成立した法律は審査の対象外で判断する権限を有さないと判示し、憲法第11条にもとづいて憲法が改正されることが確定した。

各国の憲法改正状況について[編集]

日本[編集]

大日本帝国憲法は1947年の日本国憲法施行まで一度も改正されなかった。日本国憲法も施行以後、一度も改正されたことがない。(政府の見解や憲法解釈については、自衛隊問題など、個々に議論され変更されている。)

アメリカ合衆国[編集]

アメリカ合衆国は18回、27か条を修正・追補している。

ドイツ[編集]

第二次世界大戦後に新たに憲法(ドイツ連邦共和国基本法)を制定したドイツは51回の憲法改正をおこなっている。ただし、戦う民主主義にもとづき、民主主義破壊につながるような改正は認めていない(第1章「基本権」)。

イタリア[編集]

イタリアは14回の憲法改正をおこなっている。

メキシコ[編集]

メキシコは最多の憲法改正をおこなっているとされ、2002年までに408回改正している。

スイス[編集]

スイスも改正が多い国で、過去140回以上にもわたる憲法改正をおこなっている。

デンマーク[編集]

デンマークは1953年の憲法改正が最後となっている。

韓国[編集]

大韓民国憲法は9回にわたって憲法が改正され、特に、そのうちの5回では韓国の国家体制を大きく変えるほどの改正がされた。現在の憲法は第六共和国憲法と呼ばれる。

文献情報[編集]

  • 「諸外国における戦後の憲法改正【第2版】」山岡規雄 国立国会図書館 ISSUE BRIEF NUMBER 431(NOV.20.2003)[1]

脚注[編集]

  1. ^ 宮沢俊義 『憲法講話』 岩波書店岩波新書〉、1967年6月1日(原著1967年4月20日)、第2版、p. 215。ISBN 97840041003482009年5月30日閲覧。

関連項目[編集]