感情労働

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感情労働(かんじょうろうどう、Emotional Labour)は、肉体頭脳だけでなく「感情の抑制や鈍麻、緊張、忍耐などが絶対的に必要」である労働を意味する。

目次

[編集] 概要

従来、肉体労働頭脳労働という単純な二項分類において、感情労働は頭脳労働の一種としてカテゴライズされてきた。しかし一般的な頭脳労働に比べ、人間の感情に労働の負荷が大きく作用し、労働が終了した後も達成感や充足感などが得られず、ほぼ連日、精神的な負担・重圧・ストレスを負わなければならないという点に感情労働の特徴がある。

感情労働に従事する人は、たとえ相手の一方的な誤解や失念、無知、無礼、怒りや気分、腹いせや悪意、嫌がらせによる理不尽かつ非常識、非礼な要求・主張であっても、自分の感情を押し殺し、決して表には出さず、常に礼儀正しく明朗快活にふるまい、相手の言い分をじっくり聴き、的確な対応・処理・サービスを提供し、相手に対策を助言しなければならない。

ゆえに、企業や労働者にとって事前に作業量の予測や計画を立てるのがはなはだしく困難であり、作業習熟による労働効率の向上があまり期待できない点において、従前の肉体労働、頭脳労働と決定的に異なる。

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[編集] 解説

本来、労働の定義においては行動主義的、生理学的な固体主義的把握によるアプローチが一般であった[1]

これに対して「感情労働」は、労働の本質を社会史的、人類学的視座から文化的相対主義の視点を援用することにより、社会的・社会心理学的、経済学的文脈において解きほぐそうとする試みである。

20世紀後半にGerhardsScheffによって研究が開始され、一応の業績の蓄積が達成された段階にある。このほか派生領域として社会関係認知と感情の関連を問うKemperらの方法、ホックシールド(Arlie Russell Hochschild)(感情操作)などの研究が見られる。

[編集] 問題

非正規雇用の拡大につれて、派遣労働や業務委託、アルバイトなど多くの非正規労働者が、企業の窓口として顧客へのサポートや謝罪などに従事させられるという不合理、矛盾、弊害が指摘されるようになってきた。

生産や収益の観点から見た場合、大半の企業にとって利益を生み出さない感情労働部門は枢要セクションとは言えず、感情労働に携わる者は賃金や昇進・昇格などで相対的に冷遇されているのが実情である。

肉体労働、頭脳労働の疲労は休憩・休暇によってほぼ回復されるが、感情労働による感情の疲労、傷などは単なる休みで回復できるとは言い難い。終業後も、相手から投げつけられた悪声や罵倒などが頭を離れず、気持ちの切り替えができないまま帰宅し、ストレスによるうつ、身体不調を発するケースもある。

行政・企業が一体となった対策・支援が求められている。

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[編集] 職種

感情労働に従事する職種として、かつては旅客機の客室乗務員が典型とされていたが、現代では看護師などの医療職、介護士などの介護職、コールセンターのヘルプデスク、官公庁や企業の広報・苦情処理・顧客対応セクション、マスメディアの読者・視聴者応答部門などが幅広く注目されるようになってきた。もちろん従前のホストホステス風俗嬢などの風俗業、秘書、受付係、電話オペレーター、百貨店のエレベーター係、ホテルのドアマン、銀行店舗の案内係などのサービス業も感情労働に該当する。

[編集] 脚注

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  1. ^ マルクス主義においては労働の価値に力点が置かれ、この領域は等閑視されていた。

[編集] 参考図書

[編集] 関連項目

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