怪奇鳥獣図巻

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内, 検索
『怪奇鳥獣図巻』より「相柳

怪奇鳥獣図巻』(かいきちょうじゅうずかん)は、日本妖怪絵巻中国最古の地理書『山海経』にある中国の妖怪をもとに、全76種の中国妖怪を収録した絵巻である。著者や制作時期はともに不詳だが、江戸時代の作と推測されている。

[編集] 概要

『山海経』は完成以来、中国本土での知識人たちの間ではほとんど無視されており、日本には奈良時代から平安時代にかけてもたらされたにもかかわらず、あまり日本人の興味の対象にはならなかった。しかし代に中国の学者たちに着目されるようになると、日本でも次第に人気が高まり、これを模倣した書物も発刊された。『怪奇鳥獣図巻』は、そのような流行のさなかで制作されたものと考えられている。

『怪奇鳥獣図巻』では、『山海経』に登場する中国妖怪の中から全76種を、鳥類30種、獣類46種に分類して収録している。それらの妖怪の容姿は『山海経』のものとほぼ同じだが、『山海経』完成時の挿絵は江戸時代当時にはすでに現存せず、明代から代にかけての中国の知識人が、本文から想像して後付けで絵を描いたといわれている。従って『怪奇鳥獣図巻』の大本となった絵図は『山海経』本来のものではなく、この明・清時代における後付けの絵図といった方が正確である。

『怪奇鳥獣図巻』の画図は彩色版であり、どれも大変丁寧な仕上げであり、簡単ながら各妖怪の解説文も添えられている。ただし「相柳」(そうりゅう)を「そうよく」、「洵山」(じゅんざん)を「くざん」と読むなど誤読が多く、『山海経』と比較すると明らかに解説を誤っている箇所もあることから、作者は中国の文献にそれほど詳しいわけではないといわれる。前述のように日本国内では『山海経』の模倣品がいくつか出回っていたことから、『怪奇鳥獣図巻』は『山海経』そのものではなく、その日本製の模倣品の方を模写して描いたとの可能性も示唆されている。

[編集] 参考文献

個人用ツール
名前空間

変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス