性差

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

性差(せいさ)とは、雌雄動物ヒトにおける男性女性)の性別的な差異の事である。第一次性徴および第二次性徴といった生物学的な違いのみでなく、職業適性・価値志向の違い等、社会的・心理的な差異(これを第三次性徴と呼ぶ考えもある)を指す。 

この項で扱う内容は「一般的に男女の差異と考えられているもの」であり、正確性の判断には慎重さが要される。また違いはあくまで違いであり、違いによって優劣の判断をするものではない、と世間一般的には言われている。

生物学的性差[編集]

人間の場合、第一次性徴では性器以外に外形的性差は無く(ただし、性器以外でも骨盤の形状が生まれつき性差があるため、第一次性徴でもウエストからヒップにかけて若干の性差はある)生殖能力も無いが、第二次性徴以降で性器以外でも外形的性差が現れ、生殖能力を持つようになる。染色体異常性分化疾患内分泌器系の異常などを持っている人は下記通りにならない場合がある。

外形的性差[編集]

  • 人間の成年男性には比較的大柄で幅が広く筋肉が多くがっちりとした体を持ちが生え変声する人が多く、成年女性は比較的小柄で膨らんだ乳房、くびれたウエスト、小柄な割に大きなヒップを持ち皮下脂肪が多い体を持つ人が多い。
  • 平均して9歳9ヶ月頃に女子で思春期が始まり乳房の発達が始まることで同年代の男子とはから外形的性差が生じ始め、以降他の体位でも同年代の男子と外形的性差が生じ始め、平均して11歳6ヶ月頃に男子も思春期を迎えることで同年代の男女間でさらに外形的性差が広がっていく。以下の年齢は全て平均年齢[1]のため個人差の関係で同年代の男女間で外形的性差が生じる年齢が前後する場合がある。
    • 9歳9ヶ月頃 乳房の発達が始まることで同年代の男子とは胸から外形的性差が生じ始める。
    • 10.88歳頃 女子身長のピーク成長率を迎え、同年代の男子より平均身長が高くなる。
    • 女子で初経を挟む前後1年間 女子で初経(平均12.24歳頃)を挟む前後1年間は女子の体型が急激に変化[2]し、同年代の男子と外形的性差が急激に広がる。
    • 13歳頃 男子身長のピーク成長率を迎え、平均身長が女子を上回るようになる。これを過ぎると変声により、同年代の女子とは声の高さが異なるようになる。
  • 上記の記述は、あくまで統計的な傾向(典型的なもの)であり、個人差がある点に注意する必要がある。一例を挙げれば、男性であっても背が低くて声の高い人も存在する。

生殖能力に関する性差[編集]

  • 男性は女性を妊娠させる事ができ、女性は子供を産む。(ヒト以外の動物でも、一般的に出産する個体をメスとする)。
  • 人間の男性は生殖能力次第で自分の子供を1000人以上まで持つ可能性が有るが、女性は20人位が限界である。代理母出産などではない通常の生殖の場合女性は自分の腹から産むため子供が自分の血を引いていることが確定できるが、男性は血液型の確認やDNA鑑定をしなければ正確には自分の血を引いた子供であるかはわからず、見た目(遺伝による容姿、利き腕などの癖)や出産期間からの逆算で判断するしかない。

脳の性差[編集]

近年では、レベルの性差についての研究、分析、評論も増えている。それに伴い「男脳」「女脳」、あるいは「システム脳」「共感脳」というような通念も(学術的・厳密であるかどうかはともかくとして)広く普及してきている。

男脳は空間操作に長ける傾向にあり、女脳は言語操作に長ける傾向にあるとのデータがある。この差は、ヒトとしての進化の過程で狩猟採集生活が最も長期間であったため、そういった環境に適応した個体ほど生き残る確率が高かったことに起因すると考えられている。ただしこれが脳の構造に由来するか否かについては、まだ不明な点がある。身体的な性別と脳の性別は必ずしも一致しない(男性脳あるいは女性脳傾向といった捉え方のほうがより妥当であると考えられる)ことや、生まれ育った環境にも影響されるということから、統計的な傾向とは異なった性質を示す個人もそれなりの割合で存在する。しかし、まだ研究段階の見解であるため、安易に個人の性質を決め付けることは早計である。

脳の解剖学的性差[編集]

解剖学的に明らかなのは、男女の脳の大きさの違いである。男性の脳の方が平均重量で1割ほど大きい。


左右の大脳半球を連絡する約2億本の神経線維の大きな束である脳梁の後部の膨大部は、女性の方が丸みを帯びた形をしており、大脳全体との比率でみると男性よりも大きいという報告がある(ただし脳の容積は男性の方が大きく、脳梁容積の絶対値も男性の方が大きい)。脳梁膨大部は、視覚情報や言語情報の処理に関わる大脳半球間を連絡する神経線維からなっている。脳の構造や容積と、機能の関連は明らかでないものの、このような脳構造の違いが男女の微細な認知機能の差に関係していると推測する人もいる。

その他、分かっている以下のような性差が確認されている。

  • 大脳辺縁皮質の情動反応に関連している部分は、男性より女性のほうが大きい。

脳の周期性[編集]

女性は身体的な周期変動を持っている。この周期性によって脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン黄体形成ホルモンの量と比率が変化する。このことによって月経の周期が支配され、精神的な変動にも影響する。

男性の脳ではこのような周期性はない。胎生期に精巣から分泌されたテストステロン(アンドロゲン・シャワーとよばれる)によるものだと考えられている。

心理的性差[編集]

教育学、心理学で研究されている。

脳の性差や、男性ホルモン女性ホルモンなどのホルモンバランスなどとの関連性も報告される。が、後天的な環境に大きく影響を受ける場合も想定され、環境によって傾向づけられたものが生得的に備わっているとの錯覚を起こす場合も多々あり、適用には注意が必要である。

社会的性差[編集]

性差についての諸問題[編集]

性差を用いた形容表現[編集]

よく、物事を形容する際に男性的、女性的という言葉が用いられ、世界中にそのような表現がある。日本では古くから『万葉集』の益荒男ぶり、『古今和歌集』の手弱女ぶりがよく知られた表現である。これらの表現は男性、女性の持つ感性、特徴などをステレオタイプ化したものであり、大雑把に言うと男性的なものは、勇壮、豪快、険阻、荒々しいという要素があり、対して女性的なものは、繊細、優美、平坦、穏やかという要素を持つ。近年は性差別につながることから、社会活動や文学、芸術作品などで用いることは少ないが、特徴はお互い対極にありながら、決して優劣は付けられない自然景勝地などには、古くから今日に至るまで好んで用いられてきている。

山岳
男性的…大雪山槍ヶ岳石鎚山など険阻な鋭鋒。
女性的…蒜山安達太良山美ヶ原など穏やかな山岳。
海岸
男性的…三陸海岸東尋坊など断崖絶壁、奇岩が卓越した荒々しい海岸。
女性的…宇和海三保松原など白砂青松のなだらかな海岸線やリアス式海岸。
渓谷
男性的…三段峡昇仙峡など高低差の激しい河谷、滝や、奇岩がいたるところに卓越するような渓谷。
女性的…奥入瀬渓流菊池渓谷などゆるやかに蛇行を繰り返し、浅瀬や淵が多い渓谷。

が該当する。また、近隣の観光地で対比的に用いることも多い。例としては
能登半島外浦(男性的)←→能登半島内浦(女性的)
足摺海岸《足摺岬竜串など》(男性的)←→宇和海(女性的)
三徳山東麓の三滝渓(男性的)←→西麓の小鹿渓(女性的)
嵯峨渓(男性的)←→松島(女性的)
などがある。

また、各地のでも、同じ地点に向かう両者を比較して、勾配の急なものを「男坂」、勾配の緩やかなものを「女坂」と呼ぶことがあり、島嶼に対しても用いる例がある。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ たなか成長クリニック・思春期
  2. ^ 『初経』をキーにした現代ティーンの成長と体型変化について

外部リンク[編集]