後方互換
後方互換(こうほうごかん、英: backward compatibility)とは、新たに作られる工業製品の機能に、旧世代での古い機能を満たすように考慮され仕様に含まれることである。逆の概念に前方互換がある。
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メリットと問題点 [編集]
手持ち資産への配慮 [編集]
新旧の製品間において、使用者の手持ち資産と呼べる何らかの実体物や慣れといった無形の価値が存在する場合には、たとえ新製品が高性能や高付加価値、利便性の向上、低価格など、普通ならば強い買い替えの動機を備えた製品を市場へ出しても、旧製品で培われた資産との互換性が全くなければ使用者は新製品の購入に価値を見出せなくなる。新旧製品での資産継承を必要とする製品市場では製品企画の段階から、使用者の手元にある過去の資産をいかに上手く新製品でも活用できるかが考慮される。こういった配慮により、成熟市場においても新製品への移行が円滑に行われ、ブランドにロイヤリティーを感じる使用者をさらに満足させることが可能となる。
使用者の資産には、LPレコード、コンパクトカセット、VHSビデオ等々、数え上げればきりが無いさまざまな有形ソフト資産や、これらとは別に操作部分の配置やデザイン、反応性、感触と言った使用上の慣れやユーザビリティに関係する使用者にとって無形の財産が含まれる。これには愛着といった心情的なものは含まず、人間工学的な「慣れ」を指す。
最新機種への影響 [編集]
経済的な理由や個別商品の特徴といった理由で旧来の製品がいつまでも市場に残る場合があり、陳腐化した技術(レガシーシステム)に長期にわたり拘束されるという問題を生ずることがある。
また、開発者側でも新旧製品が数世代に渡って最古の機能まで継承するために、旧式の基本設計の上にさらに階上階を重ねてしまい、新規機能の開発そのものに支障を生じるようになってくる。(例 : PC/AT互換機のBIOS)
例 [編集]
後方互換の例 [編集]
家庭用ゲーム機 [編集]
- セガ・マークIII(1985年発売開始)/セガ・マスターシステム(1987年発売開始)は、セガのSC-3000シリーズ (SG-1000/SG-1000II) 及びツクダオリジナルのオセロマルチビジョンのソフトウェアを使用できる。
- メガドライブ(1988年発売開始)は別売りのメガアダプタ(1989年発売開始)を使用する事で、セガのセガ・マークIII/セガ・マスターシステムのソフトウェアを使用できる。
- ゲームボーイ(1989年発売開始)、ゲームボーイカラー(1998年発売開始)、ゲームボーイアドバンス(2001年発売開始)は、それぞれ後発の機種で先発の機種用のソフトウェアを使用できる。
- ニンテンドーDS・DS Lite(2004年発売開始)は、ゲームボーイアドバンス用のソフトウェアを使用できる。
- Wiiは、ニンテンドーゲームキューブ用のソフトウェアや一部の周辺機器を使用できる。
- プレイステーション2はプレイステーション用のソフトウェアを使用できる。
- Xbox 360はXboxのソフトウェアの一部を使用できる。
- その他、ソフトウェアにより互換性を実現しているものはゲームエミュレータを参照。
コンピュータ・ハードウェア [編集]
- USB 2.0ポートには、USB 1.1対応の周辺機器も利用できる。
- 同様に、USB 3.0ポートでも、USB 2.0及びUSB 1.1対応の周辺機器が利用できる。
- インテルのIA-32アーキテクチャCPU (80386 - Pentium 4) は1978年に発売されたIntel 8086 CPU用の命令をほぼ互換性を持って実行可能である。
- PowerPC(PowerPC 601,603e,604e,G3等)搭載Macintoshにおいてモトローラ680x0 CPU(68040,680LC40,68030等)を搭載していたMacintoshのアプリケーションが利用できる。
コンピュータ・ソフトウェア [編集]
- Microsoft Windows OSの後方互換性と、DOS資産を生かすための16Bit部分の問題
- Mac OS XにおいてMac OS X以前のMac OSで動作していたアプリケーションが利用できる。
- XHTMLはHTML 4.01と後方互換性を持たない。なぜならHTML4.01として書かれたHTMLはXHTMLの仕様に沿っていないからである。XHTMLに対応するウェブブラウザがほぼ全てHTML4.01に対応する点は異なる問題なので注意。
- CSS2.1はCSS1と後方互換性を持つ。CSS1として書いたCSSはCSS2.1の仕様に沿っているからである。
- 最近のウェブブラウザは、過去のブラウザ向けに書かれたHTML・CSSを意図したとおりに表示する後方互換モード (quirks mode) を備える。
記憶媒体 [編集]
- スーパーディスクドライブは120MB/240MBのリムーバブルディスクドライブであるが、旧来の1.44MBのフロッピーディスクも読み書きできる
- デジタルコンパクトカセット(アナログ記録のコンパクトカセットを再生可能)
- VHSビデオのデジタル版であるD-VHSでは、従来のアナログ記録VHS(S-VHSおよびノーマルVHS)による記録・再生ができるが、D-VHS方式で記録されたテープは、従来のアナログ記録専用のVHSデッキでは再生できない。また、従来のアナログ記録であっても、S-VHS方式で記録されたテープは、ノーマルVHS専用のVHSデッキでは再生できない。(S-VHS簡易再生機能 (SQPB) が搭載されたノーマルVHSデッキなら再生はできるが、S-VHS方式本来の高画質とはならない。)
- 光ディスクドライブ(プレーヤー/レコーダー)では、新しいドライブで古い規格の記録再生に対応するのが一般的である。(記録に対応するのは書き込み型ドライブのみ。また同じ世代でも複数の記録型ディスク規格があるため(特にDVD)、それらの間の互換性もある程度は確保されている。※以下、一部例外あり。)
- DVDドライブはCDの記録再生に対応する。ただし家電のDVDレコーダーにCD書き込み機能は搭載されないのが普通。
- Super Audio CDプレーヤーの多くはCDの再生に対応する。
- HD DVDドライブはDVD・CDの記録再生に対応する。
- Blu-ray DiscドライブはDVD・CDの記録再生に対応する。ただし家電のBDレコーダーは書き込みがBDのみの機種も存在する。
- 光ディスク(再生専用メディア)は多層構造または両面を利用して1枚に複数の規格で記録される場合がある。
- DVD-RAMのバージョン1.0(片面2.6GB)はPDに対する後方互換を有していた。バージョン2.0以降(現在普及している片面4.7GB)になってPDとの互換性は切り捨てられた。またv2.0対応のドライブでv1.0のディスクを扱えないものが多く存在する。
- SDメモリーカードはマルチメディアカードとほぼ同じ形で開発され、ほとんどのSDカード対応機器でMMCも使用できる。
- ミニディスクでは、MDLP対応機器でもSPモードによる録再が可能であり、Hi-MD対応機器では従来MD規格にも対応している。
その他 [編集]
- JR東日本のモータ MT68(1992年)→MT73(1999年)
- 後者は前者の許容回転数を上げたもの。歯数比1:7.07での最高速度は前者が110km/h、後者は120km/hである。
- 指矩の尺表示 - 日本では1891年(明治24年)の度量衡法の制定に始まり、1921年(大正10年)の尺貫法の廃止を経て、1951年(昭和26年)の計量法施行でメートル法に変わっているが、いまだに建築業界では尺貫法が有効となっている。
- 液晶表示付きデジタルカメラの光学ファインダー
- 自動車のシガーライターソケット - 喫煙人口が減っても給電口としてほぼ全車に装備され、子供が指を入れたくなるような位置と形状で安全性に問題があるが、変更できずにいる。
- 電話回線 - ダイヤル自動化当時からのパルス信号もサポートしている。