後件肯定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
後件肯定(こうけんこうてい、英: Affirming the consequent)とは、形式的誤謬の一種。以下のような論証形式の推論をいう。
- もし P ならば、Q である。
- Q である。
- したがって P である。
この形式は論理的に妥当でない。言い換えれば、この形式では前提が真であっても結論を導く推論の構造が正しくない。「後件肯定」の「後件」とは、大前提(条件文)の後半部分(上の場合、「Q である」)を指す。小前提は後件を肯定しているが、そこから大前提の前件(「もし P ならば」)を導くことはできない。
具体例[編集]
後件肯定が妥当でないことを示すため、真の前提から明らかに偽の結論が導かれる例を以下に示す。
- ビル・ゲイツがフォートノックス(米国連邦金塊貯蔵施設がある)を所有しているなら、彼は金持ちだ。
- ビル・ゲイツは金持ちだ。
- 従って、ビル・ゲイツはフォートノックスを所有している。
以下の例のような場合、形式は同じでも表面上正しいように見える。
- 私はインフルエンザにかかっているとき、ノドが痛くなる。
- 今、私はノドが痛い。
- だから私はインフルエンザにかかっている。
もちろん、ノドが痛くなる病気はインフルエンザだけではない。従って、これは誤謬である。
ことわざでは、
- 英雄、色を好む
- 彼は色を好む
- だから彼は英雄である。
表面上正しく見えても、ベン図に書き表してみると偽であることが分かる。
後件肯定は間違った推論方法であるが、「アブダクション」という名前で擁護される場合もある。
関連する論証形式[編集]
以下の例は後件肯定ではない正しい推論形式であるが、混同されやすい(大前提が条件文ではなく同値である場合)。
- P であるときだけ Q である。
- Q である。
- 従って P である。
例えば、次のようになる。
- 彼は中にいないときだけ、外にいる。
- 彼は外にいる。
- 従って、彼は中にいない。
ただし、これは一種の論点先取である。