弦楽四重奏曲第15番 (ベートーヴェン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

弦楽四重奏曲 第15番 イ短調作品132は、ベートーヴェン1825年に作曲した室内楽曲。同年11月6日にシュパンツィヒ四重奏団によって初演された。《第12番》、《第13番》と同じく、ニコライ・ガリツィン伯爵に献呈されている。出版順により15番とされているが、作曲されたのは第13番よりも前である。

曲の構成[編集]

第12番から始まるベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲は、その頂点をきわめる第14番に向かうにつれて1つずつ楽章が増え、より大規模な構成になっていくことが知られている。作曲順では後期2番目にあたるこの曲は、5楽章で構成されている。第1楽章と終楽章はすでに1824年のうちにスケッチが行われており、この時点ではベートーヴェンは型通りの4楽章構成を考えていたようである。しかし病気のために作曲が中断され、快復して再着手した際に、リディア旋法による第3楽章を挿入するよう計画を変更した。

第1楽章 Assai sostenuto - Allegro
第14番》と同じく、短いながらも緩やかな序奏が、作品全体と《大フーガ》にも登場する動機の基礎となる。第1楽章の異例な楽曲構成について、ロジャー・セッションズは、標準的なソナタ形式とは違って呈示部が三重構造になっていると論じた。
第2楽章 Allegro ma non tanto
交響曲第3番》以来ベートーヴェンが繰り返してきたスケルツォというよりも、むしろトリオつきのメヌエットというべきである。トリオは、主音(ここではラ)の保続音の上に旋律が奏でられるため、ミュゼットを思い起こさせる。
第3楽章 "Heiliger Dankgesang eines Genesenen an die Gottheit, in der lydischen Tonart" Molto Adagio - Andante
リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」と題された、最も長い楽章。全体のクライマックスに位置している。ゆっくりとしたヘ調の教会旋法による部分と、より速めの「新しい力を得た"Neue Kraft fühlend"ニ長調の部分の交替で構成される。この楽章は、ベートーヴェンが恐れていた重病から快復した後に作曲されたため、上記のような題名が付された。
第4楽章 Alla Marcia, assai vivace (attacca)
短い間奏曲。行進曲風の前半部ののちに、レチタティーヴォ風の楽句があり、すぐに終楽章につながっている。
第5楽章 Allegro appasionata - Presto
ベートーヴェンのスケッチ帳には、イ短調のロンド主題に似た主題があり、これは当初は、《交響曲第9番》の、放棄された器楽による終楽章のつもりだったらしい。二段構えのコーダにおいてイ長調に転じて終わる。

外部リンク[編集]