テーブルタップ

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テーブルタップ
イギリスのテーブルタップ(個々のコンセントにスイッチとパイロットランプがついている)

テーブルタップは、壁等に設置されたコンセントから離れた場所の、あるいは複数の電気器具に電源を供給するための電気器具。英語ではPower stripといいテーブルタップは和製英語である。「電源タップ」などの呼び名もある。

電気用品安全法の特定電気用品に区分される。

通常はコードがあり片側にプラグ、反対側にコンセントがついており延長コード (Extension cord, extension lead) ともいう。コードがなくその場で複数に分岐するものはコーナータップトリプルタップ (3way socket adaptors) という。

自身も電気器具だが単なる配線であるので、電線等材質の抵抗損失以外、理論上は電力消費はない。(後述のパイロットランプ付きでは微弱な電力を消費する)

コンセントの口数が1つで単純にコードを延長するだけのものもあるが、一般的には複数の口数がある。家庭用のものとしての主流の仕様は、電圧125Vまで、電流15Aまで、最大定格容量は1500Wまでとなっている。コードの長さは目的により10cmから20m程度まで幅広くラインナップされている。

付加的機能[編集]

付加的な機能として次のようなものがある。(注:すべての製品に必ず付いている機能ではない。)

プラグ抜け防止機構
プラグを差し込み、ひねるとコンセント内部でロックがかかり抜けにくくするもの[1]
スイッチ
全体スイッチの場合と、個別スイッチの場合がある。全体スイッチの場合は、接続機器すべて。個別スイッチの場合は、コンセントごとにスイッチがあるため、特定の機器(あるいは全体)の電源を容易にON・OFFにできることから、使用しない機器のプラグを抜いた状態と同じになり、待機電力を0Wにする事ができる[2][3]。スイッチは通常、両切タイプ(接地線と被接地線の両方をON・OFFする)を使用するが、安価な製品は、コストカットのため、片切タイプ(被接地線のみON・OFFする)が使用されている場合もある。
パイロットランプ
前述のスイッチがONになっている場合に点灯して、通電していることを視認させる場合と、タップ自体に通電していることを視認させる場合がある。2013年現在では、ほとんどLEDが使われている。スイッチの通電表示の場合、近年では物理的にONの時に「入」表示、OFFの時に「切」表示になる印刷マークをつけているものもあり、パイロットランプを無くし、消費電力を更に抑えた製品も登場してきている[4]
シャッター
コンセントの差込口にシャッターを付け、プラグが差し込まれていない未使用時に、中の電気接点部分にホコリや虫が入るのを防ぎ、トラッキング現象による発火の発生率を下げる。また左右両方のプラグが同時に差されないと、シャッターが開かないタイプもある。シャッターがない場合は、未使用のコンセントに刺すプラグ型の蓋も、安価な商品として販売されているが、1年程度での交換が必要である[5]
簡易防水コンセント
プラグが差されている時に、絶縁ゴムのカバーでプラグを覆い、防水(ただし水滴がかかる程度)機能を持たせたものもある[6]
雷サージ防御
落雷により、製品および接続機器の耐性を超える電圧および電流が流れたときに、電柱→宅内ブレーカー(このブレーカーの遮断反応が早かった場合、被害を免れる事もある)→壁等のコンセントから侵入する雷による過電圧・過電流を、内蔵のブレーカーの反応により遮断するか、バリスタ等のサージ防護素子に逃がして、接続されている機器を過電圧・過電流から守る。しかし、のエネルギーはもともと、電圧は1億V、電流は1000A - 20万Aに達するものであり[7]、避雷の設備がない建物への直撃雷や、ブレーカーの耐性を超えた誘導雷に対しては、相手のエネルギーが大きく勝り、まったく無力である。
また、雷サージ防御機能搭載を謳っていても、サージ防御力に乏しい性能しか発揮しない優良誤認製品もあり、その場合、直撃雷や大きな誘導雷でなくても、接続している機器が壊れることがある。なお、一度雷を受けた場合は、雷サージ防御装置、とくにバリスタ等のサージ防御素子は自らが自壊して、接続機器を守るため、二度目の雷には対応できない事が多い。またテーブルタップの他の部分も、過電圧や過電流で損傷を受けている可能性が高い。
サーキットブレーカー
定格電力を超えて使用すると、部品が過熱し、発火につながる危険性があるため、製品に過電流ブレーカーを内蔵し、定格電力を超えた時に作動し、電気を遮断する[8]。この場合は雷サージとは比較にならない低ダメージのため、ブレーカーをリセットすれば、再使用できる。
アース線・接地極付きコンセント
機器の漏電が発生したときに、3Pプラグの接地極(普通のプラグの間に金属棒がついたプラグ)と内部接続されたアース線を通じて、地面に漏電を逃がし、機器を損傷から守る役目を果たす。接地極付きコンセントをもつ製品は、かならずアース線が付いているが、このアース線を壁のコンセントのアース端子等に接続するか、直接、大地にアースしないと効果は無論ない。
ノイズフィルター
接続機器からのノイズをコンセント側に伝えないフィルターを装備している。家庭内の電線ネットワークを利用した家庭内LANの一形態であるPLCを使用する場合、電線にノイズが混じると、通信速度が低下するため、ノイズを除去することは通信速度の低下阻止に有効である。しかし、大抵の家庭内には複数のコンセントがあり、一つのコンセントからのノイズ侵入を防いでも、すべての電線は結局ブレーカーボックスで外部からの供給電線につながっているため、すべてのコンセントに対して対策を施さなければならない欠点がある[9]。また通信手段にADSLを使用している場合は、ADSL機器への電源供給に対してノイズが減ることになり、ADSLの通信速度が電源からのノイズによって低下することが少なくなることがある。
マグネット
鉄製の机やロッカー類にテーブルタップを付けて使用することができる。当然、磁石が効かない木製の机・壁には全く意味がない。
通電連動装置(2013年現在、パソコンおよびその周辺機器専用)
タップに複数のコンセントを装備し、そのコンセントの一つをパソコン接続専用とし、パソコンの電源が入ったときに、その電流変化を検知して、他のコンセントにも電源を供給開始する連動装置を装備している。またパソコンのUSB端子にタップを接続して、パソコンの電源が入ったときに、USB端子にも電源が供給されることを利用して、他のコンセントを連動させて、電源供給するタイプもある。また非連動の常時通電コンセントも同じタップに装備し、パソコン使用開始時に、電源供給を連動させたいモニター等は、連動コンセントに接続し、非連動のコンセントには、FAXなどのパソコンとの連動が必要ない機器を接続し、常時電源を供給する。逆にパソコンの電源が切られたときは、消費電力が一定レベルまで下がったこと(USB方式であれば、USB端子に電源が供給されなくなったこと)を検知し、連動コンセントへの電源供給を停止して、先ほどの例で言えば逆にモニターの電源を切る。ただし、非連動コンセントにはそのまま電源が供給されるため、FAXの送受信に支障がないように停止することがない仕組みになっている[10]
電気量表示装置
電流量 (A) や消費電力 (W)、換算した電気料金等を測定する装置が一体化したもの。簡易的なものであるが、接続した機器の電気使用状況やコストの把握ができる。一部ではCO2排出量などを表示するものもある。ただし、装置自体に節電効果は当然無い。あくまで使用者に情報を伝えるのみの機能である。また現在、どれくらい電力を使用し、定格電力まであとどれくらい使用できるかを判別できる[11]
ACアダプタ対応
ACアダプタは、幅が広いため、テーブルタップに差すと、隣のコンセントに干渉してしまう。そのため、コンセントの間隔を広げて、その干渉が少なくなるように工夫された製品もある。またACアダプタ用に、普通のコンセントと違う位置(横など)に間隔をあけてコンセントを設けたものもある[12]

特殊なもの[編集]

巻き取り型
電工ドラムコードリールと呼ばれる。前者は工事現場など屋外で用いることが多く、防水形も多い。電線の被覆も丸形で頑丈なもの(キャブタイヤケーブル)が使用される。ただしこれらの被覆は熱に弱いため、使用時にはコードを全て引き出して使用しないと発熱により被覆が溶け、短絡、発火の恐れがある。また工事現場の規則として感電防止のためアース線入り3芯ケーブルの接続コードでないと持ち込み許可が得られない場合もある。
後者は家庭用テーブルタップの巻き取り型を指すことが多い。
OAフロア用(企業向け)
近年オフィスビルなどではLAN配線・電話配線・電気配線を容易にするため、本来の床の上にOAフロアという床上げ部材を敷き詰めて、床と実際足が触れるOAフロアとの間に配線の空間を持たせている場合が多い。そういった空間に設置されるタップは、プラグを使用せず、専用のコネクタでタップの電線を集積し、集積した回路を幹線に接続し、幹線をビルの主電源装置 (EPS) に接続する。サーバー等については、直接ビルの主電源装置に直結する場合もある。
19インチラック
定格、コンセントの数も多く、ラックに半固定して用いる。コンセントバーと呼ばれる。アース、抜け防止付で10口以上ある。また、ラックの中のサーバーは、磁力に弱いハードディスク等を搭載するため、磁力を発生するマグネット固定は使用されず、ネジ止めの場合が多い[13]

使用上の注意点[編集]

  • 定格を超えた使用は、流れる電気エネルギーがテーブルタップの限界を超えるため、器具にかかる過剰な電気エネルギーが熱に変換され、過熱した部品が器具の耐久限界を超えると発火の原因になる。また多段に使用して電気器具を繋ぐことを俗にたこ足配線というが、たこ足配線自体が危険なのではなく、たこ足配線が危険といわれるのは、コンセント口を水増しし、そこに多数の電気機器をつなぐことで、結果として定格を超えることが多いからである。
  • タップの一つのコンセントに、大消費電力の機器をつなぐと、そのコンセントの耐久の限界を超え、合計が定格以下でも、異常発熱が起こることがある。そのため、テーブルタップに、エアコン・アイロン・電気ストーブなどをつなぐことは発火の恐れがある。また、日本の電気用品安全法に基づく表示(PSEマーク)がついていない商品は、コストを削減するため、中に規格外の部品が使われている事もあり、異常発熱から発火にいたる危険性が高い[14]
  • コードを束ねたままだと、コードからの放熱がうまくいかず、熱が蓄積しやすく、発火の原因になる。特に年月が経過した製品は、電線に部分的な断線を起こしていることが多く、結果として内部の電線の本数が少なく、束ねると温度が上がりやすいため発火の危険がある。
  • 水分やホコリにも注意が必要である。水分やホコリがコンセントの穴に付着すると、左右の穴が漏電したり、短絡(ショート)し、過熱しさらに発火に至ることがある。特にプラグが差してある場合、ホコリがたまりやすく、危険性が高いので、定期的な清掃が予防策となる。これをトラッキング現象と言い、発火の原因の一つとなっている。フタ付きのコンセントはこれの防止目的で市販されている。またコンセントに差すかたちのフタも市販されている。

寿命[編集]

テーブルタップの取り替えが推奨される目安は、その使用の仕方や環境に左右されるが、3年から5年とする企業もある[15]。ただし配線の被膜破れ、タップとコードの接続部分の亀裂、コンセント部分の熱変形、焦げ等がある場合は、ただちに交換を要する。

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]