広瀬隆

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広瀬隆(ひろせ たかし、1943年1月24日 - )は、ノンフィクション小説翻訳を手掛ける作家である。父は建築家広瀬三郎

目次

[編集] 略歴

東京都生まれ。早稲田大学理工学部(応用化学)卒業。メーカー技術者を経て、執筆活動を開始、医学文献等の翻訳に携わる。

1980年代より原子力関連の著作を手がける。初期の著作では、従来の反原子力論で見られた「危険性や環境への影響を直接批判する」というスタイルとは一線を画する手法を用いた。「安全というならば、長大な送電線建設コストのかかる地方ではなく、電力の大消費地である首都圏に原子力発電所を建設してはどうか」という観点[1]から書かれた『東京に原発を!』(JICC出版局、1981年)や、がん白血病で亡くなったハリウッドスターの死因と、ネバダ州で行われていた大気圏内核実験の因果関係を示唆した『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』(文藝春秋社、1982年)がその代表である。このため、この時期の広瀬は必ずしも反原発運動を代表する人物とはみなされていなかった。

1986年にチェルノブイリ原発事故が発生すると、『東京に原発を!』の改訂版や『危険な話』(八月書館、1987年)で原子力(発電や放射性廃棄物)の危険性を主張する立場を鮮明にする。これらの著作は反響を呼び、広瀬は「朝まで生テレビ!」で原発を扱った回に出演するなど、反原子力運動の論客として広く注目されるに至った。

これに対して、原子力関係者(電力関係者・学者等)は、日本原子力文化振興財団から広瀬への反論本『つくられた恐怖 「危険な話」の誤り』[2]を出版し、広瀬の著書には事実の曲解(たとえば災害時に交通規制するためのゲートを「原発事故時に住民を閉じこめるためのもの」と主張した等)や非科学的論法(使えない数式を使って被曝リスクを算出するなど)があるなどの問題点を指摘した。

広瀬は1991年の『新版 眠れない話』(新潮文庫)のあとは約3年間、原子力に関する著作を出版する機会がなく、原子力問題に関する発言がメディアで取り上げられる機会も80年代に比べて大幅に減少する。もっとも広瀬のメディアへの露出が減った時期は、ソ連崩壊にともなう日本国内での左派勢力の退潮、それに伴う反原発運動の退潮とも時期が符合している。また、日本の反原子力運動自体が、高木仁三郎率いる原子力資料情報室が中心となった、より組織的で専門的な議論にと変遷していく。

1994年の『新版 最後の話』(新潮文庫)から、広瀬は再び原子力に関する著作を手がけたが、2001年に燃料電池を将来のエネルギー源として支持・賞賛する『燃料電池が世界を変える―エネルギー革命最前線』(日本放送出版協会)を刊行して以降は原子力発電関係の著作は途絶えている。東海村JCO臨界事故(1999年)や美浜発電所の蒸気漏れ事故(2004年)と、日本では初めてとなった原子力死亡事故に際しても、広瀬のメディア出演は殆ど見られなかった。

原子力分野以外では、1980年代後半には、内外のデータベースを駆使した調査が注目を集めた[3]。また、1986年の『億万長者はハリウッドを殺す』(講談社)から、ロックフェラー家ロスチャイルド家といった世界的な財閥が国際政治に大きな影響力を与えているという立場を取るようになる。こちらの系列は1991年の『赤い盾』(講談社)にまとめられ、その後も刊行されているが、陰謀論の一種とする見方もある。

[編集] ノンフィクションの手法

通常ノンフィクションには、現場での調査と関係者へのインタビューを伴うが、広瀬の作品は文献調査を中心とする手法をとっている。一部ではアームチェアディテクティブ(安楽椅子探偵)とも評されている[4]

[編集] 主な著書

  • 『魔術の花』 1979.9 鼎書店 (小説)
  • 『東京に原発を!』1981.3(JICC出版局
  • 『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』1982.12(文藝春秋
  • 『クラウゼヴィッツの暗号文』1984.4(新潮社
  • 『越山会へ恐怖のプレゼント』 1984.8 廣松書店
  • 『ゴルバチョフの処刑台―回答期限8月6日8時15分』 1985.6 光文社 (小説)
  • 『億万長者はハリウッドを殺す』上下 1986.4(講談社) 講談社文庫 上下 1989.4 (講談社
  • 『東京に原発を!』集英社文庫 1986.8 (集英社)(JICC出版局版に大幅加筆修正)
  • 『危険な話』1987.4(八月書館
  • 『ジキル博士のハイドを探せ データベース全地球取材報告』 1988.4 (ダイヤモンド社)
  • 『新訂版 ジョン・ウェインはなぜ死んだか』1988.8(文藝春秋
  • 『四番目の恐怖』1988.8(講談社)(写真:広河隆一)
  • 『眠れない話』1988.10(八月書館
  • 『不完全犯罪』集英社文庫 1988.12 (集英社
  • 『新版 危険な話』新潮文庫 1989.3 (新潮社
  • 『原発がとまった日』 1989.4 (ダイヤモンド社)
  • 『最後の話』1991.4(八月書館
  • 『新版 眠れない話』新潮文庫 1991.6 (新潮社
  • 『赤い楯―ロスチャイルドの謎』上下 1991.11(集英社)  集英社文庫1-4 1996.11-12(集英社
  • 『国連の死の商人』1992.1(八月書館
  • 『いつも月夜とは限らない』 1991.6 (講談社) 講談社文庫 1995/11(講談社
  • 『新版 最後の話』 新潮文庫 1994.1 (新潮社
  • 『ドイツの森番たち』1994.7 (集英社
  • 『柩の列島―原発に大地震が襲いかかるとき』 1995.3 (光文社
  • 『ハリウッド大家族―華麗なる黄金時代』 1996.3 (ダイヤモンド社)
  • 『脅迫者の手』 1996.8 (光文社
  • 『腐食の連鎖』 1996.11 (光文社
  • 『予言された二十一世紀―歴史を目撃した映画』1997.9 (集英社
  • 『私物国家』1997.10(光文社
  • 『地球の落とし穴』 1998.3 (日本放送出版協会) 文春文庫 2003/8 (文藝春秋
  • 『漢方経済学―聴け、万国の労働者』 1998.11 (光文社
  • 『パンドラの箱の悪魔』1999.6(NHK出版
  • 『恐怖の放射性廃棄物』集英社文庫 1999.8 (集英社) (「ドイツの森番たち」の改題、加筆)
  • 『アメリカの経済支配者たち』集英社新書 1999.12(集英社
  • 『原子力発電で本当に私たちが知りたい120の基礎知識』2000.11 (東京書籍、※藤田祐幸と共同出版)
  • 『燃料電池が世界を変える―エネルギー革命最前線』 2001.2 (日本放送出版協会
  • 『カレル橋の1ユーロ』 2001.9 (恒文社
  • 『世界石油戦争』 2002.6 (NHK出版
  • 『世界金融戦争』 2002.11 (NHK出版
  • 『一本の鎖』 2004.4 (ダイヤモンド社)
  • 『日本のゆくえアジアのゆくえ』 2004.9 (ダイヤモンド社)
  • 『持丸長者 幕末・維新編』2007.2 (ダイヤモンド社)
  • 『持丸長者 国家狂乱編』 2007.7 (ダイヤモンド社)
  • 『持丸長者 戦後復興篇』 2008.4 (ダイヤモンド社)

[編集] 主な訳書(翻訳、監訳)

  • アーマンド・ハマー『ドクター・ハマー ― 私はなぜ米ソ首脳を動かすのか』 ダイヤモンド社 1987年
  • レイトン・マッカートニー『ベクテルの秘密ファイル―CIA・原子力・ホワイトハウス』 ダイヤモンド社 1988年
  • V・シムソン、A・ジェニング 『黒い輪―権力・金・クスリ オリンピックの内幕』 光文社 1992年
  • en:The Albuquerque Tribune(編)『マンハッタン計画―プルトニウム人体実験』 小学館 1994年

[編集] 脚注

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  1. ^ 本書と同時期、ミクロネシアの海域に日本の核廃棄物を投棄する構想に対し、現地の説明会で「そんなに安全というならなぜ日本近海に投棄しないのか」という質問がなされたことがあった。
  2. ^ 「政界ジャーナル」編集部・監修『つくられた恐怖 「危険な話」の誤り』紀尾井書房、1989年、ISBN 978-4765610551
  3. ^ 『ジキル博士のハイドを探せ データベース全地球取材報告』1988年4月、ダイヤモンド社。
  4. ^ 『腐食の連鎖』等、現地での調査、取材を含む作品もある。

[編集] 関連項目

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