幾瀬勝彬

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(いくせ かつあき、1921年8月15日 - 1995年4月21日[1])は、日本の小説家推理作家。旧姓は長島

人物[編集]

北海道出身[1]。札幌第二中学(現北海道札幌西高等学校)を経て、早稲田大学文学部国文科に入学。大東亜戦争の戦況拡大により繰り上げ卒業して、海軍飛行科予備学生となる。ラバウルで終戦を迎えて1946年に復員後はNHKニッポン放送に勤務。

1970年、長編『ベネトナーシュの矢』が第16回江戸川乱歩賞の最終候補となる(受賞作は大谷羊太郎の『殺意の演奏』)。これを改題した『死を呼ぶクイズ』を翌1971年に刊行。以後も、A・E・W・メースンエラリー・クイーンなどの影響を受けた本格志向の作品を発表。 1970年代中頃からは戦記小説・海軍関係の書籍も執筆する。

著作[編集]

推理小説[編集]

長編[編集]

  • 死を呼ぶクイズ (1971年)
  • 北まくら殺人事件 (1971年)
    • 1977年、『声優密室殺人事件』に改題。
  • 遠い殺意 (1973年)
  • 死のマークはX (1973年)
    • 1977年、『私立医大殺人事件』に改題。
  • 殺しのVマーク (1976年)
    • 1978年、『殺意の墓標』に改題。

短編[編集]

  • 女子大生殺害事件 (1976年) - 短編集。
    • 女子大生殺害事件
    • 風流鬼殺害事件
    • 緑の毒
    • 満ちたりた疑惑
    • 謎のウイニング・ボール
    • 三月が招いた死
    • ババ抜き
    • 金塊迷走曲
  • 幻の魚殺人事件 (1977年) - 短編集。
    • 幻の魚殺人事件
    • オパールの女
    • 撃墜作戦
    • 夏風邪をひく女
    • 密閉された寝室
    • 死の時計
    • 孤独な詭計
  • 紙魚の罠
  • 死句発句
  • 旅は道連れ

戦記小説[編集]

  • 神風特攻第一号 (1977年) - 短編集。
    • 神風特攻第一号
    • われ不沈戦艦(プリンス・オブ・ウェールズ)を発見す
    • 零戦、山本五十六に殉ず ―山本長官機撃墜の謎
    • マカッサルの空を染めて
    • 海と空の熱走 ―人間魚雷“回天”の周辺

編著[編集]

  • 秘めたる空戦 ―三式戦 「飛燕」の死闘 (1984年、松本良男)
    • 三式戦闘機のパイロットだった中学の同級生・松本良男の手記を編集したもの。
    • 1998年、『飛燕独立戦闘隊』のタイトルで劇画化される(作画は滝沢聖峰)。
    • 滝沢聖峰によると、この作品に登場する独立一〇三中隊が実在したという証拠は無く、実体験を元に脚色を加えて小説化する際、その舞台として架空の部隊を設定したのではないか、としている。(『飛燕独立戦闘隊』のあとがきによる)

随筆[編集]

  • 海軍式男の作法22章 (1985年)
    • 1997年、『海軍式気くばりのすすめ ―海軍スマート術に学ぶ』に改題。

海軍飛行科予備学生時代の同期生[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 北海道新聞、1995年4月28日朝刊35面

参考文献[編集]