年齢詐称

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年齢詐称(ねんれいさしょう)とは、自身の年齢や生年月日を意図的に偽る(事実と異なる年齢や生年月日を申告する)行為のこと(厳密には詐称と異なるが、生年を意図的に公表しない行為を含める場合もある。後述)。

年齢を詐称する、または頑なに隠し通す(生年を公表しない)理由としては、

  • 実年齢での活動によって社会的な不利益がある場合(年齢の下限・上限による制限がある場合)
  • 見栄を張るため

などがある。

他にも、詐欺などの悪意によるものではなく、本人の記憶違いや戸籍の不備などで間違って年齢を申告した場合のも、結果的な年齢詐称に含める場合がある(後述)。

社会的な不利益がある場合[編集]

芸能人、特にアイドル声優などは、自分の年齢を若く詐称したり、あるいはデビュー当初から自分の生年を意図的に公表しない者[1]が多く、本人の小中学校時代の卒業アルバムや、同級生などの証言によって年齢詐称が発覚する場合も多い。年度初頭(4 - 5月頃)生まれの者が同一年度末(翌年2 - 3月頃)生まれとするケースもあり、この場合には学年が変わらないため、同級生の証言などでは発覚しにくい[2]

体操競技選手で年齢の下限・上限による制限がある大会への出場に際し、年齢詐称している疑いが報道されるケースが見られる。シドニーオリンピックにおける体操競技女子団体で中国が銅メダルを獲得したが、メンバーのひとりが年齢制限が「16歳以上」であった同大会に「14歳で出場」したことが2010年に明らかになった。そのため、IOCは中国の銅メダルを剥奪し、アメリカ合衆国を繰り上げ銅メダルとした[3]。その他にも、特に共産圏の国の選手(ステート・アマ)には、過去に国家の方針により年齢を詐称させられて国際大会に出場した経験のある者が多く見られる。

2011年9月には、2004年の全国高校総体で、福岡第一高等学校の留学生ディアン・ティエルノ・セイデゥ・ヌロ(当時22歳)が「18歳」と偽って出場し、同校が優勝していたことが判明[4]したため、後に優勝は取り消された。

このような年齢詐称防止のため、核磁気共鳴画像法(MRI)による骨年齢検査が行われることもある。

また、就職情報誌などの求人では、法的に年齢制限の記載が禁止されていても、「20代~30代活躍中」のように記載することで「間接的な年齢制限」があることを示唆している場合も多く、このような場合には応募者の側も年齢を若く詐称して応募するケースがある。

キャラクター設定上の場合[編集]

正式な生年月日が公表されているにもかかわらず何年経っても自身の年齢を17歳だと主張し続けている井上喜久子の「17歳教」などのように、自身の個性を引き出す(タレントとしてのキャラクター作り)などの目的のため、偽りであることを明確にしながらもあえて年齢を詐称したり、実際の生年を公表しない場合がある。極端な例としては、デーモン閣下がファン達の公認の下で自身の生年月日を「紀元前98038年11月10日」、年齢を「10万〇〇歳」と詐称し、また「江戸時代より300年におよぶ相撲ファンである」などと公言している事例がある。

芸能人や体操競技選手ではない者でも、街頭アンケートへの回答やネット上のブログSNSなどにおけるプロフィール、通勤・通学用の定期券購入の際などに年齢を若く偽ったり(鯖(さば)を読む)、生年を公表しないことは、特に珍しいことではない。ただし、定期券購入の際に出費を少なくする目的で年齢を偽る行為は、法的には詐欺罪に当たる。

本人の意図しない詐称[編集]

国や地域によっては、日本や先進国と違って厳格な戸籍制度が完備されていないために自分の生年月日を知らされないまま育ち、結果的に間違った年齢を申告する者も少なくない。

もともと、戸籍制度が完備していない国や地域[5]では、本人の正確な生年月日を調べること自体が困難な場合もある。

具体的な例として、映画『ミラクル・ワールド ブッシュマン』で主演を務めたサン人ニカウナミビア出身)は戸籍がなかったために正確な生年月日は不明であり、2003年7月1日に死去した際には「年齢は不明だが、59歳ぐらいだったとみられる」と報道された(当時の朝日新聞の記事による)。ちなみに、ニカウが映画撮影のために海外へ渡航する目的で取得したパスポートには「1943年12月16日生」と記載されていたが、これはパスポート作成の際に本人の生年月日を記載する必要があるため係員が便宜的に書いたもので、正式な生年月日を記載したものではないとされている。

アメリカ野球界の巨人とされるベーブ・ルースの生年月日は、長らく1894年2月7日とされており、本人もそう思っていたが、実際は1895年2月6日であることが後に判明した。この間違いの原因については、生後間もなく死んだ彼の兄弟[6]の生年月日と混同されていた可能性も指摘されているが、真相ははっきりしていない。

かつてギネス世界記録で世界最長寿の男性として認定されていた泉重千代は、記録上120歳237日とされていたが、2009年版から掲載時に信憑性が疑問視されるようになった。2011年版になると、泉の120歳説を否定する新証拠があり、「兄の戸籍と混同されていた」として「実際の没年は105歳の可能性がある」と指摘されるようになったため、2012年版から認定が取り消されることになった。

また、日本の比較的若い世代(戦後生まれ)でも戸籍上の生年月日が実際の生年月日と異なる場合がある。特に実際は年末に生まれた者が数え年では生まれて数日で2歳になってしまうのを嫌い翌年1月1日生まれにされたり、2月29日生まれた者が4年に1度しか誕生日が来ないのを嫌い2月28日もしくは3月1日生まれにされたり、3月下旬頃~4月1日生まれが究極の早生まれとなるのを嫌い4月2日生まれとされることが多いようである。著名人では竹山隆範(カンニング竹山)などが該当する。

その他、高齢化に伴う認知症などの病気や障害により、自分の現在の年齢を忘れて間違った年齢を申告する者もいる。このような本人の不知・思い込みや、戸籍の不備による間違った年齢の申告については、年齢詐称として扱われることはほとんどない。

また、上述したステートアマなどの場合、本人の意志ではなく国家レベルの意向や命令によって年齢を詐称させられ、国家や所属国の競技統括団体からもそれに基づいた公式なパスポートや身分証明書が発行されていたケースもある。

脚注[編集]

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  1. ^ 運転免許証パスポートの取得時、または婚姻届の提出時などの公的手続きで本人確認が必要な場合を除き、プロフィールでは単に「○月○日生まれ」だけしか公表せず、生年および年齢を意図的に公表しないケースが多い。
  2. ^ たとえば眞鍋かをりは、本当の生年月日は1980年5月31日であるが、プロフィール上は、その生年月日が属する年度の最終日前日である1981年3月31日としていた。
  3. ^ 中国 シドニー五輪・体操女子団体の銅メダル剥奪、年齢詐称で”. AFP (2010年4月29日). 2010年5月2日閲覧。
  4. ^ 高校総体に出場できるのは19歳までとなっている。
  5. ^ たとえば、サウジアラビアなどアラビア半島の国々では、戒律と習慣から、戸籍に生年月日は記録しない。また、日本においても現在のような戸籍制度が完成されたのは明治時代からで、それ以前の時代の人物については、詳細な記録や文献が残されている一部の貴族や大名などを除き、正確な生年月日はわからない場合がほとんどである。
  6. ^ ルースの母は生涯に9人の子を産んだが、無事に成長した子はルース本人を含めて2人だけである。

関連項目[編集]