年齢詐称

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内, 検索

年齢詐称(ねんれいさしょう)とは、意図的に自分の年齢や生年月日を偽る(事実と異なる年齢や生年月日を申告する)行為のこと。

目次

[編集] 概要

年齢が詐称される理由としては、

  • 実年齢での活動によって社会的な不利益がある場合(年齢の下限・上限による制限がある場合)
  • 見栄を張るため

などがある。

[編集] 社会的な不利益がある場合

芸能人、特に女性アイドルや女性の声優などは、自分の年齢を若く詐称したり、あるいは自分の生年を公表しない[1]者が多く、本人の小中学校時代の卒業アルバムや、同級生などの証言によって年齢詐称が発覚する場合も多い。年度初頭(4 - 5月頃)生まれの者が同一年度末(翌年2 - 3月頃)生まれとするケースもあり、この場合には学年が変わらないため、同級生の証言などでは発覚しにくい[2]

体操競技選手で年齢の下限・上限による制限がある大会への出場に際し、年齢詐称している疑いが報道されるケースが見られる。シドニーオリンピックにおける体操競技女子団体で中国が銅メダルを獲得したが、メンバーのひとりが年齢制限が「16歳以上」であった同大会に14歳で出場したことが2010年に明らかになった。そのため、IOCは中国の銅メダルを剥奪し、アメリカ合衆国を繰り上げ銅メダルとした[3]。その他にも、特に共産圏の国の選手には、過去に年齢を詐称して国際大会に出場した経験のある者が多く見られる。

2011年9月には、2004年の全国高校総体に20歳を超えた留学生が18歳と偽って競技に出場、その学校が優勝していたことが判明[4]。この優勝は取り消された。

また、就職情報誌などの求人では、法的に年齢制限の記載が禁止されていても、「20代~30代活躍中」のように記載することで「間接的な年齢制限」があることを示唆している場合も多く、このような場合には応募者の側も年齢を若く詐称して応募するケースがある。

[編集] 見栄による場合

井上喜久子の「17歳教」などのように、自身の個性を引き出す(いわゆるキャラ作り)などの目的のため、偽りであることを明確にしながらもあえて年齢を詐称したり、実際の生年を公表しない場合がある。極端な例としては、デーモン閣下がファン達の公認の下で自身の生年月日を「紀元前98038年11月10日」、年齢を「10万〇〇歳」と詐称し、また「江戸時代より300年におよぶ相撲ファンである」などと公言している事例がある。

芸能人や体操競技選手でない者でも、街頭アンケートへの回答やネット上のブログSNSなどにおけるプロフィール、通勤・通学用の定期券購入の際などに年齢を若く偽ったり(鯖(さば)を読む)、生年を公表しないことは、特に珍しいことではない。ただし、定期券購入の際に出費を少なくする目的で年齢を偽る行為は、法的には詐欺罪に当たる。

[編集] 本人の意図しない詐称

国や地域によっては、日本と違って厳格な戸籍制度がないため、自分の生年月日を知らずに間違った年齢を申告する者も少なくない。もともと、戸籍制度が完備していない国や地域[5]では、本人の正確な生年月日を調べること自体が困難な場合もある。具体的な例として、映画『ミラクル・ワールド ブッシュマン』で主演を務めたサン人ニカウナミビア出身)は戸籍がなかったために正確な生年月日は不明であり、2003年7月1日に死去した際には「年齢は不明だが、59歳ぐらいだったとみられる」と報道された(当時の朝日新聞の記事による)。ちなみに、ニカウが映画撮影のために海外へ渡航する目的で取得したパスポートには「1943年12月16日生」と記載されていたが、これはパスポート作成の際に本人の生年月日を記載する必要があるため係員が便宜的に書いたもので、正式な生年月日を記載したものではないとされている。

アメリカ野球界の巨人とされるベーブ・ルースの生年月日は、長らく1894年2月7日とされており、本人もそう思っていたが、実際は1895年2月6日であることが後に判明した。この間違いの原因については、生後間もなく死んだ彼の兄弟[6]の生年月日と混同されていた可能性も指摘されているが、真相ははっきりしていない。

かつてギネスで世界最長寿の男性として認定されていた泉重千代は、記録上120歳237日とされていたが、2009年版から掲載時に信憑性が疑問視されるようになった。2011年版になると、泉の120歳説を否定する新証拠があり、「兄の戸籍と混同されていた」として、実際の没年は105歳の可能性があると指摘されるようになったため、2012年版から認定が取り消されることになった。

その他、高齢化に伴う認知症などの病気や障害により、自分の現在の年齢を忘れて間違った年齢を申告する者もいる。このような本人の不知・思い込みや、戸籍の不備による間違った年齢の申告については、年齢詐称として扱われることはほとんどない。

[編集] 意図的な年齢詐称の実例とその理由

年齢を高く(多く)詐称した例
  • 森鴎外 - 第一大学区医学校予科(現・東京大学医学部)を受験する際、年齢が規定に足りなかったために2歳多く詐称した。
  • 手塚治虫 - 漫画家としてデビューした時の年齢が17歳で、当時としては異例の若さだったため、周囲から軽く扱われることを懸念して2歳多く詐称していた。
年齢を低く(若く)詐称した例
  • ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン - 7歳で初の演奏会をすることが決まった時、この演奏会を企画した彼の父親が話題性を上げるために年齢を6歳と偽って宣伝した。
  • 荒井注 - ザ・ドリフターズのメンバーになってからしばらくの間、年齢を6歳若く詐称していた。リーダーのいかりや長介よりも自分が年上では具合が悪いから、というのが表向きの理由だったが、本当のところは女性にもてたかったのではないかと、いかりやは自著『だめだこりゃ』の中でコメントしている。
  • ジル・ヴィルヌーヴ - レース活動に支障が出ると考えて2歳若く詐称していた。実年齢が公表されたのは本人が事故死した後だった。

[編集] 脚注

[ヘルプ]
  1. ^ 運転免許証パスポートを取得する際、または婚姻届の提出時など、公的手続きによる本人確認で必要な場合を除き、単に「○月○日生まれ」だけしか公表せず、生年を意図的に公表しないケースが多い。
  2. ^ たとえば眞鍋かをりは、本当の生年月日は1980年5月31日であるが、プロフィール上は、その生年月日が属する年度の最終日前日である1981年3月31日としていた。
  3. ^ 中国 シドニー五輪・体操女子団体の銅メダル剥奪、年齢詐称で”. AFP (2010年4月29日). 2010年5月2日閲覧。
  4. ^ 高校総体に出場できるのは19歳までとなっている。
  5. ^ たとえば、サウジアラビアなどアラビア半島の国々では、戒律と習慣から、戸籍に生年月日は記録しない。また、日本においても現在のような戸籍制度が完成されたのは明治時代からで、それ以前の時代の人物については、詳細な記録が残されている一部の貴族や大名などを除いては正確な生年月日が分からない場合がほとんどである。
  6. ^ ルースの母は生涯に9人の子を産んだが、無事に成長した子はルース本人を含めて2人だけである。

[編集] 関連項目

個人用ツール
名前空間

変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス
他の言語