平均棍

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交尾中のハナバエ科のハエ:胸部から突き出る黄色い突起が平均棍である

平均棍(へいきんこん 英語:haltere)は双翅目昆虫における、後翅の飛翔機能が退化、変化した可動器官を指す。

概説[編集]

一般の昆虫は中胸と後胸に一対ずつ、計二対のを持つが、ハエは外見的には中胸の一対しか見られない。後胸の一対がごく小さな形に退化しているためである。よく見れば、そののあるべき位置にごく細くて小さな、棒状で先の膨らんだ形の器官があるのがわかる。これが平均棍で、飛翔中に前翅の羽ばたきと同じ速さで振動、詳しくは前翅を振り上げると平均棍が上がり、前翅を振り下げると平均棍が下がる。

機能[編集]

役割は数説あり、かつては文字通り物理的にバランスを取るものと考えられていたため、英名ではbalancerと呼び、日本語名もこれに依ったものである。現在では否定され、英名は現在のものに変わった。日本語名はそのままである。

現在では、その振動により、反射弓興奮の伝達が促されるとする説(W. von Buddenbrockによる)や、振動により飛翔運動の角速度を検出する感覚器である、いわば航空機ジャイロスコープの働きをするという説(G.Fraenkelなどによる)などがある。この器官を除去すると、双翅目の昆虫は全く飛翔できないため、後の説が有力である。片方だけでもあれば飛行可能であることから、物理的にバランスを取るのだとのかつての説は否定された。

他の群の例[編集]

撚翅目の昆虫も機能する翅が一対しかない。この類では前翅が平均棍様の器官に変化しているが、W. von Buddenbrockの説の役割を果たしているといわれている。この平均棍様の器官を偽平均棍(英語:pseudo-haltere)と呼ぶ。

関連項目[編集]