干潟星雲

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干潟星雲
Lagoon-Nebula-16-06-2002.jpeg
星座 いて座
視等級 (V) +6.0
視直径 60′ × 35′
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α) 18h 03.8m
赤緯 (Dec, δ) -24° 23′
距離 3900光年
別名称
別名称
M8, NGC 6523, W 29, 干潟星雲
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干潟星雲[1] (ひがたせいうん、M8、NGC 6523)はいて座にある散光星雲輝線星雲)である。散光星雲を南北に横切る帯状の暗黒星雲が存在し、その姿が干潟に似ていることからその名が付けられている。星雲と同じ位置に散開星団 NGC6530 も重なって見える。

特徴[編集]

いて座の南斗六星の柄の先端に当たるμ星の南西約4°に位置する。M8 の1.4°北には三裂星雲 M20 もあり、共に夏に見られる代表的な散光星雲である。視直径が大きいので双眼鏡でも観察できる。1680年にまず星雲の前景にある NGC6530 星団がジョン・フラムスティードによって1680年ごろ発見され、その後1747年に星雲がフランスのルジャンテルによって発見された。1764年シャルル・メシエメシエ天体に入れた時には、この星雲を星団として登録しており、NGC6530をM8としたのではないかとも言われている。メシエは「星団で、単純な3フィート望遠鏡で見ると星雲のように見える。しかしすぐれた機材では、数多くの暗い星団である」と記している。ジョン・ハーシェルは「星雲状のしわや暗く卵型をした空虚な部分を含みこむものの集積」と表現している。

「干潟」という言葉をM8と関連づけて使ったのは、アグネス・クラークであろうと言われている。1890年の『The System of Stars』という本で、彼女は暗黒星雲の黒い筋を干潟と表現した。HSTによって、地上の竜巻のような不気味な星雲のかたまりが撮影されている。

星雲の所々にグロビュールと呼ばれる小さく丸い暗黒星雲の塊が見えるのが特徴である。これは分子雲の密度の高い部分が自己重力で収縮し、やがて原始星となって輝き始める直前の段階にあるものと考えられる。これはハーバード大学の天文学者であったバート・ボッグよって研究された。そのため、ボッグ・グロビュールとも呼ばれている。M16の中にも同様の暗黒星雲がありHSTで撮影されている。M16の物は太陽系程度の大きさであるが、干潟星雲の物はそれよりも50倍程度大きい。

星雲の中にはM42オリオン大星雲M45プレアデス星団と同じように閃光星が発見されている。僅かな短時間で極端に光度が上昇する。20秒の間に、10.3等から6.8等まで上昇した例がある。

星雲の西側の中心にはいて座9番という5.89等星が存在する。この星はスペクトル型がO6型の非常に高温の星であり、この星からの紫外線が M8 のガスの電離に大きく寄与していると考えられている。

空が暗い場所では肉眼でも確認できる。双眼鏡でも十分楽しめる対象である。望遠鏡では干渉フィルターを使うことにより、星雲の像はさらに明瞭になる。小口径の天体望遠鏡で見ることができる暗黒星雲の内ではもっとも印象的なものであると言われている。

出典[編集]

  1. ^ メシエ天体ガイドM8AstroArts

外部リンク[編集]