岸本鷹幸

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岸本 鷹幸 Portal:陸上競技
選手情報
フルネーム きしもと たかゆき
ラテン文字 Takayuki Kishimoto
国籍 日本の旗 日本
競技 陸上競技ハードル
種目 400mハードル
所属 富士通陸上競技部
大学 法政大学
生年月日 (1990-05-06) 1990年5月6日(33歳)
出身地 青森県むつ市
身長 171cm
体重 61kg
成績
オリンピック 400mH : 予選1組失格(2012年
世界選手権 400mH : 準決勝1組7着(2011年
地域大会決勝 アジア大会
400mH : 2位(2014年
国内大会決勝 日本選手権
400mH : 優勝(4回[注 1]
最高世界ランク 400mH : 10位(2012年)
自己ベスト
400mハードル 48秒41(2012年)
獲得メダル
陸上競技
日本の旗 日本
アジア大会
2014 仁川 400mH
ユニバーシアード
2011 深圳 400mH
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岸本 鷹幸(きしもと たかゆき、1990年5月6日 - )は、青森県むつ市出身の陸上競技選手。専門は400mハードルで、自己ベストは日本歴代5位の48秒41。同種目における2012年ロンドンオリンピック日本代表2011年大邱世界選手権2013年モスクワ世界選手権のセミファイナリストである。

経歴[編集]

青森県むつ市出身。むつ市立大平中学校青森県立大湊高等学校法政大学卒業。富士通所属。

高校生時代まで[編集]

  • 中学時代は110mハードルの選手だったが、3年の春に故障をしたため目立った成績は残せなかった[1]
  • 高校から400mハードルを始め、2年時にインターハイに初出場を果たすと、国体少年Aで2位、日本ユース選手権では初の全国タイトルを獲得した。
  • 高校3年時にはインターハイ400mハードルを初制覇すると、国体少年Aを高校歴代4位(当時)の記録となる50秒17で制し、日本ジュニア選手権も制して400mハードル高校3冠を達成した。

大学生時代[編集]

2009年[編集]

  • 4月、400mハードル日本歴代4位の記録を持つ苅部俊二が指導する法政大学へ進学。
  • 10月、日本ジュニア選手権400mハードルで自身初の49秒台となる49秒86を記録して連覇を達成した。

2011年[編集]

  • 5月、静岡国際400mハードルで49秒27をマークし、世界選手権の参加A標準を突破した[2]
  • 6月、日本選手権400mハードルでは3度目の出場で初の決勝進出を果たした。決勝では再び世界選手権の参加A標準突破となる49秒28を記録して初優勝を果たしたが、大会終了後に左脚太腿の肉離れが判明した。これにより、7月のアジア選手権と8月のユニバーシアードと世界選手権は左脚太腿にテーピングを巻いての出場となった[3]
  • 7月、神戸で開催されたアジア選手権に初出場。左脚太腿が気になりながらも決勝まで進出したが、決勝ではフライングをして失格となった[4][5]
  • 8月、深圳中国)で開催されたユニバーシアード400mハードルに出場。準決勝を全体1位の49秒53で通過したが、決勝は2011年全米選手権400mハードル王者のジェシュア・アンダーソン英語版に0秒49差で敗れ、銀メダル獲得に終わった。
  • 8月、大邱韓国)で開催された世界選手権400mハードルに初出場を果たした。予選は49秒51の組5着で、着順での通過ではなくタイムで拾われて準決勝に進出した。準決勝で敗退したが、第1回大会から続いている同種目の日本選手連続予選突破記録を途切れさせずに済んだ。
  • 12月、日本陸連アスレティック・アワード2011の新人賞を受賞[6]

2012年[編集]

  • 5月、静岡国際400mハードルでそれまでの自己ベストを0秒39更新する48秒88をマークし、オリンピックの参加A標準突破と共に日本歴代10位(当時)のタイムで優勝した[7][8]。日本人の48秒台は2009年10月の国体成迫健児が記録して以来だった。
  • 6月、日本選手権400mハードル決勝で日本歴代5位の記録となる48秒41を記録し、オリンピックの参加A標準突破で2連覇を達成した。
  • 8月、ロンドンイギリス)で開催されたオリンピック400mハードルに初出場を果たした。大会前の世界ランキングは5位で、オリンピック400mハードルにおける日本人初の決勝進出も期待されたが、大会前に左脚太ももの肉離れを起こした影響で体調は万全ではなかった。レースにはテーピングを厚く巻いて出場したが、1台目のハードルを倒してしまい、最後は足を引きずりながら組最下位でゴールしたものの途中で違反があったとして失格となった[9]

社会人時代[編集]

2013年[編集]

  • 4月、富士通に入社。
  • 6月、日本選手権400mハードルに出場。大会前までの今季自己ベストは世界選手権の参加B標準(49秒60)にも届かない49秒73だったが、準決勝で参加B標準突破の49秒49を記録すると、決勝では参加A標準突破となる49秒40を記録して3連覇を達成した[10]
  • 8月、モスクワロシア)で開催された世界選手権400mハードルに2大会連続の出場を果たした。予選は49秒96の組3着に入って着順で準決勝進出を決めたが、準決勝ではハードルを正しく越えなかったとしてオリンピック同様失格となった[11]

2014年[編集]

2015年[編集]

  • 6月、坐骨腱炎のため練習ができず、日本選手権400mハードルはぶっつけ本番(直前の新潟実業団選手権で400mは走っていた)で挑んだが、2位に終わって5連覇を逃した[13][14]
  • 7月、北京世界選手権日本代表に追加選出されるために、日中韓三カ国交流陸上トワイライト・ゲームスの400mハードルに出場して世界選手権の参加標準記録(49秒50)突破を目指した。日中韓三カ国交流陸上では参加標準記録に届かなかったが、トワイライト・ゲームスでは北京世界選手権と2016年リオデジャネイロオリンピックの参加標準記録(49秒40)突破となる49秒17を記録し、世界選手権の日本代表に追加選出された。
  • 8月、北京で開催された世界選手権400mハードルに3大会連続となる出場を果たすも予選で敗退し、3大会連続の準決勝進出はならなかった。

2016年[編集]

  • 5月、年明けにアキレス腱を痛めた影響でシーズン初戦となった東日本実業団400mハードルは50秒03で4位に入った[13][15]
  • 6月24日、日本選手権400mハードル予選に出場するも、2週間前に右ハムストリングスを肉離れした影響で途中棄権に終わった[16]

2017年[編集]

  • 6月23日、日本選手権400mハードル予選に出場予定だったが、レース前のウォーミングアップでトラブルが起きたため棄権した[17]

人物・エピソード[編集]

  • 自然豊かな青森県むつ市に生まれる。夏は海水浴、冬はスキー、山に行っては木から木へ飛び移って遊ぶ子供時代を送った[18][19]
  • 陸上は母親の勧めもあり、小学4年の時に陸上部に入って始める[18]。ハードルは中学の時に陸上部顧問の先生から「跳んでみて」と言われたのがきっかけで始める。高校1年時にインターハイ県大会に無理やり出されたのがきっかけで400mハードルを始めるが、400m系の練習をしていなかった中で出した当時の記録は64秒だったという[1]
  • 中学3年の時に出場した恐山駅伝では区間新記録を出したという[1]。また、高校3年時の青森県高等学校総合体育大会では走幅跳で6m91(+1.7)を記録して優勝している[20]

自己ベスト[編集]

種目 記録 年月日 場所 備考
400mハードル 48秒41 2012年6月9日 日本の旗 大阪市 日本歴代5位

主な成績[編集]

  • 備考欄の記録は当時のもの

国際大会[編集]

大会 場所 種目 結果 記録 備考
2011(大3) アジア選手権 日本の旗 神戸 400mH 決勝 DQ 予選2組1着:50秒50
ユニバーシアード (en 中華人民共和国の旗 深圳 400mH 2位 49秒52
世界選手権 大韓民国の旗 大邱 400mH 準決勝 50秒05 全体20位
2012(大4) オリンピック イギリスの旗 ロンドン 400mH 予選 DQ
2013(社1) 世界選手権 ロシアの旗 モスクワ 400mH 準決勝 DQ 予選2組3着:49秒96
2014(社2) コンチネンタルカップ (en モロッコの旗 マラケシュ 400mH 6位 49秒78 アジア・太平洋代表
アジア大会 大韓民国の旗 仁川 400mH 2位 49秒81
2015(社3) 日中韓三カ国交流陸上 日本の旗 札幌 400mH 優勝 50秒06
世界選手権 中華人民共和国の旗 北京 400mH 予選 49秒78 全体30位
2018 アジア大会 インドネシアの旗 ジャカルタ 400mH 予選 50秒95

日本選手権[編集]

大会 場所 種目 結果 記録 備考
2009(大1) 第93回 広島市 400mH 予選 52秒08
横浜市 4x400mR 予選 3分12秒11 (3走)
2010(大2) 第94回 丸亀市 400mH 予選 51秒39
横浜市 4x400mR 予選 DQ3走
2011(大3) 第95回 熊谷市 400mH 優勝 49秒28
横浜市 4x400mR 予選 3分11秒41(1走 決勝進出[注 2]
2012(大4) 第96回 大阪市 400mH 優勝 48秒41 日本歴代5位
2013(社1) 第97回 調布市 400mH 優勝 49秒08
2014(社2) 第98回 福島市 400mH 優勝 49秒49
2015(社3) 第99回 新潟市 400mH 2位 49秒81
2016(社4) 第100回 名古屋市 400mH 予選 DNF
2017(社5) 第101回 大阪市 400mH - DNS
2018(社6) 第102回 山口市 400mH 優勝 49秒30

その他[編集]

  • 主要大会を記載
大会 場所 種目 結果 記録 備考
2007(高2) インターハイ 佐賀市 400mH 準決勝 53秒51
国民体育大会 秋田市 400mH 2位 51秒67
日本ユース選手権 大分市 400mH 優勝 52秒40
2008(高3) インターハイ 熊谷市 400mH 優勝 50秒64
国民体育大会 大分市 400mH 優勝 50秒17 高校歴代4位
日本ジュニア選手権 鳥取市 400mH 優勝 51秒13
2009(大1) 関東インカレ(1部) 東京都 400mH 3位 50秒86
4x400mR 4位 3分07秒08(3走
日本学生個人選手権 平塚市 400mH 2位 50秒98
日本インカレ 東京都 400mH 8位 51秒52
国民体育大会 新潟市 400mH 予選 51秒02
日本ジュニア選手権 甲府市 400mH 優勝 49秒86 大会記録
ジュニア日本歴代4位
2010(大2) 静岡国際 袋井市 400mH 決勝 50秒86
国際グランプリ大阪 大阪市 400mH 6位 49秒95
関東インカレ(1部) 東京都 400mH 優勝 50秒89
4x400mR 5位 3分12秒58(2走
日本学生個人選手権 平塚市 400mH 優勝 50秒44 大会記録
日本インカレ 東京都 400mH 2位 49秒77
4x400mR 予選 3分11秒57(3走
スーパー陸上 川崎市 400mH 3位 50秒59
国民体育大会 千葉市 400mH 6位 50秒06
2011(大3) 静岡国際 袋井市 400mH 2位 49秒27
関東インカレ(1部) 東京都 400mH 優勝 50秒09
4x400mR 6位 3分15秒14(4走)
日本インカレ 東京都 400mH 優勝 49秒82
4x400mR 予選 3分08秒37(4走
国民体育大会 山口市 400mH 優勝 49秒64
2012(大4) 静岡国際 袋井市 400mH 優勝 48秒88 日本歴代10位
ゴールデングランプリ川崎 川崎市 400mH 優勝 49秒31
関東インカレ(1部) 東京都 400mH 優勝 49秒13
4x400mR 2位 3分09秒06 (4走)
2013(社1) 静岡国際 袋井市 400mH 5位 49秒73
ゴールデングランプリ東京 東京都 400mH 5位 49秒92
東日本実業団選手権 那珂市 400mH 2位 50秒93
全日本実業団選手権 熊谷市 400mH 2位 49秒95
4x400mR 優勝 3分09秒56(3走
国民体育大会 調布市 400mH 優勝 49秒49
2014(社2) 静岡国際 袋井市 400mH 優勝 49秒75
ゴールデングランプリ東京 東京都 400mH 4位 49秒81
東日本実業団選手権 福島市 400mH 優勝 49秒59
2015(社3) 全日本実業団選手権 岐阜市 400mH 2位 49秒74
4x400mR 予選 3分15秒47(3走 決勝進出[注 3]
2016(社4) 東日本実業団選手権 熊谷市 400mH 4位 50秒03
全日本実業団選手権 大阪市 400mH 3位 49秒89
4x400mR 3位 3分12秒15(4走
国民体育大会 北上市 400mH 優勝 49秒99
2017(社5) 静岡国際 袋井市 400mH 優勝 49秒93
ゴールデングランプリ川崎 川崎市 400mH 7位 50秒38
全日本実業団選手権 大阪市 400mH 2位 49秒47
4x100mR 4位 39秒93(4走
4x400mR 予選 3分33秒37(4走
国民体育大会 松山市 400mH 優勝 49秒39
2018(社6) 静岡国際 袋井市 400mH 2位 49秒33
ゴールデングランプリ大阪 大阪市 400mH 2位 49秒36

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2011年2012年2013年2014年
  2. ^ 予選のみ出場。決勝の法政大学は3分12秒10で8位
  3. ^ 富士通は決勝を棄権

出典[編集]

  1. ^ a b c 「マイプライバシー」『月刊陸上競技』第46巻第1号、講談社、2012年1月号、149頁。 
  2. ^ 岸本A標準突破「ビックリです」/陸上”. 日刊スポーツ (2011年5月5日). 2014年12月4日閲覧。
  3. ^ 世界陸上韓国テグ大会直前特集~400mH・岸本鷹幸~”. スポーツ法政. 2014年12月4日閲覧。
  4. ^ 400m障害 日本独占狙う/陸上”. 日刊スポーツ (2011年7月9日). 2014年12月4日閲覧。
  5. ^ 安部が岸本F失格も集中力保ちV/陸上”. 日刊スポーツ (2011年7月9日). 2014年12月4日閲覧。
  6. ^ 【トピックス】日本陸連 アスレティック・アワード2011開催しました!”. 日本陸上競技連盟 (2011年). 2014年12月4日閲覧。
  7. ^ 岸本 自己ベストV!世陸5位の好タイム記録”. スポーツニッポン (2012年5月4日). 2014年12月4日閲覧。
  8. ^ 「ポスト為末」岸本48秒台V/陸上”. 日刊スポーツ (2012年5月4日). 2014年12月4日閲覧。
  9. ^ 左太腿肉離れ…岸本、強行出場も予選で姿消す”. スポーツニッポン (2012年8月4日). 2014年12月4日閲覧。
  10. ^ 岸本鷹幸が今季自己ベストで優勝/陸上”. 日刊スポーツ (2013年6月9日). 2014年12月4日閲覧。
  11. ^ 岸本また失格…決勝ならず「2大会連続でやってしまった…」”. スポーツニッポン (2013年8月15日). 2014年12月4日閲覧。
  12. ^ 岸本V4「トレーナーに感謝」400障害”. 日刊スポーツ (2014年6月8日). 2014年12月4日閲覧。
  13. ^ a b 「トップアスリートそれぞれの2016Ⅱ 岸本鷹幸(富士通)」『陸上競技マガジン』第66巻第9号、ベースボール・マガジン社、2016年5月号、80-81頁。 
  14. ^ 「日本選手権 デイリーハイライト」『月刊陸上競技』第49巻第9号、講談社、2015年8月号、75頁。 
  15. ^ 岸本鷹幸選手競技後コメント”. 富士通陸上競技部 ブログ (2016年5月22日). 2016年6月18日閲覧。
  16. ^ 岸本鷹幸選手競技後コメント”. 富士通陸上競技部 ブログ (2016年6月24日). 2016年6月25日閲覧。
  17. ^ 2017年6月23日の自身のツイッターより
  18. ^ a b 星に願いを : 岸本鷹幸(ロンドン五輪400メートルハードル日本代表)<前編>「自然体ハードラー」”. SPORTS COMMUNICATIONS - ~二宮清純責任編集~ (2012年8月14日). 2014年12月4日閲覧。
  19. ^ 野生児・岸本が挑む五輪 “欲”を持って世界へさらなる飛躍を=陸上”. スポーツナビ (2012年7月20日). 2014年12月4日閲覧。
  20. ^ 第61回青森県高等学校総合体育大会・男子リザルト (PDF, 265 KB) 青森陸上競技協会 2014年12月4日閲覧

外部リンク[編集]

受賞
前年
飯塚翔太
日本陸連アスレティック・アワード
新人賞(男子)

堀端宏行と共に受賞
2011年
次年
山縣亮太
ディーン元気