山本健兒

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

山本 健兒(やまもと けんじ、1952年[1][2] - )は、日本経済地理学者帝京大学経済学部地域経済学科教授[3]九州大学名誉教授[4]。専門分野は、産業配置論、経済地理、社会地理[5]。名は「健児」と表記されることもある[6]

経歴[編集]

新潟県生まれ[1][2]新潟県立長岡高等学校を経て1974年一橋大学社会学部卒業[1][2][7]1980年東京大学大学院理学系研究科博士課程退学[1][2]。この間、1977年から1979年にかけて、ドイツ学術交流会 (DAAD) 奨学生としてミュンヘン工科大学に学ぶ[1]

高知大学人文学部を経て[8]法政大学経済学部の教員となり、経済地理などを担当[1][2]

1988年から1990年にかけて、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団研究員として、ミュンヘン工科大学で研究に従事する[1]

1993年、「現代ドイツにおける企業の立地行動」により東京大学から博士(理学) を取得[9]

2000年度フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞受賞[10]

2006年九州大学大学院経済学研究院教授。2011年から2013年にかけて、九州大学経済学研究院院長(経済学部長、経済学府長)を務めた[11][12]

2012年から、経済地理学会会長[13]

2017年に九州大学を定年退職し、帝京大学経済学部地域経済学科教授に転じた[3]

研究への評価と批判[編集]

おもにドイツにおけるフィールドワークに基づいた産業立地や、労働力需給分析、産業と連動した都市形成などの実証的研究の業績を積み上げており、研究費獲得状況[14]や受賞歴が示すように研究は概ね高く評価されている。しかし、1997年には、ドイツにおけるトルコ系労働者をめぐって内藤正典が山本の論文[15]を批判した[16]。また、山本は、経済地理学会の運営にも様々な形で長く関わっているが、学会運営をめぐる対立も絡み、水岡不二雄から厳しく批判されている[17][18]

おもな著書[編集]

  • 現代ドイツの地域経済 : 企業の立地行動との関連、法政大学出版局、1993年
  • 経済地理学入門、大明堂、1994年
    • 経済地理学入門 新版、原書房、2005年
  • 国際労働力移動の空間 : ドイツに定住する外国人労働者、古今書院、1995年
  • 産業集積の経済地理学、法政大学出版局、2005年

出典・脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g 山本健兒『経済地理学入門』大明堂、1994年1月6日、210頁。  奥付、著者紹介
  2. ^ a b c d e 山本健兒『経済地理学入門 新版』原書房、2005年9月25日、228頁。  奥付、著者略歴
  3. ^ a b 山本 健児 教授 やまもと けんじ”. 帝京大学. 2017年10月18日閲覧。
  4. ^ 山本健兒「ドイツ経済復活の鍵としてのミッテルシュタントと地域経済 : Audretsch and Lehmann (2016) とEwing (2014) の見解を踏まえて」『經濟學研究』第84巻第5/6号、九州大学経済学会、2018年3月、51-86頁、doi:10.15017/1912776hdl:2324/1912776ISSN 0022-975X 
  5. ^ 研究者情報 山本健兒”. 九州大学. 2013年3月27日閲覧。
  6. ^ 「健児」として言及されている例:地域研究委員会人文・経済地理と地域教育分科会” (PDF). 日本学術会議. 2013年3月29日閲覧。科学研究費助成事業データベース グローバル化時代における公共空間と場所アイデンティティの再編に関する研究”. 国立情報学研究所. 2013年3月29日閲覧。経済学院ダブルディグリー学生面接会実施”. 九州大学北京事務所. 2013年3月29日閲覧。:(同一ページ内で両方の表記が見られる例)法政大学日本統計研究所について”. 法政大学日本統計研究所. 2013年3月29日閲覧。
  7. ^ 一橋大学の学生時代から竹内啓一の指導を受け[要出典]、後には共同研究、共編著の執筆なども行なっている。
  8. ^ CiNii ある社会地理学の軌跡--ハルトケ学派の場合 山本 健児”. 国立情報学研究所. 2013年9月28日閲覧。
  9. ^ 現代ドイツにおける企業の立地行動 山本健兒”. 国立国会図書館. 2013年3月27日閲覧。
  10. ^ 2010年度フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞の候補者募集”. ドイツ学術交流会. 2013年3月27日閲覧。
  11. ^ “九大経済学研究院、山本教授が院長に”. 朝日新聞・朝刊・福岡: p. 27. (2011年1月20日)  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  12. ^ 経済学研究院長あいさつ”. 九州大学. 2013年3月27日閲覧。
  13. ^ 経済地理学会役員(2012-13年度)”. 経済地理学会. 2013年3月27日閲覧。
  14. ^ 科学研究費助成事業データベース 山本健兒”. 国立情報学研究所. 2013年3月27日閲覧。
  15. ^ 山本健兒「在独トルコ人への「差別」とイスラム組織 : 二つの著書に対する論評」『地理学評論 Ser. A』第70巻第3号、日本地理学会、1997年、131-155頁、CRID 1390282680401571072doi:10.4157/grj1984a.70.3_131ISSN 0016-7444 
  16. ^ 内藤正典「多文化・多民族共生のための研究視角 : 山本健兒論文の批判的検討を通して」『Geographical Review of Japa,. Ser. AChirigaku Hyoron』第70巻第11号、日本地理学会、1997年、749-766頁、CRID 1390282680401581952doi:10.4157/grj1984a.70.11_749hdl:10086/16885ISSN 0016-7444 
  17. ^ 水岡不二雄「制度化・物象化されたマルクス主義地理学 : 「地域構造」学派と経済地理学会の「終焉」」『空間・社会・地理思想』第3巻、大阪市立大学文学部、1998年、18-27頁、CRID 1390853649849956224doi:10.24544/ocu.20180105-069ISSN 1342-3282 
  18. ^ 経済地理学会、東京学芸大学へ強硬移転”. 一橋大学大学院経済学研究科 経済地理部門. 2013年3月27日閲覧。

外部リンク[編集]