尾身茂
尾身 茂(おみ しげる、1949年(昭和24年)6月11日 - )は、日本の医師、医学博士。地域医療・感染症・国際保健などが専門。現在、自治医科大学教授、世界保健機関(WHO)西太平洋事務局・事務局長。栃木県在住。東京都出身。
[編集] 来歴・人物
1967年、東京教育大学附属駒場高等学校(現在筑波大学附属)在学中にAmerican Field Service(AFS)の交換留学生として、1年間アメリカに留学。 1969年~1971年慶應義塾大学法学部法律学科在学。 1978年(昭和53年)、自治医科大学を1期生として卒業。 東京都の伊豆七島を中心とする僻地・地域医療に従事。 その後、自治医科大学予防生態学助手として、1990年B型肝炎の分子生物学的研究により医学博士号を取得。 厚生省保険局医療課を経て1990年に世界保健機関西太平洋地域事務局に入る。 拡大予防接種計画課課長、感染症対策部長等を歴任。 現在、自治医科大学地域医療学センター公衆衛生学教授(兼)卒後指導部長。
尾身氏の最大の業績のひとつは、西太平洋地域において小児麻痺(ポリオ)の根絶を達成したことである(1)。ポリオ根絶の功績・手腕の為、日本政府は1998年、世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局事務局長選挙に候補者として尾身氏を擁立し、当選。その後再選され、事務局長として10年間活躍した。人類にとって21世紀最初の公衆衛生学的危機であった重症急性呼吸器症候群(SARS)対策に於いて陣頭指揮をとったことは良く知られている(2)。
また、尾身氏は、西太平洋地域事務局長在任中に、アジアにおける結核対策を前進させたこと、鳥インフルエンザの脅威を世界に発信したことなどでも知られている。
2006年5月 李鍾郁(イ・ジョンウク)WHO事務局長の急死に伴い、日本政府はWHO本部事務局長選挙に候補者として尾身氏を擁立。だが、中国政府の支援を受けた香港の陳馮富珍(マーガレット・チャン)に惜敗した。 2009年2月、母校の自治医科大学教授に就任し、後進の指導にあたると同時に、日本での地域医療及びWHOでの経験を踏まえ、現在の我が国の医療問題に関しても提言している。
2009年新型インフルエンザパンデミックが始まり、同年4月30日、政府の新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会の委員長に任命された。既に政府によって始められていた水際作戦から、重点を地域感染対策に移すべきこと、パンデミック初期には広範に学校閉鎖を実施すべきこと、ワクチンの優先接種グループなどにつき提言した。また、今回の我が国の新型インフルエンザ対策についての評価・総括を基に、次回パンデミックに備えて様々な提言を行っている(3)。
2009年から2010年にかけて、新型インフルエンザに対して、国が採るべき方針を答申してきた新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会の委員長を勤めた。
[編集] 受賞歴
主な受賞歴は以下のとおり。
•2000年ベトナム名誉国民賞受賞
•2001年第37回小島三郎記念文化賞受賞
•2002年香港地域医療学会名誉特別専門医
•2004年慶応義塾大学特選塾員
•2008年ラオス人民民主共和国・国民栄誉賞受賞
•2009年国際ロータリークラブより小児麻痺根絶貢献賞
[編集] 著作
主な著作は以下のとおり。
(1)Omi.S. Polio Eradication: Western Pacific Region, ISBN 92 9061 000 X. 2000
(2)Omi.S. SARS: How a global epidemic was stopped, ISBN 92 9061 213 4. WHO. 2006 (日本語訳:SARS いかに世界的流行を止められたか 財団法人結核予防会 監修:押谷仁)
(3)尾身茂、岡部信彦、河岡義裕、川名明彦、田代眞人.『パンデミック(H1N1)2009-我が国の対策の総括と今後の課題―』 公衆衛生 Vol.74(8)医学書院 2010
(4)尾身茂.『WHOをゆく』医学書院 2011 ISBN978-4-260-01427-4