尖点表現

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

数論における尖点表現(せんてんひょうげん、: cuspidal representations; カスプ表現)は L2-空間に離散的に現れる代数群表現の一種である。「尖点的」というのは、それが古典的なモジュラー形式論に関する尖点形式に関係することに由来する。保型表現の現代的な定式化では、正則函数の表現の代わりに、アデール代数群表現を考えうる。

考えている群が一般線型群 GL2 のときの尖点表現は、尖点形式マース形式に直接に関係する。尖点形式の場合については、各ヘッケ固有形式アトキン=レーナーの新形式)が尖点表現に対応する。

定式化[編集]

G数体 K 上の簡約代数群とし、AKアデール環とする。また、ZG中心、ω を Z(K)\Z(A)× から C× への連続ユニタリ指標とし、アデール群 G(A) 上のハール測度を固定して、G(A) 上の複素数値可測函数 f で以下を満たすもの全体の成すヒルベルト空間L^2_0(G(K)\backslash G(\mathbb{A}), \omega) と書く。

  1. すべての \gamma; \in G(K) に対して、f(\gamma g) = f(g) である。
  2. すべての z \in Z(\mathbb{A})に対して、f(gz) = f(g)\omega (z) である。
  3. \int_{Z(\mathbf{A})G(K)\backslash G(\mathbf{A})}|f(g)|^2\,dg < \infty
  4. G(A) の任意の真の抛物型部分群に関する任意の冪単根基 U に対して \int_{U(K)\backslash U(\mathbf{A})}f(ug)\,du=0 を満たす。

この空間を G(A) 上の中心指標 ω を持つ尖点形式全体の成す空間といい、この空間に属する函数を尖点函数と呼ぶ。この空間は gG(A) の尖点函数 f への作用

(g\cdot f)(x)=f(xg)

で与えることにより、アデール代数群 G(A) のユニタリ表現になる。中心指標 ω を持つ尖点形式の空間はヒルベルト空間の直和

L^2_0(G(K)\backslash G(\mathbf{A}),\omega)=\hat{\bigoplus\limits_{(\pi,V_\pi)}}m_\pi V_\pi

に分解される。ここで和は L2
0
(G(K)\G(A), ω) のすべての既約部分表現 に亘ってとるものとし、mπ は正の整数とする(つまり、各既約表現は有限な重複度で現れる)。G(A) の尖点表現 は、表現 (π, V) の、適当な中心指標に対してこのように得られる部分表現をいう。

上記の分解に現れる重複度 mπ が全て 1 に等しい群は、重複度一性を持つという。

参考文献[編集]

  • Bernšteĭn, I. N.; Zelevinskiĭ., A. V. (1976), Representations of the group GL(n; F); where F is a local non-Archimedean field, Uspehi Mat. Nauk, 31 
  • James W. Cogdell, Henry Hyeongsin Kim, Maruti Ram Murty. Lectures on Automorphic L-functions (2004), Chapter 5.

外部リンク[編集]