少女スーツケース詰め殺人事件

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少女スーツケース詰め殺人事件(しょうじょスーツケースづめさつじんじけん)とは、2005年平成17年)5月2日千葉県で発生した殺人事件である。

概要[編集]

2005年(平成17年)5月2日、宮城県加美町一本杉日焼けサロン店員の女性(19歳)が千葉県松戸市の自称フリーターの男(23歳)に絞殺された。男はJR新宿駅東口で女性と知り合い、自宅に連れ込んだ後、刃物で女性を脅迫して金品を奪おうとしたが、女性に抵抗されたために殺害に至った。警察5月7日に男を死体遺棄罪の容疑で逮捕。男の自供から、柏市名戸ヶ谷の水田に遺棄されたスーツケースの内部から女性の遺体が発見された。男は強盗殺人罪の容疑でも再逮捕された。

加害者と被害者[編集]

犯人の男は、自称フリーターでパチンコなどから借金を重ねていた。事件の2年前にも埼玉県の女性をホテルに連れ込んでキャッシュカードを奪って現金7万円を引き出すという、今回と同じような事件を起こしていた。このときは女性との間に示談が成立して起訴猶予処分となる。そして今回、被害者の女性を自宅に誘い込み、キャッシュカードを奪って暗証番号を聞き出そうとしたが、女性に抵抗されたために殺害し、現金1万2000円の入った財布を奪った。

この後、男は被害者女性の携帯電話を使って実家にいた母親に連絡する。「女性に現金を盗まれた。弁償すれば告訴を取り下げる」と自らが被害者であり、女性が加害者であるかのようなふりをしてキャッシュカードの暗証番号を聞き出そうとしたのである。さらに警察官を装って示談金名目で被害者女性の知人から金を騙し取ったりもした。このような行為が、かえって警察に犯人特定を進めさせる決定的要因となった。

被害者の女性は青森県八戸市出身で、3人姉妹の末娘だった。事件前の3月に父が死去したため、宮城県で働くために実家を出た。家族想いの少女で、母の日カーネーションチーズケーキを贈り、父が亡くなって寂しい思いをしていた母を気遣ってか、姉たちと1万円を出し合って5月8日の母の日に東京への旅行券をプレゼントする予定だったという。東京に来ていたのは、ゴールデンウィークを利用して下見を兼ねていたという。

裁判[編集]

裁判で被告は起訴内容を全面的に認めた。裁判では無期懲役が求刑され、2005年11月10日、東京地裁小川正持裁判長は、「パチスロで金に窮し、声をかけて親しくなった女性から金をせびろうと考えた。思い通りにならず殺害して金品を奪ったという動機はあまりに身勝手で愚かしい」とし、求刑通り無期懲役の判決を下した。さらに「被害者は親元を離れて自立した生活を始めたばかりだった。突如として将来のすべてを奪われた無念さは多大だろう」と被害者の心情にも触れている。

参考文献[編集]

  • 「実録戦後タブー犯罪史」