小柴胡湯

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小柴胡湯(しょうさいことう)とは、肺炎感冒慢性肝炎、胃腸疾患などに用いられる漢方薬の一種である[1]。出典は傷寒論金匱要略

これまで発見された小柴胡湯の活性成分には以下のものがある。

カリフォルニア大学サンディエゴ校Memorial Sloan–Kettering Cancer Centerにおいて臨床試験が行われている[2]

構成生薬[編集]

柴胡黄芩半夏生姜大棗人参甘草

柴胡と黄芩の組み合わせが中心となる方剤を柴胡剤といい、小柴胡湯はその柴胡剤の最も基本となる方剤である。柴胡から大棗までは多くの柴胡剤で共通している。柴胡剤は表・裏症分類では半表半裏に用いる。 柴胡と黄芩はいわゆる胸脇苦満(脇や胸に重苦しさ・張りを訴える)を治す作用がある。半夏には悪心を治す作用がある。生姜と大棗は多くの漢方方剤に副作用を緩和する目的でペア加えられている。甘草も同じ目的で配合されている。人参は代表的な補性薬の一つ。

作用機序[編集]

全体として半表半裏の熱虚症むきの方剤である。ただし著しい虚症のものには適さない。

柴胡は、作用機序の明確で無い多くの生薬の中で、比較的作用機序の明確になってきている数少ないものの一つである。つまり、一つには構成成分のサイコサポニンステロイド様の作用があり、炎症に対して抗炎症的に作用するらしい。したがって、柴胡剤は喘息膠原病など、各種の慢性炎症に対する東洋医学の「切り札」的な存在として脚光を浴びていたが、その後インターフェロンとの副作用情報が報道されたために、漢方医以外にはやや縁遠い薬になり、一時期ほど頻用される薬剤ではなくなった。

保険適用エキス剤の効能・効果[編集]

体力中等度で上腹部がはって苦しく、舌苔を生じ、口中不快、食欲不振、時により微熱、悪心などのあるものの次の諸症。

諸種の急性熱性病、肺炎気管支炎、感冒、胸膜炎肺結核などの結核性諸疾患の補助療法、リンパ腺炎、慢性胃腸障害、産後回復不全、慢性肝炎における肝機能障害の改善。

臨床試験[編集]

遷延したかぜ症候群患者(小柴胡湯群131例、プラセボ群119例)に対して、二重盲検ランダム化比較試験(DB-RCT)により、全般改善度、咽頭痛倦怠感の切れ、食欲、関節痛筋肉痛がプラセボよりも有意に有効であった[3]

慢性活動性肝炎と診断された116例を対象にした二重盲検比較試験において、血清トランスアミナーゼの有意な低下がみられ、肝機能障害の改善効果が認められている[4][5]

重大な副作用[編集]

インターフェロンとの併用、肝硬変または肝癌の患者に投与すると、間質性肺炎を起し死に至ることがある。他に、偽性アルドステロン症ミオパシー、肝機能障害、黄疸など。

関連する方剤[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Memorial Sloan-Kettering Cancer Center. “Sho-saiko-to”. 2012年9月6日閲覧。
  2. ^ Deng G, Kurtz RC, Vickers A, Lau N, Yeung KS, Shia J, Cassileth B (2011). “A single arm phase II study of a Far-Eastern traditional herbal formulation (sho-sai-ko-to or xiao-chai-hu-tang) in chronic hepatitis C patients”. J. Ethnopharmacol. 136 (1): 83-87. doi:10.1016/j.jep.2011.04.008. PMID 21527335. 
  3. ^ 加地正朗、柏木征三郎ほか「TJ-9ツムラ小柴胡湯の感冒に対するPlacebo対照二重盲検群間比較試験」、『臨床と研究』第78巻第12号、2001年、 p.p.2252-2268、2009年12月30日閲覧。
  4. ^ Hirayama, C., Okumura, M., et. al. (1989). “A multicenter randomized controlled clinical trial of Shosaiko-to in chronic active hepatitis.”. Gastroenterol Jpn. 24 (6): 751-759. PMID 2691317. 
  5. ^ 平山千里、奥村恂ほか「多施設二重盲検試験による慢性活動性肝炎に対する小柴胡湯の臨庆効果」、『肝胆膵』第20巻、1990年、 p.p.751-759。